ありふれた動物能力者   作:マスターM

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晩餐会

誠達は聖教協会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】に向かって移動を開始した。

 

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん、‶天道〟」

台座に乗りイシュタルが唱えると台座が動き出し、地上に向けて斜めに下っていく。

初めて見る‶魔法〟に生徒達が騒ぎ出す。

雲海を抜け地上が見えてきた。眼下には大きな国が見える。山肌からせり出すように建築された巨大な城と放射状に広がる城下町。ハイリヒ王国の王都だ。

 

 

 

王都に着くと、誠達は真っ直ぐに玉座の間に案内された。教会に負けないくらい煌びやかな内装の廊下を歩く。道中、騎士っぽい装備を身に着けた者や文官らしき者、メイド等の使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けて来る。誠達が何者か、ある程度知っているようだ。

美しい意匠の凝らされた巨大な両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の姿勢をとっていた兵士二人がイシュタルと勇者一行が来た事を大声で告げ、中の返事も待たず扉を開け放った。

イシュタルはそれが当然というように悠々と扉を通る。誠、光輝等一部の者を除いて生徒達は恐る恐るといった感じで扉を潜った。

玉座の前で覇気と威厳を纏った初老の男性にその隣に王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達が、右側には文官らしき者達がざっと三十人以上並んで佇んでいる。

そこで、おもむろに手を差し出すと国王は恭しくその手を取り、軽く触れない程度の口付けをした。それを見た誠は実質国を動かしているのは神であるエヒトであると確定した。

そこからはただの自己紹介だ。国王の名はエリヒド・S・B・ハイリヒといい、王妃の名をルルリアというらしい。金髪美少年はライデル王子、王女はリリアーナという。後は、騎士団長や宰相等、高い地位にある者が紹介された。

 

 

 

その後、晩餐会が開かれた。

誠はテラスで1人涼んでいた。何故1人なのかは・・・

 

(これで魔人族と戦わずにすむ!)

(神の使徒と言ってもまだ子供よ)

(くくく、精々我等の為に働いてもらおうかの)

 

見聞色で貴族達の心の声が聞こえてくるからだ。

(はぁ~。他力本願の貴族者共め、反吐が出る)

 

「・・・何か用ですか?リリアーナ王女」

「!!?」

誠に近づく気配があり、振り返らずにその人物の名を言うと、リリアーナは驚いた表情をした。

 

「何故気付いたのですか?」

「気配には過敏なんですよ。それで何か用でも?」

「いえ、パーティーの最初からこちらにいらしゃいましたので、パーティーに参加しないのですか?」

「気分じゃないのと、嫌いだから」

「嫌いですか?何に対して嫌なのですか?」

「あれです」

リリアーナがパーティーに参加しないのかと聞くと誠は嫌いと答え、リリアーナは何が嫌いかと聞くと誠は貴族達を指さす。

 

「あの貴族達は自分達が戦わずに済むと思っていることだ。それに本当に滅亡の危機なら人間族が団結するべきなのに、俺達丸投げしていること」

「・・・」

「勝手にこの世界に連れてこられて、戦争で魔人族を殺せってのは都合がよすぎないか?」

「おしゃる通りです。誠に申し訳ございません」

誠の言葉にリリアーナは頭を下げる。見聞色でリリアーナは心から謝罪しているのは理解した。

 

「頭をあげてください王女様」

だからこそ誠はその謝罪を受け入れた。

 

「貴女が心から謝っているのはわかりましたら」

「ありがとうございます」

「・・・それでお前達は揃って覗き見か?」

「え?」

「「「「「っ!?」」」」」

誠は覗き見ている気配に気付いており、リリアーナとの話し合いが終わったのを見計らって声をかけた。

気まずそうに出てきたのは、ハジメ、恵理、幸利、雫、香織だった。

 

「わ、悪い・・・」

「誠がテラスに出て行くのを見てついな・・・」

「そこで王女様と2人で話しているものだから・・・」

「気になっちゃった」

「ごめんなさい」

「まあ別に聞かれてまずい事もないし気にするな」

誠は気にしてないと言う。

その後各々自己紹介をし、リリアーナの事はリリィと呼ぶ事になった。

 

 

 

 

 

晩餐会も終盤に差し掛かった所で誠はリリアーナ達から離れ城外の人気のないところに来た。

何故こんな所に来たのかと言うと・・・

 

「・・・覇気の練度が上がっている。武装硬化が精一杯だったのに武器に纏わす事も出来るようになってるし、もしかして・・・」

岩に触れ内部破壊が出来るか試すと、岩は崩れた。

 

「内部破壊も可能か・・・後は・・・」

誠は別の岩の前に立ち覇王色を纏うイメージし、岩に向かって腕を突くと、岩は触れてもいないのに崩れた。

 

「これがこの世界の恩恵か・・・」

イシュタルが言っていた数倍から数十倍の力は覇気にまで作用するかを確認する為に誠は来たのだ。

 

「後は金棒があればカイドウの代名詞といえる雷鳴八卦も使えるか試してみたいな・・・」

そう呟き自分に割り振られた部屋に戻った。

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