職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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おまたせしやした。


まぁ、とりあえず。コーヒーと、青汁どっち飲みます?


8話 うちの飼い主の猛攻が激しい件っ

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

ーーちゃぷん。

 

温かいお湯に浸かって体は温まってるはずなのに、わたしの心は冷めたままだった。わたしは自分の顔を手で覆う。

 

し、しんどーい!!!!

 

むりむりむりっ!迅くんに冷たい態度取るなんて無理っ!!こっちの心がやられそうだよっ!ねぇ妖狐さまこれほんとに効果あるの!?

 

大社から帰宅したわたしは、とりあえず妖狐さま考案の「押してダメなら引いてみろ作戦」を決行してみた。迅くんに嫌いなところなんてあるはずないのに冷たくするなんてとても出来そうになかったから、わたしはずっと「迅くんがわたしに黙ってキャッツテールで猫吸いしてる」って想像してムカムカを作り出し、その態度で帰ってきた彼に接してみた。

 

うう、でもどうしよう。ちょっとやりすぎちゃったかな……?

 

ちょっと雰囲気を変えるくらいで、近づく迅くんを拒絶するような事はするつもり無かったのにっ……!

 

居間の方に耳を澄ますけど、物音ひとつ聞こえてこない。も、もしかして出て行っちゃった!?ど、どうしよ……!

 

わたしは急いでお風呂から出る。ささっと服を着て髪も乾かさないまま脱衣所を出て見てみると…。居間に座り込んで項垂れている迅くんが目に入った。

 

「じ、迅くんっ!」

「っ」

 

普通じゃない迅くんの様子に思わず駆け寄って声を掛けると、顔を上げた顔色が白を超えて青くなっている迅くんが、わたしを見てちょっと怯えた表情をした。

 

ーーその表情を見て、わたしは自分のやらかした事の重大さにようやく気がついた。

 

「き、きら、ら……」

 

迅くんの喉から出た声が信じられないくらい硬くて細い。彼はわたしが口を開く前に目を逸らして自嘲気味に…いや、自嘲をした。

 

「…ご、ごめん……俺っ、気づかないうちに綺良々にイヤなこと……したみたいで…」

「ち、ちがっ」

「……俺ってほんとにダメなやつだな……あの綺良々が、あんなに俺を嫌がるまでそれに気が付かないなんてさ……お、俺、ちょっと今日は……」

「ちがうっ!!違うのっ!!」

 

彼に叫ぶけど、まるで話を聞いて貰えない。迅くんは逸らした目線をもう一度わたしに向けると……泣きそうな声でわたしに言った。

 

「あ、謝るから、(なお)すから、……お願いだから…っ、嫌わないで………おれからっ離れないでくれっ……!」

「っ!…じんくんっ!!」

 

初めて聞くような、普段の彼からは想像が出来ない声音で懇願してくる迅くんに、胸が押しつぶされる。わ、わたしは彼になんて事しちゃったの……?

 

わたしは逃がすまいと背中から抱きついた。その抱きついた彼の背中が震えていて、わたしの胸はさらに締め付けられる。

 

「…きら、ら……?」

「ごめんっ、ごめんなさいぃっ!!」

 

こんな事してごめんなさい。思ってもないことを言ってごめんなさい。傷つけちゃってごめんなさい。あんなに優しくて強くて、あたたかい彼をこんなにしたのはわたしだ。

 

「ごめんなさいっ、わたしっ、最近あんまりわたしに反応してくれないのが寂しくてっ……ぐすっ、神子様に相談してっ、あえて冷たい態度をとるとっ………真意がきけるかもってあんな事をっ……」

 

てっきり失敗してもわたしがちょっと怒られるだけとか思っていた。でも、そうにはならなくて。迅くんが発した「嫌わないで」っていう言葉で普段の優しさとか、あたたかさの裏側が見えちゃったような気がして腕に力を込めた。

 

「……うそ、だった……のか?」

「うんっ、本当にごめんなさいっ………」

「まだ、…俺の事、嫌いになってないか?」

「まだじゃないよっ!ずっとずっと、迅くんの事が好きっ!大好きっ!!すっごく好きっ!ずっと一緒にいたいっ!!」

 

