光は屈折しても恋はまっすぐ! -キュアプリズムに恋した少年の話- 作:寿垣遥生
side琢郎
キュアプリズムから振られた次の日の月曜日、僕が家を出るとすぐにソラさんとましろさんの二人と合流する。昨日は本当に辛いことがあったけど、ましろさんから励まされたもんね…いつも通り普通に振る舞わないと!
「琢郎くん、おはようございます!」
「琢郎くん、おはよう♪」
「おはよう!二人はいつも元気だなぁ…本当に羨ましいよ。」
「そう言う琢郎くんは少し元気が足りないですね。何かありましたか?」
「ちょっとね…でも、大丈夫だよ。今日は運動会の種目決めがあって練習も午後から始まるもんね!今日からまた頑張るぞ〜!!」
ソラさんは僕に少し元気がないことを見抜いて何があったかを訊ねる。まあ、大好きなキュアプリズムから振られたものだから完全的に元気ではないよね…それでも顔に少し出てしまっていたらしい。僕ってポーカーフェイスが下手なのかな?
「運動会ですか?この世界にもあるんですね!」
「ソラちゃんの住むスカイランドの運動会はどんな感じなの?」
「そうですね…私が住んでいる地域は子供が少なかったから学校での運動会はなかったですけど、地域の人達による運動会は毎年開催していてそれに参加していました。中心部とかまあ子供の人口が多いところの学校では運動会もあったと聞いてますけど、ここでは学校でもあるんですね。」
「まあ、海外は知らないけど日本ならどこの学校でも運動会はあるよ…それで折角色んな縁もあってここに来たことだし学校の運動会も楽しんでほしいな!それと、僕としてはソラさんに凄く期待もしてるからね…頼んだよ?」
「分かりました、私もチームの為に尽力させて頂きます!頑張りますね!!」
「ソラちゃんがいたら尽力どころか主役になってしまいそうだけど。それよりも、琢郎くん…昨日はお土産ありがとう!メイクセット、大事に使うね。」
「うん、こちらこそ気に入ってくれて嬉しいな!これからも沢山お土産とか持ってくるから楽しみにしてて♪」
ましろさんは昨日のお土産のことで僕にお礼を言う。キュアプリズムはどうやら彼女にお土産を何だかんだで渡してたんだな…これでましろさんにもお土産を渡していないというオチだったらもう僕は完全に立ち直れなかっただろう。
「あのメイクセットって琢郎くんからだったんですか!?ましろさんだけずるいですよぉ…」
「それじゃあ、ソラちゃんも一緒に使おうよ!私一人で使うのも少し気が引けるし…」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
(本当に仲良しの二人だな…見てて微笑ましいよ。)
「おーい、琢郎〜!それとソラさんと虹ヶ丘さーん!!」
すると、背後からトシが僕達を見て大声で呼んでから駆け寄る。普段は朝練があるからもっと早くに学校に来てるけど、もしかして朝練が今日は休みなのだろうか?随分と遅めである。
「トシ、声がでかいよ…それよりも今日は朝練休みなのかい?」
「ああ、だから久しぶりにゆっくり登校してきたんだ!いやぁ…この時間帯に登校する感じも良いよな〜♪」
「ゆっくりって言うけど全然走ってたじゃないか…」
「ゆっくりとは言ったけど歩くとは言ってねえよ!走らねえと体が鈍っちまうんでな…野球人には歩く時間はねえもんよ。」
「波瑠くんは凄い心がけですね!私もヒーローを目指すために毎日走りたいです!!」
「ソラちゃん…また変なことに影響されてるよ。」
「それはそうと、琢郎…昨日は上手くいったのか?」
「何が?」
「何がってキュアプリズムさんとのデートだよ。リーゼントまで決めてたけど、ランチのサイゼリヤで幻滅されたか?」
「なっ、トシ…!」
「ええっ…昨日、琢郎くんとましろさんがデートしたんですか!?」
「ハハハ…ソラさんは面白いこと言うなぁ〜。琢郎がデートしてたのは虹ヶ丘さんじゃなくてプリキュアのキュアプリズムさんだよ!」
「ソラちゃん…」
「まあそんなソラさんのジョークは置いといて…あの後、デートはどうなったんだ?」
「えっと、それは…」
「ああっ、もうこんな時間!早くしないと遅刻するから急がないと…それじゃあ後でね、波瑠くん!」
「「ええっ!?」」
ましろさんは顔を赤くして僕とソラさんの手を引いてから校門へとダッシュで駆け込んでいく。別にましろさんが恥ずかしがることじゃないのにどうしたのだろうか?何となく変だけど、とりあえずこのことには触れずに教室まで向かうのであった…知られたくもなさそうだしね。(とりあえず、ソラさんはましろさんからお説教を食らったらしい…)
