職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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おまたせしました!!

ちょっと体調を崩してまして、投稿が遅れました。申し訳ありません。



影ちゃん回になります。


5話 なんか影さんと将軍の距離感が変わってきた件

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

ーー振り上げられた薙刀を身を捻って躱す。

振り上げた勢いのまま流れを止めずに飛んできた袈裟斬りを霧切で叩いて逸らし、中段で放たれた薙刀の穂先が見えないほどの速さの連続突きをこちらも雷を纏わせた霧切を閃かせて叩き落とした。

 

「はっ!」

「せぁっ!」

 

紫電を纏った刀と薙刀が激突して、凄まじい衝撃波が一心浄土を駆け巡る。

 

このまま力比べは分が悪過ぎるので押される力に逆らわずに後ろに下がると俺は霧切に雷を超圧縮する。出力が桁違いに上がったことで温度が上がり、紫から青白く変化した雷をバチバチスパークさせながら、先程とは比べ物にならない速度で鍛錬相手ーー影さんの背後に回り込んだ。

 

こちらが霧切で斬る前に振り向き様の薙刀が飛んできたので下がって避けると、影さんは薙刀を振る時に軸足として使った右足から左足に瞬時に重心移動をしてリーチを増した後ろ回し蹴りを繰り出す。

 

その脚を手を痛めながら掴んで受け止めると、その脚を曲げて俺を引き寄せてきた。そのまま身を捻って反対の足で振り下ろしたかかと落としが手を離して上体を逸らした俺の頬を掠める。

 

「ちょっと神様とあろう人が足癖悪いんじゃないんですかね!?」

「ふふっ、ですが虚を突かれたでしょう?」

 

青い雷を帯電した霧切を構え直しながら文句を言う俺に笑顔で返した影さんはニコニコしながらえげつないコンボを叩き込んでくる。

 

それを強化された仙人の肉体をさらに雷で強化して捌く。前まではギリギリ対応しきれなかった影さんの打ち込みが、今は普通に反応して防げるまでになっていた。

 

「そこッ!」

 

俺は攻撃の最後に振り上げを繰り出すことが多い影さんの癖を読んで、薙刀に蒼雷を圧縮した霧切を合わせようとした。上手く行けばこれで薙刀を弾き飛ばせるはず。そして、今まで1度も取れていない念願の1本を……!

 

「えいっ」

「…は?」

 

しかし、それは蒼い雷を纏った薙刀(・・・・・・・・・)に呆気なく弾かれた。あまりの衝撃に手から離れた霧切がくるくると後ろに飛んでいくのが視界の端に写る。

 

俺はそのまま無様に尻餅をついた。

 

 

 

「ふふっ、勝負ありですねっ」

「……」

 

そう自慢げに笑う影さんは目に入らず、俺は呆然と彼女の薙刀に迸る蒼い雷を呆然と見詰めた。

 

「…あ、これですか?あなたを驚かせるためにこっそり練習してたんです。ぶっつけ本番でしたが上手い具合に決まってよかっーー迅さん!?」

「……そ、そんな…俺の切り札が……」

 

影さんは膝から崩れ落ちて地面に「の」の字を書いていじける俺を見て声を張り上げる。この技、俺が2年かけて編み出した取っておきなのに…。

 

「あっ、えっ、あのっ……ご、ごめんなさい…。ま、まさかそこまで落ち込むとは思わず…」

「イヤ、イインデスヨ。サスガハエイサン。オボエガハヤイッスネ?」

「だ、大丈夫ですか!?」

「……全く、何をしているのですか」

 

そんな俺たちに端の方で戦いを見ていた雷電将軍が呆れた目でため息をつく。

そのままコツコツと俺の方に近づくと、ぐいっと脇の下に手を入れて立たせて怪我のチェックを済ませてくれる。

 

「怪我は無いようですね。…貴方も落ち込むのはやめなさい。貴方の実力はその技だけでは無いのですから」

「…将軍」

 

やだイケメン。俺の目をじっと見詰めながら言ってくる将軍にときめいていると、それをポカーンと見ていた影さんが薙刀を取り落とした。

 

「なっ、えっ、し、将軍??……どうしたのですかそんな穏やかな顔はっ?」

「……なんのことですか?」

「いやいや!?いつも仏頂面な顔しかしてない将軍がそんなふうに微笑むなんて、私は知りませんよっ!?」

 