ここで言いきらないとまた迅くんが離れていっちゃうかもしれない。それが恐ろしくてしょうがなかったわたしは声が続く限り迅くんへの愛を叫び続けた。

 

「嫌いになるなんて有り得ないっ!!わたしはこの先ずーっと!何百年も迅くんと一緒にいるのっ!!絶対離れないっ!!絶対やだっ!」

「綺良々……っ」

「好き好き好きっ!大好きっ!迅くんのことっ、わたしは愛しーーんむっ」

 

え?

 

もうこの先迅くんが不安になることなんて無いように、「嫌わないで」なんて言わなくて良いようにわたしは叫び続ようとして……肩越しに振り返った迅くんに唇を塞がれて、わたしの頭の中は一気に真っ白になった。

 

「んっ……ちゅっ」

「んぇっ、じ、迅くんんっぅ!?!?」

 

1度唇を話した迅くんは、身体を反転させてわたしを正面から抱きしめるとまた唇を重ねてきた。

 

今までちゅーは多いときで1日に2回、少ないときで2日に1回くらいしてたけど、それは全部わたしから。毎回不意打ちをするようにしてたんだけど、こ、今回は迅くんの方からしてきてる!?!?

 

「…はっ、綺良々……んんっ」

「んぅ!?…あぅん……んちゅっ、んぁぅ……」

 

合わせた唇の間から迅くんの舌がわたしの口内に伸びてきて、びっくりして唇をはなそうとするけれど、後頭部を迅くんに抑えられて逃げられなかった。そのままあの時のようにわたしも下を伸ばして迅くんの舌に絡める。

 

「んちゅぅ……れろっ……ちゅぅ……んむっ……んはぁぅちゅ……」

 

こんなちゅーをするのは璃月で倒れた迅くんが起きた時以来。熱くて柔らかいモノなわたしの舌や口の中を舐めまわして、なんだか変な気分になってくる。それも迅くんの方からしてくれるなんて。それが嬉しくて、わたしも夢中で舌を絡ませ続けた。

 

「は…はぁ……はぁ……じ、ん…くぅん…」

「はぁ、はぁっ、綺良々……」

 

どれくらい唇を貪りあってたんだろう。お互い鼻で呼吸をしながらずっと唇や舌を啜りあってたから、離した時にわたし達の間に銀色の橋がかかった。そのまま至近距離で見つめ合う。

 

「綺良々。……聞いて欲しい事があるんだ……」

「……なぁに?」

 

そう言う迅くんの顔にはもうさっきの強がりは残っていなくて。真っ直ぐにわたしを見据えて口を開いた。

 

 

 

 

 

「ーー俺は綺良々が好きだ」

 

 

 

 

その言葉が耳に届いて、意味を理解したわたしは。……ぽろぽろと涙が零れて来ちゃった。それを見て迅くんは狼狽える。

 

「なっ!?綺良々大丈夫かっ!?」

「うんっ、だいじょぶ………う、嬉しくて……」

 

そうだ、応えないとっ。

 

「迅くんっ」

「……ああ」

 

 

「わたしも、だいすきーーー!!」

 

嬉しい、嬉しい嬉しいっ!!わたしはそのまま迅くんを押し倒してちゅーをした。それをもう完全に受け入れてくれて、なんなら迅くんからもちゅーをしてくれる。

 

「綺良々……君が俺の特別だ。色々悩んだけど、どの時もやっぱり綺良々が1番頭に浮かんだんだ。………俺と、恋人になってくれ」

「………はい」

 

もうこんなの頷くしかないじゃんっ!!

