綺良々お誕生日おめでとおおおおおお!!!!!
ということで短編をマッハで書き上げました。
時系列はまだモンドにいる時。風の翼の回の後ら辺になります。
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「…あなた、帰ってきたのは本当だったのね」
「あ、ディオナか。久しぶり」
時刻は夕方に差し掛かった位。モンド城のエウルアの部屋での生活が始まって5日ほどで、日用品の買い出しを済ませてメインストリートを歩いていた俺は、後ろから誰かに声をかけられて振り向いた。
ストリート沿いにあるバー、キャッツテールの扉から顔を出して俺を呼んだのはカッツェレイン一族と呼ばれる猫の血を引いた一族の少女、ディオナだ。バーの開店準備中なのか立て札を胸に抱えている。
「リトルプリンスは元気?」
「変わらずよ。あなたは……相変わらずね」
「相変わらずとはなんだ色々変わってんだろ服とか」
「服だけじゃない。………あと、見過ぎよ」
「あ、ごめん」
俺は慌ててディオナのぴくぴくする猫耳とみょんみょんする猫尻尾から視線を外す。いやぁいつも見ちゃうんだよなぁ。彼女はそういうところが相変わらずなのよとため息を吐くと、もうすぐ開店だけど寄ってく?と店内を親指で指さした。
前までは保護者同伴じゃないと入れて貰えなかったので嬉しくなって入ろうとするが、1人の猫又の顔が頭をよぎって足が止まる。綺良々のやつ、俺が他の猫を撫でるとめちゃくちゃ怒るんだよなぁ。他の猫の匂いとか毛が着くのが嫌なのかな?
「ん?どうしたのよ?」
「え、いやぁ~」
俺が店内に入るのを渋っているとディオナは首を傾げる。俺が猫とふれあいながらお酒を飲めるキャッツテールに速攻で走り込まなかったことに余程を驚いたのか、目をかっ開いていた。
「えっ、あの猫好き通り越して猫狂いのあなたが渋るなんて…具合でも悪いの?」
「失礼な。そんなことねぇよ。ただ、ちょっとな?い、いまはそういうはっちゃけを辞めたと言うかー「なんだ。せっかく猫吸いキャンペーンやってるのに」入るわ」
俺は力強い足取りでキャッツテールのドアをくぐるのだった。
本物の猫吸いからしか得られん栄養があるのですっ。
「にゃぁ~~」
「んにゃぁ」
「んなぁ〜」
「ゴロゴロ〜」
「う"わ"ぁ〜〜」
4人がけのテーブルに座り、注文を終えると待ってましたと言わんばかりに俺の膝の取り合いを始める猫たち。ちなみに最後の汚ぇ声は俺ね。やっぱ本物の猫の猫吸いからしか得られん栄養素があるわ(2度目)。
もう撫でるとかそういうことする前に猫がどんどん飛んでくる。手を空けておくだけで乗っかったり頭擦り付けてきたり舐めてきたり。あぁ~^とんでもねぇ勢いで癒されていくのがわかる。
「久しぶりに来たからみんな凄いにゃ。…大丈夫?」
「しあわせ」
「…大丈夫ね。注文したドリンク、ここに置いとくわよ?」
猫まみれなってる俺を見て呆れながら飲み物を置き、カウンター裏に帰っていくディオナ。その隣でオーナーのマーガレットさんがすごいものを見る目で俺を見ていた。俺は今腕にそれぞれ1匹ずつに膝の上に3匹、首に巻き付くように1匹、頭の上に1匹と顔の上に1匹引っ付いていてもう歩くマタタビの木みたいになっているから、かなり変な光景だな。
猫が邪魔で飲みもん飲めないけど、かわいいからいいや。
「いやぁ~、堪能堪能。また来れてよかったよ」
「珍しいわね。あなたがここに来てお酒を飲まないなんて」
「まぁな」
1人で外で呑んでくると家主が「私も誘ってくれれば良いじゃない…」と拗ねるので最近は控えている。
「あ、ディオナ。アレあるか?コロコロするやつ」
「あるけど…あなたいつも猫の毛着きまくったまま帰って猫の残滓を堪能するとか言ってたじゃない」
「言ってねぇよ捏造すんな」
くすりと笑うディオナから粘着質の素材を円柱に成型して持ち手を付けたホコリ取りを受け取り、服の猫の毛を念入りに取る。結局誘惑に耐えられなかったなぁ…。帰ったら速攻で風呂に入ろう。流石に湯を浴びて着替えたら綺良々にもバレないだろ。
「じゃあな。また来るよ」
「ふんっ、今度来る時もお酒飲まないようにね。ドリンクだけ飲んでればいいにゃ」
「ディオナも呑めるようになったら良さがわかるよ」
「パパみたいになりたくないから絶対呑まない」
パパェ………。
「ただいまー」
「お帰りなさい。遅かったわね」
エウルア宅に戻ると丁度風呂から出てきた家主と顔を合わせた。遠征任務に行っていたので会うのは2日ぶり。エウルアは俺が買ってきた日用品を受け取る。
「さっき帰ってきたのか?悪いなまだ夕飯できてなくて」
「いいのよ。丁度パイが食べたい気分だったし、これから作るから待ってて?」
「ありがとう。俺も風呂先入っちゃうよ」
にこやかにエウルアと会話をするが内心心臓がバクバクだ。一刻も早く風呂に入らなければ。すると廊下の奥から会話を聞きつけたのか綺良々が顔を出していた。
「あっ、迅くんっ!おかえりぃ〜!」
かわよ。ってそうじゃない!……た、多分この距離ならまだバレてないはず。近づかれる前に風呂に入るッ!!
