光は屈折しても恋はまっすぐ! -キュアプリズムに恋した少年の話- 作:寿垣遥生
sideましろ
『僕、実はキュアプリズムのことが好きになったんだよ。』
『あの天使みたいな笑顔は忘れられないなぁ…結婚してあの笑顔を拝めるなら結婚したいよ!』
「…」
学校が終わってから家に帰って自分の部屋の中で石井くんから告げられた言葉を思い出す。彼はキュアプリズムに変身した私に助けられたことで私のことを好きになったのだ…自分のようで自分ではない存在を好きになられるのは複雑な心境である。
(石井くん…キュアプリズムが私だと知らずに沢山褒めてくれたし、好きだという気持ちも伝えてきた。私はどう返せば良いんだろう?)
そんなことを考えると私の心臓のドキドキのスピードはさらに早くなる。こんな気持ちになるのは生まれて初めて…何の取り柄もない私は地味だと思っていて今まで男の子から告白されたことはあったけど、みんな私を変な目で見ていた。それでも石井くんは私のことを好きだとまっすぐな目で見つめながら言ってくれたのだ。感じたことのないものが私を悩ませる…しかも、結婚したいとまで言われたら尚更だ。
(…って、違う!彼が好きなのは私じゃなくてキュアプリズムの方。私はただの相談相手で石井くんは近所でお友達、うん。余計なことを考えるのはやめよう!)
私は頭を振ってから邪念を振り払おうとする。石井くんが好きなのはあくまでもキュアプリズムであって私、虹ヶ丘ましろではない。どちらも自分だけど好きになった人物は違うんだ…とにかくそう割り切る。
(それで、石井くんはキュアプリズムの写真が欲しいんだよね…今は写真を撮ることだけ考えないと!うん、まずは変身しよう。)
私はスマホをポケットから取り出して変身アイテムであるスカイミラージュを手に取って変身しようとする。変身した姿を自撮りするのは恥ずかしいけど、石井くんを守るため…私は覚悟を決めた。
「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ、プリズム!」
私はスカイミラージュに自分のトーンコネクトをはめてから呪文を唱えて変身していく。敵もいないのに家で変身する感じは少し違和感があるけど、石井くんがこれでもう危険な目に遭わなかったら私はそれで良いと思ってる。
(とりあえず、変身してみたけど…自撮りってあまりしたことないから慣れてないんだよね。どんなポーズをすれば良いんだろう?)
「ましろさん?」
私が自撮りのポーズで悩んでいるとそこには隣の部屋で勉強していたはずのソラちゃんが突然入ってきた。この様子をもしかして見られてしまったパターン?変な人だと思われてないよね!?
「そ、ソラちゃん!勉強はどうしたの?それと、いつから部屋の前に…」
「いや、勉強してたら突然ましろさんのお部屋が光っていてそれを見てたらキュアプリズムに変身していたんですよね…それで全部見てましたけど、ランボーグも何もいないのにスマホ片手で何をしていたんですか?」
「えっと、あの…実は。」
(ましろ説明中…)
「なるほど。石井くんが一昨日助けられたことを切欠でキュアプリズムに変身したましろさんを好きになって彼から頼まれて自撮り写真を撮ろうとしていたんですね?」
「それもだけど、石井くんにはこれを条件にして現場に足を踏み入れないようにと言ってるんだ…そのためにも写真を撮ろうと思ったの。」
それから私はソラちゃんに今日の出来事として石井くんからキュアプリズムとしての自分を好きと言ったことや写真を頼まれたことを包み隠さず話した。ソラちゃんは真剣な表情で私の話を聞いている。
「まあ、あれは助けなかったら石井くんは無事じゃなかったのでましろさんの判断は賢明だったと思います。ただ、これが決め手で好きになってしまうとなると…ちょっと困ったことになりましたね。」
「うん。プリキュアの正体は秘密にしないといけないし、ただでさえプリキュアの存在が注目されてるからその正体が私達だと知られたら大騒ぎになって敵の思うツボになっちゃうよ。」
「はい。ただでは済まないでしょうね…石井くんの問題もあるけど、そこも考えないと。」
「ねえ、話は変わるけど…ソラちゃんって男の子と恋をしたことってあるの?」
私は話題を変えてソラちゃんに恋をしたことがあるかどうかを質問してみた。ソラちゃんは可愛いし優しくて頼もしいからスカイランドでは男の子にモテてたんだろうなと思っている。
「うーん、恋はしたことはないですね。私はもうヒーローになりたいという夢に突き走っていたからそんな余裕はありませんでした。強いて言えば夢に恋をしていたってことでしょうか…」
「へえ…ソラちゃんはそんなにヒーローになりたかったんだね。」
「逆にましろさんは恋をしたことがあるんですか?」
「うん。何回か男の子から告白はされてたけど…私は地味だし前に出るタイプじゃなかった自分が変に好かれてるような気がしたの。だから、恋はしたことがない…のかな?」