 

「わたしのことっ、迅くんの女にしてっ!」

「言い方っ。……ごめんな、こんなに遅れて……」

「ううん、わたしこそごめんなさい……あんな酷いことして…」

「ほんと、心臓止まるかと思ったんだからな?……綺良々に嫌われたら俺もう生きて行けねぇよ」

「そ、そんなに……」

「ああ、無理だ。さっきはだいぶ俺への想いを叫んでくれたけど、俺も全く同じ気持ちだ」

 

そういいじっと見つめて来る迅くんに、わたしの顔が爆発したかのように真っ赤になった。……ぇ、急にそんなこと……。

 

「なんだよ、いつもこっちを照れさせてくるのはは綺良々だろ?それのお返し。……好きだ」

「はぅ」

 

そうはにかみながら頭を優しく撫でてくる。

 

どうしよう、ええっ!?で、デレた迅くんってこんななの?あわあわわたしを見て、ちょっとときめいたのか、ほっぺにちゅーを迅くんがしてきた!?…あふぅ〜(昇天)

 

そのまましばらく抱きあって幸せな時間を過ごしていると、わたしの首筋に顔を埋めて猫又吸いをしてた迅くんが顔を上げた。

 

「あ、風呂入らないとな」

「そーだねぇ。……一緒に入る?」

「あー、……いや、今日は遠慮しとくよ」

「な、なんで?…わたしじゃダメなの?」

 

い、いつも一緒に入ってるじゃんっ!わたしが不安そうな声を出して縋りつこうとするとーー彼に唇を塞がれた。

 

ちゅっと顔を離すと。彼はちょっと頬を染めてそっぽを向いた。

 

「嫌なわけないだろ。……でも今はその、………我慢できなくなるから」

「ぁぅ」

 

そう言いわたしの頭を撫でると、迅くんはお風呂場に入っていった。わたしは布団に顔を突っ込んで悶える。

 

……ううううぅぅ〜。

 

ヤバい。デレた迅くんヤバいっ!むり、わたし耐えられないよぉ〜。

 

いつも自分からしてたことではあるんだけど、それを迅くんが自分から積極的にやってくるのが本当にやばい。攻撃力が高すぎるっ!

 

そ、それに迅くんってあんな顔するんだぁ……。ああいうなんか、彼女しか見せない目っていうの!?……………最高。

 

それとめっちゃちゅーしてきた!凄いちゅーしてきた!!わたしくらいちゅーするじゃんキス魔なのぉ!?(同類)

 

騒音対策で布団にくるまりながらひとしきり叫んだわたしは、くてっと寝転んで天井をボーッと見上げる。

 

……やっと実感が沸いてきた。わたし、迅くんの彼女になったんだ。

 

そこで頭に入るのが他のみんなのこと。こう、実際に付き合うって関係になってみて、やっぱりこの喜びをみんなに、同じ人に想いを寄せる人達と共有したいって思っちゃった。そりゃ他の子と迅くんがイチャイチャしてたらヤキモチ妬くかもしれないけど、それもなんか楽しいって感じるんだ。

 

多分、この考えはわたしが猫の妖怪だからなのかな。………でも、もし宵宮ちゃんや綾華ちゃん、エウルアちゃんが望んで、それを迅くんが良いって言うならそういう関係になってみたいなぁって思うのです。……ワガママかな?こんなこと言ったら嫌がられちゃうかな。

 

でも相手の反応が怖くて、わからなかったからそれを言わずに別の行動をした結果、さっき痛い目にあったばっかり。

 

…ダメ元で話してみよう、とわたしは小さな決心をした。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

「……………ふぅ………」

 

ちょうどいい温度のお湯に身を沈め、天井をぬぼーっと眺める。この短い時間で色々なこと起こりすぎだろ。

 

色々起きたことに頭がしっちゃかめっちゃかになりながらも、この気持ちだけはしっかりしていた。

 

 

あぁ〜、綺良々かわいいなぁ。

 

 

やべぇ。かわいい。超可愛い。前の俺よくあんな可愛い子隣に居まくって平気だったよな。今は逆に無理だ。一緒に風呂入ろうもんなら理性が元素爆発して襲いかかってしまう。そして多分綺良々も拒まない。やばい。

 

ふぅ。

 

落ち着いてから自分の今の状況を考えてみよう。とりあえずはばあちゃんや兄さんに言われた通り、まず最初に自分の気持ちを通してみた。すると、確かに前よりも視界が開けたような気がする。

 

