職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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おまたせ致しました(土下座)

自分で投稿期限とか設けるもんじゃねぇなと思ったこの頃。


10話 突破素材集めは計画的に

 

 

 

 

 

 

「ーーーで?」

「ん?なんや?」

「お前いつまで居んの?」

 

宵宮が出かけたばあちゃんの代わりとして襲来した日の夜。俺は夕飯に出したハンバーグ(在庫玉ねぎ、昼に余ったトマトソース処分用)を笑顔で平らげて縁側で薄暗くなった空を見ながら寛いでる宵宮に呆れ顔で投げ掛けた。

 

「いつまでって、明日までやで?」

「は?」

「え?」

「にゃ?」

 

何を当たり前のことを。みたいな顔で振り向いた宵宮の衝撃発言に、俺、宵宮、きららの順で声を上げる。俺たちの真似して鳴くきらら可愛いなぁ。

 

「明日まで?」

「そや。だっておばあちゃん明日まで帰って来おへんやろ?」

「どこで寝る気?」

「そりゃ当然ここやけど…。も、もしかして一緒の部屋で寝たいって事かぁ!?ダメやダメ!うちらそんなんはまだ早いて……」

「ちっがうわ!…え?マジでほんとに泊まってくの?」

 

顔を赤くし腕で体を隠して後ずさる宵宮に突っ込む。こいつ脳内ピンクかよ。

 

「う、うちはそのつもりやったけど…もしかして嫌、やった…?」

 

さっきまでコロコロと変わっていた笑顔が不安そうな顔に曇り上目遣いで聞いてくる宵宮。あのね、女の子のその頼み方マジで反則なんだよ。特にお前みたいな普段からニコニコしてる人のその表情。

 

俺はそんな宵宮に根負けし、後頭部をガシガシとかくとため息を吐いた。

 

「はぁ…、わかったよ。布団出すから宵宮はこっちの部屋な」

「よしっ」

「は?おいコラ」

 

宵宮は俺が承諾した途端にしおらしい雰囲気が吹き飛び、思惑通りと言った顔で布団にダイブする。布団に飛んだ時に宵宮の丈の短い着物が翻って中身が見えそうになり慌てて視線を逸らした。ってそれ俺の布団。

 

「それ俺の布団だっつーの。お前のは居間に敷くからそっちで寝ろよ」

「………」

「宵宮?」

 

返答が無い宵宮の方を見ると、彼女は俺の使ってる掛け布団に顔を押し付けていた。更にそこに顔をぐりぐりしている。なにしてんの?

 

「男が使ってる布団に顔押し付けんなよ」

「わっひゃあっ!!!」

 

宵宮は飛び上がると布団をほっ放り出して何やら慌てている。俺はそんな宵宮の顔に大きな手ぬぐいを幾つか投げて、風呂沸いたから先どうぞと促した。

 

きららはそんな宵宮の肩によじ登り、ほっぺに何やら頭突きを食らわしている。宵宮は「ごめんごめん」ときららに言っていたが、何を謝ってたんだろ。

 

 

 

 

「お風呂…あがったで…」

「はいよ。……おぉ」

「…なんやっ」

 

俺は風呂から出てきた宵宮をまじまじと見て声を上げる。

 

宵宮は風呂上がりというのもあって普段結っている髪を下ろし、山吹色の小袖のような物を着ていた。こいつ髪下ろすと結構長いのな、いつもと印象がガラッと変わっていて、思わず目を奪われてしまう。

 

宵宮は俺の視線を気にしたようにそっぽを向き、先程敷いた今の布団の上にぺたんと女の子座りをした。

 

「その、あんまじろじろ見んといて…。恥ずい」

「っ!悪い。俺も風呂入ってくる」

 

俺は慌てて立ち上がると、着替えを引っ掴んで風呂場に駆け込んだ。

 

 

 

 

☆‪☆☆☆

 

 

「……迅くん、凄い見てたね」

 

お風呂場に行った迅くんを尻目にわたしは猫のまま宵宮ちゃんに話しかける。今の宵宮ちゃんは肩甲骨辺りまで髪の毛を下ろしていて、いつもと雰囲気が違って可愛い。

 

「うち、あんな迅初めて見たかもしれへん。もしかしたら女の子の髪型の変化に弱いんかもなっ」

「確かに、この前ポニーテールにしたらたじたじしてたし…弱点発見っ」

 

あまり大きな声を出すと迅くんに聞こえちゃうから、2人で顔を寄せてこそこそと話す。

 

