光は屈折しても恋はまっすぐ! -キュアプリズムに恋した少年の話-   作:寿垣遥生

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遥生です。ついに原作のひろプリが先日完結しましたね…最終回の評価とかに関しては活動報告の方に書いたので割愛しますけど、年間を通して観たら20周年ならではの初めてを沢山試みた革命作でもあった印象があります。オープニングテーマから例年のプリキュアとは違う感じでしたし、主人公が青で男の子に成人に赤ちゃん…多種多様なプリキュアがいました。作風としても『ヒーロー』をコンセプトにしていたので戦隊のような雰囲気がありましたね。元戦隊ファンの僕にはかなり馴染めてプリキュア史上最高傑作だった僕は思います。そして、ましろちゃんが可愛かったな…1年間推しててヒロインやってて愛して良かったです。制作陣並びに声優陣の皆さん、お疲れ様でした!

しかし、こっちのひろプリはまだまだ続きますのでもうしばらくましろちゃんの可愛いところを味わってください。そんな今回は原作通りにスカイランドに行ってきた後のお話で結構ネタを仕込む等のアレンジをしたので原作よりも味わい深くなっております。どうぞお楽しみに!

それでは、また後書きにてお会いしましょう。


エルちゃんに元気を!

side琢郎

 

 ゴールデンウィークが明けて最初の休日、僕達は虹ヶ丘家にてスカイランドで起きたことを聖さんに一から全て話した。本来だったらお土産話を明るく…としたかったところだけど、今回の重大な事件が起きてしまい僕達もあれから気が落ちた状態だからそんな余裕もない。

 

「そっか、それは大変だったね…っていうか、そのバッタモンダーとかいうやつめちゃくちゃ腹立つんだけど!」

 

「えるぅ…」

 

(そうだよね…僕達も辛いけど一番辛いのはエルちゃんだろうな。ご両親はバッタモンダーに呪いをかけられて昏睡状態だし、何とか勝ったとはいえプリキュアが苦しむところを見てしまって誰よりも心が痛いよね。)

 

「さあ、召し上がれ。」

 

 僕達が落ち込んでいるとヨヨさんが僕達に紅茶を出す。何事もなかったらありがたく頂いていたと思うが、悩みの種が大きすぎて喉を通りそうもない…みんな同じだ。

 

「おばあちゃん…どうしてアンダーグ帝国はスカイランドを襲うの?街を傷つけて、みんなの心を傷つけて…酷すぎるよ!」

 

「そうねぇ…あれから色々調べてみたわ。」

 

 ヨヨさんがそう言うと僕達に鏡を手渡す。そこには闇の世界と思われるものが映っていた…これがアンダーグ帝国なのだろうか?(…っていうか、この鏡ハイテクだな!)

 

「スカイランドとアンダーグ帝国は言わば光と影。正反対の二つの国は大昔に戦って以来、交わることなく過ごしてきた…なのに、何故今になってスカイランドを襲いプリンセス・エルを狙うのか。沢山の書を紐解いてもその答えは見つからなかったわ。」

 

「そうなんですか、スカイランドに詳しいヨヨさんでも難しいんだな…」

 

「でも、一つだけ…王様と王妃様の呪いを解く方法が分かったの。」

 

「本当ですか!?」

 

 ヨヨさんが呪いを解く方法があると言うとソラさんが真っ先に反応する。思えばエルちゃんを最初から守ってきたらしいのはソラさんだったとましろさんから聞いている…それだけにエルちゃんのことが気が気でならないのだろうね。

 

「ランボーグを浄化した時に現れるキラキラエナジー…それをこのミラーパッドに集めれば呪いを解く薬を作れるわ。」

 

「ミラーパッド、この鏡のことか…それでプリキュアがランボーグを浄化したところで集めるって感じですね!なるほど。」

 

「良かったですね、プリンセス!」

 

「パパとママを目覚めさせることができるかもしれないって!」

 

「パパ、ママ…マーマー!!」

 

 ツバサくんとましろさんがエルちゃんを励まそうとするとエルちゃんは突然と泣き出してしまう…どういう意味で泣いてるのかは相手が赤ちゃんだからよく分からないけど、ちょっと話が難しすぎたかな?