そして、選ばなかった彼女達のことは気を遣わない。それでも「諦めない」というのなら、綺良々の隣にどっしり構えてようと思う。

 

それが俺に出来る1番のケジメ。そんな気がした。

 

 

 

 

「でたぞー」

「はーい」

 

お風呂を出るとエプロン姿の綺良々が台所でお米を炊いていた。かっわ。

 

ああ見えてって言っちゃ失礼かもだけど、綺良々も普通に料理‎出来る子なんです。おかずは何にするかと聞かれたので、せっかくだから超豪華ねこまんまを2人で作った。

 

出し汁を冷やして、そこに漬けた刺身と薬味、を乗せる。2人で色々盛り上がりながらどんどん乗せて作ったんだけど、2人して作ったあとに「コレねこまんまじゃなくてお茶漬けじゃん!」ってなって大笑いした。何この幸せ空間。

 

食後は日課の縁側に座って夜空を見ながらお茶を飲む。そこで、俺の膝の上に座った綺良々がさっきと変わって恐る恐る、俺に聞いてきた。

 

「ね、迅くん」

「ん、どした?」

「わたしさ、…もう迅くんのカノジョってことでいいんだよ…ね…?」

「ああ。もちろん」

 

俺が即答すると真っ赤な顔を顔を両手で覆って声にならない声を出す。可愛いかよ。頭を撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らしながら、口を開いた。

 

「あのね、……ひとつ、わがままを言ってもいいかな?」

「ん、いいぞ」

 

綺良々は俺が許可を出してもちょっと言いにくそうに、少しまごまごしてから、意を決したように言った。

 

「ーーーやっぱり、わたし……他の子とも、この幸せを共有したい」

「っ、それは」

 

彼女の言葉の意味するところは、つまり。

 

「…それは、他の……俺のことを好きだって言ってくれてる子達を迎え入れるってことか?」

「うん。…こうして君と結ばれて、すっごく嬉しかった。…けど、やっぱりみんなのことを考えちゃうんだぁ。…でもね、この考えが妖怪の考えっていうのもわかってるの……でも、もし、もし迅くんが良くて、相手が良いなら……ダメかな…?」

 

多分、俺が嫌がると思ったんだろうな。綺良々は俺の腕の中で不安そうに聞いてきた。

 

事実、綺良々にそう言われなかったら綺良々だけを選ぶ選択を取り、綺良々を、彼女だけを優先するつもりだった。

 

 

でも、今はどうか。

 

 

「ごめんね、今のさっきでこんなこと言っちゃって…、でも、ずっと心の中で燻らせてるよりは言ってみた方がいいかと思って……」

「そっか。ごめんな気を遣わせて。……ひとつ確認したいんだけど、綺良々は、もし俺が他の子と仲良くしてたり……その、キスとかしてたりしたら…嫌じゃないのか?」

 

綺良々はその質問をされるのを予想してたみたいでこくりと頷いた。

 

「…うん。その女の子が宵宮ちゃん、綾華ちゃん、エウルアちゃん、刻晴さんなら、わたしは嫌じゃないよ」

「………そうか」

 

俺は今まで「普通に考えたら」とか「誠実でない」ってところでその考えを否定して来たんだけど、自分としてはどうなんだろうか。……そんなの決まってる。

 

いや、そりゃ俺はいいに決まってんだろ男だし。

 

これが実際の心情だわ。だけどそこで上の感情がストップをかけていた。

 

でも、それをとっぱらって考えて見たら俺個人は別に嫌がってないんだ。そりゃそうだわ。みんな魅力的だし。ま、綺良々が1番だけどっ(唯一の抵抗)。

 

俺は不安そうに俺を見上げる綺良々を撫でると、ゆっくりと頷いた。

 

「……わかった。…………それが綺良々の希望なら、従うよ」

「い、いいのっ?」

「ああ。俺も、みんなと過ごすのは楽しいからな。……だけど、2つだけ条件がある」

「じ、条件?」

 

びくっとする綺良々を安心させるように笑みを作る。

 