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それから時間が経って3時間目と4時間目は運動会の係決めと種目決めが行われることとなり、係がそれぞれ3時間目で決まってから4時間目のメインイベントである種目決めを迎える…出たい種目と出たくない種目、それぞれの駆け引きが繰り広げられる時間になり教室の中はピリピリしてきた。(ちなみに、僕達2年2組は赤組。)
「それでは今から種目決めをやるが、司会進行は体育委員長のこの俺、波瑠俊雄が仕切らせてもらう。ルールは簡単、出たい種目に手を挙げて枠が埋まったらじゃんけん…どこで手を挙げるのかは自由だが、俺達は赤組として他学年の2組と各学年の4組の運命も握っている。優勝する為にベストの選択をしてくれ!まずは男女共の100m、それぞれ6人ずつで男子は俺と平原と武藤と森田と黒沢と…」
「僕も行く!」
「お前はもう手を挙げるのを待つまでもなく決まってるよ、それと琢郎な。女子は…」
僕はひとまず種目決めで最初の100m走に立候補してすんなりメンバーが決まった。僕は昨年100m走で優勝したからね…そりゃあ連覇を目指したくもなるでしょ!そんな感じの心境で次々と種目が決まっていく。あの後、僕は障害物競走や綱引きに二人三脚にといった走りを専門にする種目に立候補してはメンバーに選ばれていき、いよいよ午前最後にして学年それぞれの大一番の出場選手決めの時が来た。
「それじゃあ、午前最後の種目であるクラス対抗選抜リレーの出場選手を決めるぞ!これは男女混合の種目で今年は奇数年だから奇数の順番が男子、偶数の順番が女子…すなわち今年のアンカーは女子となる。とりあえず、誰か走りたいやつはいるか?」
「はーい!」
トシの問いかけに対してクラスメイトの軽井沢あさひくんが手を挙げる。しかし、彼は運動神経は普通だし走るのもそんなに速くないような気もするけど…猛者の集うであろう中で死にに行くつもりなのだろうか?
「軽井沢か…いや、お前無理だろ。走るつもりなのか?」
「いいえ、ソラ・ハレワタールさんをアンカーに推薦します!」
しかし、彼はなんとソラさんをアンカーに推薦した…彼女に関しては体力テストでどの種目でも女子でNo.1どころか男子並みの成績を残してるから選ばれるんじゃないかとは思ってたけど、ちょっと軽井沢くんのやり方は姑息じゃないかな?
「いいね!」
「ソラちゃんが走れば優勝間違いなしだよ!!」
「アカン、2組が優勝してまうッ!!」
「…ということでこいつらは乗り気だけど、ソラさんはアンカーとして走ってくれるか?」
「はい、選ばれたからには一生懸命頑張ります!」
ソラさんは力強く立ち上がってから頑張る気持ちを全面に出してトシに意志を伝えた。こんな大役を任されたにも関わらずに逃げずに引き受けるとは…まさに彼女はこのクラスに舞い降りたヒーローだ。
「…ところで、リレーって何ですか?」
「「えっ!?」」
その時、ソラさんの些細な疑問が教室の中を凍らせる。もしかしてスカイランドの運動会にはリレーが存在していないのだろうか?僕はスカイランドを知る人間だから分かるけどみんな唖然としている。
「ソラちゃん、リレーはね…普通のかけっこじゃなくてチームで走るスポーツなんだよ?バトンを持って走って次に走る人にバトンを渡すの。」
「ラルーのことですね。スカイランドにもありました!」
「スカイランド?そんな国あったっけ…」
「ああ、スカイランジナビア!そんな国があったでしょ?そういうことよ!アハハ…」
「そうです!村の祭りでラルーの選手に選ばれてたんですよ?アハハ…」
「二人とも変なの…まあ、いいや。アンカーはソラさんに決まりだが他に走りたいやつはいるのか?」
とりあえず、ましろさんはリレーについてを説明して僕は口を滑らせたソラさんの騒ぎを後始末してフォローした。スカイランドは僕とましろさんが知っていたとしてもトシとかは知ってないからな…大騒ぎになる前に火を消しといて良かった。
「ちょっと…もう一つ私から良いですか?」
「何だ?」
「その…琢郎くんとましろさんの二人とも一緒に走りたいので二人もメンバーに入れてください!」
「「ええ〜っ!?」」
ソラさんはさらにもう一つのお願いとしてその選抜リレーのメンバーに僕とましろさんを入れることをトシにお願いした。僕は分かるにしてもましろさんは走るのがそんなに速くなかったような気がする…流石に無茶が過ぎてるじゃないのか?