 

「プリンセス!?」

 

「ごめんね…エルちゃんにはよく分からないよね。」

 

「よーしよーし…」

 

 泣き続けるエルちゃんを聖さんがましろさんに代わって慰める。流石、保育士の勉強をしているだけに赤ちゃんの扱い方もなかなかのものだ…大人って本当に違うよね。

 

「今は俯いている場合じゃありません…まずはエルちゃんの笑顔を取り戻しましょう!」

 

「はいっ!」

 

「でも、何をしようか…とりあえずお笑い芸人のネタでもする?イ〇ローは次男なのに一〇なのはなんでだろ〜♪」

 

「琢郎くん、赤ちゃんにお笑いは流石に分からないよ…しかもネタが古いし。」

 

「…っていうか、たっくーって何歳なの?」

 

「うっ…」

 

 僕がとりあえずお笑いのネタをやることを提案して一つネタをやるとましろさんと聖さんから冷ややかな目で見られて冷静なツッコミを入れられてしまう…まあ、このネタが流行ってた時でも聖さんはギリギリ産まれてたかどうかだし僕も昔のお笑いをまとめた番組で観た程度しかこのネタを知らないけどね。(ちなみに、このネタは北朝鮮でやると誰がやってもウケるらしい…)

 

「とりあえず、琢郎さんの案がダメなら何にしましょうか?」

 

「それだったら、子供が喜ぶあれしかないでしょ!」

 

「「「「あれ?」」」」

 

 ツバサくんがどうするかを訊ねると聖さんはあることを僕達に提案する。『あれ』って言っても阪〇優勝を形容した『A.R.E.』ではないとだけは言っておこう…何気に流行ってるし、プリキュアを放送している会社で阪〇の試合もよく放送しているけど。(メタ話)

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「ざっとこの辺りかな…」

 

 それから聖さんは持ってきている絵本を机の上に全部置く。これから何をするのかと言うと僕達はエルちゃんを元気づけるために絵本の読み聞かせをしようという感じになった。

 

「僕もスカイランドから絵本を持ってきましたよ。」

 

「それでどんな感じでやりますか?ただ、これだけ人数がいて読み聞かせるだけじゃ少し物足りない気もしますね…聖さんには何か考えとかありますか?」

 

「もちろん!そこで絵本に合わせて人形劇をやってみようって思ってたの。ちょうど学校の演習でやっててさ…これ、授業で作っちゃった!」

 

 そう言ってから聖さんは授業で作った人形を取り出す。自分の人形にドレスを着せたお姫様仕上げのこの一作…よくできていて可愛い。

 

「可愛い!あげはちゃんみたい。」

 

「ふふんっ、あげは姫って感じ?」

 

「人形でお芝居…楽しそう!」

 

「エルちゃんはどんな話が好きなのかな…赤ずきん?シンデレラ?どれも良い話だよ。」

 

 僕は絵本を手に取ってからいくつか表紙を見せてどれが良いか反応を確かめる。しかし、赤ずきんもシンデレラの表紙を見せても特に反応がない…どっちも小さな女の子が好きなお話だという認識があるのだが、エルちゃんにはちょっと惹かれなかったかもね。

 

「このお話はどうですか?中身は分かりませんが、この表紙にとてつもなくヒーローを感じます!」

 

 そんな中でソラさんは桃太郎の絵本を手に取りエルちゃんに見せる。桃太郎か…まあ、確かに彼はヒーローだな。仲間と一緒に鬼を倒すという何となくだがプリキュアみたいだし、ヒーローマニアのソラさんには惹かれる話だろう。でも、エルちゃんはどうだろうか…

 

「桃太郎かぁ…」

 

「えるぅ♪」

 

 しかし、僕の予想とは反してエルちゃんは桃太郎の表紙を見て興味を示した。意外にもバトル系というかそんなのが好きらしいけどまさかだよね…女の子って多種多様で攻略は難しいよ。

 

「エルちゃん、興味あるんだ。」

 

「どんなお話なんですか?」

 

「桃太郎はね…おばあさんが川で拾った桃から桃太郎が生まれて仲間になった犬、猿、雉と一緒に鬼ヶ島に出かけて村の宝物を奪った鬼達から取り戻したお話だよ。」

 