「そうなんですか。だけど、プリキュアになってましろさんもかなり変わったと思いますよ?会った当初は大人しかったですけど、今では私と一緒に笑ってくれるしみんなとも明るい顔で話せてますから全然地味じゃないです。それに、ましろさんは凄く可愛いですしみんなはそんな変な気持ちで言ったつもりではないと思うので自信を持ってください!」
「ソラちゃん…」
ソラちゃんは私のことを照れてしまうぐらいに褒める。彼女はまっすぐな人だから嘘じゃないということは確かで心の底から嬉しい!自分の中でもソラちゃんと出会ってプリキュアになってから変われたと思っていたけど、ソラちゃんも同じことを思っていてくれたことで自分に持っている自信がさらについてきた。
「それで、写真の件についてですけど私が撮影手伝いますよ?」
「本当に!?」
「ええ、最近私はおしゃれにも興味があってモデルに関しても雑誌でどんなポーズをしたら可愛いのかとか勉強しました!ここはそんな私に任せて石井くんをドキドキさせてやりましょう!!」
「ありがとう!それじゃあ、よろしくね。」
こうして私はソラちゃんから写真を撮ってもらうことになった。彼女はここに来てからお洒落にも興味を持つようになり、それを通してモデルにも興味を持つようになっているのだ…それで勉強しているのならどんなポーズが良いのかとか分かってるだろうから参考になる。
「まずはモデルのように腰に手を当てて撮ってみましょう。それで足を肩幅ぐらいに開いてください!」
「なるほど、モデル立ちだね。」
「撮りますよ?」
まずはソラちゃんからモデル立ちを要求されてそのポーズを作って1枚目を撮ってもらう。こうやってモデルのように写真を撮られるのは凄く新鮮でプロのモデルがどんな感じなのかが分かってくるような気がした。
「うん…とても良いですよ!やっぱりましろさんは素敵ですね♪」
「そうかな?照れちゃうかも…ところで、写真はどんな感じで撮れてる?」
「こんな感じですけど、凄く可愛く撮れてますよ。」
私はソラちゃんからスマホを受け取って変身している自分が写った写真を確認する。しかし、何か違うような気がした…写真自体は悪いどころかむしろかなり良い仕上がり、それでもらしくないような気もしなかった。
「うーん…なんか違うような気がするんだよね。」
「そうですか。本を読みながら振り向く写真とかどうでしょう?こういうのも魅力的だと思いますけど。」
「それも違うかも。やっぱり、何と言うか…プリキュアっぽい写真じゃない気もしないような?」
「プリキュアっぽい…だったら、ランボーグに立ち向かうような表情でファイティングポーズを作って撮ってみましょうか。」
「分かった…こんな感じ?」
「良いですね!かっこいいですよ?撮ります!」
そして、次は戦う時の表情を作ってファイティングポーズしてみる。ヒーローらしいかっこよさはこれで出てくると思うけど、どうなのだろうか?
「どうですか?」
「ヒーローらしいとは思うけど、何かちょっと表情が固いしこれもプリキュアらしくないかも…ここはなるべく自然体な感じの方がやっぱり良いのかな?」
「自然体、それだったら軽くピースしてしれっとカメラ目線で微笑む感じはどうですか?その方が不自然な写真にならないと思いますし…」
「うん、それでやってみるね!」
そして、私は微笑みながらカメラ目線でピースをして最後の1枚を撮影してもらった。写り映えに関してはもう100点満点…ソラちゃんもなかなか写真撮影が上手いのではないかと思ってしまう。しかも、自分で可愛いと思ってしまうぐらい素敵なものだからこの写真で自分に自信が持てるようになった気がする。石井くんに早く見てもらいたいな…
side out
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side琢郎
翌日の放課後、虹ヶ丘さんから教室に残るように言われてから僕は一旦トイレに立ち寄ってまた戻る。そこにはスマホを手に持っていた彼女の姿がそこにあって何やら嬉しそうな様子だ。(ソラさんは先に帰った模様。)
「待たせてごめん…大丈夫?」
「うん…大丈夫!それじゃあ、ここに座って?」
僕は虹ヶ丘さんに言われてから彼女と向き合うように座る。それにしても、何もかもが終わった夕焼けの教室に2人きり…女の子とこうして2人きりになるのは初めてだ。
「それで、キュアプリズムの写真は撮らせてもらったの?」
「石井くん、落ち着いて…ちゃんと写真は送るから。LINEを開いて待っててね?」
「うん…分かった。」
そして、僕はLINEを開いてから虹ヶ丘さんとのタイムラインに入って写真が来るのを待つ。彼女とは近所付き合いで仲良くなった縁もありグループLINEでも個人同士としてもLINEのやり取りを出会ってからおよそ1年ぐらいずっとやっている。
(どんな写真なんだろう?可愛いキュアプリズムを早く目に焼き付けたい!)
