職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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おまたせしました。


本作のエウルアちゃんはゲームに比べて結構素直になっています。ゲームのイメージとは合わない可能性がありますので、ご了承ください。


4話 右に猫又左に騎士

 

 

 

 

 

ぐるるる…!こ、この人、強い……!

 

わたしは迅くんの右腕をしっかり抱きしめながら、反対側でわたしもした事ないこ、恋人繋ぎをしてるエウルアさんを見て唸り声をあげた。

 

うう、話には聞いてたけど、こんなに美人さんだとは…、それに素直じゃない性格って聞いてたのに、めちゃくちゃ積極的に迅くんにアピールしてて、油断出来ない。

 

「…ちょっと歩きにくいんだけど」

 

わたしとエウルアさんに左右から捕まれてサンドイッチの具みたいになっている迅くんはぼやいた。今の迅くん、お酒が入っていてちょっと顔が赤くなっててなんか、色気がすごい。稲妻じゃお酒を飲んでいるところを見たことがなかったから、新たな発見だ。結構飲んでたしお酒強いのかな?

 

そのまま歩いて、エウルアさんが住んでいる部屋まで来た…ところで迅くんが首を傾げる。

 

「え?」

「ん?どうしたの?」

「ここが今私が住んでいる部屋よ。広めだから3人泊まれると思うし、貴方達もどうぞ」

「いやいやいやいや」

 

外付けの階段を登った先に見える扉を何故か笑顔で指さして言うエウルアさんに迅くんが突っ込んだ。そのままもう一度扉をみて、なんか合点がいったみたい。頭を抱えた。ど、どうしたんだろ。

 

「……だからスペアキーでベッド1人分追加か……代理団長め」

「ちなみに私も今知ったわ」

「えっと、どういう事?」

 

迅くんに肩ポンしたエウルアさんと揃ってため息吐く2人にますます頭に「?」を募らせるわたし。迅くんはちょっと死んだ目ですました顔のエウルアさんをちらりと見る。

 

「ここ」

「え?」

「…俺が前暮らしてて、代理団長に借りた部屋、ここ」

「えええ!?」

 

ちょっとまって!?なんでエウルアさんが迅くんの部屋でぇ!?

 

ずるい!!!(クソデカ大声)

 

今度はわたしと迅くんが揃ってエウルアさんを見ると、彼女は肩にかかる空色の髪をくるくる弄りながらそっぽを向くと懐から鍵を取り出して階段を登った。

 

「まぁ、取り敢えず今日はここで泊まるしか無いわね。わたしは文句全然ないけど」

 

言うに事欠いてぇ!ま、わたしは迅くんと一緒なら文句なんてないけどねっ。すごく何か言いたそうな顔の迅くんが階段下から私たちを見ていたけど、諦めたのか、ため息をついて大人しく階段を上がってきた。その様子が子供みたいで可愛くて、エウルアさんとちょっと笑う。さっきまでバチバチだったのに今はちょっと仲良くなってるんだから、エウルアさんもいい人なんだろうな。

 

お部屋はめちゃくちゃ綺麗だった。物がないってよりも常に維持されてる綺麗さ。これだけでエウルアさんがかなり家庭的なのがわかった。

 

台所と居間の他に部屋が2つある間取りで暮らすのには全然困らなそう。荷物を置くと、お酒が回って眠くなったのか、迅くんが目をくしくし擦って欠伸をした。わ、迅くんでお酒入るとなんか仕草が可愛くなるみたい。迅くんの様子に気づいたエウルアさんが寝室の方を指さした。

 

「迅、眠そうだけど、お風呂はどうするの?」

「んぅ…、そだな、だいぶさけまゎてるし、先にやすませてもらうよ」

 

呂律回ってない!今までこんなゆるゆるの迅くん見たことないから、なんか、新しい感情が芽生えてきた…!