「遅かったけど、どこ行ってたの?」
「ああ、ちょっと昔の知り合いに会ってな。ちょっと話し込んじゃったんだ。先、風呂入るな」
「うんっ、ごゆっくり~~」
よしっ、バレてない!脱衣所の扉に体を預けて一息ついた俺は、そので服を手洗いした。これで証拠隠滅。この時の俺は証拠隠滅に夢中でドアと廊下を挟んだ先で微かに聞こえた綺良々の呟きを聴き逃してしまったことに気が付かなかった。
「………ほかのメスの匂いがする」
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「迅くんっ、飲み物空いてるよ?せっかくエウルアちゃんが帰ってきたし、お酒飲んじゃったらっ?」
「迅くん迅くんっ、これ食べる?…口開けて〜…あ〜ん♬ 」
「あ、迅くんグラス空いてるよ?わたしが注いであげるっ」
なんか綺良々がすっごい笑顔だ。かわいい。俺が風呂から上がった途端になでなでを所望して、今こうして夕ご飯を食べてる時も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。とりあえずあーんはやめようか?君が1回する度にエウルアも食べさせようとしてくるからっ!
あとめちゃくちゃお酒飲ませてくる。そんでめちゃくちゃ体寄せてくる。お酒飲のおかわりを注ぐ度にいい匂いがふわっと香って、サラサラの亜麻色の髪が俺の頬をなでて少しくすぐったい。そんな綺良々と目が合うと満面の笑顔で返されて俺は浄化した。
その後、エウルアは疲れていたこともあり早めに就寝。俺は皿洗いは綺良々に任せてソファでぐでーっとしている。
少し飲みすぎたかな。吐く息が熱くなってて視界がふわふわしてる。その状態で聞く綺良々の皿洗いの音は存外悪くなかった。
皿洗いが終わったのか台所の方向、座る俺の後ろ側からとてとてと足音が聞こえた。振り返る前に綺良々はソファの背もたれ越しに後ろから首に腕を回してくる。
「ねねっ、迅くんっ」
「ん?なんだ?」
耳元で囁くように呼んでくるので耳が気持ちいい。綺良々は左右の耳に息を吹きかけるように続けて囁く。
「あのねっ、ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いいかなっ」
「んー?いいぞ?なんでも聞いてくれ」
お酒も入って気分が良くなってる俺は綺良々のウィスパーボイスにやられながら回らない頭で答える。んー、何を聞いてくるんだ?