 ましろさんはソラさんに桃太郎がどんな流れの話なのかを要約して説明する。しかし、桃太郎は一説だと桃から生まれていなくて不思議な桃を食べたおじいさんとおばあさんは若返ってそれで交わり出産して産まれたという説もあるんだよね…まあ、これは全年齢向けの話じゃないし話すとややこしくなる上にドン引きされるだろうから話さないけど。

 

「へぇ…こっちの世界の犬、猿、雉は強いんですね!」

 

「まあ、お話だからね…」

 

「OK、そしたら早速人形を作ろっか!」

 

「「「「はい(うん)!」」」」

 

 こうして僕達は桃太郎を披露するためにみんなで協力して人形を作っていく。こうやってみんなで楽しく物を作るのはどれぐらいぶりだろうか…久しぶりの感じにテンションもかなり上がったものだ…エルちゃんの昼寝が終わった時が本当に楽しみである。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「さあ、人形劇のはじまりはじまり〜!」

 

 聖さんの合図でいよいよ桃太郎の人形劇が始まる。エルちゃんが起きるまでの間に製作と打ち合わせはバッチリ…とりあえず、僕がナレーション役だからまずは真っ先に読んでいく。(その間に聖さんは裏へと下がる)

 

「むかしむかしあるところに小さな雲がふわふわと降りてきました。」

 

「あれ、桃じゃないんですか?」

 

「だよね…」

 

「アレンジしちゃった…たっくーはもう把握してるよ。」

 

「はい。どんな感じなのかみんなもしっかり合わせてね!」

 

 僕は小声でみんなに呼びかける。ちなみに、今回はどんなアレンジをしたのかというと…まあそれは先に行けば分かることである。ひとまず僕は改めて次の文を読んでいく。

 

「そして、舞い降りた雲がパカッと開くと中から元気なエル太郎が出てきました。」

 

「「「エル太郎?」」」

 

「そう、雲から出てきたエル太郎!」

 

「えるぅ〜♪」

 

 エル太郎の人形を見てエルちゃんは凄く喜ぶ。しかし、聖さん…貴方はナレーションじゃないのに出しゃばって大丈夫なのですか?まあ、エンターティナー気質のあるこの人に黙っていろなんて言えないけど。

 

「エル太郎はミルクを飲んでぐんぐん大きくなりました。しかし、エル太郎の大好きなあげは姫が鬼に連れ去られてしまったのです。」

 

「「「あげは姫?」」」

 

「うん、折角人形があるしさ!」

 

 そんなこんなで聖さんがあげは姫と鬼の人形を持って前線に立つ。僕も台本を見て思ったけど、これはもう桃太郎じゃないなと思ったね…そもそも桃太郎が出てない時点で別の話になってるような気もする。

 

「あーれー、助けてぇ!エル太郎様ぁ…」

 

「だいぶ話が変わってきてるよね?」

 

「まあ、エルちゃんが元気になってくれればそれで良いんじゃない?とりあえず、続けようか…次はおばあさん役の聖さんなので棒読みじゃなくてちゃんと頼みますよ?」

 

「棒読みって…たっくーは厳しいな。」

 

「本来はヨヨさんにやらせたかったですけど、アンダーグ帝国のこととかを調べてもらってるので…お願いします。」

 

「OK、任せて!」

 

 そして、次はエル太郎が成長して鬼ヶ島へ旅立つシーンに移る。本物のおばあさんであるヨヨさんが忙しくてできない分、役は多くなるけど聖さんには頑張ってもらわないとね…僕もおじいさん役を兼役するけど声が出せるかな?

 

「大好きなあげは姫を助けに鬼ヶ島に行くの?」

 

「どうする、ばあさんや…鬼ヶ島はかなり遠い道のりだぞ?まだ遠出をしたことないエル太郎には厳しいと思うが。」

 

「それなら大丈夫よ。これをお持ちなさい…」

 

「んんっ…おばあさんはそう言うとエル太郎に雲パンをいくつか授けました。これを持って旅立つエル太郎…果たしてどんな冒険が待っているのでしょうか?」

 

 とりあえず、エル太郎が旅立つシーンまでが終わる。しかしながらおじいさんの声をした後に痰が絡んでしまって一瞬間ができてしまった…これを巧みに切り替えられる声優さんや落語家さんって凄いなと思った。

 

「待ってくださいわん!ヒーローの出番ですわん!!その雲パンをください。そうしたら鬼ヶ島へお供しますわん!」

 

