光は屈折しても恋はまっすぐ! -キュアプリズムに恋した少年の話-   作:寿垣遥生

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遥生です。わんぷりもついに2話まで終わりましたけど、今回のプリキュアは物理攻撃がなく抱擁で癒してますよね…敵と戦うことは前回までやり尽くしたから方向転換でしょうか?近年は戦いで肉弾戦やりまくっててたからちょっと物足りないです。これはちょっと二次創作が書きづらい人もいるんだろうなぁ…

しかし、上田麗奈さんがやっていて既にプリキュアの戦士になることが内定している『猫屋敷まゆ』ちゃん…でしょうか?あの子は気になってます。いろはちゃんも人間態のこむぎも可愛いと思いますよ?でも、この子はプリキュアにまだなってないながらも無限の可能性があります。クールビューティーと思わせといてそれが崩壊して人見知りなところはもうご愛嬌でしょう…可愛くて声もタイプだし今後に期待です!

そんな今回はキュアプリズムことましろちゃんとのデートの後半戦…琢郎の決断がついに実行されますが、果たして上手くいくのかどうか?結末まで目を離さずお楽しみください!


キュアプリズムとデート(後編)

side琢郎

 

 僕達はお話しとかを挟みながら個室の中で時間の限り交互に歌を披露していく。今は4時間のうちの2時間が消化…飲み物やデザートとかを頼みながら楽しいひと時を過ごしている。

 

♪:『ハッピーシンセサイザ』

 

 僕はボカロの中でも有名な曲を歌う。この曲は実は昨年の文化祭のカラオケ大会で1位を取った時に歌った曲でもあり僕の十八番でもあるんだ…この歌を歌わせたら誰にも負けない自信がある。それで歌ってみたら点数は95点…文化祭の時は100点満点だったけど、大好きなキュアプリズムがいることから緊張して少し音程を外してしまっていたようだ。

 

「95点!?琢郎くんは凄いね…また高得点だよ!」

 

「ありがとう。だけど、調子が良かったら100点か99点を安定して出せるんだけどね…もうちょっと人前に出せるぐらいに練習しとけば良かったかも。」

 

「ううん、そんなことない!いつでも世に出せるぐらい上手いよ。琢郎くんの優しい歌声は何曲でも聴いていたいと思わせられるんだよね…昨年の文化祭の時にこの曲を歌ってた時から変わらないよ!」

 

「えっ…何でキュアプリズムが昨年の僕が文化祭でこの曲を歌ったことを知ってるの?」

 

「いや、その…ましろちゃんがこのことを話してたんだ!それで私も聴いてみたいなぁと思ってたらそれが聴けて本当に幸せで…アハハ。」

 

 キュアプリズムはいきなり昨年の文化祭でこの曲を歌った話を持ちかけてきてこれに僕は驚く。ましろさんから聞いた話だとしてもあまりにも詳しすぎではないか?今年になって出てきてここまで語れるのが不自然すぎて彼女の正体はましろさんかどうかは別として恐らくは学校の関係者じゃないかと思ってしまう…でも、声と身長と見た目の一致率を踏まえると正体はましろさんのような気もするんだよな。こうなったら意地でもプリキュアになって正体を知りたくなってきた…それで変身前の君に会ってみせるさ!

 

「とりあえず、次はキュアプリズムの番だから歌いなよ。君のふんわりした歌声はいつまでも聴いていたしさ…」

 

「う、うん…じゃあ次は私が歌うね。」

 

♪:『わたしリフレクション』

 

 そして、キュアプリズムはマイクを持ってから曲を歌い出す。ここで披露した曲はまるでキュアプリズムのために作られたような曲で歌詞が人物像を思い浮かべられ声も曲とマッチしていた…こんな可愛い曲がキュアプリズムのために作られたと感じると運命的な何かを感じる。

 

(キュアプリズムの歌声って本当に可愛いなぁ…彼女の正体がアイドルだとしたらその子のファンになろうかな?グッズも何もかも買いたいね♪)

 

 そんなこんなで曲をふんわり聴いてるとあっという間に終わる。それで採点は97点…この子はやっぱり何か才能があるんじゃないのだろうか?

