職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件   作:猫好きの餅

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 メインヒロイン回。

 綺良々による綺良々のための綺良々ずくし。


 ムアラニの小説リメイク始まりました。

https://syosetu.org/novel/380698/




11話 正妻にゃんこの即死コンボ

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 ……トントンと、包丁が動く音で目が覚める。

 

 ここは洞天ではなく、稲妻の紺田村にあるばぁちゃん家。数日前璃月港から帰ってきた俺は、久々に自分家でぬくぬくと過ごしていた。

 

 俺はむくりと布団から起き上がり、くしくしと目を擦る。台所から香る懐かしい匂い。

 

 なんか、こういうの久しぶりだな。時計を見るとまだ普通に朝早い。ばあちゃんかな?

 

 俺は顔を洗おうと立ち上がり、部屋から出たところで。

 

 

「……あっ、迅くんおはよぉ〜!」

 

 

 こちらに振り返った、エプロン姿の綺良々に俺の意識は彼方まで吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

「……ん、迅くん、起きた?……もーっ、いきなり倒れ込んで心配したんだよ?」

 

 目が覚めたら、天使がいた。

 

 綺良々はちょこっと心配した顔で俺を頭を撫でてくれている。そして、後頭部には素晴らしい感触。

 

「……なるほど、……天国かここは」

「違うよ!?」

 

 綺良々は「迅くん死んじゃだめー!」とか言いながら俺の頭をなでなで。ふざけるのもこれくらいにするかと名残惜しみながらも綺良々の膝枕から起き上がると、エプロン姿の彼女に改めて目を奪われた。

 

「…ああ、おはよう綺良々」

「うんっ、おはよっ」

 

 うちの飼い猫が可愛すぎる件について。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、ばあちゃんは?」

「おばあちゃん、今日は朝から神里屋敷に行ってるよ?なんか、昔あそこで働いていた人を集めてなにか話し合いをしてるみたい」

「へぇ、…俺も行った方がいいんじゃないか?」

「それがね、迅くんは何があっても連れてくるなっておばあちゃんが言ってた」

「一体何が起きてるんだよ」

 

 綺良々が作ってくれた朝ごはんにありつく。いつも洞天だと俺が作ってばっかだから、こうして誰かが作ったご飯って言うのもいいな。

 

 神里屋敷の件、俺が行っちゃダメって、なんか気になるな……。そういや綾華がなにかブツブツ言ってたような。……なんか俺を昔どうのこうの…みたいな。

 

「…ま、いいか。……お、この漬物美味い」

「えへへ、わたしが漬けたんだよ?」

「へぇ〜、今度みんなにも食べさせたいな」

「……わたしの料理は、迅くんにだけだよ?」

 

 ご飯喉に詰まりかけた。いきなり攻撃力が高すぎませんか?

 

 お茶で喉のご飯を流し込んでちらりと綺良々の方を見ると、向こうも同じように顔を赤くしてこっちをチラチラ伺ってくる。だが、尻尾だけは正直のようで、俺の脚に2本の尻尾がすりすりと当たる。

 

「……おう、……そっか」

「…うん」

 

 その後はお互い無言で食事を続ける。…そんな中でも尻尾だけはすりすりと当たり続けてる。

 

 食べ終わって手を合わせ、ちらりと綺良々の方を見ると、向こうも食べ終わったみたいだった。そしてやっぱり横目で目が合う。

 

 綺良々はなにか期待したような目で見てくるんだけど、今はまだ朝です。俺は尻尾すりすりを振り払うように立ち上がると食器を流しに持って行って皿洗いを始める。

 

「…ぁ」

 

 これは決して空気が恥ずかしいという訳じゃない。無心になって皿を洗っていると、綺良々が立ち上がる気配。皿を持って来てくれたのかと受け取ろうとすると、綺良々は皿を出してこなかった。否、最初から皿を持って立ち上がった訳じゃなかった。

 