「琢郎は…まあ、昨年は選抜リレーで優勝に貢献したし入れれるとして虹ヶ丘さんはどうなんだ?ソラさんが一緒に走りたいと言ってるけど…大丈夫か?」
「えっと…ソラちゃんからお願いされたら走ります。」
「よしっ、とりあえず虹ヶ丘さんまで確定か…残りに立候補したいやつは手を挙げてくれ!とりあえず俺も走るからあと16人な?」
それからも運動会の種目決めが続き、最終的に僕は100m走、障害物競走、綱引き、騎馬戦、二人三脚、選抜リレー、そして最後の紅白リレーにもエントリーして6種目出ることになった。割と今年も走る種目が多いけど、僕は走ることには自信がある!野球部で一番の俊足であるトシよりも速いし、何なら陸上部の速い人と互角ぐらいで走れるからね?これは僕が唯一大きく誇れるものだ。とにかく本番も頑張ろう!
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種目決めも昼休みも5時間目の今日から始まった開会式の練習も終わり、6時間目からのクラスごとの自由練習を迎える。僕達2年2組は選抜リレーに向けて走順を決めてからグラウンドでバトンパスの練習を行っていた…僕の周辺の走順に関しては前後をましろさんとソラさんが走り、ましろさんからバトンを貰いアンカーのソラさんにバトンを渡す役割を託された。(ましろさんの前はトシが走ることに…)
「虹ヶ丘さん、パス!」
「あっ…!」
そんな中で練習を進めていくがトシとましろさんのバトンパスでミスが連発。どちらも至って真剣なのだが、ましろさんの運動音痴が明らかに出ている…まだ本番の走りじゃないのに大丈夫なのだろうか?
「ごめんなさい…」
「とりあえず、まずはゆっくりで良いよ。何も気にすることはねえさ…俺もゆっくりやるからそこから始めようぜ!」
「う、うん…」
とりあえず、こんな感じでバトンパスのリレーがなかなか僕に回ってこない。ソラさんは一緒のチームになりたいから誘ったと思うけど、これは失敗かもな…
(10分後…)
「はいっ!」
「はいっ、琢郎くん…!」
それから10分後、ようやくバトンがましろさんに回ってきてそれが僕に向かってくる。僕はそれを見て走り出しバトンを受け取る態勢を整えた…
「OK、はいっ…ソラさん!」
「はいっ!」
そのバトンは無事にアンカーのソラさんまで回り全員のバトンパスの練習は何とか形になる。とりあえず、これだけできれば次からは期待できそうだろう…
「まあ、初めて繋がったわりには悪くはねえな…でも、虹ヶ丘さんが琢郎に渡す時にちょっと奥目になっていてパスゾーンのギリギリだったぞ?虹ヶ丘さんはもう少しペースを上げた方が良いし、逆に琢郎はもうちょっとペースを抑えてくれないか?それだと本番は丁度良くなるはずだ。OK?」
「分かった、ましろさん大丈夫?」
「うん、気をつけるね。」
「よし、それじゃあもう1回…「ランボーグ!!」…ええっ!?」
ちょうどその時、グラウンドにランボーグ(媒体は初代理事長の銅像)とその上に乗るバッタモンダーが突然現れた。こんな時にスカイランドからエルちゃんを求めてやって来たのか…キュアスカイに負けといて懲りないやつだ。
「随分と楽しそうだね…僕も混ぜてよ?」
「みんな、今すぐ逃げろ!!」
トシの呼びかけにみんなはグラウンドから避難する。とりあえず、プリキュアに助けてもらうことを祈りつつ安全な場所に避難しないと…
(ソラさんとましろさんが体育館裏へと逃げていく…とりあえず、二人を守るために後を追わないとね!)