それは俺も同感だ。

 

初対面がアレだったからってものあるけど、将軍は威圧的というか冷酷な雰囲気が特徴のはず。だけどこの前からなんだか丸くなった気がする。

 

目線を送る俺と影さんを眺めながら腕を組んだ将軍はため息をついた。

 

「私が、そんなにずっとしかめっ面でいるように見えますか?」

「「割と」」

「……貴方達が私にどんな印象を抱いているかはよくわかりました」

 

即答した俺たちにこめかみを抑えた将軍は「前に影の調整を受けた時に何か影響を受けたのかもしれません」と答えた。

 

「な、成程…。私と記憶を共有した時にという事なら、将軍の雰囲気が柔らかくなっていても不思議ではありませんね」

 

顎に手を当てた影さんの考察に俺も頷く。そういうことなら納得だ。とまで考えて…さっきのことを思い出す。

 

「話を戻しますけど……影さん、いつの間に俺の技を…」

「元素そのものを圧縮し、それを集めて更に圧縮。元素の密度を上げるという発想は私には無かったのでとても興味深かったですね」

「俺は圧縮した元素を一旦仙力に変換して柔らかくしてから圧縮してるのでそんなに苦労はしないんですけど、元素だけではかなり力技ですよ」

「道理で難しい訳ですね。結構鍛錬を詰んだのですが、まだ武器に纏わせるのが精一杯です」

「私も影に言われてやってみましたが、元素の消費が激しすぎて保って1分と言った所です。全身に纏う貴方は異常です」

「ま、俺は普段から貯蓄した元素や仙力を使ってますから」

 

神2人(?)から元素操作については太鼓判を押されてちょっと嬉しくなる。その後も色々情報交換してみたら、既に雷に磁場を形成する系の技はほぼ真似されてました。

 

電磁離斥を付与した円錐状のレールの中に将軍が薙刀をぶん投げて通したら一心浄土から薙刀が飛び出そうになってめちゃくちゃ焦った。天守閣から薙刀飛んできたは事件だろもう。

 

 

「…じ、迅さん」

「なんですか影さん……って、そろそろいい時間ですもんね」

「影…その締まりの無い顔はどうにかならないのですか?」

 

鍛錬を続けてしばらく。何やらそわそわしだした影さんに苦笑した俺は精神だけで入ってる一心浄土から一旦出て、紙袋を掴むと今度は生身で一心浄土に入り直した。こうすることで体の状態は引き継ぐけど外のものを持って入れるようになる。

 

「はいっ、どうぞ。将軍の分もありますよ」

「………こ、これはっ!」

「……!」

 

俺が持ってきたのは勿論スイーツ。前は有耶無耶になっちゃったけど璃月に行く前に甘味祭りやるって約束したので、今日は沢山作ってきたのだ。

 

とりあえず俺は皿に練乳コーヒー牛乳で作ったプリンにクリームをこれでもかと乗せると切った果物を乗せて2人の前に置いた。

 

「外国の甘味で、プリンアラモードって言います。プリンは影さんが好きな練乳入ったコーヒーで作りました」

「あ、貴方は天才ですっ!い、稲妻の物とは違い…甘さを見た目に全面に出していますね…。い、一体どんな味なのでしょうか……」

 

個人的には甘すぎて頭痛くなりそうな光景なんだけど、子供が初めて貰ったトロフィーみたいにプリンアラモードを掲げる影さんの瞳はキラキラだ。そういえば完全に影さんの好みで作っちゃったけど将軍はどうなんだと彼女の方を見てみると。

 

「………!」

「将軍はこう言うのは苦手でしたか?」

「い、いえ。…前までなら不要と思っていた感情が湧いて出てきて少し、困惑していました。…ですが、悪くないですね」

 

どうやら、しっかりと影さんの影響を受けてるみたいで視線がプリンアラモードに釘付けになっている。

 

「「い、頂きます」」

 

俺が木製の匙を渡すと2人はいそいそとプリンアラモードを口に運び。

 

揃って目を見開いて固まった。

 

「「………」」

「……ど、どうしました?」

「「ッ!」」

「うわっ」

 

俺が心配になって2人の顔を覗き込もうとすると、硬直が解けた2人は物凄い勢いでプリンをかっこみ始める。

 