「…迅くんっ…えへへ」

 

 綺良々は皿を洗ってる俺を後ろから抱きしめた。しかもいつもして来るギューって感じではなく、すりすりと、まるで懐いた猫が脚にやって来るアレのように擦り寄ってくる。

 

「な、なんだよ」

「…迅くん、照れた?」

「……べ、べつに?」

「…かわいっ」

 

 こっちのセリフだよほんとに。

 

 俺は手の泡を水で流して、雷元素で手の水分を飛ばすと、振り返って綺良々を正面から抱きしめた。彼女はすりすりし足りないのか、俺の手を取ると頬に当てて、すりすりしてくる。そんな綺良々に俺もいつもの表情が維持できない。なんだろう、ただでさえ俺のストライクゾーンど真ん中かの美少女が、俺の好きな猫みたいな動きをしてるって、もう、すごい(語彙力)。

 

「……ほら、綺良々の皿も洗うから」

「…ぅ、…じゃあ、わたしが洗うから…迅くんはぎゅってして?」

 

 はぁ〜……ふぅ〜。本当にこの可愛さを文でしかお届け出来ないことが悔しくてならない。いじけたように膨れて、「ギュッてして?」のところを上目遣いで言ってくる綺良々が可愛過ぎて俺は天を仰いだ。

 

 だから、上を見ていた俺は、綺良々が背伸びをしたことに気付かなかった。

 

「…んっ」

「っ!?」

 

 一旦天井を見て可愛さを中和してから下を見たら、背伸びした綺良々にちゅっとキスされた。そのせいで、俺の中のブレーキやら理性やらがちぎれ飛ぶ音が聞こえる。

 

「……えへ、びっくりした?……じゃ、わたしお皿持って…にゃっ」

「………」

「迅くん…?……あっ…」

 

 はい、もうダメです。止まりません。止められません。なんでこうも綺良々を前にすると俺の防御力がゼロになるのか。昔どうやって耐えてたの俺?バケモンかよ。

 

 真剣な顔付きの俺が綺良々を離さず、そのまま彼女の後頭部に手を添えると、綺良々は驚いた顔のまま、あわあわする。可愛い。

 

「…迅くん?……え、えとあのっ、イタズラしたのは謝るから……」

「謝るから?」

「……ぅ、その………お…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………おしおき……しないの…?」

「っ、……なんで?」

「……だってわたし……わるい猫…だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうダメだろこんなの。可愛すぎる。

 

 これは綺良々が最近よく使う常套句で、イタズラしてはお仕置を求めたがる。こういう場合は俺もいっつも負けて綺良々の希望通りにしてしまうところなんだけど、今回の俺はちょっと変えてみることにした。

 

 俺はお仕置されるって言うのに、じっと期待した顔で見てくるうちの飼い猫に笑顔で言った。

 

 

「……よし、じゃあ今日1日昔の口調に戻すよ俺」

「……え"っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ配達に行きましょうか。綺良々先輩」

「……ううぅ、……うん」

 

 俺が笑顔でそう言うと、綺良々はぐぎぎと挙動不審になりながら返事を返す。

 

 俺が提案したお仕置は、今日一日の間最初に会った時の口調と態度に戻すというもの。そういえば綺良々を先輩呼びした期間って短かったなぁと前から思ってたし、こういうのも新鮮だなと思ってたんだけど。

 

「…どうかしましたか?」

「うぅ、…迅くん…」

「先輩も、前にまた先輩って呼ばれたいって言ってたじゃないですか」

「そうだけどぉ…でも…」

 

 綺良々が言いたいことは大体わかる。彼女の視線は並んで歩いている俺たちの距離に向いていた。

 

 今俺たちは並んで歩いてるわけだけど、俺と綺良々の距離は久しぶりに一般的な距離感だ。恐らくそれを言いたいんだろうけど、今はお仕置中なので。

 