 

「凄いじゃん!高得点だよ。もしかして、歌に関する活動とかやってるの?」

 

「ううん、全然。ただ、琢郎くんが聴いてくれてるからちゃんと歌おうと思っただけだよ…私の歌声って変じゃないかな?」

 

「大丈夫。凄く可愛いし、もうアイドルじゃないのかってさっきから聴いてて思っちゃったよ…君はプリキュアとしての戦い方も歌い方も癒すのが上手でますます好きになっちゃうね!」

 

「ありがとう。琢郎くんから褒められると凄く照れるけど、その倍ぐらい嬉しいよ…私も歌の練習を沢山しないとかな?頑張るね!」

 

 僕は自分が褒められた分だけキュアプリズムの歌声も沢山褒める。いや、それを抜きにしても上手いよね…アイドルとしての活動をしていないのだとしたらこういう人が芸能界にオファーされるべきではないだろうか?彼女一人で芸能界は結構救われるぞ!?

 

「とりあえず、次は何かデュエット曲でも歌おうか…折角のデートでしょ?一人一人歌うのも良いけど、一緒に歌わないとカラオケの意味ないよね。」

 

「ええっ、うん…でも、琢郎くんの邪魔とかしたりしないかな?」

 

「心配しないでよ。君の歌声が邪魔になることなんてないから!むしろ僕の方が足を引っ張らないのか不安でね…とにかく楽しく歌おうね♪」

 

「分かった、頑張るよ!」

 

♪:『空虹ダイアリー』

 

 そして、僕達はデュエット曲として仲良し感の溢れるような曲を選んで歌ってみた。この曲に関しては声的にソラさんとましろさんぐらい仲良しのコンビが歌うのがピッタリじゃないかと思ってしまうけど、僕の中では彼女とそれぐらい仲良いどころか愛してるんじゃないだろうか…それで歌ってみると個人的には調和が取れたデュエットなったのではないかと思ってしまう。採点の得点も99点、二人で掴んだ高得点と考えると喜びも二倍だね…本当に幸せな時間だったと思う。

 

(デュエットってこんなにも楽しいんだな!これからもこうしていたいからキュアプリズムの正体を知って付き合うためにプリキュアにならないと…うん、頑張ろう。)

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それから4時間という長いようで短いカラオケでの時間を終えた僕達は店を出てからすぐに『Pretty Holic』へと向かう。ここはソラシド市のオシャレが全て詰まったお店…母さんとですら立ち寄ったことのないお店だけど、とりあえずなるようになればと思う。

 

「ここが『Pretty Holic』だよ。キュアプリズムは立ち寄ったことある?」

 

「行ったことはないけど、ここであげはちゃんがバイトしていてましろちゃんの行きつけのお店だとは聞いてるよ。琢郎くんは?」

 

「実は僕も初めてなんだ。でも、君も言ったようにましろさんの行きつけのお店で聖さんのバイト先でもあるからね…とりあえず行く切欠が見つかって嬉しいな。とりあえず入ろうか!」

 

「いらっしゃいませ!」

 

 僕は店の扉を開けてからキュアプリズムと一緒に中へ入ると店員さんが僕達を出迎える。今回は聖さんがシフトに入ってないタイミングになってしまったけど、まあ何とかなると信じたいところだ。

 

(まずはメイク用品を見てみよう…女の子の基本でシンプルに喜ばれるのはこの辺りだよね!何か気に入ってくれるものはあるかな?)