みんなが教室の方向へと逃げていく中でソラさんとましろさんは何故か体育館裏の方向へ走っていき、僕は二人の後を追って体育館裏へと向かう。一体何をするのだろうか?あまりにも心配になって追いかけた。
(追跡中…)
しばらく追跡して見失うも僕は体育館裏の前までやって来て二人の姿を見つける。しかし、そこで何故かツバサくんが合流。彼は一体どこから入ったのだろうか?
「「「スカイミラージュ、トーンコネクト!ひろがるチェンジ、スカイ(プリズム)(ウィング)!!」」」
三人は何らかのペンを手に取ったと思いきやペンがマイクみたいな形に変形してそれに何かをセットして呪文を唱えた。それで何が始まるのかと思ったら髪型が変わり服も変わったりとそりゃあもうアニメのような変身シーンが離れてるところから見ても分かるぐらい派手に行われている。それで変身を終えた三人は見覚えのある姿になった…
(えっ…プリキュアの三人!?ソラさんがキュアスカイになって、ましろさんがキュアプリズムになって、ツバサくんがキュアウィングになった…マジ?えっ、キュアプリズムの正体ってましろさん?嘘だろ…)
そして、プリキュアの三人は現場に向けてジャンプして向かっていく…僕は校舎の隅という離れたところから隠れて見ていたけど、その衝撃的な事実にただ驚くしかできない。ましろさんがキュアプリズムの正体ではないかと薄々思っていたけど、それが本当だったとは…つまり、キュアプリズムどころかましろさんから振られたってことだ。彼女は僕のことをこれまで弄んできたというのだろうか?悲しみと怒りが混ざった感情が込み上げてきた。
「何をやってたんだ、琢郎…早く教室の中に戻れ!校舎の外は危険だぞ!?」
「あっ、ごめん…すぐ戻るよ。」
僕は呼びに来たトシと一緒に自分のクラスへと避難する。こんなにも頭の中が真っ白になったのは生まれて初めての出来事だ…ましろさんが僕のことを騙していたなんて。この事実に僕は生まれて初めて頭の中が真っ白になった…
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『生徒の皆さんにお知らせいたします…ランボーグはプリキュアに退治されました。繰り返します、ランボーグはプリキュアに退治されました。生徒の皆さんはグラウンド並びに体育館の安全が確認できるまでそれぞれ教室の中で待機をお願いします。』
校内放送によりプリキュアがランボーグを浄化したことが無事に報告される。これで安全が確認でき次第練習が再開できるらしい…周りの生徒はホッと安心する人もいれば喜ぶ人もちらほらだ。
「そういえば、ソラちゃんとましろちゃんがいないよ?」
「本当だ…大丈夫かな?」
その中で女の子達はソラさんとましろさんがいないことを心配する。僕は見てしまったけど、その二人(とツバサくん)がランボーグを浄化したプリキュアの正体だからね…これは公には言えないことだけど。
「みんな、心配かけてごめん!」
「皆さんが無事で良かったです…もう大丈夫ですよ?」
そんな心配を周りがしていたタイミングで例の二人が教室に戻ってくる。これを受けて女の子達はソラさんとましろさんを囲んで帰還を喜ぶ…その輪の中に僕は割って入った。
「ましろさん、ちょっと良い?」
「えっ、うん…」
僕はましろさんを連れて誰もいないところへと向かう。本来だったら教室の中で待機と言われてるけど、ここでは話せないことを話すのだから行く場所はもうあの場所しかないよね…
(移動中…)
「着いたよ…」
それから、僕達はいつもの話し場所である体育館裏にたどり着いた。もう話すことは決まってるし、覚悟も決まっている…僕はこのましろさんに騙されたのだから。
「それで、私に話したいことって何かな?怖そうな表情をしてるけど…」
「君、何か隠し事をしてるんじゃない?それと嘘をついてたみたいだね。」
「何の話かな?さっぱり分からないよ…」