「……ね、迅くん……くっついてもいい?」

「…ダメです。今は配達中なんですから」

「…じゃ、じゃあ配達が終わったらぎゅーしていい?」

「俺と綺良々先輩は職場の先輩後輩の間柄ですので」

「うぅぅう」

 

 やめてそんな庇護欲をくすぐる目で俺を見ないで。大体、いつものお仕置だと綺良々は悦ぶ…んんっ、喜ぶじゃんか。実際最近距離近すぎて街中歩きにくかったからちょっと試してるだけなんだよ。

 

「…えっと、今日の配達は…スメールシティか。ほら、急ぎますよ」

「……ぅ、…はーい」

 

 渋々顔で船に乗り込んだ綺良々がかわいい。

 

 

 

 

 

 

 

 その後のスメールまでの道のりの俺と綺良々の距離感は実に健全だった。……健全だったんだけど。

 

 

「……えっと、綺良々先輩?」

「つーん」

 

 どうやら、綺良々はこの距離感の許容限界を超えてしまったらしい。一周回ってぶんすかしだした飼い猫先輩様は、俺の呼びかけに歩きながらそっぽを向く。

 

 ほっぺが膨らんでるところを見ると本気で怒ってはないようで安心する。俺は先にずんずん歩く綺良々に苦笑して話しかけた。

 

「ごめんごめん。そんなに嫌なら戻すから」

 

 俺の言葉に綺良々の脚が止まる。ゆっくりと振り返った彼女の顔はさっきと同じぷく顔で。

 

「……先輩に向かってタメ口っていい度胸だね迅くん。わたし、きみの先輩なんだから、ちゃんと敬ってよね」

 

 おっ。

 

 綺良々はふんっとそっぽを向くと、またずんずん歩き始めた。

 

 おっけ、先輩殿がその気なら、やってやろうじゃありませんの。

 

 

 

 

 

「えっと、住所は…、この先みたいですね先輩」

「…ぅ、うん。そうみたいだね」

 

 そんなこんなでスメールシティに到着。その間の一日半ほどはマジで出会った当初の他人距離感を続けたので、こっちを見る綺良々の顔が少し寂しそうになっている。

 

 一応一日経ったので1回戻したのだけど、またタメ口を咎めるようなことを言われたのでまだ敬語は続いている。

 

 まぁ、あの時求めてたお仕置と違ったことをしたからムキになっちゃってるんだと思う。後で謝ろう。

 

 でもまぁ、最近距離近すぎないかってところは本音だったりするんだよな。

 

 みんな、くっそ可愛いし美人だし、好意を存分にぶつけて来るのは凄く幸せな事なんだけど、そのせいで最近俺洞天だとでろんでろんになってるんだよね。幸せすぎて。

 

 だって揉め事のひとつも無いんだもん。……あ、やっぱあったわ揉め事。しかも最近。

 

 

 まぁ、喧嘩という訳じゃないんだけど、この前洞天の邸宅がある所とは別の島で昼寝してて、戻ってきたら中が騒がしかったのよ。で、こっそり中を覗いて見た俺は、すぐさま飛び込んだ。

 

 だってアイツら、俺の洗濯もん取り合いしてんだもん。

 

 どうしてかはわからないけど、みんな俺の洗濯物を欲しがるんだよ。何に使ってるかはまぁ、言わないでおくけど(この前現行犯見ちゃった)。で、一度みんなに注意したことがあるんだけど、その時はみんな悪びれもさずに等価交換的なノリで自分の洗濯物(なんのとは言わない)差し出してきてこめかみを押さえたことがある。

 

 だからまぁ、これについては仕方なく黙認してたんだよ。だから騒いでるのを見た時は見て見ぬふりをしようと思ったんだけど、取り合ってるのが俺の下着なのは話が別だ。

 

 

 当然、全員ひっぺがして俺のタンスには結界を。そして洗濯物は自身で回収して自分で洗うようになりました。

 

 って、なんの話だっけこれ。

 

 そうだ。そんでみんな最近俺との物理的な距離の詰め方の方向性が変わってきている。

 

 濁さず言うと、エロくなってきてんだよぉ……!