 

 まず最初に僕はメイク用品のエリアに足を踏み入れる。こういうのとは無縁の僕だけど、何となく良さそうなものがあったらそれを買えぱ良いんだ…売り文句とか効果とかそれをヒントにすれば必ず気に入ってくれるのが見つかるはず!まずはファンデーションか見ていこう。

 

(肌が荒れずに雪のように綺麗に見せるファンデーション…『美雪』、これはビビッと来るね!値段はうっ、3500円か。まあ高い気がする…払えないことはないけど、メイクってまずこんなにもお金がかかるものなんだな。)

 

「これ、CMでもよくやってる『美雪』だね!私、これ欲しいと思ってたんだ。もしかして買ってくれるの?」

 

 キュアプリズムが目を光らせて僕が手に取ったファンデーションを欲しそうに見つめる。見られるだけでもその圧力が伝わってきてこれはどうやら購入を避ける道はないようだ。キュアプリズムって無意識かもしれないけど小悪魔な面もあるらしい。

 

「もちろん買うよ。君が欲しい物を買えるだけのお金は用意してるからね!」

 

「ありがとう♪」

 

 こうして僕はファンデーションの『美雪』を購入することとなった…それで僕はそれを二個カゴに入れる。どうして二個なのかって?ましろさんの分も買わないと彼女が拗ねちゃうだろうからね。あの子にも幸せを分けてあげたいと思ってるんだよ。

 

「次はリップだけど…この『石〇仕様』はどうかな?『これで貴方も石〇さとみの唇を手に入れられる!』だって…そりゃあ買わなきゃでしょ。」

 

「買ってくれるの?これ欲しかったんだ…ありがとう♪」

 

 僕はもう手に取ったリップを売り文句だけで二個カゴに入れる。石〇さとみさんといえば唇を売りにしている女優さんだからね…その唇をキュアプリズムとましろさんが手に入れたらもう最強じゃないかと思う。しかし、これも2000円とやや値を張る…一級品って値段が高いね。この時点で10000円より軽く上に行っちゃったな…

 

「ねえ、琢郎くん…さっきから気になってたけど、どうして二個ずつ買ってるの?確かにこの『石〇仕様』は欲しいと思ってたけど、私の分だけでも良いのに…」

 

「もう一個は君の親友のましろさんの分だよ。折角こうやってデートする切欠を作ってくれたのに何も渡さないというのはダメだと思うんだ…それで折角なら同じ物をお土産として渡せたらなって。ダメかな?」

 

「ふふっ、琢郎くんって優しいんだね。ましろちゃんのことも考えてくれて…でも、これは流石に怒っちゃうかもしれないよ?」

 

「えっ、どうしてなの?」

 

「もしもましろちゃんが貴方のことが好きだとしてプレゼントを琢郎くんから貰い、私も同じものを琢郎くんから貰った…そうなると『どうして私のことが好きで渡した物と同じのを他の人にも渡したの?』ってましろちゃんは思うんじゃないかな?」

 

「マジで!?ごめん!こうやって女の子と実際にデートするのは初めてだったから乙女心の勉強とかしてなくて…」

 

「謝らなくて大丈夫だよ?次から気をつければ良いから…とりあえず、それぞれのもう一個は私からましろちゃんに渡しておくね。」

 

「いや、それぐらい自分で渡すよ。キュアプリズムは自分のだけを受け取ってくれたらそれで大丈夫だから…」

 

「そうにしても、ましろちゃんは今宿題を家でしていて大変だと思うから…ここは私に任せて?」

 

「君がそこまで言うのならお願いしますね。」

 

 そんなこんなでましろさんにも同じ物を渡すことに関して指摘はされたもののキュアプリズムがましろさんにお土産を渡すという感じで折り合った。これに関しては言われるまで考えてなかった…とりあえず、本人も言うように次からは気をつけないとね。

 

「他には何か買いたいのはある?」

 

「もうこれだけで十分だよ。本当にお金は大丈夫?」

 

「心配しないで、何なら僕がお任せで買ってくるよ。君のおしゃれをさらに光らせてみせるから!」

 

「うーん、分かった…琢郎くんに任せるね。」

 

 僕はキュアプリズムのオーダーストップを振り切ってから更に二人(キュアプリズムとましろさん)に合いそうなコスメグッズを買い漁っていく。ネイルにチークにアクセサリ…もう買えるだけ買ってお値段は合計30000円!どこよりも高い買い物をしてしまったけど、これを想定して高いお金を持ち込んだ甲斐があったものだ…これだけ買えば彼女も大満足だろう。勝利の福音はもうすぐそこかもね!