「やったっ、ありがとっ!えへへへ、あのねあのねっ、迅くんさ…」
「今日キャッツテール行ったでしょ?」
「ヒュッ」
俺は反射的に綺良々から離れようとするが回された腕がそれを許さなかった。再び背もたれに固定される俺の耳に、声音だけ笑ってない声が響く。
「ななななんのことだ?俺はキャッツテールなんていってないぞ?」
「におい」
「っ」
「帰ってきたとき、全身からバッチリ他の猫の匂いしてたよ?わたしがわからないとおもった?」
綺良々は後ろから拘束している体勢から背もたれを飛び越えて俺の膝の上に向かい合う形で乗っかってきた。酔いなんて一撃で吹き飛んで冷や汗を滝のように流す俺の頬を手で包み込んで、瞳孔がまん丸になった瞳を見せられる。
「…………いったでしょ」
「ハイ、行きました。すみません」
あかん、マジで怖い。無表情で声に抑揚なくて、瞳孔まん丸の綺良々がマジで怖い。このまま俺殺されるんじゃないか?何も出来ずに震えてると、綺良々の頬がどんどん膨れ始めた。そのまま俺のほっぺをむいむいーっと引っ張り管を巻き始める。
「もぉ〜!なんでわたしに黙って他の猫撫でるの!?」
「いや、丁度ディオナに声かけられてさ。一応断ろうとしたんだぞ?」
「でも撫でたんじゃん!!……そ、そんなにわたしじゃダメなの?足らないの?」
そう上目遣いで聞いてくる綺良々は大変かわいいんだけど、さすがに人と猫だと大きく違いがあるんだよ……。
「その、今なら猫吸い無料キャンペーンにやられて……流石に本物の猫吸いには抗えなかったんだよ」
「…じゃ、……じゃあさ」
「え?」
歯切れの悪い綺良々の声に顔を上げると、なんと綺良々が来ている服を捲りあげていた。ちなみに今の綺良々の服装はTシャツとミニスカートで上に上がったことで綺良々の白いお腹が見えている。そのままシャツを胸の上まで捲り上げるといつもの黒いインナーが覗き、2つの丘の盛り上がりでシャツの裾が引っかかる。あまりの扇情的な光景に俺の思考も一瞬止まった。
「わ、わたしで猫吸いすれば……いいじゃん」
「ちょっと、綺良々っ!?」
「…ぅ、えいっ!」
慌てふためく俺に構わず、自前の猫耳を生やした綺良々は俺の顔を胸に抱いた。顔にとてつもなく柔らかいものが着弾し、思考が彼方まで吹き飛ばされる。
「そ、そのまま…すって?」
「もごもご!?」
吸えと言うか、息が苦しいので呼吸しないと死ぬ。俺は息を吸い込むと綺良々のいい香りがいっぱいに飛び込んできて頭がクラクラしてきた。顔面に感じる2つのやわこいのが精神に追撃をかましてきて、綺良々は俺が逃げないように身体をピッタリと密着させてくるせいで身動きも取れない。
「……んぅっ、んんっ……」
俺が呼吸する度に俺の息が肌にあたって擽ったいのか綺良々がビクビクと身動ぎをして腕がさらに締め付けられた。ってしぬしぬしぬ!?流石に息できなくて窒息死するって!俺は身体を離すべく、俺の膝の上に跨って座っている綺良々の脇腹を掴んだ。
「ふにぁああ!?」
すると綺良々の身体が跳ねて腕がさらに締められる。アッ、まずいほんとに意識が……。俺は生き延びる為に必死に綺良々の香りを吸って吐いてを繰り返す。
「…い、いきなり触るなんて、迅くんのえっち。えへへへっ……もうっ、そんなに吸わなくてもいいのに…」
違うと言いたかったが、口元が綺良々のお胸でロックされて開けないので俺は鼻呼吸を頑張るしかない。
綺良々は胸に埋めた俺の頭を優しく撫でている。…これって猫吸いなのか?今ん所綺良々の人要素で陥落しそうなんだけど。
俺は手を綺良々の猫耳に持っていくと、意図が伝わったのかようやく離してくれた。
「……その、ごめん。勝手に行っちゃって」
「……ううん、わたしで満足させられなくてごめんね」
言い方よ。とりあえずシャツの裾は直させるといつものように綺良々を膝枕して猫耳を堪能する。
「そういえば、綺良々はなんで俺が他の猫撫でるの嫌なんだ?他の猫の毛や匂いがつくから?」
「えっ、……う、うん。そういう感じ。…ごめんね?こんなわがままな猫で」
「別にいいよ、猫って面倒くさいほどかわいいしな。それにこの大きい猫耳は唯一無二だわ。癒される〜」
「ふふっ、くすぐったいよ…」
猫耳の先を擦るように撫でると綺良々が身動ぎをする。空いた片方の俺の手を取って自身の顎に持っていったので顎を優しく撫でるとゴロゴロと喉を鳴らした。
……こんないい猫が家にいるのに、猫撫でに行った俺ってアホだな。
「ね、迅くん」
「ん?」
「ね、猫吸いがしたいなら…いつでもいいからね?」
「……お腹しまいなさい、風邪ひくよ」
「母親!?」
ただ、この猫が時々こう、えっちなのはいただけないな。心臓に悪い。
翌朝、撫でたまま2人で重なるようにソファで寝てたらしい俺たちは起きたエウルアに大目玉を食らうのでした。
おしまいっ
猫又吸いというかこれもうそういうプレイだよね。