職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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お待たせしました。宵宮綾華のモンド訪問中編です。

長くなったので分割。

作中登場する神の目の元素力、元素爆発の仕組みは作者がオリジナルで考えたものです。原作とのズレが多々見受けられると思いますが、ご了承お願いします……!


前にも貼りましたが、迅くんの顔イメージです。今話中迅くんのお顔の話があるので、イメージの補強にどうぞ。


【挿絵表示】



9話 悪夢の鬱憤と恋の悩みを剣に乗せて

 

 

………なんか、最近の目覚めが変な件について。

 

モンドの冒険者協会でいくつかの討伐依頼を受けた俺は、霧切を腰に差して街道を歩きながらため息を落とした。

 

いつからだっけ。確か綺良々に剣を教えた日位から毎晩、変な夢を見るようになった。その内容がモンドや璃月、稲妻の野郎どもからほっぺにキスを貰うという拷問物で、しかも起きたら頬にそれっぽい感触も残っているおまけ付き。これが悪夢と言わずしてなんと言う。

 

ちなみに昨日はウェンティだった。まぁ、まだ女顔のアイツならマシ……って違う違う。どこのどいつでも男ならアウトだわ。感覚麻痺してた…。普通キスされた時点で飛び起きるものなのだが、何故か普通に朝まで寝てしまうので寝不足にもならないっていうね。悪夢の癖に要らんとこケアしてくんな。

 

それに変わったことはもうひとつあって、それが綺良々のこと。

 

その事も綺良々に剣を教えた時の話なんだけど、その時に絡んできたウェンティに飲みに誘われた綺良々を見て、俺は確かな嫌悪感を感じた。

 

それをからかうように綺良々に言われたから、ままよと全部彼女に話してみたんだけど、顔を真っ赤にした彼女はそのまま走り去ってしまった。

 

置いてかれた俺もその後部屋に戻ったんだけど、綺良々はすやすや寝ていた。寝顔があまりにも幸せそうだったので、起こさないで帰ってきたエウルアと夜ご飯を食べた。

 

その日から、綺良々がちょっとよそよそしくなった。別に避けられてるとかじゃなくて、普通に喋るし買い物とかも着いてきてくれるのだが、前みたいに膝枕でなでなでとか手を握ってくるとかはなりを潜め、至って普通の距離感に戻った、って言った方がいいのかな。あの時のセリフがアレ過ぎたかと疑ったが、嬉しいって言ってくれたし、なんなんだろうな…。

 

正直、俺は恋愛方面の「好き」がどういうものかは経験が無い。だから綺良々に対する可愛いなぁって感情が、人としてなのか猫としてなのか、区別がつかなくなっているのが現状。

 

仮に、今綺良々に持っている感情を恋愛の「好き」なのだとしたら、俺は、クズ野郎に他ならないと思う。

 

……なぜなら、同じような感情をエウルアや宵宮、綾華にも感じているのだから。

 

多分稲妻を出る前は余裕がなかったんだろうな。綾華とか宵宮とか、美人なのはわかってたがそういう目では全く見てなかった。だから再会した後はアイツらの魅力がどかーんって伝わってきて、仙人直伝ポーカーフェイスがなかったらどうなってたかはわからない。

 

それにアイツら距離まじで近いのよ。綺良々は言わずもがな、俺特効過ぎる猫又って種族と、元気はつらつな言動。なでなでの時の表情で癒してきたかと思いきや、飛びついてきた時にヒットする割とあるお胸が理性まで削ってくる。

 

宵宮は近寄る度にいい匂いがふわっと香るし鷲掴みしてもうたお胸柔らかかったし。縁側で言われた「今の迅の方が好き」発言とかえ、告白?って聞き返しそうになったし、トドメに髪下ろした宵宮だ。髪下ろしただけであんなに変わるのな。ポテンシャルえぐい。

 

綾華は再会後の社奉行のお嬢様的なしずしずとした感じが最近吹き飛んで来て、昔みたいにストレートに甘えてくるし。お泊まり会で櫛渡されて「昔みたいに髪を梳いて頂けませんか…?」って言われたから後ろに回って髪梳いてた時に肩越しで目が合って微笑まれた時とか、一応かかってるこの子俺の妹ですよロックが外れそうになった。

 

そんで最近モンドで再会したエウルアとか、どうしたお前。いやホントにどうした?君、前まで「怨」とか「恨み」を含んだもうエウルア語読解本作った方がいいだろって位回りっくどい話しかして来ないし、態度もツンツン極めてたのに、この前綺良々が寝てた時なんて、膝枕なでなでに始まってソファに座った俺に対して向かい合うように膝の上に座って来てそのままなでなでを強要してきた。