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 そして、店を出た僕達は(僕の)自宅に帰るためにその方向への道のりを一緒に歩く。夕焼けに照らされる中だし、時刻ももう17時半…いよいよ念願だったデートも自宅に着いた途端に終わってしまうんだな。

 

「今日は楽しかったね!私の誘いに乗ってくれてありがとう♪」

 

「うん。でも、もうデートが終わっちゃうのは寂しいな…もっと君と一緒にいたいよ。」

 

「それならこの公園に寄っていかない?ここでゆっくり話そうよ。」

 

 キュアプリズムからそう言われてその先を見る。そこは僕がキュアプリズムを助けたあの公園…もしかして僕の勝利はここで決まると言うのだろうか?いよいよアタックの時が来たんだ。キュアプリズムが作ったチャンスは意地でもモノにしてみせる!

 

「ここだよね、僕が君とエルちゃんを守った場所は…しかし、あの時のことは自分でも驚いたな。我ながら命知らずだよね…」

 

「でも、ここで助けられなかったら私もエルちゃんも無事じゃなかったかもしれなかった。まさか私が助けた琢郎くんから助けられるなんて…あの時は凄くかっこよかったし、感謝してるよ。助けてくれてありがとう♪」

 

 キュアプリズムは笑顔で僕が命を助けたことを感謝する。本当にあの時はもうヤバいと思ってつい足が出てしまったけど、その自分の意思から出た反射的行動は無駄じゃなかった…そう思うと自分がやったことは間違いじゃないんだと改めて思う。

 

「嬉しいな。僕の行動で君とエルちゃんを救えて本当に良かったよ…まだ僕はプリキュアじゃないからできることは限られるけど、これからも自分にできる限りのことをして君を守りたいと思ってる。だから、君も負けないで勝ち続けてほしいな…」

 

「うん!私…ううん、私達プリキュアも琢郎くんの声があれば絶対負けないよ…だから、貴方もできる限りのことを頑張ってね。」

 

 僕はキュアプリズムの手を握って一般人として、プリキュアとしてエールをお互いに送り合う。彼女の握る手は優しくも力強く頼もしい…僕もなおさら負けられないね!

 

「それと…もう一つ、私から質問したいことがあるけど良いかな?」

 

「良いよ。君からの質問ならどんな質問にも答えるからね?ドンと来て!」

 

「ありがとう。それでね、琢郎くんはましろちゃんのことはどう思ってるのかなって…」

 

「ましろさん?それはもちろんトシと並ぶ大事な親友だよ!ちょっと最近は親友以上の関係になりつつあるけど、このソラシド市にやって来て変なところもあって友達があまりできない僕を受け入れてくれた数少ない優しい子でね…その優しさで癒してくれる存在だよ。」

 

「そ、そうなんだ…ところでましろちゃんは可愛いと思う?」

 

「当たり前でしょ。君に声も姿も似ていて一般人の中では最高の美少女だね…まさに高嶺の花で天から舞い降りたキュアプリズムと人間の最高級の虹ヶ丘ましろって感じだよ。」

 

「そ、それはちょっと言い過ぎじゃないかな?だって、琢郎くんのクラスの女の子には可愛い子が沢山いるし…ほら、ましろちゃんの身近だとソラちゃんとか。ソラちゃんって凄く元気で少し天然なところもあるけど可愛いでしょ?ましろちゃんは『元気なところは憧れる』と言ってたし、『自分は地味な女だ』と評価してるから流石に過大評価だよ?」

 

「そんなことない!ましろさんは全然地味なんかじゃないしクラスで一番可愛いと思ってるよ。元気さでは確かにソラさんには劣るけど、女の子らしさはましろさんが上だし優しい顔に優しい声に優しい性格…それで君と同じふんわりした甘い声。どこを取っても魅力しかないじゃないか!そんな子が地味ならこの世の女の子はみんな地味になるからね?そう思ってるぐらいましろさんは魅力的な女の子だよ。僕はそんなましろさんが大好きなんだ!」

 

「琢郎くん…」

 