「って、宵宮ちゃん。泊まってくなんてわたし聞いてないよ?」

「あはは〜、いろいろあって言うの忘れてたみたいや。ごめんなぁ」

「まぁいいんだけどっ。わたしももっと宵宮ちゃんと話したかったし」

「かわいいわぁ」

「わあっ、頭撫でないでっ」

 

しばらく宵宮ちゃんときゃいきゃいやってると迅くんが戻ってきた。その姿を見て、気になるところがあったのか宵宮ちゃんが声を上げる。

 

「そういや、朝も思たけど、なんでそんな厚着してるんや?」

「えっ?あー…」

 

言われて迅くんも今の格好ーー甚平の下に手首と首元まである黒いインナーを見て苦笑いをした。

わたしもずっーと気になってたんだけど、帰ってきてからの迅くんは基本的に露出が少ない。普段着物を着ていても肌が見えるところは首元まで黒いインナーを来てるし、両手もいつも黒い手袋をしている。別に手は汚れないようにとかで手袋をするのはわかるけど、何も寝る時まで肌を隠さなくていいのに。

 

「うーん、あんまり見て気分良くないかもしれないけど、宵宮ならいいか」

 

迅くんはそう言い、甚平の両袖を脱ぐと黒いインナーを捲り上ーーちょっとちょっとおお!?

 

「迅っ?なにいきなり脱いどるん!?」

「いや何って、そっちから聞いてきたんだろ」

 

宵宮ちゃんと一緒になって慌ててそっぽを向こうとするが、顕になった肌を見たわたしは目を逸らすことが出来なかった。固まったわたしを見て恐る恐る迅くんを見た宵宮ちゃんも同じように固まる。

 

「迅…その傷、ど、どうしたん?」

 

隠れていた迅くんの肌、主に背中や胴回り、腕などに夥しい量の傷跡が残っていた。火傷跡が1番多く、切り傷もかなりある、というか上半身に至っては無傷な部位が1つもない有様だ。

 

「前に言ったろ?1年仙人の下について無茶な修行してたって。これが修行の証的なやつ。火傷はまだ雷元素を使いこなせていない時に雷を纏ったから付いた」

「し、修行の証て……一体どんな修行したらそんな傷」

「…目隠ししてアビサルヴィシャップ単独突破とか…、聖遺物なしでレベルⅣ秘境単独とか?」

「うわぁ…」

 

思わず絶句するわたしと宵宮ちゃん。2人して「そろそろいいか?ちょっと恥ずいんだが」といそいそ服を着る迅くんを見ながら、迅くんの過酷な過去に続いて傷のことも話してくれたことになんだか嬉しく感じた。

 

 

 

✩✩✩✩✩

 

 

 

翌朝。

 

今度はなんの事故もなく普通に起床した俺は宵宮と一緒に朝ごはんを作っていた。

 

程なくして朝食も食べ終え、家事も終わらす。昨日みたいに縁側でのんびりしていると、あっ!と手を叩く宵宮。

 

「そや、迅っ」

「ん?」

「個人的な頼みがあるんやけど、ちょっと花火の材料を取りに行きたいんよ。良かったら付き合ってくれへん?」

「ん?おう、別にいいぞ」

 

宵宮はやった!と立ち上がり、ちょっと弓矢取ってくるで!っと城下町へ走っていった。元気だなぁ。

 

俺は待っている間きららでも撫でてるかと、周りを見回すが、きららが居ない。あれ?さっきまではいたんだけど。

 

寝室の布団の上や、ちゃぶ台の下、定位置の座布団などを探して歩いていると、戸が控えめに叩かれた。宵宮が帰ってくるには早すぎるし、お客さんか?

 

「はーい。って、綺良々?」

「こ、こんにちはっ。ちょっと通りかかったから寄ってみたんだけど、ひまかなって」

 

戸を開けると、なんとそこには綺良々が。この前ばあちゃんに紹介してから遊びに来ることが多くなったけど、ココ最近は来てなかったから驚いた。

 

「あ、ばあちゃんか?悪いけど、今ばあちゃん留守なんだよな」

「へっへぇ〜!そうだったんだぁ。迅くんは、この後なんか用事あるの?」

「ああ、この後宵宮と花火の材料採りの手伝いに行くんだよ。あ、綺良々さえ良かったら来るか?勿論宵宮に話通してからだけ「いくっ!!」おっ、おう」

 

えへへと笑顔になった綺良々を座らせ冷たいお茶を出した。ちなみに今日の綺良々はいつものハーフアップの髪型じゃなく、ヘアゴムでポニーテールにしていた。そういやこの前、リボンとかもっと着けたいって言ってたっけ。髪縛るゴムを大きなリボンにしたら似合いそうだ。