「す、すごく美味しいですっ!この上に乗っている白い物が、甘く滑らかで練乳こーひー味のぷりん?とやらが物凄く合いますっ!」

「…そ、それは良かった。…将軍はどうですか?」

「これは……甘い…ですね」

 

半分ほどになったプリンが乗った皿を見て惚けたように呟く将軍に、流石に将軍には口に合わなかったかと内心焦る。冷や汗を垂らした俺を見た将軍は、小さく微笑むとかぶりを振った。

 

「安心してください。……栄養で食べ物の優劣を付ける私には初めての感覚だったもので、少し混乱していました。…とても美味です」

「……はい。ありがとうございます」

 

真っ直ぐ俺の目を見てそんなことを言ってくるものだから、少したじろいでしまった。それを影さんが怪しい物を見る目で見ている。

 

「あ、あの将軍が栄養素以外の物で食べ物を判断するなんて……。これも調整のせいなのでしょうか」

「ちなみにどんな調整をしたんですか?あ、おかわりありますよ」

「是非いただきますっ。ええと、私のあなたに対する記憶と感情の共有ですね、なので食べ物の好みまでは移ることはないと思うのですが……」

 

まぁ、前よりも友好的になったって事でいいのかな。少なくとも冷徹非情の雷電将軍よりは接しやすいので別に気にする事はないか。おかわりを影さんに渡していると、それを見ていた将軍が首を傾げる。

 

「…貴方の分は用意していないのですか?」

「あ、はい。今回は影さんと将軍のために作ってきたので」

「…そうですか。………良ければ、1口どうですか?」

「えっ」

「将軍!?」

 

そういい俺の口元にプリンを掬った匙を持ってきた将軍に影さんが声を上げる。

 

「な、何をしているのですかっ?そ、それはもしや…あの伝説の…」

 

何らやおののいている影さんが目に入るが、じっと見つめてくる将軍の視線に耐えきれずに1口貰ってしまう。

 

「…どうですか?」

「…おいしいです」

 

ちゃんと味見はしたのでおいしいことはわかってるけど、改めていい出来だ。ちょっと甘すぎる気もするけど。

 

「…将軍もおかわり要りますか?」

「頂きます」

「じ、迅さんっ」

 

おかわりを将軍に手渡すと今度はなんと影さんがプリンを匙に掬ってこっちに持ってきた。いや俺もう1口食べたんですけど!?

 

「あー、いや俺はもう…」

「…………」

「……いただきます」

 

断わろうと思ったんだけど、あの影さんがぷるぷる震えながら匙を差し出してくるので押しに負けて1口貰った。

 

いや、照れくさいとかの前に雷電将軍にあーんされてるって事実が訳分からないやらギャップで可愛らしいやらでどっと疲れたような気がする。

 

その後はプリンアラモードに続いて杏仁豆腐を振舞っていると、将軍に次はいつにするかと聞かれた。

 

「あ、すみません。来週からまた出張なんで、期間が空いてしまいそうです」

「そ、そうなのですか……仕事ならば仕方ありませんね」

「…将軍の権限でその仕事を無かったことに……」

「ダメですダメですっ!いくら将軍でも私情で権力を振りかざしてはっ!」

「将軍が言うとシャレにならないからやめてくださいよ。…鍛錬はできないですけど、甘味を食べたくなったらそれが叶う手段が一応…あるんですが」

 

怖いことを言い出す将軍を2人して宥める。事実叶えられてしまう辺りタチが悪い。俺は懐から札を取り出すと影さんに渡した。

 

「これは…仙人の札ですか?」

「はい。洞天通行証と言って、言わば俺の家の鍵です」

「「!?」」

「あっ、すみません例えが直球過ぎました。俺の家の呼び鈴って言った方が適切ですかね」

 

俺の家の鍵。と聞いた途端にビクッとこちらを向く2人に謝りながら言い直す。ちょっと言い方がアレでしたね。

 

「俺、国外配達中はここで寝泊まりするんでこの札で来て貰えれば甘味を出せると思います」

「……それは願ってもない提案ですが……良いのですか?」

「はい。…まあ、俺の知り合いが遊びに来てることもあるので、入れるタイミングはちょっと選びますが…」

 

俺ん家遊びに来たと思ったら邸宅の中に雷電将軍いるとか心臓止まりそうだし。…意外とエウルアと仲良くなりそうな気配はする。お菓子作るの俺より上手いし、なんとなく相性が良さそうだ。