 

そんなことをされ続けたら疎い俺でも当然気づく。

 

恐らく、彼女たちは俺に特別な感情を向けてくれているのだろう。俺も人として、男として応えなければいけないのだが、だからこそ中途半端には答えられない。

 

俺は歩いている途中で川で水分補給をした。ここは上流で魚も居ないから変なものは入ってないだろう。腹壊したら仙力で治せばいいし。

 

そこで川の水面に俺の顔が映る。

 

多分顔は……整ってる方だとは思う。仙人には美形が多いのでそりゃそうかって感じだが。性格は……どうなんだろうか。受けた恩は割増しで返す主義だし、受けた依頼の失敗は修行後は殆どないし、ってこれ性格じゃねぇか。

 

うーん、考えれば考える程自分の何処がいいのかわからなくなってきた…。別にモテるために色々行動してる訳では無いからなぁ…。

 

まぁ、こんな直ぐに答えでたら苦労しないか。後々ゆっくり考えるとますかね。

 

そろそろ依頼にあるヒルチャールの巣に着く。ちょっと、お引越し頼みますよっ!

 

俺は攻め入る前にしっかりと集落の偵察をする。外にいるのは斧持った暴徒2と大盾1、ヒルチャール突進が2と雷弓が高台に3。風のシャーマンが1と……奥に炎アビスもいた。キャサリンのやつ、俺相手だからって高難度持ってきたな。これ騎士団が討伐隊組むレベルだろ。

 

ま、最近家事ばっかで鈍ってるし、いい運動になりそうだ。

 

俺は腰から霧切を抜き放つ。奇襲もいいけど、今回は正面から行ってみようかな。

 

抜き身の霧切をだらんと垂らしたまま歩いて集落に入る俺を見つけ、アビスが排除の指示をヒルチャールに出した。統率が取れているようで高台の矢手はボウガンを構え、暴徒の大盾を先頭に両脇を大斧で固め、後衛にシャーマンが風を従える。

 

アビスの魔術師が杖を掲げ、大盾に突進の司令を出した。

 

 

ーーー瞬間に、そのアビスの首が飛んだ。

 

「お前ね、組んだ隊列で俺の姿見えてないのに、バリアも貼らないでどこに攻撃指示だしてんだ?」

 

飛ばしたのは無論俺。大盾持ちが前に出て、アビスが見えなくなった瞬間に纏雷、高速移動。後ろに回り込みながら首に一閃。アビスって接敵したら速攻シールド貼る個体が多いんだけど、こういう大編隊を組んでるやつ程余裕ぶっこいて貼るのが遅いからそこを狙ったってわけ。

 

統率してたアビスが死んだ事によって隊列が崩れ始める。俺は飛びかかって来たヒルチャール突進の頭を掴むと、飛んで来た矢の盾にした。

 

一瞬にしてハリセンボンみたいになったヒルチャールを詠唱途中のシャーマンに投げつけると、脚に元素を圧縮して俺の頭目掛けて振りかぶる斧持ちの暴徒の懐に潜り込む。そのまま脇の下を通り過ぎながら脇腹から霧切を入れてあげると、元素を纏って切れ味を増した霧切によってバターを斬るように刀身が暴徒の身体を抜け、暴徒は2つに別れた。

 

俺は後ろの方を元素視覚で感知して首を傾けると、一瞬前まで頭があったところを矢が通り過ぎた。他の2方向からも矢が飛んでくるが身体を逸らしたりズレたりしてギリギリで躱しながら雷を纏った左手の指に挟んでキャッチすると、持ち主に投げて返してあげる。ボウガンで撃つよりも遥かに速い速度で戻ってきた矢に、弓手は何も出来ずに首から上を吹き飛ばされた。

 

そこに突っ込んでくる大盾と2匹目の大斧。盾で地面を擦りながら迫ってくる暴徒に俺は短く集中すると、霧切を弓を引くように構えた。圧縮された雷元素が螺旋状に絞られ、直後に解放。捻り突かれた霧切は大盾を難なく貫通し、盾ごとヒルチャールに風穴を開けた。あまりの威力に紫色の衝撃波と共に大きなヒルチャールの身体が浮く。吹き飛んだ暴徒は奥の監視塔に巻き込んで倒れた。

 