 

上着を脱いだ迅くんはそのままベットに倒れ込んだ。私たちで布団をかけると直ぐにすやすや眠り始めた。寝顔はほんとにあどけなくて、見てて自然に口が緩む。

 

その後はエウルアさんと交互にシャワーを浴びた。そういえば、こんなに長い時間人間になってたのは初めて。まぁ、最終的には妖狐様みたいに人間の方に偏るつもりだけど、それならまず正体を迅くんに言わなくちゃ。

髪に滴る水を拭きながら居間…リビングだっけ、に戻るとエウルアさんがお茶を2人分用意して待ってくれていた。やっと2人きりで話せるね。

 

お礼を言って椅子に座ると、青いカーディガンと白いホットパンツ姿のエウルアさんもくすりと微笑んだ。

 

「さて、やっとサシで話せるわね」

「うん。…えっと、改めて自己紹介ね。私は稲妻の妖怪猫又の綺良々。稲妻配達会社『狛荷屋』の配達員だよ。酒場ではムキになってごめんなさい。せっかくの再会を邪魔しちゃって…」

「それは気にしてないわ。だって、私があなたの立場だったら間違いなく同じ行動をするもの。…私の番ね。私はエウルア・ローレンス。モンド旧貴族の末裔にして、西風騎士団遊撃隊長をしているわ」

 

酒場とは違ってマウント取り無しの自己紹介を交わして、1度お茶を飲む。あぢっ。

 

「それで、私たちは、迅に特別な感情を持っている。…それは間違い無いわね」

「うん。わたしは迅くんの事が好き。大好き」

「ええ、私もよ。…私が言うのもなんだけど、全く躊躇がないのね…」

「わたしも最初は恥ずかしかったんだけど、好きって気持ちが恥ずかしい気持ちを超えちゃって…」

「凄くわかるわ。私もそのクチだし」

 

こくこくと頷き合う私達。その後はガールズトークに突入し、彼のことを色々と話し合う。

 

「夜は長いんだし、色々話せそうね。貴方は迅のこと、何時から好きなの?」

「うーん、それを説明するとなると正体をばらさなきゃいけないんだけど…迅くんには内緒にしてね」

「勿論よ」

「わたし、この姿になる前はただの猫で、迅くんの家の飼い猫だったの。それで、人間になった後に配達の仕事を始めたんだけど、その時に人の夫婦を見る時があって…」

「それで、迅を当てはめてみて、気づいたのね」

「う、うん。2年前位からかな。エウルアさんは?」

 

エウルアさんは、ちょっと朱に染まった顔をティーカップで隠す。多分誰かに話すのは初めてなんだろうな。

 

「迅の事は、最初変な奴だと思ってたわ。そんなに強くもないのに毎日死にに行くような戦いばかりして。ある時、私が迅を助けた事があったの。その時、あいつ何て言ったと思う?「余計な事をするな」って、今じゃ考えられないセリフよね。その頃の迅は目に光が灯ってなくて。『俺はもっと強くならなきゃ』なんて言ってたわ」

 

その話、迅くんから聞いたことがある。たしか彼は「やらかし」なんて軽く言ってた凄く辛い話。私も聞いてて胸が締め付けられた思い出がある。

 

「そ、それって多分、あれがあった後の迅くんだよね」

「…貴方も聞いていたのね。彼は自分を『罪人』と言った。そこが当時の私と共通するところがあったのよ」

「共通?」

「今は殆どないけれど、前までの私はモンドの住民に疎まれていたの。家が原因でね。買い物もろくに出来ないほどだったわ。それを彼…迅が正してくれたの。住民の前で土下座して、何度も頼んでくれたそうよ。そのためなら無償で依頼も受けて…中には口だけの依頼もあったのに、文句1つ言わずに…」

 

そう話すエウルアさんの顔は困った様な、それでいて嬉しさが隠せてない表情だった。自分の為に、そこまでしてくれて、好きにならない訳が無いよね。

 

「私はずっと、嫌われているって自覚したくなくて恩やお礼を『恨み』として誤魔化して来た。でも、もうその必要は無くなったわ。…迅以外にはね」

 

エウルアさんは誰もが見惚れるような笑顔で言った。

 

「この積もった恨み、絶対に迅に精算して貰うんだから…!」

「…なんか、いいなぁ」

 

そう自然と言葉が漏れた私にエウルアさんは「そうかしら」と首を傾げる。

 

「そんなに憧れるものでもないわよ?」

「だって、ちゃんと惚れてるきっかけと理由があって、自信があるんだもん。わたしはいつのまにか好きっていうふわっとした感じだったから……」

「…それでもいいんじゃない?」

「え?」

 

見上げると、エウルアさんが「ん」とティーポットを差し出して来た。見るとカップが空になってることに気づいた私はカップを出す。紅茶を注ぎながらエウルアさんは言った。

 

「そんな誰も彼も、人を好きなことに理由がある人なんて居ないわ。『好きだから』好きなのよ。その……なんか恋敵に塩送るようでアレだけど、自信持ってもいいんじゃない?」