 僕がましろさんをどう思っているかを本音でキュアプリズムにぶつけると彼女は顔を赤くしながら驚く。でも、一番恥ずかしいのは僕だよね…好きな人を目の前にいない人の魅力を語って本音もぶつけてしまって。いない人のことをここまで言って大丈夫だったのだろうか?しかも『大好き』はちょっと我ながら言ってしまったと反省してしまう。

 

「えっと、その…これは親友としてだからね!?恋愛相談にも乗ってくれたし、辛い時とかにいつも一緒に寄り添ってくれたのがましろさんだったから…何と言うか楽しいし癒されるんだよ。ましろさんと一緒にいると…君との今日のデートみたいなんだ。そんなキュアプリズムとデートできる切欠を作ったましろさんには感謝しないとだね…」

 

「親友として…ね。でも、きっとましろちゃんも聞いてたら喜んでると思うよ?これからも私だけじゃなくてましろちゃんや周りのみんなとも仲良くしてね♪」

 

 キュアプリズムは一瞬困った笑みを浮かべながらもすぐに切り替えて満面の笑みを見せてから『みんなと仲良くしてね』と伝える。こんなにも良いムードならもうトリガーを引くしかない!

 

「もちろん、みんなとも仲良くするよ。でも、キュアプリズム…僕はもっと君と仲良くなりたいんだ!」

 

「えっ、ええっ!?」

 

 僕はキュアプリズムの手を握り、まっすぐな目で彼女を見つめる。もう変化球も考えることもやめた!男なら勇気りんりん直球勝負…もう迷わない、これまで溜めていた気持ちをついに解放することに!

 

「僕は君のことがずっと大好きでした!付き合ってください!!」

 

 僕は彼女に対して自分の気持ちを告白してアタックを仕掛けた。これが僕の全て…勇気を振り絞って出した一撃である。これを聞いた相手のキュアプリズムは驚きを隠せない様子だけど、まさか自分から『好き』だと言っといて相手からも言われるとは思いもしなかったのかな?これは勝った…と思ったその時、彼女は衝撃的なことを口にする。

 

「琢郎くんの気持ちは凄く嬉しいよ。でも、貴方とは付き合えないの…ごめんなさい!」

 

 キュアプリズムは困ったような表情を浮かべながら僕の告白を振ってきた。今度は僕の方が驚きを隠せない…自信満々で仕掛けた告白をこんなにも振られるなんて僕のシナリオにはない展開だ。勝利を確信できる材料はあったのに…信じられないとしか言えない。

 

「どうして?あの時、君は僕の耳元で囁いてくれたじゃないか…『大好き』だって。あれは嘘なの?」

 

「それは…」

 

「もしかして君に対するセクハラ発言をましろさんにしてしまったことがまずかった?それとも僕がプリキュアじゃないからなの?どうして!僕は近いうちにプリキュアになるし乙女心は付き合ううちに勉強してもうセクハラもしない…だから!!」

 

「…なして。」

 

「えっ?」

 

「離して!!」

 

 すると、キュアプリズムはいきなり声を荒げてから僕のことを突き飛ばす。普段は温厚な彼女がどうして怒っているのか…それが分からないけど、あまりにも急すぎる展開に心の整理ができない。

 

「…ごめん!」

 

 しかし、彼女は冷静さを取り戻したかと思ったら『ごめん』とだけ謝ってから走り去る。僕はそれを追いかけようとしたけど、普通の人間よりも走るスピードが速いプリキュアに追いつけそうな気配がせず一歩で追うのを諦めた。どうして『大好き』と言いつつもこんな真似をするんだ…僕を弄んでいるつもりなのか?それだったらあの謝った時の悲しそうな表情は何の意味が!?僕は頭も心も整理ができず、ただただ振られた絶望感を背負いながら帰路につくのであった。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideましろ

 

「はぁ、はぁ…」

 

 琢郎くんの前から走り去りしばらくして私は変身を解除する。あれからどれだけ走ったのだろうか…こんなにも息が切れるぐらい走ったのは今年だけなら体力テストのシャトルラン以来かもしれない。

 