残りの大斧は横薙で迫ってきた斧刃の側面を転がるようにして回避。転がった勢いで暴徒の膝関節に霧切を叩き込んで膝を着かせると目の前辺りに降りてきた首を斬り飛ばした。残り2匹。

 

俺は風を飛ばそうとしているシャーマンとこちらに走ってくる突進に元素視覚を応用した元素波で雷元素をつけると手を地面に置いて、自分の周囲に強烈な磁場を形成した。それがヒルチャールに付いている元素と反発し、2匹は為す術なく空に巻き上げられた。

 

最後だけちょっと本気。練習も兼ねて。

 

俺は霧切を納めると目を閉じて集中。体の中に圧縮保存してある雷元素をちょびっと解放し、圧縮を掛けながら身体に纏わせていく。高出力化された雷は色を紫から青色に変化させる。

 

そして納刀状態の霧切に元素圧縮。居合の体勢を取った俺は、空高く飛ぶヒルチャールに向けて身体を捻らせながら垂直に抜き打ち一閃をした。

 

蒼雷一閃(そうらいいっせん)ーーー断空(だんくう)ッ」

 

鍔と鞘の間に斥力を付与したせいで居合の速度はさらに加速。光が灯ったと見紛うような神速で振り抜かれた蒼色の剣閃は、空のヒルチャールを消し飛ばしながら剣圧となって進み、青空を覆っていた雲を2つに割った。あまりの剣圧に俺を中心として強烈な風圧が襲い、周りの木々の葉を吹き飛ばす。

 

「……ふぅ」

 

討伐を確認した俺は残心と纏った元素を解くと、チンと音を立てて霧切を鞘に納めた。ふと気になって集落に残っていた水桶に顔を写すと瞳の色は変わっていなかった。

 

うん、やっぱり仙力経由で元素を引き出すと変わっちゃうみたいだな。余威戦の時には気を付けないと。

 

 

 

 

 

その後も同じ感じで遺跡守衛と狂風のコアを倒して、あとは報告に帰るだけだが、俺としてはここからが本題だ。俺は望風海角の森に行くと、適当な切り株の上で胡座をかいた。

 

今からやろうとしてるのは、仙力に元素力を溶け込ませる作業。さっき使った"元素爆発"で消費した元素力を回復させる為だ。俺の元素爆発について説明する前に、まずは神の目の仕組みと元素爆発について話さないとな。

 

まず神の目な。これを授かった人を「原神」って呼ぶんだけど、その原神達が神の目から出せる元素に基本的に限界は無い。だけど、1度に出せる量は決まっている。これは誰でも同じで、わかりやすいように100と仮定しよう。ちなみに邪眼は150〜200。そして元々元素を操れる魔神や仙人なども100〜200。神の心を使うと際限なしって感じ。基本原神達はその一度に出せる100の元素力で戦う。そして使った元素は勿論回復させなければいけない。だからある程度威力が出る元素攻撃は連発できないことが多いんだ。

 

そんで元素爆発は、元素を使った時に残る残滓が神の目の別枠に溜まっていって、その貯まった元素を使用して撃つ技の事。いわば予備ストレージみたいな役割の場所に元素が貯まってるから攻撃で消費した元素が回復していなくても出すことができる。

 

それで本題。俺はなんなんだと言うと、発現した元素力を仙力に溶かしたり元素を圧縮して神の目に貯めることが出来る。だから俺は人より多くの元素力を貯蓄できるんだ。さっきの青い雷はその貯めてた元素を全力で使ってる状態。

 

具体的な数値を言うと、元々の100と仙力に溶かしてる100。そして5分の1の圧縮で神の目のストレージに保管してある500で、合計700。常人の7倍の元素力を使えるってこと。

 

こうして見ると反則級の元素量だけど、世の中そんなに甘くない。まずこんな量の元素を神の目に留めておくには元素力のコントロール技術がめちゃくちゃ要るし、何も700全部使えるわけじゃない。その中に仙力も含まれてるから使い切ったらもちろん死ぬし、使ったあとの身体の負担も半端ない。使えて5秒以内かな。

 

長くなっちゃったけど、今俺はさっきヒルチャールに使った分の元素を圧縮して補充しているところ。それに日課の仙力を元素力に変換するのも忘れない。こうして俺は1日にストレージに200分圧縮保存ができる。余威戦に向けた貯金って訳な。

 

恐らく余威戦での俺の役割は、遊撃かもしもの時の保険になると思う。オセル時も攻撃を防ぐのに一役買ってたし、周りを見渡す為の群玉閣配置なんだろうな。

 