 

 とりあえず、みんな俺座ってたら膝の上に乗ってくるの本当にやめて欲しい。料理作ってる時とかも綺良々や宵宮がくっついてくるし、たまにすりすりしてくるエウルア刻晴は破壊力えぐいし、きちんと手伝ってくれる綾華がマジで良心だ。ただあの子も最近心の中に小悪魔飼いだしたけどね?

 

 そんなこともあって仕掛けてみた今回のお仕置だけど、意外と効果あったみたいだ。

 

 物思いから抜け出して、荷物を頼んだ人の家に着いた俺は扉をノックする。中から返事をして出てきた人物に俺は目を丸くした。

 

「…って、クーファ?」

「あれ、迅さん?こんにちは」

 

 顔を出したのはスメールの料理人、クーファだ。驚きつつも荷物を渡と中身を確認して満足そうに頷く。

 

「ありがとうございます。…って、そうだった。迅さんも狛荷屋でしたもんね」

「あはは、まぁ最近は配達あんまり行かなくなっちゃったからな。今日は綺良々と来たんだ」

「こんにちはっ」

「そうだったんですね」

 

 クーファは、箱の中から黒い液体が入った瓶を取り出す。俺たちにとっては馴染み深いもので、それをスメールの彼が取り寄せたことに驚いた。

 

「クーファ、これもしかして醤油か?」

「あ、はい。タフチーンにアレンジ出来るかなって思って…」

「はぇー…確か、クーファくんってニィロウさんのためにタフチーンを作ってるんだよね?」

「…はい。そうですね」

 

 綺良々に尋ねられたクーファは恥ずかしそうに頭を搔く。ふたりが付き合ってるのは俺達も知ってるので、素直に応援した。

 

「……そういえば、おふたりで配達なんて珍しいですね。なにかのお出かけの最中ですか?」

「いや、ただ俺がスメールまで行くって行ったら綺良々が心配だって着いて来てくれたんだよ。…ありがとうな」

「えっ、…ぅ、うん」

 

 今度はしっかり目を見ることが出来た。綺良々はびっくりした後に顔を赤くしてあわあわする。

 

 そんな俺らを見て、クーファは微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、これからどうしますかね。先輩?」

「……うぅ、ごめん…わたしが悪かったから…いつもみたいに呼んでよぉ…?」

「…くっそかわいいな」

 

 帰路についてからまた先輩呼びに戻したら、涙目の綺良々が腕にくっついてきた。もう離さないと言わんばかりの顔で懇願するように見上げてくる。くそかわいい。あ、口に出しちゃった。

 

「…ぅ、な、なに言ってるの迅くん…」

「………まじくっそかわいいな」

「もぅ!」

 

 あーもう一日我慢してんの俺もしんどかったんだよ。もう森の中だし誰かに見られるって訳でもない。

 

 俺は綺良々を抱き上げる。

 

「じ、じんくんっ?」

「……実を言うと俺もしんどかった」

「…えへ、そうだったんだ……ん〜っ」

 

 綺良々は俺の首に腕を回してぎゅーっと抱きついてくる。俺はその温もりを大切に抱きしめながら脚を動かした。

 

 

 

 

 

 

「よし、しっかり掴まってろよ?」

「うんっ!」

 

 層岩巨淵に入ったあたりで綺良々を抱いたまま空を飛ぶ。電磁離斥で加速する時は結構な力がかかるので心配だったけど、さすがは猫。高いところは好きみたいだ。

 

「…わぁ…!地面があんなに遠くにあるよっ」

「だな。……もっと高度上げてもいいか?」

「うんっ!わたし雲の上行ってみたいかもっ!」

「了解」

 