 そして、犬が仲間になるところをソラさんが演じる…しかしながらなかなか演技が上手いな。さっきの聖さんよりも全然センスがあるじゃないか…赤ちゃん相手への表現の仕方とか様になってると思う。エルちゃんも実際に夢中になって力入ってるみたいだし…

 

「犬は雲パンを一つもらいエル太郎の仲間になりました。そして、さらに歩くと今度は猿が声をかけてきます。」

 

「ちょっと待ってウキ。雲パンをくれたらエル太郎さんと一緒に鬼ヶ島に行くウキ!」

 

「それは心強いですわん!」

 

「そして、犬に続いて猿も雲パンで仲間になりました。エル太郎達はさらに鬼ヶ島に向けて進んでいきます。(しかし、ましろさんが猿なのは納得いかないな。適役はお姫様だろ…まあ、猿のましろさんも可愛いけど。)」

 

「「えーるたろさん、えーるたろさん♪」」

 

「ちょっと〜、お待ちくださいケーン!」

 

「今度は雉が何かを聞きつけてかエル太郎達のところにやって来ました。」

 

「僕はプリンセスのナイトになります!」

 

「プリンセスじゃなくてエル太郎さんウキ…」

 

「おっと、そうですケン…」

 

 雉役のツバサくんは思わずいつもの勢いでプリンセスと言ってしまい猿役のましろさんから指摘される…ベースがエルちゃんだし、癖だもんね。

 

「「「えーるたろさん、えーるたろさん、籠に入った雲パンを〜一つ私にくださいな〜♪」」」

 

「こうしてエル太郎一行は旅をしながら笑ったりたまには喧嘩をしたりして少しずつお互いのことを知り、仲良くなりました。そして、ようやくエル太郎達は港に辿り着きます…」

 

 そして、このタイミングでセットチェンジを行い、ほんわかしている道から鬼ヶ島をバックにした風景に切り替える。いよいよ桃太郎(エル太郎)の物語も佳境に入ってきた…ここからが盛り上がる場面、演じる側も少し力が入りそうだ。

 

「遥か海の向こうに見えるのは鬼ヶ島!鬼ヶ島には村を襲い、あげは姫をさらった恐ろしい鬼が住んでいました。」

 

「あれが鬼ヶ島。」

 

「何だか嫌な感じです…まるでアンダーグ帝国。」

 

 そして鬼ヶ島に渡るシーンとなると緊張感も高まるがソラさんが突然台本にないアンダーグ帝国を出してきた。やはり、ソラさん…あのことを気にしているのか?ちょっとこの人形劇も不穏な方向に傾きつつあった。

 

「えるぅ…」

 

(エルちゃんもさっきまで楽しんでいたのにまた暗い表情に戻ってきている。これはもうそれどころじゃないかもな…でも、桃太郎は鬼を退治して全てを取り戻しハッピーエンドな物語なんだ。何としてもエルちゃんを笑顔にしてみせる!)

 

「エル太郎さん、僕は貴方のためなら…たとえどんな敵が相手でも戦ってみせます!」

 

「私もみんなを悲しませる人達に負けてなんていられないから…」

 

「私は強く誇り高いヒーローにならなくては…あの人のように、シャララ隊長。」

 

 そして、ソラさんのさっきの流れに引っ張られたのかツバサくんもましろさんもあのことを思い出して台本にないことを言ってしまう。折角、エルちゃんを元気づけようとしているのにみんなに元気がないとか本末転倒も甚だしい。

 

「みんな…」

 

「エルちゃん、ちょっとタイム…みんなどうしたの?さっきから台本にないことを言ってるけど、大丈夫?」

 

「すみません、やっぱり人形劇どころじゃなかったです。色んなことが重なって…」

 

「「…」」

 

「だからと言って人形劇を投げ出すつもり?ふざけるな!!エルちゃんを元気づけたいと意気込んでたのは君達だろ!?それなのに自分達が提案しといてそれを投げ出してエルちゃんを不安にするとか本末転倒すぎる…恥を知れ、恥を!」

 

「たっくー、落ち着いて…」

 

「うえええええええん!」

 