そうなった時に、俺はどう戦うべきか考えて思いついたのがコチラだ。

 

俺は持ってきた風の翼を身に着けると真上に向けて電磁離斥を発動。俺を囲うように垂直に伸ばされた元素のレールに沿って自身を一気に上空へ撃ち出した。そのまま翼を広げて滑空を始める。

 

ちなみにここからは、アンバーが見たら卒倒するような危険運転をするので良い子はマネしないように。

 

俺は普通なら手を広げて滑空する所を、気をつけの体勢で頭を真下に向ける。当然重力に引かれて落ちるわけで、空気抵抗も最小の体勢なのでめちゃくちゃ速度が上がっていく。十分に速度が乗ったところで羽を広げて前を向くと普通に滑空するのでは比べ物にならない程の速度で空を駆け抜けた。しかもそのまま更に電磁離斥。加速をしながら高度も稼いだ俺は、色々と身体の向きを変えてみる。

 

うん、速度が出てれば多少バレルロールとかしても大丈夫そう。

 

はい、どう戦うかと言いますと、ガッツリ空中戦してやろうかなって。余威はかなりデカいそうだし、水上からはみんな帰終機で攻撃するだろうからアイツの目の前を飛んで気を引こうかなって考えていた。ぶっつけ本番だったけど実用的で一安心。

 

ただ霧切を振る時は飛びながらすれ違い様位が精一杯だな。止まって振ると当然落っこちる。気をつけないと。

 

俺はその後もしばらく空中での身体の使い方を練習するのだった。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

 

 

「ど、どういう感じでシたのよ…?」

「こういう感じだけど……ぅぅ〜恥ずかしいよぉ…」

「おおお……こ、これは絶景ですなぁ」

「蛍ちゃん……おっさんみたいになっとるで?」

「……傍から見ているこちらまで照れてきますね…」

「おまえら、なにしてるんだ…?」

 

うう、こうして見られながらは恥ずかしいよぉ…。

 

ベットに仰向けの鼻息荒い蛍ちゃんに覆いかぶさったわたしは、周りからの視線を集めながら内心涙を流した。

 

なんでこんなことになったかと言うと、わたしが夜な夜な迅くんの寝顔を見てたのがみんなにバレまして……。今その実演をさせられているのです…。

 

「綺良々っ、それでっ?そのあとはどうしたのっ?」

「蛍ちゃんが凄いイキイキしてる……」

「こんな旅人見たくなかったぞ……」

 

げんなりしてるパイモンに目もくれないでわたしに続きを催促してくる蛍ちゃん。え、この続きって…もうちゅーしかないですけど!?

 

「こ、これを寝てる迅にやってたのよね……。綺良々、大胆だわ…」

「ええ、私ではとても……凄い勇気ですね…。に、兄さんが起きたらどうなっていたんでしょうか…?」

「そのスリルまで楽しんでたんやろ?変態やな…」

「そこ!やかましいよっ!」

 

言いたい放題の外野に突っこむ。わ、わたしは変態じゃないもん!!

 

暴露した時はみんな「ずるい!」って飛びかかってきた癖に、経緯を説明した後は1周回って尊敬と畏怖の目線を向けてくる皆。

 

わ、わたしってそんなに大胆なの?で、でも、そんなのどうでも良くなっちゃうくらい好きだし……。べつに変じゃないよね?

 

「綺良々、綺良々」

「な、なに蛍ちゃん」

「…バッチコイ」

「何が!?」

「私は完全再現を所望しますっ」

「ええ!?」

 

ええっ、蛍ちゃんにちゅーするのぉ!?べべつに女の子同士だから嫌とかじゃないんだけど、周りの視線が刺さるよぉ。

 

助けを求めるように周りを見ると、みんな顔を真っ赤にして固唾を飲んで見ていた。綾華ちゃんに至っては顔を両手で覆ってるけど指の隙間から見てるのバレてるからぁ!というか誰か止めてよぉ!

 

「ほらっいいからっ、私はバッチコイだからっ」

「う、うぅぅ…」

 

どうやらやらないとずっとこの状態みたい。や、やるしかない…!

 

わたしは迅くんにするのと同じように蛍ちゃんの顔に自分の顔を近づけていく。邪魔な髪を耳にかけて、蛍ちゃんの顔の横に手を着く。い、いきますっ。

 

「…んっ」

「!!!」

 

わたしは蛍ちゃんのほっぺに軽く唇をあてた。恥ずかしいからすぐに顔を離す。

 

『………』

「な、なんか言ってよっ!」

 

蛍ちゃんも周りのみんなも黙り込んでて、変な空気になってるってぇ!