 

「いえ、それだけでも助かります。…やはり私が居ると皆緊張してしまうようですし…」

「あはは、今の影さんならかなり親しみ安いですけどね。皆将軍の方の印象が強いって言うか」

「…ふむ、わたしも普段からもう少し柔らかい態度の方が良いでしょうか。………どうですか?」

「あー、まぁ将軍には将軍のいい所がありますからっ」

 

笑顔を作りながらこっちを向く将軍に目線を逸らしながら答える。いや、全然似合ってねぇとかむしろ恐いとか、そんなことは思ってないですよ?いやホントに。戦ってる時の感じからして目線で感情がバレそうなので逸らし続けていると、腕にするりと何かが絡む感触がして俺は勢いよく顔の向きを戻した。

 

「……何故目を逸らすのですか?」

「しょ、将軍っ!?」

 

俺の視界に、ちょっとムッとした顔で俺の腕に自身の腕を絡みつかせてくる雷電将軍の顔が写る。えっ、はっ?な、なにをしているのです!?

 

「なっななななにをしてるのですかっ!?は、はしたないですよ将軍っ!」

 

俺が口を開く前にガタッと音を立てて立ち上がった影さんがつかつかこっちにやって来て腕を外そうとしてくる。

 

「影もやってみてはどうですか?未知の感覚です」

「なっ!?………ちょっと失礼します」

「影さん!?」

 

どういう状況?

 

なんと影さんまでも、将軍の反対の腕に自身の腕を恐る恐る絡みつかせた。両隣から柔らかくダイナミックな感触と爽やかな菫の香りがふわっと鼻に通って現実を理解してない頭が「これが雷神の香りかぁ…。将軍も同じ匂いするってどうやって香り着けしてるんだろう」などとアホなことを考える。できるだけ無視しているが、両手に雷神とかいう天領奉行が見たら卒倒するような光景に固まる。いや、一応絶景ではあるんだけど、ギリギリ怖いが勝つ。つーかいつも襟元空いてる着物を着ているが、鍛錬の時は必死すぎて気にしてなかったけど、やはり大きい。向こうは気にしてないみたいだけど貴方がたとんでもない事してんですよ!?

 

「………」

「………」

「いやちょっと?落ち着かないで貰えます!?」

 

居た堪れなくなった俺が声を上げるとハッとした2人はササッと離れた。

 

「ご、ごめんなさい。取り乱しました。………話を戻しますが、私が迅さんのお家にお邪魔しても問題は無いのですね?」

「はい。機会が合えば俺以外の人が作った甘味も食べられるかもしれませんよ」

「……その方々は…女性なのですか?」

「ええ。まぁそうですね」

 

すっと手を挙げて聞いてきた将軍に答えると、すんっとした顔になる。無表情なのはいつもの事だけど、心做しかちょっと機嫌が悪くなったような気がした。ちらりと影さんの方も見ると、何やら胸を抑えて考え込んでいる。

 

「…影さん?」

「……えっ、あぁ、どうかしましたか?」

「いえ、何か考えているような感じがしたので」

「……えっと、その。迅さんのお家で甘味を作るという事は…その方々と貴方は仲が良いのですか?」

 

ここで「はい。なんなら全員に告白された後に唇奪われて、断ったのに諦めない発言されちゃってます」なんて言えるわけが無いので、友達として見るならという観点で頷いておいた。

 

「はい、仲はいいですね。中には世話になった人も居ますし」

「……そうですか……」

 

さっきから影さんは胸元を抑えてどうしたと言うのだろうか。そんなに痛そうとかには見えないし、意識体の彼女が病気になるってのも考えられないので俺には首を傾げることしか出来ない。影さんは同じ表情をしている将軍と顔を見合わせると手に持った洞天通行証を大切そうに握り締めた。

 

「わかりました。これは有難く頂いておきます。入り方はどうすればいいでしょうか」

「札を握って洞天に入ることを願えば俺に通知が行きます。それで俺が許可を出せば入れるって感じです。出方も同じで、そっちは俺の許可は要りません」

 