「1つ目は当然だけど、向こうさんの了解を得ること。で、2つ目は俺はあくまで綺良々を優先するってことだ」

「迅くん…」

「例えば、予定を組んでて同時にブッキングした時は綺良々を優先するってことな。先約の場合はアレだけど……先にこれだけは言わせてくれ。何があっても綺良々が1番だからな?」

「………うぇへへへへっ」

 

綺良々の両肩を掴んで真っ直ぐに言うと、何やら綺良々が変な笑い声を漏らし初めた。初めて聞いたんだけどそんな笑い声。顔を覗き込もうとしたら胸にぎゅっと抱き着いてきた。

 

「〜っ!……ありがとっ!…だいすきっ!!」

「ああ、俺も大好きだ」

「へぅっ」

 

綺良々は俺から好きって言われるのが慣れてないらしく、毎回顔を真っ赤にするのが本当にかわいい。抱き寄せると意図が伝わったのか、ゆっくり顔を近づけ……。

 

コンコン。

 

「「っ!?」」

 

ようとしたところで玄関が叩かれ俺と綺良々はババッと離れる。誰だろうこんな時間に。ばあちゃんが帰ってきたのか?

 

俺は綺良々と顔を見合わせると、はーいと返事をして玄関を開けた。

 

 

 

エウルアが立っていた。

 

 

 

俺は扉を閉めた。

 

 

………??

 

「……えっ?」

「ど、どうしたの?……だ、誰だったの?」

 

綺良々からは見えてなかったらしく、ビビって恐る恐る聞いてくるけど、俺も訳がわからない。み、見間違いだよな?

 

俺はもう一度玄関を開ける。

 

「……人の顔見て閉めるなんて、さっきから随分な挨拶ね」

 

むすっとした声が聞こえて、俺は扉を閉めた。

 

……???

 

「へ?…い、今の声……」

「だからなんで閉めるのよっ」

 

やっぱり視界の情報が理解出来ずに首を捻ると外からばんと扉が開いた。

 

不機嫌な顔で入ってきた水色の髪の美女に、俺と綺良々は素っ頓狂な声を上げた。

 

 

 

「え、エウルアァ!?(エウルアちゃん!?)

 

 

 

 

 

 

「で、どうしてお前が稲妻にいるんだよ」

「ジンから長期休暇を貰ったから会いに来たんじゃない。こんな時間になっちゃったのは、今朝出発の定期船が遅れちゃったのよ」

「にしてもエウルアちゃん、よくここがわかったねぇ」

「前に綾華と宵宮から聞いてたからね」

 

居間の座布団に正座……は苦手らしいので女の子座りをしているエウルアにお茶を出す。いやはやまさかエウルアがはるばる稲妻に来るとは1ミリを考えてなかった俺たちは、最初玄関の前にたってるエウルアを理解できなかった。

 

いやまさか来るとは思わないじゃん。しかもさっき綺良々と「他の子とも一緒になる」って話をしてたもんだから久しぶりのエウルアの美しい所が目に入って来やがる。

 

ほら、今も久しぶりだからちょっと恥ずかしいのか、頬を赤く染めた顔のまま上目遣いでこっちを見てくるエウルアがなんかかわいい。仕方なしに綺良々を見て癒されそうにすると、何やら綺良々とエウルアがアイコンタクトをしていた。

 

え、2人ともなにしてんの?エウルアがちょっと期待してる顔をして目を細める。綺良々が頷く。エウルアが驚いたように目を見開く。え、いいの?と言わんばかりに瞬きをした。綺良々はそれにやっちゃえと言わんばかりに顎をしゃくった。

 

え、これ俺が不味くない?俺が後ずさりしようとすると、エウルアがこちらに呼びかけた。

 

「…迅」

「な、なんでしょう」

「……会いたかったわっ!」

「うおわっ!?」

 

エウルアが突然こっちに飛びついてきた。そのまま抱きしめられる。ちょっ!?綺良々さんっ?いくら従うとは言ったけどゴーサイン早くない!?