 僕が裏で三人に厳しい口調で怒るとエルちゃんが突然と泣き出す。僕は喝を入れるつもりでエルちゃんを泣かせるつもりはなかったけど、どうやら一番怖がらせていたのは僕かもしれない…僕自身としても同じ男のトシの前ですら滅多に怒らないぐらいだからより怖かったんだろうね。

 

「ああっ、エルちゃん…ごめんね。エルちゃんには怒ってないから安心して?」

 

「大丈夫?」

 

「これは私達が悪いんです…だから、ね?」

 

「プリンセス、もう琢郎さんは怒ってないので安心してください。」

 

 僕達は泣いてしまったエルちゃんを慰めようとする。それだけ自分が怒られたと思ったのもあるし、スカイランドで起きた辛いことも思い出しちゃったのかもしれない…それが重なるようなことをして僕も演者の一人としてみんなと同じように申し訳なく感じた。

 

「大丈夫だよ、大丈夫。不安な気持ちって不思議と伝染しちゃうんだよね…」

 

「聖さんの言う通り、一人が不安になって周りも不安になってしまうこともある…でも、今はエルちゃんを元気づけるために人形劇をしてるんでしょ?とりあえず、このことを考えるのは人形劇の後でにしてこの時だけでも楽しもうよ。僕はそれを言いたかったんだ…」

 

「ごめんね、エルちゃん。」

 

「笑顔になってもらおうとおもっていたのに…」

 

「自分の心を抑えきれず、未熟でした。」

 

「琢郎くんとあげはちゃんはエルちゃんを元気づけようとしてるのに私達がこんな調子だとダメだよね。ごめんなさい!」

 

「僕もごめんね…流石に言いすぎたし言い方がきつかった。エルちゃんのような赤ちゃんの前でこんな感じで怒るべきじゃないよね。とりあえず、今は僕達も楽しもうよ!エル太郎はプリキュアのように強いから…聖さん、そうでしょう?」

 

「うん!だから、エル太郎は大丈夫♪」

 

「えるぅ…!」

 

 そう言って聖さんは右手につけたエル太郎の人形を動かしつつ勇気づけるとエルちゃんは泣くのをやめて少しずつだけど笑顔を取り戻す。しかし、聖さんはやっぱり赤ちゃんの扱いが上手いよね…これを見た僕は大人になった時には赤ちゃんを泣き止ますことができる父親になりたいと思った。

 

「とりあえず、人形劇を再開しましょうか。改めて…鬼ヶ島へレッツゴー!!」

 

「「「「はい(うん)!」」」」

 

 僕達はエルちゃんを元の場所に戻してから所定の位置に戻って人形劇を再開する。エルちゃんも機嫌を取り戻したし、僕達も気持ちを切り替えられたから後はハッピーエンドに向けて突き進むぞ!

 

「ついにエル太郎達は鬼ヶ島に着きました。」

 

「鬼達よ、エル太郎さんにあげは姫を返してください!」

 

「何の用だ!」

 

 そして、ついにラスボスである鬼が登場する場面を迎えた。鬼を演じるのはこれまた聖さん…あげは姫、おばあさんに続いて三役目である。一つの作品でこれだけのキャラを演じれるって声優の山〇さんレベルだ…

 

「ええっ、大きすぎるウキ〜!」

 

「まるで大きな山ケン!?」

 

「お前らが噂のエル太郎とお供達か。どれだけ強いか試してやる!」

 

「まずは私が行きますわん…はああっ!」

 

 ソラさんは自分が持ってる犬の人形で鬼が描かれているタオルにパンチを入れる。その時、加減を軽くしたつもりなのにタオルが落ちてしまう…身体能力お化けは加減しても危ないようだ。

 

「うわああああっ!?」

 

「える?」

 

 そのタオルはソラさんの頭に覆い被さり、そのままセットというかガードを破壊した。エルちゃんは何が起きたのかよく分からずにポカーンとしている…これはちょっと想定外にしても酷いアクシデントだ。

 

「ごめんね、エルちゃん。」

 

「み、未熟…つい力が入ってしまいました。」

 

「すぐ直すからね…たっくーも手伝って?」

 

「分かりました。」

 

「大丈夫ですよ、プリンセス。」

 

 そんなこんなで僕達がガードの部分の修復をしていると、突然とエルちゃんが立ち上がって僕達のところへと歩みを進めていく…何をするんだろう?