入る時通知来るのはありがたいんだけど、帰る時に通知こないのがちょっと厄介なんだよな。この前、前日に入れた刻晴が邸宅の中に作った自室で徹夜で仕事してたみたいで、俺が朝に甘雨さんの野菜園の手入れをした後に風呂に入ろうと蛍に習って設置した外の温泉に行ったらバスタオル一丁の彼女と鉢合わせするって事件があった。そんでそのままなし崩し的に刻晴と一緒に風呂に入ることになったのだが、ここでは割愛。

 

「それじゃ、俺はこの辺で。余った甘味はここに置いとくので、次の鍛錬で感想聞かせてください」

「あっはいっ。付き合ってくれて感謝します」

「また会いましょう。迅」

 

俺は紙袋を一心浄土に置くと、影さんが開いてくれた出口を潜って天守閣へ出た。

 

なんか鍛錬よりも疲れた気がする。というか雷電将軍×2っていうのがすごい効く。将軍と影さん間違えないようにするの意外と大変なんだよな。表情と声以外につけている雷元素の装飾が光ってるか光ってないかでわかるんだけど偶に間違えそうになる。間違ったことはまだ無いけどやらかした時が怖すぎるんだよな……斬られそう。

 

そのまま自宅に戻ったら影さん達の匂いが俺からしたらしく、家の飼い猫のスキンシップが激しくなった。頼むから見守ってないで止めて欲しいんだけどなおばあちゃん。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

迅が去った後の一心浄土。

 

雷電影は困惑していた。

 

その手には先程彼から渡された洞天通行証が握られており、反対の手はチクチクと痛む自身の胸に当てられていた。

 

「……一体何なのでしょうか…。この胸の痛みは…この身体は病気とは無縁のはずですが」

「…影はやはり、わからないのですね」

 

腕を組んでこちらを見ている将軍に訝しげな表情を浮かべながら振り向く。

 

「そう言う将軍は、この痛みの正体を知っているのですか?」

「ええ。何せ貴方から貰ったのですから」

 

彼女が答えた言葉の意味がわからず首を傾げる。それに、以前彼に対する記憶の共有を行ってからの将軍は何かがおかしい。今日だって彼との距離が近すぎだ。見た事のない微笑や腕を組むなどという1国を治める神としてはしたない行動も見られた。この前に至っては無断で外に出て彼に会っていたというし、最初はそれを注意をしようとした影だったが未曾有の胸の痛みを感じて将軍に対抗するように彼女と同じことを彼にしてしまったことを思い出し顔が熱くなった。

 

それに、影から貰ったとはどういうことか。

 

「貰った…とは。調整のことですか?」

「私がおかしくなったのはあれからです。……影は、普段過ごしている中で特定の人物が胸に浮かぶようなことはありますか?」

 

それを言われると、ひとり居る。

 

「……迅、さんでしょうか。…ですが、私が思っていることは次の鍛錬でどう言った立ち回りをしてくるかや彼が使っている技はどういう仕組みなのかといった戦闘面の事ばかりなのですが…」

「影、想像してみてください。彼が私たちとは違う別の娘と楽しそうに組手や剣の素振りをしている光景を」

 

そう言われて思い浮かぶのは、この前外に出た将軍に食ってかかっていた時に彼女の視界に写っていた社奉行の令嬢。神里家は武道面も一流だと有名で、その娘と迅が自分たちと鍛錬する時よりも生き生きと鍛錬に励んでいる姿を想像して、ズキリとした痛みが胸に走った。

 

「…こ、これは焦り、でしょうか」

「私も貴方と同じことを感じました。経験が私にも無いので一概は言えませんが、私達は彼に何かしらの執着をしています」

「ど、どうやらそのようですね…」

 

影はこの痛みを消すにはどうすればいいかと考える。これでは瞑想も捗ることは無いだろう。甘味を摂取すれば治まるかもしれないが一時的な効果しか無さそうだ。彼が自分以外と鍛錬をしている所を想像している限りこの胸のざわめきは収まりそうになかった。

 

 

影は将軍と顔を見合わせると互いに頷きあった。手の中の通行証を握り締める。

 

 

 

 

 

 

「……どうしましょう。先程会ったばかりだと言うのに、もう彼と鍛錬がしたいです…」

「私も同感です」

 

 






もう将軍篭絡して法案改正してハーレムにしたら全て解決やんって考えが過ぎったあたり俺も末期。

それは名案だっ!とか感想で書かないでくださいね揺らいじゃうからっ
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