なんだかんだここでの暮らしにも慣れきり、この自分の体も最大限に扱えるようになってきた。
すると改めて気づいたのが……
「………やっぱゴロン族って種族そのものが強すぎない?」
「…それほどでもないんじゃねェか?」
「いーや強い。圧倒的に強い。」
わりぃ………やっぱ"強え"わ………
この世界へ来てから7年くらい経った頃から数倍に膨れ上がった自分の身体能力が実証してる。
マジでこの種族イカれてる。
現在10歳。既に俺の腕は岩を軽々握り砕けるくらいには強靭になっている。
成程、こりゃ強い………
今更だけどゴロン族って転生先としては割と当たりだったのか…?確かに死ぬ可能性はくそ低いわ。そうだわ。
まぁ今の環境に感謝しておこう。
一応補足しておくと語尾は面倒だからダルケルと二人きりの時は使わん。ダルケルが気にしない側で良かった。
「なぁ兄弟!そろそろ飯食おうぜ!!」
唐突すぎんだわ。うん。食うけどさ。
「………あー、今日はどこの岩食べる?」
「おゥ!!!昨日はずっとロース岩だったから今日は少しあっさりめの岩にしてェなァ!!!」
「了解だぜ兄弟。」
なぜ兄弟呼びなのかと言うと、こいつ……ダルケル、通称ダル坊が俺の産地のすぐ隣で生まれたからだ。
ゴロン族の血縁関係は目茶苦茶わやわやした感じで決まっているので正直俺にも良く分からないのだが、近くの岩から生まれたから兄弟で良いんじゃね?って事で兄弟と呼び、呼ばれている。
ちなみに生まれた順番としてはダルケルの方が先らしいので俺が弟になる。前世じゃ一人っ子だったから落ち着かなくもあるが、悪いもんではない。
実際ダルケルは精神が同年代と比べてもだいぶ成熟していて話しやすいし、優しいから話していて心地よい。
あと兄弟呼びってなんか憧れるからね。
しょうがないね。
「っはぁ〜!!!やっぱ美味いなササミ岩!!」
「まったくだぜ!!!たまらねえなぁ!」
まぁそんな訳でこうして無限にある暇をダルケルと一緒に潰しているのだが…………
なんか……ダルケルに変な能力を持ってるって事にこの前気付いた。というかこの前見えた。
なんなのその赤い……覆ってる……何それ?
俺も知らない?えぇ………?(困惑)
周りの大人達に聞いても、出てくる情報は無かったし大人達も困惑していた。そりゃそうよな。
で仮にも兄弟(笑)の俺にも何か特殊能力ねえかなって探したり考えたりしたけどねえんだよな。
ずりいよな。
へぇ〜!!!良いな!!!くれ!!!
無理だよな知ってるよ!!あ"ぁ"か"っ"け"え"!
「…んぐっ……………あ、兄弟。
そういやその赤いのの名前決めたりした?」
「んんー………一応、決めてはいるなァ…」
「おっ、教えて教えて〜」
多分これストーリーの本筋に関わってく証なんだろうな。こんな特殊能力とか絶対関わるじゃん。
勇者のお供になるじゃん。ドキが胸胸してきた。
さて…このネーミングの結果は、この…世界?がどんな感じなのかを判断する材料になる。
どうだろう。横文字か?それとも漢字4文字?
ルビ振って読ませるタイプの必殺技的な?
「……ダ、【ダルケルの護り】………」
「……………おぉうふ…」
「皆『ダルケルの赤いやつ』って言うし、……何しろオレは皆を護れるくらい強くなりてェ!」
な、成程。自分の技に自分の名前付ける系かぁ〜で少し困惑してしまったが、まぁ良い………
これで想像できるパターンってなんだろ……
『【ダルケルの護り】を受け取った!』
みたいな展開にはならんだろうし……
そもそもこの能力って譲渡できんのか?
できないよな多分(名推理)。血継能力だし。
もういいや、考えんの飽きた。
とりあえずかっけえと思ったのは本心だからそうとだけ言っとくけどもな!!!
「かっけえ!!!」
「お、おゥ……そうかァ…?照れるぜ…!!」
まず志がかっけえんだよなぁ……
皆を護りたいとか立派すぎ…
まだ生きてんの精々10年やぞ…
………うーん………
「兄弟、お前さ、将来何になりたい?」
「将来………か?」
「おう」
なんか思ってきたんだよね。
俺鍛冶師にはなりたいけど、折角この世界に居るんだったら冒険とかしたいなって。
世界を渡りながら旅の先々で鍛冶をするいいとこ取りも良いかもしれない。
「オレはァ…………」
「おう」
「そのォ………アレだ!!!!」
まぁ多分答えは………あれだな。
……………俺が今まで見てきたダルケルなら。
「「強え漢!!!!!」」
「「……っく、ハハハハハハハハ!!!」」
数秒静かに見つめ合ったせいで笑ってしまった。…なんかこういう平和好きだな、とかふと思ってしまう。
「っハハハ…!!良く分かったなァ!!」
「もっちろんだ兄弟!!!」
「「どっはっはっはっはっはっは!!!!!」」
馬鹿みてえな事に思えるけど、なんかこういう時間が楽しくて仕方がない。子供の体に引っ張られでもしてるのか?ありえる。精神が肉体寄りになってる説はある。
………にしても、楽しい。
こんな日々が続けば良いのに。
良いと思うのに。
…あぁ、どうしてこんなに胸騒ぎがするんだろうか。
"厄災"が、来よる。
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