「そうか、ならば結論から言った方が早いか…僕はこの体育館裏で見てしまったんだよ。ましろさんがキュアプリズムに変身するところをね…」
「…!?」
僕がましろさんに自分が見たことを話してから問い詰める。これには彼女も目に見えて驚いた…本人としては誰も見てないと思ってたのだろう。ただ、校舎の隅は体育館裏からは死角となっている場所で見えないこともある。それを1年ちょっと学校に通っているにも関わらず見抜けなかったのは完全に彼女の落ち度だ…
「それだけじゃない。ソラさんがキュアスカイでツバサくんがキュアウィングだってことも分かったよ…どうして今まで隠してきたの?」
「ごめんなさい!正体を話してしまったら貴方も巻き込んでしまうんじゃないかと思ってずっと話せなくて…だけど、1回だけ話そうと思ってはいたんだ。」
「話そうと思った…確かキュアなんちゃらって言いかけようとした時かな?どうしてあの時言わなかったんだよ!」
「それを聞こうとしなかったのは琢郎くんだよね?でも、貴方の怒ってる顔を見たらやっぱり言いづらくなって…」
ましろさんはやんわりと僕に責任転嫁をしようと言い逃れをしようとする。そんな彼女に僕はますます怒りが込み上げてきた…これほどましろさんに憎悪を向けたのは初めてだ。今はもう彼女にもキュアプリズムにも全然ときめかない…
「何、それで僕のせいにしたい訳?本当は僕のことを弄んで楽しんでいたんだろ!?自分が変身した姿に惚れてる僕をバカバカしいと思って楽しんでさ…それで最終的に切り捨てるとか君のやってることは最低のクズだ!!どうせあの『大好き』も嘘でしょ?」
「違う…大好きなのは本当なの!それに琢郎くんのことを弄ぶとかそんな真似をしたつもりはないよ?」
「だったら、どうして僕からの告白を断るんだ?好きだったら受け入れれば良いじゃないか…素直な君なら受け入れてくれると信じてたんだよ?なのに、どうしてこんな真似を!?」
「声が大きいよ…少し落ち着いて?」
「これで落ち着いている場合じゃないだろ!君は僕を騙して楽しでいた…そんな酷い人だとは思わなかったよ。」
「違うの、私は…」
「もう言い訳は聞きたくないし君の顔も見たくない…君とはもう絶交だ!本当に無駄な恋だったよ…さよなら。」
「待って、琢郎くん…琢郎くん!!」
僕はましろさんの呼び止める声を聞くことなくその場から立ち去った。1年ちょっと仲良くしてきたけど、まさかこんな形で関係が終わってしまうなんてね…僕ってこんなにも女の子からなめられてたんだな。もうしばらく恋をするのは懲り懲りだよ…っていうか、二度と恋なんてできないかもしれないよね。こんな最低な女の子に釣られるぐらいだから…
(しかし、こんな別れ方になるなんて本当に最悪だよ。キュアプリズム…ましろさんがこんなにも酷い人じゃなかったら付き合っていたしずっと一緒で結婚できたのにな。正体を知ってこんなにも辛い気持ちになるとは思わなかった…でも、もう良いんだ。全てが終わったから…)
~~~~~~~~
練習を終えてから家に帰り、僕は部屋の中に籠ってから思い出を振り返る。キュアプリズムとして貰った写真もある上にキュアプリズムとして一緒にプリクラも撮ったりもした…その写真を見てるとましろさんとの楽しかった思い出が次から次へと頭の中に浮かんできて振り返る度にどうしてましろさんはあんなにも性格が悪いのかと考えてしまう…それだけ優しくて可愛くて清純だった。なのに、僕は彼女の手の上で踊らされていたんだよな…本当に情けない。
(ただ、ましろさんと一緒にいた時間は不思議と今でも楽しいと感じられるんだよね…これだけ幸せだったのに最後の一撃で台無しだよ。)
そんな彼女との時間を振り返ると自然と涙が出てきた。あんなにも楽しかったのにあの子が僕のことを騙したことが正直信じられない…今でも夢だと思いたいよ。どうしてこんなタチの悪いことをするんだ?