 

「えーいっ」

 

俺の助けを求める視線をまるっと無視して綺良々は俺の背中に抱きついた。一瞬にして作り上げられる美女美少女サンド。全身がやわこいのに包まれて、さっき風呂で押しとどめてた情欲が這い出て来そうなのを踏んで止める。

 

「え、エウルアっ、離れろって」

「いやよ。だって1ヶ月振りよ?もうちょっと補給されなさい」

「補給ってなに!?」

 

そう言い俺の首筋に顔を埋めて深呼吸をする遊撃隊長。離れようにも背中に綺良々が引っ付いていて2人に抑え込まれてる状況で体が動かせない。……ってうわあ!?

 

「な、舐めたっ!この人舐めたァ!」

「あっ!ずるいっ!わたしもっ」

「お前も対抗すんな!ちょ、マジで離れろって!」

 

前と後ろから首筋吸われるってどんな状況やねん。

ひとしきり堪能したエウルアが顔を上げて俺の頬に手を添える。何をする気かわかった俺は顔を仰け反らせて避けようとしたところで。

 

綺良々に後頭部を抑えられた俺はエウルアに唇を奪われた。

 

「…んんっ」

「ちょっ、…んむっ」

 

最近思ったことだけど、唇の感触って人によって結構違うもんだな。

 

「…っは、…ご馳走様」

「……お、お前らな…」

「えへへっ…ごめんね迅くん」

 

ちなみに唇は離したが美少女サンドは継続中だ。エウルアは俺越しに綺良々の頭を撫でる。

 

「…綺良々がキスの許可を出してくれたことはちょっと意外だったけど、…あなた達もう付き合ってるんじゃないの?」

「あー、まぁ、そうだよ。さっき付き合った」

「そうだったの?……綺良々はなんで許可出したのよ。さっき付き合ったなら普通ダメじゃないの?」

「…その事なんだけどね?」

 

俺と綺良々はさっき2人で決めたことをエウルアに話した。我ながら結構勝手な考えだとは思うけど、黙って聞いていたエウルアはこくりと頷いた。

 

「えっと、じゃあ私も迅とその、色々な事をしてもいいってこと?」

「あ、ああ。……もしエウルアが良いならんむっ」

 

少し不安になって早口になる俺の口をエウルアは再度塞いだ。少ししてら離すと向こうの顔を真っ赤になっている。

 

「…今のが答えよ。私には貴方しか居ないもの、願ってもない提案だわ」

「…ねっ、みんな賛成してくれるって言ったでしょ?」

 

後ろからにゅって顔を出した綺良々を撫でると、俺はエウルアの腰に手を回して抱き寄せた。やっぱり俺からだもみんな耐性が無いのかびっくりして赤面する。でもその顔をとても幸せそうで、俺はほっと胸を撫で下ろした。

 

 

そこからの2人はもう凄かった。時間も時間だしエウルアを泊めることになったんだけど、彼女をお風呂に入れる時に俺も引きずり込まれそうになった。つか綺良々とエウルアの団結が凄い。「いや、その、我慢できなくなるから」と俺最大の脅しをしても「「いいよ?」」と返されたので仙力まで使って逃げ出した。据え膳食わぬは男の恥ってこれのことなのか?

 

 

誰か据え膳を頂くのと節操無しを区別する定義を教えてくれ。

 

 

 

 





はい、やっとくっつきましたね。

綺良々一直線かみんなで幸せルートか最後まで考えた結果、綺良々を1番に据えた上でみんなを迎え入れるというどっちつかずな感じになってしまいました。後悔はしてません。


さて、次からは待ちに待ったフォンテーヌ編が始まります。(迅くんだけが行くので綺良々の出番が減るため、ここら辺でくっつけたかった)

フォンテーヌ勢はなるべく全員出したいんですが、リオセスリとシグウィンがかなりムズいんすよねぇ。1回投獄されないと会えないっていう。


なにはともあれ、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。「職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件」略して「しょくねこ」はこれからもまだまだ続いて行きますので、何どぞお付き合いの程よろしくお願いします。



ニィロウの方もひと段落付いたので、お次はあの服屋の店主さんをヒロインとした新作を構想中です。お楽しみに。(世界観は別として作ってます)
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