 

昨日の宵宮といい、なんでこう、女の子が髪型を変えると視線が吸い込まれるのか。そんなことを考えていると、お茶をひとくち飲んだ綺良々が俺を見て言う。

 

「迅くんってこういう時さりげなく優しいよね」

「えっ、どこが?」

「だって今自然に私の為に冷たいお茶出てきたよ?普段熱いお茶ばっかなのに」

「猫舌の人に熱いお茶出すほうが変だろ。猫又なんだから猫舌なのも想定内だし。当然の気遣いだよ」

「こういうところがすきなんだよなぁ」

「ん?なんて?」

「イヤ!?なんでもないよ!?」

「そう?」

 

 

「ただいまー!」

 

こんなやり取りをしていると、戸がバーンと開かれ宵宮が帰ってきた。俺と綺良々で出迎えると、宵宮の後ろに静々と佇んでいる少女がひとり。

 

「こ、こんにちは。兄さん。突然お邪魔して申し訳ございません…」

「おう、こんにちは、綾華。別に気にしなくていいぞ?…で、宵宮、どうして綾華を?」

「いやぁな。さっきそこでバッタリ会ったんよ。そんでこの後暇だって言うから連れてきた!」

「まぁこっちも勝手に人増やしたからとやかく言えないけど。綺良々も行くってよ」

「やったっ!」

 

あっという間に4人集まったな。家の中では綾華と綺良々が挨拶しあっていた。綺良々が若干震えてるのは気の所為だろうか?もしかして綾華が苦手なのかな。俺は綾華が後ろ腰に差している刀剣に目が止まった。

 

「お、磐岩持ってくれてるんだな」

「ええ。勿論です。日々のお手入れを怠らず、早く慣れるために1日素振りを200回ほど…」

「あはは、大事にしてもらえてるようで何よりだ。そういや、トーマから聞いたんだけど、刀抱いて寝てるって本当か?」

「そっ、それはっ、ととトーマの作り話ですっ!私はそんなはしたない娘ではこざいませんっ」

「だよな。流石にあいつの冗談か。よかった」

 

あたふたしながら詰め寄ってくる綾華をどうどうと止める。大丈夫か?お顔めっちゃ赤いけども。そんな俺たちを尻目に綺良々がはいっと手を挙げた。

 

「それで宵宮ちゃん。花火の材料ってどこに採りにいくの?」

「欲しいのは鳴草っちゅう植物で、影向山とセイライ島に生えてるんよ」

「セイライ島…、確か鳴神島の南にある島でしたね。丁度私も影向山で緋櫻毬を採集したいと思っていましたので、タイミングが良かったです」

「あっ、そういえば私も八重さまにセイライ島の天雲草の実を取ってきて欲しいって頼まれたよ」

 

どうやら3人ともこれから行く場所に用事があるらしい。セイライ島への行き方はある人物に頼むとして、取り敢えず近い影向山に行くか。

 

 

 

 

俺たちは家をでて影向山へ歩き始めた。素材採集とはいえ、道中は普通に魔物も出るので各々完全武装だ。綺良々が戦うところは見たことがなかったので若干楽しみ。俺は霧切を左腰に、綾華は後ろ腰に磐岩、背中に弾弓を担いだ宵宮に無手の綺良々。1人だけ武器無しな本人曰く、剣を持っても邪魔になってすぐ投げつけちゃうらしい。そういうところもかわいいですね(洗脳済み)

 

鳴草は険しめの影向山の崖の上や山道の途中、緋櫻毬は山の至る所に散っていて、雷元素を当てると採集が可能となる。ということで山道を通って一旦鳴神大社まで行ってから、崖上の鳴草を採りにいくことに。

 

紺田村からしっかりと道になっている山道を通るとなると、神里屋敷から山の外側を沿うように登らなくてはならない。当然ヒルチャールや野伏衆が出てきたが、またもや俺の出番はなかった。

 

なんか綺良々と綾華の張り切りようが凄い。敵が出てくるや否や、宵宮の射撃+綺良々の草元素攻撃で燃焼状態となり、そこに綾華が氷元素で斬り掛かり溶解反応で瞬殺。という流れがほとんど。

 

特に鎮守の森で遭遇したファデュイの雷蛍術師との戦いはやばかった。俺のことはファデュイでも有名らしく(絶対タルタル経由)お得意のワープで近寄られてなんか勧誘&誘惑され「いい男ねぇ」と頬を撫でられたものだから大変だ。

 

結果から言うと、雷蛍術師は何故かブチ切れた女性陣によってメッコメコにのされた。

 