 

「エルちゃん?」

 

「ソラ、ましろ、ツバサ、あげは、たくろう…」

 

「エルちゃんが僕達の名前を喋った…ツバサくん、僕の頬をつねってくれる?」

 

「僕もお願いします…せーの。」

 

「「ひへへへへへへ(いてててててて)、ゆふぇひゃはい(夢じゃない)…」」

 

 とりあえず、僕とツバサくんの男同士で頬をつねってみるとやはり痛かった…やはり夢じゃない!エルちゃんはやっぱり喋ったし名前も呼んでくれたんだ。(ましろさんとかの頬をつねらないで良かった…)

 

「結局、エルちゃんに励まされちゃってるし…」

 

「そうだね。」

 

「エルちゃんに元気になってほしかったのに…元気がないのは私達でした。」

 

「「…」」

 

「ですが、力を合わせれば鬼…じゃなく、バッタモンダーやランボーグからエルちゃんを守り抜きいつかスカイランドに戻ることができる!大丈夫です、きっと…」

 

「うん!」

 

「える♪」

 

「もう人形劇は必要ないみたいね。うふふっ…」

 

「いやいや、バッタモンダーとランボーグを懲らしめるのはプリキュアとか青の護衛隊の役割だから…一般人は巻き込まない!」

 

「えっと…そう、ですね。アハハ…」

 

 ソラさんは僕の指摘に対して苦笑いを浮かべる。しかし、この反応は何となく妙な気もした…ここにいるソラさん、ましろさん、ツバサくんがプリキュアの正体ではないかとも薄々ながら思っている。プリキュアの話題をするとみんなは何故かいつも焦ってたからね…僕が観てきたアニメでもそうやって正体がバレてたからこの現実でもありえるはずだ。

 

「みんな、スカイランドから連絡よ。」

 

 人形劇が終わったそのタイミングでヨヨさんが入ってくる。どうやらスカイランドの方と連絡が繋がったとのこと…ヨヨさんはこの場に通信が繋がっているミラーパッドを持ってきて机と椅子を戻してからその机の上に置いて僕達も椅子に座ってからやり取りをする。

 

『王様と王妃様のことについてはヨヨ殿から聞いた。スカイランドは大丈夫だ…みんな希望を胸に前に進もうと頑張っている。』

 

『そっちもプリンセスを頼んだよ!』

 

「「「「はい!」」」」

 

「えるぅ♪」

 

 そして、通信はここで終わる。どうやらスカイランドの人達もシャララ隊長が行方不明でエルちゃんのご両親である王様と王妃様が昏睡状態でも前へ突き進むらしい…それが知れただけでも僕達はひと安心だ。

 

「ねえ、あげはちゃん…少し話があるんだけど、良いかな?」

 

「うん?良いよ…もしかしてたっくーのことだったり?」

 

「なっ…!?」

 

「と、とにかく私の部屋に来て!」

 

「はいはい…」

 

 そんな中でましろさんは顔を赤くしてから聖さんを引き連れて階段を上ってからましろさんの部屋へと向かった…僕の名前を出して顔が赤くなったからもしかして僕のこと?それってましろさんは…つまり!?

 

「琢郎くん、顔が赤いですよ…熱でもあるんですか?」

 

「ええっ…いや!?それじゃあ、エルちゃんが元気を取り戻したことだし宿題もあるからお暇させてもらうよ。みんなお疲れ様、また月曜日!!」

 

 どんな話かを想像して恥ずかしくなった僕は逃げるようにして向かいにある自分の家へと帰るのであった。僕にはキュアプリズムがいる…浮気なんてしたらダメだろ、そう言い聞かせて気を紛らわせた。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「とりあえず、終わった…」

 

 家に着いてから僕は宣言通りに出された宿題を土曜日のうちに終わらせる。時刻はあっという間に夕方の6時、時の流れって年々早くなるものだな…大人になると1日が短くなるなんてよく言うけどそれがまさに来てるから大人に近づいているんだね。

 

(ん?スマホが鳴ってる…通話か。)

 

 そんなことを考えていると着信音とバイブが鳴り響く。誰かと思い相手を確認すると『虹ヶ丘ましろ』と表示されていた…ましろさんは聖さんとの話はもうあれから結構経ってるから終わってるとして、もしかすると突然帰ったことを心配してかけたのだろうか?とりあえず出てみた。