「写真送ったよ。どうかな?」
虹ヶ丘さんが写真を送ったと伝えるのと同時にメッセージが届いたことを知らせる音が鳴る。その写真を見てみると、そこには自然な感じのカメラ目線で微笑みかけながらピースをするキュアプリズムが写っていたのだ…この天使の笑顔に僕は心臓を撃ち抜かれた。
「うおおおお、可愛いいいいいい!!」
「えっと…そんなにテンション上がるんだ。」
「当たり前でしょ!僕が好きな女の子の写真が手に入って喜ばない人はいないよ。キュアプリズム大好き〜♪」
「そ、そんな!?大好きって…」
「何で虹ヶ丘さんが照れてるの?」
僕がキュアプリズムの写真を見てメロメロになっているとその様子を見ていた虹ヶ丘さんは顔を赤くして照れていた。昨日から思っていたけど、彼女はどうもプリキュアの話に敏感みたいである。何か繋がりがあるにしてもそこは少しおかしいなと思ってしまう…
「あっ、いや…それにしても普段は大人しい石井くんがこんなにも興奮したところって初めて見たよ。こうやって近所同士になってお友達にもなって1年ぐらい経ったけど、新しい一面も見れた気がするかも?」
「僕だってそりゃあ興奮ぐらいするよ。アニメを観たり漫画を読んだりしてる時とかはもう虹ヶ丘さんでも知らないぐらいテンションが高かったりしてるね…」
「そうなんだ。テンションの高い石井くん…凄く可愛いよ♪」
「そうかな?多分、他の女の子がこの様子を見たら凄いドン引きすると思う…こんなオタクの僕を受け入れてくれる君の存在は本当に大きいよ。」
「ふふっ、そう言ってくれると嬉しい…ありがとう。」
虹ヶ丘さんの微笑みを見て僕も少し照れてしまう。キュアプリズムの笑顔を見てから思うようになったけど、虹ヶ丘さんの笑顔と何となく同じように見てて癒されるんだよね…別人であろうはずなのに似てる気がするのはどうしてだろう?
「ねえ、石井くんはキュアプリズムのどこが好きなの?もっと詳しく聞かせてもらえる?」
「詳しくか…そうだね、やっぱり可愛いところかな?それでいて優しくて強いところも兼ね備えているところは頼りになって素敵だなって思うよ。それで笑顔が天使なところも大好きだし、声と雰囲気がふわふわしてるから甘えたくなっちゃうんだよね!」
「ふぅん…そうなんだ。」
「後は衣装かな?白ベースでリボンが沢山あってスカートがヒラヒラしてるのがもうおしゃれだし、さらに白くて綺麗な肩とたまに見える脇とか絶対領域の太ももがもうドキってしちゃうよね!」
「か、肩…脇…太もも?もう、石井くんのエッチ、スケベ、変態、破廉恥!!セクハラは禁止って昨日言わなかった!?」
虹ヶ丘さんは僕がキュアプリズムの好きなところを語ると恥ずかしがったかと思ったら、肩と脇と太もものことを触れたら昨日の時のようにまたもや顔を赤くして怒り出した。しかも、混乱してるのか普段言わなそうな言葉で罵ってくる…どうして自分のことでもないのにここまで怒れるのかが不思議だ。
「虹ヶ丘さん、何を怒ってるの?僕はキュアプリズムの話をしてるのに…」
「えっ、いや…それより、昨日も言ったようにこういうセクハラ発言はしたらダメなの!この話をキュアプリズムに聞かれてたら石井くんのことを間違いなく嫌いになってしまうんだよ!?嫌われたくないでしょ?」
「まあ、嫌われたくはないかな…でも、肩とか脇とか太ももってそんなにエッチじゃないよね?」
「とにかく、セクハラ発言は禁止!!次に本人が恥ずかしくなるようなことを言ったらキュアプリズムに報告するからね…分かった?」
「はい…申し訳ありませんでした。」
僕は思わず虹ヶ丘さんに対して頭を下げて謝る。確かに肩とか脇とか太ももは見られると恥ずかしいと思う人も中にはいると言われてるからね…これをキュアプリズムに報告されて嫌われたら元も子もないのですんなり謝ることにした。
「まったくもう…石井くんは本当に人が恥ずかしいと思うことをすぐ言うんだから。」
「ごめんね…僕って見たものをそのまま言う性格だから言わずにはいられなくて。」