俺は宵宮によって引き剥がされ、そこに、あの誰もが元気になる笑顔を消して瞳孔を細めた綺良々が草元素が詰め込まれた狛荷屋の箱を思いっきり叩きつけ、宵宮が跳躍からの花火矢で着火。普段の和やかな雰囲気はどうしたとツッコミたくなるほど無表情の綾華が神里流氷華からの霜滅を叩き込み、トドメに炎を纏った宵宮の連続射撃で蛍術師を彼方までぶっ飛ばした。

 

俺は更に飛んで行った蛍術師を追いかけようとした綺良々を後ろから羽交い締めにしてどうにか止める。

 

この時の綺良々はかなり力が強く、そのまま引きずられそうになったが全力で抱きついて止めるとすぐに力が抜け、赤い顔で振り返る。

 

俺はその顔を確認したかったのだが、敵が居なくなったというのにまだ顔に感情が乗ってない他2人の視線が怖すぎて目線を外せなかった。

 

 

などといったことがありながら鳴神大社に着く。ここから紺田村側に降りながら採集していく。どうやら綾華は今日、元々緋櫻毬を取るのに雷元素が必要な為俺に頼みに来ようとしていたらしい。

 

緋櫻毬と鳴草を集め終えると今度はセイライ島だ。本当はウェーブボートで行くのだが、ある人物に頼んで連れてって貰おうと考えていた俺は、皆を引き連れヤシオリ島まで来ていた。

 

「そんで?どうして旅人がヤシオリ島にいるってわかるんや?」

「ん?ああ、ここにアレがあるからな」

「アレ?」

「そ。まぁ行けばわかるよ」

 

なんで旅人を探しているかと言うと、ぶっちゃけセイライ島までボート出すのがめんどいから、ワープで連れてってもらうという考え。しっかりと献上品も持ってきたから多分承諾してくれるだろ。

 

俺たちはヤシオリ島の中心辺りに行くと、崖の隙間に石造りの扉を見つけた。その扉に見覚えがあるのか、宵宮は手を叩いた。

 

「ああ、アレって秘境のことか!」

「おう。やっぱ宵宮はここ来てたか」

「もちろんやで!うちもここの『追憶のしめ縄』には世話になっとるし」

「そうですね。私もここは何度か赴きました」

 

そういい、宵宮と綾華は腰のポーチを開く。その中にはぼんやり紫色に光る大きさ4cm程のバッジの様な物が5つ付いていた。宵宮のはしめ縄状の装飾で、綾華のそれは黒い武者道具に似た形だった。

 

ここは紅葉ノ庭という秘境。冒険者の中では有名で、通称絶縁秘境と呼ばれている。

 

秘境。世界樹の根に樹脂を注ぐと出現する魔物だったり戦士の英霊と戦い、勝利すると根っこから加護を貰って様々な物を貰える場所だ。そしてここでは『追憶のしめ縄』と『絶縁の旗印』という聖遺物を授かることが出来る。

 

聖遺物は花、羽、時計、杯、冠の5つに別れていて、同じシリーズで幾つか身につけると特殊な能力を得たりするし、ものによって効果が違う。

 

俺も興味津々にしている綺良々に見せるためにポーチを開く。

 

「あれ?迅くんのは2人と輝いてる色が違うんだね。それに、種類がばらばら?」

「おう。聖遺物は金、紫、青、緑、白の順で希少で、効果が高いんだ。バラバラに見えるのは2セットの効果を2つつけてるから」

 

そういい、俺は金色の輝きを放つ「剣闘士のフィナーレ」と「雷のような怒り」、「雷を鎮める尊者」を指でつついた。

 

俺の聖遺物は所謂「雷剣闘士」。雷元素のダメージと攻撃力が上がる組み合わせ。え?このスコア44.4(率11.7ダメ21.0)の雷討ち攻撃時計はなんだって?雷秘境の呪いだよ。

 

それで、何故俺たちは旅人を探してここに来たかと言うと、もう理由は明白だよな。

 

「あ、出てきた」

 

秘境の扉がゴゴゴッと音を立てて開き、その中からフラフラの旅人、蛍が表情を溶かしながら這い出てきた。………ぁぁ(精一杯の同情の目)

 

他の皆はそんな旅人が心配なのか、名前を呼びながら駆け寄る。俺も同情の涙を隠せない。……あれは脆弱10個使ってもゴミしか出なかった時の顔だ。

 

「おいっ!蛍!大丈夫かっ!?」

「旅人さん!しっかりなさって下さいっ!」

「旅人!しっかりしいっ!」

「旅人っ!しっかりしてくれよぉ!」

 