 

「も、もうおしまいっ!再現したんだからもういいでしょ!」

 

そう言ってわたしはベットから降りて隣の自分のベットの毛布に包まった。顔の上半分だけ出してみんなを睨みつけると我に帰ったのか、しみじみと感想を言ってきた。

 

「な、なんか…えっちやった」

「宵宮ちゃん!?」

「え、ええ…。女の子同士ですのに…ドキドキしました……」

「そ、そうね…君はどうだった…って、え?」

「あれ?旅人っ?」

 

さっきから蛍ちゃんの反応がない。というかピクリとも動いてない。

 

みんなで顔を覗き込んで見ると………気絶してる……。

 

「旅人ぉ!?大丈夫かぁ!」

「よっぽど綺良々ちゃんの破壊力が凄かったんやろうな。綺麗に白目剥いとる……」

「ええっ、わたしのせいなの!?」

 

白目を剥きながらもどこか幸せそうな顔で気絶してる蛍ちゃんを総出で起こす。最終的にお腹にパイモンプレスを食らって飛び起きた蛍ちゃんは感想をこう語った。

 

「髪を耳にかけて、だんだん近づいて来る綺良々の顔が良すぎて意識飛んだ」

 

どういうことっ!?

 

蛍ちゃん以外の興奮が落ち着いたところでまた席に座ってお茶を飲むわたし達。エウルアが頬杖をついてわたしをぼんやり見ながら言った。

 

「まぁ、綺良々のキスはさておいて、迅に嫉妬されるなんて羨ましいわね…」

「せやで。うちも迅に「宵宮がいいんだ」とか言われてみたいわぁ。綾華ちゃんはどうや?想像してみぃ?」

「………………きゅう」

「あっ、綾華が爆発した」

 

ぼふっと音を立てて頭から煙を出している綾華ちゃんをみんなで冷やしながらあの時のことを思い返す。えへへ、やっぱり嬉しいな。

 

「ふーん、迅が嫉妬ね。前聞いた時はピンと来てなかったのに」

「えっ、蛍ちゃん迅くんに聞いたことあったの?」

「うん。洞天に泊まった時、ご飯作ってる時にね。私がみんなが他の男の人と仲良く会話してるの想像してみてって聞いたんだけど、うーんって首捻ってたよ。その時に比べたら成長したんだね」

「へぇ〜」

 

そんなことがあったんだり、じゃあわたしが1歩リードってことなのかな?そんなことを考えて内心ニヤニヤしてるとエウルアちゃんがおもむろに口を開いた。

 

「そういえば、この後はなにか予定あるの?せっかくモンドに来たんだし、観光でもしたら?」

「そうですね。何処かおすすめの場所はありますか?」

「それならオイラが案内するぞ!モンド城の外にも絶景スポットがいっぱいあるから行ってみようぜ!」

『賛成〜!』

 

そう決まったらみんなの動きは早くて、手分けしてお茶会の片付けを済ませると外行きの準備を始めた。城の外にも出るので各自武器を持ってきている。

 

わたしも自分の武器を用意すると、それを見た蛍ちゃんと綾華ちゃん、宵宮ちゃんが目を丸くする。

 

「あれ?綺良々って剣使うん?」

「うん。最近迅くんに教えて貰ってね。この剣も貰ったんだ」

 

そう言って、白い鞘に納まった銀色の長剣「黎明の神剣」を腰の後ろに吊る。この剣は持ち主の生命力に応じて斬れ味を増すみたいでシールドを貼りながら使うと良いよと迅くんから教えて貰った。明らか金属なのに凄く軽くて気に入ってるんだ。……勘だけど、綾華ちゃんの持ってる剣もわたしに合いそうなんだよねぇ…

 

わたしの視線に気が付いた綾華ちゃんは「兄さんからもらった大切な物なのでダメですっ」と剣を抱きしめてた。一見かわいいけど、ほんとに肌身離さないんだよね。その剣。

 

「じゃあとりあえ城内のスポットを紹介するね。最初は風神像とか西風教会に行こうか」

「任せるで!初めての外国やし、すっごい楽しみやっ!」

「はいっ!よろしくお願いいたしますね」

「任せろっ!」

 

そんな感じでわたし達は街に繰り出した。

 

 

 

 

 

後編に続きますっ







蛍「役得でした」
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