(LINE通話ね…相手は聖さんか、とりあえず出よう。)
僕は涙を拭いてから聖さんからの通話に出る。どうせましろさんのことなのだろうとは分かっているけど幼馴染で親友である彼女のことだから怒られるんだろうね…でも、僕は悪くないから怒ったところで論破すれば良い、そんな心境である。
「もしもし?」
『たっくー、ましろんから聞いたよ…喧嘩したんだってね。』
「喧嘩?そんな生ぬるいものじゃないですよ。ましろさんは僕のことを騙していたんです…それで僕の恋をかき乱したんだ。最低なことじゃないですか?」
『恋?なるほど、キュアプリズムの正体がましろんと知っちゃったんだね…』
「聖さんはご存知だったんですか?」
『知ってるも何も初めて変身した時に立ち会ってたからからね…とりあえず、君に嫌な思いをさせてしまったことは私が代わりに謝っておくよ。本当にごめんなさい…』
聖さんは電話越しにましろさんに代わって謝る。ただ、僕は彼女を咎めるつもりは最初からない…悪いのは僕を騙したましろさん本人なのだから大人だからといってその責任まで背負うのは流石に違うからね。
「いえいえ、貴方が謝る必要はないんですよ。悪いのはましろさんですから…それで、ましろさんはどんな様子でしたか?」
『それが私に話した時は凄く泣いていてね…『自分の気持ちを上手く伝えられなかったせいでこんなことになった』と自分を責めてたんだ。あの子はちょっと臆病なところがあるからもしかして告白した時に怖がらせたりとかしてた?』
「まあ、告白は…ってもしかしてましろさんから聞きましたか。確かに僕はキュアプリズムであるましろさんにしましたよ…何故か知らないけど断られてしまってどうしてだとは問い詰めたり、直すべきところは直すと強く伝えようとはしました。」
『やっぱりそうだったんだ…たっくー、それは流石に怖がるよね?君も少し悪いところがあるよ。』
「ええっ、いや…僕はただ理由を訊いただけじゃないですか。そんな怒ったりもしてないし!?」
『君はそんなつもりじゃないと思っても、女の子の中にはそれを圧力だと思う子もいるんだから…もう少し女の子について勉強すべきだね。』
僕は聖さんにプチ説教をされて自分の行動を思い返す。それじゃあ、あの時にましろさんは自分がキュアプリズムの正体だということを伝えようとしていたということか…それなのにあんなに怒ったら言えるものも言えないし、告白の時だってあれだけ迫ったし。結局、僕が悪いのか…取り返しのつかないことをしてしまってましろさんに対する憎悪が罪悪感へと変わっていった。
「そうだったんですか。僕は何てことを…」
『たっくーも自分をそんなに責めないで?これはちょっとしたすれ違いで生まれた事故なんだから、お互いに謝って仲直りしちゃおうよ!ねっ?』
「どうでしょう?自信はないです。もうそろそろ夜ごはんの時間なので切りますね…失礼します。」
『あっ、ちょっ…たっくー!?最後に一つ…』
聖さんは最後に何かを言いかけるも僕はその前に通話を切る。ましろさんは臆病ながらも勇気を出して自分の気持ちを言おうとしていたのに僕はそれを受け止めようとせず一方的に突き放してしまっていたとは…これは仲直りしたくともしずらい状況だ。これは謝るにも謝れず反省しても後悔しかない…とにかく自分を責め続けるのであった。
…ということで本編はいかがでしたか?ついに琢郎がプリキュアの正体を突き止めてしまいましたね。それでましろちゃんとの関係が引き裂かれてサブタイトルが本当に…引き裂かれたというよりも琢郎から終わりにしてしまいました。しかし、彼女はキュアプリズムが自分であることや気持ちも伝えようとしていたのです…臆病故に圧をかけられて言えるものも言えなくなっていました。
しかし、これでまだまだ終わりじゃありませんよ?早いうちに言っておきますが、この物語はあと3回で完結します!どんな結末が待っているのかは最後まで全集中でお読みください。
そして、今朝放送予定のわんぷりの3話も是非ご覧ください!今回の話はこの辺で…感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをお待ちしております!