パイモンと共に再度秘境の内部に連れて行って肩を揺するが、反応がない。ん?なんか小声でブツブツ言ってるな。耳を近づけてみる。

 

「なんで……?なんでそんなに防御ばかり伸びるの………?実数値……メイン防御ぉ………いらないよぉ…絶縁に防御いらないよぉ……いやぁっ4OP目の防御ばっかり伸びないでぇ…!」

 

俺、こんな蛍見てられねぇよォ!!(日常茶飯事)

 

ああ、いいのが出なかったんじゃなくて、出たけどゴミになったのか。正直そっちの方が精神的にクるよな。

 

しゃーない、贈呈品とは別に、これもあげるか…。

 

「蛍、これあげるから元気だせ」

「……じん?」

 

そういい懐から1つの聖遺物を出す。蛍は俺たちの存在にようやく気づいた様で、目を瞬かせている。

 

「これ……楽団の羽?」

「そ。こんなんで良ければやるよ」

 

蛍は俺から受け取った羽を握りしめた。こうすると聖遺物の秘めた力がわかるようになる。すると、突如蛍が普段ならありえない声量で叫んだ。

 

「ええええ!?」

「にゃっ!?ど、どうしたの?」

「つ、強いっこれっ!…………53.5元チャ5.8!?え、っいいの?」

「おう。これで元気出わぷっ「迅っ!!」おごッ!」

「「「!?」」」

 

突然胸に衝撃が来て思わず後ろに倒れ込み、ゴンッと後頭部を強打して悶絶する。痛みが引いてから下を見ると、蛍が胸に飛びついて来ていた。そのまま見上げた蛍と至近距離で目が合う。

 

「じん……、ありがとう…!一生大切にする…!」

「おう、マジで大切にしろよ。俺楽団使わないから良いけど、本当はあげたくないんだからな」

「うん。これは私がずっと付けるね…」

 

そんなことを話していると、蛍の脇にそれぞれ腕が通され、持ち上げられると同時に俺の背中にも少し遠慮がちに手が触れ起き上がらせてくれた。

 

「こらっ!いつまでそんな距離感で喋ってんねん!」

 

蛍を起き上がらせた宵宮が頬を膨らませて言う。その横でもう片方の脇を持った綺良々もブンブンと首を縦に振った。距離感て、お前にだけは言われたくないわ。俺は背中を支えてくれていた綾華がなかなか離れないので声をかけた。

 

「ありがとう、綾華。もう支えなくて大丈夫だぞ?」

「…はっ!す、すみません…!」

 

バッと音が鳴りそうな勢いで離れる綾華。そんな綾華を前の2人はじとっとした目で彼女を見る。注目を浴びた綾華は顔を朱に染めて扇子で顔を隠した。

 

 

「それで、私に何か用なの?」

「ああ、ちょっとセイライ島まで届けてくれないかって思ってさ」

「うん、聖遺物も貰っちゃったし、いいよ」

 

本来の目的を忘れるところだった。みんなで蛍を中心になるように集まると、光が視界を覆い、目を開けたらセイライ島に来ていた。相変わらず天気悪いなこの島。

 

「わぁ……!」

 

綺良々はこの島に来るのが初めてなようで、あちこちを見ては歓声を上げている。

 

蛍も天雲草の実を集めているらしく、綺良々と半分こして集めることに。

 

パイモン合わせて6人という大所帯で回るセイライ島は中々に楽しかった。宝盗団や遺跡巡視者が出てきても宵宮綾華の溶解か、綺良々蛍の激化で為す術なく吹き飛んでいく。あの、俺も一応雷……。

 

集め終わったあとはみんなでフライムを狩ったり、雷音権化をシバいたり色々あってーーーー。

 

 

「皆、突然の雨で服ビショビショになっちゃったでしょ。だから今夜は私の洞天に泊まってって!」

 

そう言い、いい匂いがするお家(蛍の洞天の邸宅)に強制転移され、温泉に駆け込んでいく女子達を遠い目で眺める俺。

 

 

 

 

ーーーーどうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 





・綾華
自分だけ迅の家に泊まったことが無いと知りほっぺを膨らませている。自分も押しかけたいが、社奉行の令嬢という立場の手前、なかなか襲来できずにいる。ちなみに磐岩を肌身離さず持ち歩き、もちろん抱いて寝ている。

・蛍
聖遺物運が天理から見放なされている。迅と行くといいのが出るため誘う声は割と必死。


あ、一応作中出た聖遺物は私が実際に保有している聖遺物ですハイ
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