 空中で電磁離斥をしてさらに飛び上がる。上空は地表よりも風が強いんだけど、雷元素で無理やり無効化しながら進む。もう滑空っていうより斥力の推進で飛んでるだけだな。

 

「…んー、なんか迅くん、すごい慣れてない?もしかして普段からこんな高く飛んでるの?」

「まぁな。本気で飛べば稲妻から璃月港まで10分くらいだ」

「だから、この前エウルアちゃんがモンドでデートしたって話してたんだね……。てっきり洞天から行ったのかと思ったよ」

 

 実はそれの他に空中戦の練習もしてたり。この前影さんにボコられてからちょっと炎がつきまして。

 

 そんなことを話しながら飛んでいると、すぐに璃月港が見えてきた。辺りはもう夕方だ。予定ではここで一泊して稲妻に帰る予定。

 

「……綺良々、宿はどうする?それとも洞天はいるか?」

「……ん…、……ね、迅くん。わたし、ちょっと行きたいところがあるんだよね」

「お、どこだ?」

「えへへ、わたしが案内するよ」

 

 とりあえず璃月港の西門に降りると、綺良々が俺の手を引く。引かれるがままについて行くと、見覚えがある裏通りに入った。

 

「…綺良々、まさか…」

「……」

 

 綺良々は耳を赤くしながらも答えず、少し歩くとその答えが見えてくる。……というかここ前に来たな……。

 

 

 

 綺良々が俺を連れてきたところは、前に俺が他の猫撫でてヤキモチが爆発した綺良々に連れられた、連れ込み宿だった。

 

 今度はちゃんとここが何をする場所なのかわかってて来た綺良々は俺をちらっと赤い顔で見上げる。もう、そんな顔で見られちゃ俺は何も言えません。

 

「……ほら、ここ行きたいんだろ?…………入るか」

「ぅ、うんっ」

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 ど、どどどどうしよう…!…すごい勢いで入っちゃった…!

 

 迅くんと一緒に前にも入った連れ込み宿に入って、部屋まで通されたわたしは今頃になって顔が燃え上がりそう。横を見ると、同じようにちらっとこっちを見た迅くんと目が合う。

 

「…とりあえず、座るか」

「…うん」

 

 迅くんがソファに座ったので、わたしも荷物を置いて彼の隣に座る。

 

 前入った時は見る余裕なんてなかった部屋の内装を見ると、なんかその…え、えっちな雰囲気だよ。……あ、あっちのお風呂場なんてガラスで丸見えだし…!…向こうには大きな鏡があって、それに写ったわたしの顔は耳まで真っ赤。

 

 そんな中、迅くんが、わたしの手を握った。

 

「…ぁう…」

 

 手なんていつも繋いでるのに、わたしは何故かびくっと身体が跳ねた。恐る恐る彼の方を見ると、迅くんの方何やら赤い顔でわたしを見てきた。

 

 わたしは握った手を動かして、迅くんの指と自分を指を絡ませる。たったそれだけなのに、わたしのお腹の奥がじゅんっと熱くなった。

 

 迅くんは、わたしが甘えすぎたお仕置きで、配達の間敬語で接するってことをしてきた。また迅くんに先輩ってよばれてみたかったって欲はあったけど、距離まで昔に戻すなんて聞いてないよっ。

 

 わたし、この2日間すごくしんどかった。やっぱりわたし、迅くんが居ないと生きていけないんだぁって強く実感したなぁ。

 

 だから2日ぶりの迅くんとの触れ合いに、身体がいつもよりも気持ちよくなってる。……もっと、触りたいなぁ…。

 

「迅くぅん」

「……綺良々っ…?」

 

 わたしは手を繋いだまま、身体を起こして彼の脚に跨るように座る。迅くんの膝の上に座ったから、彼の頭がわたしの首元くらいに来る。

 

 えへへ、この座り方、迅くんと沢山くっつけて大好きなんだっ。いっぱいちゅーできるし、……それに、……この体勢だと……ね?迅くんがわたしに夢中になったのが凄くわかりやすいから。