「その気持ちは凄く私も分かるけど、女の子の前で言うのは我慢しないとね…これだとキュアプリズムだけじゃなくて他の女の子からも嫌われちゃうよ?」
「…気をつけます。」
「よろしい。それで、この写真を受け取ったということは…約束を覚えてるよね?」
「もちろんだよ。なるべく現場には近寄らない…でしょ?大丈夫だよ、キュアプリズムを含めてプリキュアは強いんだもん。僕は信じてる!プリキュアだったらどんな危機も何とかしてくれるって…」
「ふふっ、石井くんのその言葉だけでもキュアプリズムはきっと安心してると思うよ…ちゃんと約束は守ってね?」
「うん!こちらこそ写真を提供してくれてありがとう。スマホの待ち受け画面として使わせてもらうよ♪」
「ええっ、やっぱりそれは流石にちょっと恥ずかしいかな…」
「どうして虹ヶ丘さんが恥ずかしがるの?」
「いや、私じゃなくてキュアプリズム本人がだよ。あの子は強そうなイメージがあるけど、本当は内気で引っ込み思案なところもあると思うの…だから写真は保存して自分だけで見る分にした方が良いと思うよ?人に見られたらプリキュアの存在が広まるし!」
虹ヶ丘さんは自分の写真でもないのに動揺を隠せない様子で説得しようとする。見られるのが嫌なのかは本人の意見だと思うのに…ここまでして見られたくないのには訳があるのだろうか?キュアプリズムの話をもちかけてから虹ヶ丘さんは少しおかしくなった気がする。
「まあ、プリキュアの存在に関してはニュースでも取り上げられてるし実在するかどうかの論争が繰り広げられてるぐらいの有名人になってるからね…それで広めるなと言われても手遅れかな?」
「まあ、ニュースで広まってるし…ううん、良くない!仮に写真が1人にでも見られたら大変なことになるから絶対にダメ!!分かった?」
「は、はい…」
僕は虹ヶ丘さんの圧に押されて返事をする。プリキュアの話は既に広まっているとはいえ、実在するという証拠が貰った写真から拡散されたとしたら大変なことになるだろうからね。仮に軍事国家にプリキュアの存在がバレたりでもしたら戦争の戦力として利用されることにも繋がりかねない…平和を求める世界の中ではそれだけは絶対に避けなければならないのだ。
「うん。それじゃあ、そろそろ時間も遅くなるから帰ろう?ソラちゃんも待ってるし…」
「そうだね、僕も写真を貰えて満足したよ…行こうか。」
そして、僕達は荷物を持ってから教室を後にして2人並んで一緒に帰るのであった。それにしても、キュアプリズムと出会ってから不思議なことに虹ヶ丘さんとさらに仲良くなれた気がする…彼女は何となくキュアプリズムに似ているなと思うところが多くて雰囲気も同じだから心地良い。本当に不思議なんだよね…とにかく、虹ヶ丘さんとの時間はこれからも大事にしていきたいなと強く思った。
(それにしても、虹ヶ丘さんもキュアプリズムに負けないぐらいどころか同じぐらい可愛いな…何だろう、心臓がドキドキしてきたかも。)
「石井くん、どうしたの?私の顔をさっきからじっと見て…」
「あっ、いやぁ…何となく虹ヶ丘さんがキュアプリズムに見えてきて。それにしても凄く似てるよね?」
「えっ!?いや、似てる…のかな?ほら、都市伝説とかでよく言ってると思うけど、同じ顔の人間は世界に3人いるって言うでしょ?多分そうだよ!」
「なるほどね…そうにしても、僕はキュアプリズムも虹ヶ丘さんのことも大事な存在だと思ってるよ。これからもよろしくね!」
「こちらこそ…うん、よろしくね。」
虹ヶ丘さんは顔を赤くしてやや俯き少し小さな声で返事をする。本当に虹ヶ丘さんも可愛い子だな…キュアプリズムとは違う方向性だけどこっちも愛情を注ぎたくなってしまうぐらいに愛おしい存在である。そんな彼女との帰り道はいつもより軽く感じて幸せだった…虹ヶ丘さん、これからもよろしくね!
恋愛小説ってマジで楽しい!本当に書いてて幸せな気持ちになれます…この調子で「マジエチ」も描いてくれって?はい、頑張りますね。
お気に入り登録、感想、高評価の3点セットをお待ちしております!それでは、また次回。