(琢郎くんに自分の気持ちを言えなかった…あまりにも怖くなって逃げちゃって。今頃かなり落ち込んでるんだろうなぁ…)

 

「ましろん、随分と息を切らしてるけど大丈夫?たっくーに自分の気持ちを伝えることはできた?」

 

「あげはちゃん…」

 

 自分の気持ちを伝えられずに落ち込んでいると迎えに来たであろうあげはちゃんがやって来た。そう、今回のデートはあげはちゃんと話し合った上で自分の気持ちを伝える環境を作るために仕込んだことである…告白するつもりでいた琢郎くんには悪かったかもしれないけどね。

 

「辛そうな表情をしてるね…もしかして言えなかったり?」

 

「ううっ、うわああああああっ!!」

 

 私はあげはちゃんのところに飛び込むように抱き着き、これまで溜めていた辛さでダムが決壊して泣き崩れてしまう。自分でも赤ちゃんのように泣く今の自分は本当に情けなくて恥ずかしい…でも、もうそんなことを考える余裕などなくてとにかくあげはちゃんに甘えたくて仕方なかった。

 

「よしよし、ましろん…そうだよね、たっくーのことが好きなのにプリキュアとしての役目やエルちゃんのお世話を優先させたいから待っててなんて言いづらかったんじゃない?」

 

「私、琢郎くんに自分の気持ちを伝えられずに突き飛ばしちゃった…好きな気持ちを伝えていたけどそれが段々ヒートアップしてたから怖くなっちゃって。これで嫌われたりしたらどうしよう…」

 

「大丈夫、たっくーは心が広いしきっと分かってくれるはずだから…そんな簡単に嫌いになるほど狭い心は持ってないはずだし、まだまだたっくーに会えるチャンスもあるからその時に伝えてみようよ!私も応援するから…ねっ?また頑張ろうよ?」

 

「あげはちゃん…」

 

 あげはちゃんは私の辛い気持ちを全て受け止めてからアドバイスをしつつ頭を撫でる。こんな感じにされるのは小さい時以来だけど、あげはちゃんは大人になっても私にとって優しいお姉ちゃんであることは変わっていない…そんな彼女だからこそ私はいつでもあげはちゃんに相談できるし、何よりもあげはちゃんを信頼している。古くからの幼馴染で親友だからというのもあるし、成人している大人だからというのもその要素の一つだ。

 

「少しは落ち着いた?」

 

「まあ、うん…ちょっとね。だけど、こうして私が困っている時に助けてくれて本当にいつも助かってるよ…いつもありがとう。」

 

「えへへ、困った時はいつでも私を頼りなさい…なんてね。それにしても、こうやってましろんを慰めてると小さい時のことを思い出すよ…あの時のましろんは泣き虫だったからいつも私に甘えていたよね?懐かしいなぁ♪」

 

「それは思い出さなくて良いよ、恥ずかしいから。」

 

「ごめんごめん…とにかく、今すぐ付き合えないのは辛いけどプリキュアとしての活動やエルちゃんのお世話で大変なのはたっくーも分かってくれると思うからさ。きっと伝えられる時は来るはずだよ…ねっ?」

 

「うん。ありがとう…私、頑張るね。」

 

 あげはちゃんに励まされて私はまた元気を取り戻す。今回は琢郎くんに気持ちを伝えられなかったけど、またいつか伝えられる時が来るはず…その時まで

 

「よしっ、とりあえず家に帰ってまずは夜ごはんを食べようか!ソラちゃんとツバサくんも待ってることだし…行こう?」

 

「えっ、あげはちゃんも一緒に食べるの?」

 

「まあ、今回は私が作ったからね!とにかく急がないと冷めちゃうよ?家まで競走〜!」

 

「待ってよ、あげはちゃ〜ん!」

 

 そして、私は走って自宅へと向かうあげはちゃんの背中を追いかけて走っていく。それにしてもあげはちゃんは本当に脚が速いなぁ…昔からかけっこでは全然追いつけなかったし、その背中はいつもは大きかったのに走っていると小さく感じてた。とにかく、私はいつか琢郎くんに本当の気持ちを伝えたいと思ってるからその時まで待っててね…私もプリキュアとしてのやることやエルちゃんのお世話を頑張るから!