 

「もしもし?」

 

『あっ、琢郎くん。ソラちゃんから『宿題を終わらせたいから帰る』と聞いたけど、通話して大丈夫だったかな?宿題中だったら後でかけ直すけど…』

 

「いや、宿題はさっき終わったから大丈夫だよ。」

 

『良かった、琢郎くんっていつも宿題を終わらせるのが早いね。私もこの通話が終わったらしないとかも…』

 

「マイペースで大丈夫だよ。無理なく月曜日の提出を目指して徹夜はしないようにすれば良いから…」

 

『ありがとう!それで、今回の用件はね…さっきキュアプリズムから伝言を預かっていてそれを琢郎くんにどうしても伝えてほしいと言われたの。聞いてくれる?』

 

「キュアプリズムからの伝言!?それは聞きたい…お願いしますよ。」

 

『うん。その用件だけど、キュアプリズムから明日琢郎くんとデートがしたいと言われてて…明日は空いてる?』

 

 ましろさんはキュアプリズムからの伝言を僕に伝える。その内容はなんとデートの誘いだった。戦いに忙しい中でまさかの展開である…こんなことってあるんだね。

 

「全然元から大丈夫!キュアプリズムからの誘いならむしろ逆に明日は空けるよ。」

 

『ありがとう。それで待ち合わせ場所と時間だけど場所はソラシド駅で朝の10時…それで大丈夫かな?』

 

「うん!もう何時でもOK。いやぁ、楽しみだなぁ…」

 

『ふふっ、キュアプリズムもきっと喜んでると思うよ。当日を楽しみにしつつゆっくり休んでね。』

 

「ありがとう、ましろさんも宿題頑張って!また月曜日。」

 

『うん、またね!』

 

 そして、僕はましろさんとの通話を切る。キュアプリズムとデートかぁ…ずっと夢見ていたことが妄想で終わらず現実になるなんて凄い話だよ。幸せのあまりニヤけが止まらない…

 

「キュアプリズム、ぐへへへへ♪」

 

「あんた、何一人で笑ってるの?気持ち悪い…」

 

「うわぁ、母さん!?」

 

 そんなタイミングで母さんが部屋をノックせずに入ってきた。あまりにも気配がなかったのでとにかくびっくりしてしまう…本当に母さんのやることはいつも心臓に悪い。

 

「お誘いってどうせこの感じからデートでしょ?明日がデートなのは分かるけど、あんまり浮かれてると眠れなくなって明日起きれなくなるわよ?」

 

「大きなお世話だよ!それより何か用?」

 

「そうそう、お風呂がさっきできたところなんだけど宿題は終わったの?」

 

「終わったよ、もう入る!」

 

「もう…琢郎ったら、思春期と反抗期のどっちなのかしら?」

 

「どっちでもないよ!」

 

 僕は勝手に自分の心にまで土足で足を踏み入れる母さんに憤慨して部屋を飛び出してお風呂へと向かった…自分の息子とはいえ礼儀とか気遣いとかあるんじゃないのか?でも、明日のキュアプリズムとのデートは楽しみだなぁ…とりあえずその楽しみとお湯で親の鬱陶しさを洗い流そう。キュアプリズム、君に会えるのがもう楽しみだ!待ってるよ。




いかがでしたか?今回は番外編を含めて記念すべき10話目となりました。ここまで続けられたのは応援してくださるプリキュアファンとかの皆さんのおかげですよ…本当にありがとうございます!そんな中での話はかなりネタを入れて、ついにいよいよ恋も佳境に入りました。(ちなみに原作だと人形劇の後にバッタモンダーがソラシド市に襲来しましたけどここではカット←バッタモンダーの襲来は数話先になる)

ましろちゃんはあげはちゃんに何を話したのでしょうかね?琢郎のことなのかそれ以外か…そして琢郎はキュアプリズムからのデートの誘いが来てそれに乗ることに。しかし、彼はプリキュアの正体にも迫りました…恋の行方だけじゃなくて色々気になるところはありますが、いよいよ恋の駆け引きも直接対決です。どんな感じになるのか…感想、お気に入り登録、高評価をよろしくお願いいたします。

そして、2月から始まるわんだふるぷりきゅあも楽しみましょうね!声優陣も追加で発表されたので次回の後書きにてまた語ります。
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