「…ぷっ、あははは!」

「なっ!笑うことないでしょう!」

 

わたしは、相手を元気付けてる最中に、塩を送ってることに気づいて辞めようとしたけど結局励ましちゃって変な顔になってるエウルアさんを見て、笑いが込み上げてきた。

 

「あははは…、エウルアさんっていい人だね」

「う、うるさい…」

「あははっ!…うーんっ、そうだよね!好きだから、好きなんだもん。理由なんてないや」

「…ふふっ、それでいいわ。コレで正々堂々2人で戦えるわね」

「その、ありがとうエウルアさん。励ましてくれて」

 

笑顔で言った私に、いいのよと首を振るエウルアさん。

 

「それと、さんは要らないわ」

「え、いいの?」

「ライバル、でしょ?」

「…えへへへへっ」

 

頬杖をついて優しく言われた言葉に、嬉しくなってわたしはエウルアに抱きついた。

 

「ちょっ、いきなりなによ?」

「エウルアちゃん、かわいいなぁって」

「ちゃん!?ちょっと、さんは要らないって言ったけど、ちゃん付けは勘弁してくれないかしら…」

「やだぁー」

 

その後はいつも通り、エウルアさんとガールズトークの時間。話している内容は宵宮ちゃんとかと話してることと同じ感じだけど、興がノって来たわたし達の話題は変な方向に逸れ始めた。

 

「ねね、エウルアちゃんって迅くんの身体、見たことある?」

「かか身体!?見たことないわよそんなの!」

「私、猫の時に見たことあるんだけど、身体中に傷があるのは修行の成果ーって感じなんだけど、その、筋肉が引き締まっててめっちゃイイの!」

「そ、そうなの?」

「うん、服着てるとそうは見えないんだけど、脱ぐと凄いみたいな。細マッチョってやつ!」

「こ、今度見てみようかしら」

「それなら、一緒に事故装ってお風呂場に突入しない?」

 

などととんでもない計画を立て始めたり…。

 

「最近ムネがちょっとキツいのよね。また大きくなっちゃったのかしら」

「………」

「ひゃあ!?ちょっと何するの!?」

「お、おおおお」

「人の胸触っといて何よその反応っ?」

「で、でっか(素)……っていたたたたた!?ごめんごめんエウルアちゃん許してぇ〜」

「このエロ猫っ!お返しよっ!」

「ふにゃあ!?…んぅ、やぁっ」

「えっ、ちょっとあなた敏感過ぎない?これ、普段から弄ってないとならないわよ?」

「えええ!?な、なんで…あ、迅くんに触られてたからだ」

「なっ!?…ッ、アイツっ!」

「ち、ちがうちがう!!猫の時の話だってばぁ!」

 

と、乳繰りあったり…。

 

「あ、エウルアちゃん、さっき2人で正々堂々と戦いましょう?って言ってたじゃん」

「それがどうかしたの?」

「少なくともあと5人いるよ」

「はい?」

 

素っ頓狂な声を上げて、ティーカップを持ったまま首を傾げるエウルアちゃんかわいい。

 

「……ち、ちなみに誰なの?」

「えっと、迅くんの幼なじみ(宵宮)でしょ、迅くんの義妹(綾華)に、迅くんの自称姉(申鶴)、迅くんの姉願望持ち(甘雨)、に璃月七星の人」

「なによそのラインナップ…頭痛くなってきたわ」

「その中で前の2人は今度モンドに遊びに来るから、エウルアちゃんにも紹介するね」

「それはわかったけど…自称姉ってなんなのよ?」

「わたしにも迅くんにもわかんない。昨日突然言われた」

「えぇ…?」

 

まぁ、そんな顔になるよね。私も昨日同じ気持ちになりました。多分迅くんも。姉云々はともかく、申鶴さんのエウルアちゃんを凌ぐスタイルは脅威だ。気をつけないと……エウルアちゃん、やっぱスタイルいいなぁ。

 

「なによ。ジロジロ見て」

「いやぁ、スタイルいいなぁって」

「綺良々もかなりスタイル良い方よ。私とは方向性が違うけど。だいいち、大きくてもいいことないわよ。剣振るとき邪魔になるし。足元見えないし」

「…そんなことないよ!も、もし迅くんが触りたいとか言ってきたらどうすんの!?」

「さ、触っ!?な、何を言ってるのよ!」

「想像してみてよ!と、突然迅くんが自分を押し倒して来て、耳元で「触ってもいいか?」なんて来たらどうすんの?」

 