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side琢郎

 

 あれからどれぐらい時間が経っただろうか…僕は家に帰ってからお風呂に入り、夜ごはんを食べてから自分の部屋に籠ってこれまでの自分の見つめ直す。キュアプリズムはあの時間違いなく『大好き』と言ってくれたのに何か気が変わるようなことを僕が言ったりやったりしてしまったのだろうか?でも、あの悲しそうな表情を見ていると嫌いだから突き飛ばしたとかそんな感じでもない。何が正解だと言うんだ!?

 

(LINE通話か…相手はましろさん?とりあえず、出ないと。)

 

 悩んでいる中でましろさんから通話が来て僕はそれに応じる。とにかく彼女には今日のことを伝えないといけない…それでこれからのこととかも相談してみよう。

 

『もしもし、琢郎くん?』

 

「えっ、キュアプリズム?ましろさん?」

 

『ましろだよ。声が似てるからややこしいよね?とにかく、今日はキュアプリズムが琢郎くんにデートで嫌な思いをさせてごめんなさい…』

 

「えっ、ああ…もうキュアプリズムから話は聞いてたんだ。実は僕、キュアプリズムから振られたよ…思い切って『付き合ってください!』と言ったんだけどね。上手くいくと確信してたのにダメだった…」

 

『そうなんだ…ところで、琢郎くんはキュアプリズムのことを嫌いになった?』

 

「いや、振られてはしまったけど嫌いにはなってないよ…それでも怒られて突き飛ばされたのはショックだったな。」

 

『そうだよね…好きな人からそんなことをされたら私もショックだよ。だけど、諦めなければきっと結ばれるはずだから…キュアプリズムの本当の気持ちを理解できるように向き合えばきっと上手くいくよ。私はいつでも琢郎くんのことを応援してるからね!』

 

「ましろさん、ありがとう…君はなんて優しいんだ。君みたいな人に早く会ってたら良かったよ…」

 

 僕はましろさんの優しさを受けて思わず涙を流してしまう。同じく親友のトシとも相談はできるけど、恋愛相談に関しては信頼できないところがあるからなぁ…乙女心の分からない僕をサポートしてくれるましろさんのような女の子の親友がいることが凄く頼もしくてとにかく助かる。

 

『そう言ってくれると嬉しいな。気持ちは少し楽になった?』

 

「うん。君のおかげで元気が少しずつ戻ってきた気がするよ…これからも辛いことがあったら相談に乗ってくれる?」

 

『もちろんだよ!琢郎くんは私に希望を与えてくれたんだもん…私ももちろん力になりたいと思ってるから。少ししか頼りになれないと思うけど、私も頑張るね!』

 

「ありがとう、そして心配かけてごめん…明日は学校だからまた一週間頑張ろう!」

 

『うん、琢郎くんもね…それじゃあ、おやすみなさい。』

 

「おやすみ、ましろさん。」

 

 そして、僕はましろさんとの通話を切る。こんな時に彼女と話せて少し気は楽になった…諦めなければきっと結ばれる、僕はその言葉を信じてキュアプリズムと向き合い続けていつかはまた告白すると決意を固めた。僕は諦めないよ…待っててね、キュアプリズム!




いかがでしたか?まさか、『大好き』とまで言われたのに急転直下で振られるとは読者も琢郎も想定外だったことでしょう…恋愛戦線も勝ち確だったのが負けの地獄へ。こんなこともあるのが恋というものなんです!

しかし、ましろちゃんも実はどうするかはあげはちゃんとあの時話し合って決めてました…『プリキュアとしての役目とエルちゃんのお世話がひと段落するまで待ってもらう』ということを。ただ、彼女は琢郎からの愛の圧力に怖くなりそれを伝えることができませんでした…しかし、ここから二人はそれぞれ決意を固めてまたこの恋へと向き合うことになります。今後の展開もどうぞお楽しみに♪

お気に入り登録、高評価、感想の3点セットをして次回の投稿をお待ちください!それでは…
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