エウルアちゃんは想像したのか、顔がみるみる赤くなっていく。ちなみにわたしも真っ赤。

 

「そ、そんなの、倒れた体勢から巴投げして関節キメて縛るに決まってるでしょ!」

「ほんとうに?」

「そ、そうよ!」

「ちゅーと愛の告白付きだったら?」

「…………」

 

想像したみたい。顔が耳まで真っ赤。ちなみにわたしも真っ赤。

 

「そんなの、ずるいじゃない……」

「ね!!だから大きくてもいいことあるでしょ!」

「限定的すぎるわよ!…そういう綺良々はどうなのよ?そこまでスラスラ場面が出てくるなら考えた事はあるんでしょっ!」

 

わ、わわわたしだったら………

 

「綺良々、触っても…いいか?」(誇張イケボ)

「だ、ダメだよ…、こういうのは付き合ってからじゃないとんむっ」

「……っぷはっ、……これならいい?」

「ぅ………ぃぃょ」

 

うにゃああああああああああ!!!!!!!

 

顔を熱暴走させたわたしは両手で顔を抑えて椅子から崩れ落ちる。ダメだモロに想像しちゃった!

 

「ほらね」

 

それを見て逆に落ち着いたエウルアちゃんは勝ち誇った顔で紅茶をひとくち。

 

夜な夜な開かれた女子会は、お互いの口が暴発したことによってお開きになった。

 

 

 

「んん〜、そろそろ寝ないとね。エウルアちゃん明日は?」

「明日は休みよ、今日言われたの。今になって考えてみると…代理団長のやつ、狙ってたわね」

「あはは。それなら明日もゆっくりできるね」

「ええ。綺良々はもうひとつのベットを使って。明日新しいベットが届くはずだから」

「え、いいの?ありがと」

 

やっぱエウルアちゃんはいい人だなー。私が迅くんの隣のベットに入ると、カーディガンを脱いで黒のブラトップとホットパンツのなんかえっちな姿になったエウルアちゃんは、そのまま迅くんが寝てるベットにってちょいちょいちょいちょいぃ!!!

 

わたしはバッとベットから出て、迅くんにかかってる毛布をめくってるエウルアちゃんの腕をガシッと掴むと彼を起こさない位の声量で食ってかかった。

 

「なによ」

「なによはこっちのセリフ!なにしてんのッ!」

「ベットは2つしかないのよ?それで、貴方はうちのお客さん。お客を広い方のベットで寝かせるのは当然の事でしょう?」

「いやいやいや!それを言うならわたし達はエウルアちゃんの家にお世話になってる立場だからさっ、エウルアちゃんが広いベットで寝て、わたし達がこっちで寝るから!」

「いやだって、そもそもこっちが私のベットだし」

「自分のベットに迅くん寝かせんな!」

 

と、そこまでぎゃいぎゃいやったところで流石にうるさかったのか、迅くんがちょっと呻いた。言い合うのを辞めた私達は、お互いを見るとひとつの妥協案を実行した。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

翌朝。

 

…………おぉ神よ。

 

突然だけど、俺は神様を信じたことがあまりない。あ、ないって言っても存在を信じた訳ではなく、神様が存在するだけで生じるご利益とかの事な。やれ風神の加護で探し物が見つかっただの、やれ岩神のおかげで金運が上がっただの、草神のおかげで頭が良くなっただの。そんなん有り得るかいって思ってた。思ってたよ今までは。

 

いや、その、マジすみません。バルバトス様、鍾離先生、影さん、ブエル様、ついでにフォカロルス様。ん?なんで水神だけちょっと雑になったんだ?まあいいか。

 

その……神様に私め篠田迅から一生のお願いがあります。

 

 

 

「……すぅ……すぅ……」

「……んぅ……じんくん…………」

 

 

 

ーーー酒に酔って昨日の記憶が曖昧だった夜の翌朝、はだけた寝巻きの美女(エウルア)美少女(綺良々)が俺を挟むように抱き着いて寝ていた時の対処法を、教えてください。

 

 

 

つづく。





・迅×綺良々
・迅×エウルア
(new!)・綺良々×エウルア(!?!?!?)

百合路線も行けるって、コトォ!?

いつの時代もクールツンデレと元気っ娘の相性は良いのでありますな。
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