 

 あぁ、……好きだなぁ。迅くん、好きぃ。

 

 わたしは迅くんの頬を両手で挟むと、ほとんど襲いかかるようにちゅーをした。

 

 迅くんはわたしを受け入れるように優しく抱き締めてくれる。それが嬉しくて堪らなくて。好きで好きでたまらなくて。2日ぶりの迅くんの温もりに、わたしはどんどんおかしくなっちゃった。迅くんが伸ばして来た舌をわたしの方から迎え入れて、わたしがどんだけ君のことが好きかをしょーめいする。

 

 部屋の中に、わたしと迅くんのちゅーの音が響き渡る。くちゅくちゅ、じゅるじゅると音を立てながら、わたしは夢中で迅くんとちゅーをする。息が続かなくなって顔を離すと、彼の手に後頭部を押さえつけられてまたちゅーされる。彼の舌がわたしをどんどんダメにしちゃう。

 

「…ぷぁ、…ん…ぅ、…じん…くん……も、許し…ぁんむっ…」

 

 わたしがてろてろになった顔で許しを請おうとするけど、その答えにわたしは為す術もなくソファに押し倒された。さっきと上下ひっくり返って両腕を押さえつけられて逃げられないわたしはふにゃふにゃの声を上げながら迅くんにちゅーされる。気持ちよくてなんも考えられないわたしを見た迅くんは優しい顔で微笑むと、またわたしを貪り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迅くんとのちゅーはそのまま1時間以上も続いた。わたしが何を言っても何をしてもやめてくれなくて、それにちゅーするところも唇だけじゃない。全身の至る所に口付けされたわたしはもう迅くんの身体に倒れ込んで、舌を出してはぁはぁするしかない。

 

 身体も勝手に震えたり跳ねたりして、思うように動かないけど、それがすごく気持ちいい。

 

「……ふぇ、…ぁ、迅くん……んっ、ぁ…ばんごはん…は…?」

「…綺良々がいいな」

 

 わたしをきゅっと抱き締めて言ってくる迅くんに、わたしのお腹の中がまた熱を持ち始める。それを彼にも伝えるように、脚やお腹をぐりぐり彼に擦り付けると、わたしは彼の首を吸い始めた。

 

「……あぁもう、なんでそんなに可愛いんだよ」

 

 えへへ、迅くん、これにはたまらないみたいで、こめかみを抑えて何かを堪えてるようだけど、もう、我慢しないでいいよ?

 

 わたし、今日はずっと悪い猫だったから……ちゃんとおしおき、されなきゃ……えへへ、迅くんのおしおき…えへへっ。

 

 でも、迅くんは優しいから、わたしが頼んでも全然いじめてくれない。……わたし、わるい猫なのに…。

 

 

 

 

 

 ……なに、したら…………もっとすごいおしおきしてくれるの?

 

 

 

 わたしは自分の欲望に押されるままに、迅くんの首筋に吸い付いた

 

 

「…っ、綺良々?」

「ちゅーっ」

 

 くびもとの……目立つところに……。

 

 

 ちゅぱっと口を離すと、迅くんの首に赤い斑点が出来た。迅くんは壁の鏡で確認して慌てた顔で言う。

 

「……ちょ、おまっここじゃバレるだろっ!?」

「……じんくん……わたしね…?」

「な、なに?」

「じんくんの服……まだ持ってってるよ?」

「ちょっとまて。なんで?……俺のタンスには結界はって…」

「……んーん?……もう脱いだのは取れないから……こうしてね?」

 

 わたしは迅くんのシャツの中に顔を突っ込んだ。息を吸うと、男の人なのにいい匂いがする。……迅くんがすくぐったそうに動くけど、そのまま顔を下に下に下ろしてく。

 

 迅くんは心当たりがあるみたい

 

「……ま、まさか…やけに目覚めのいい朝がちょくちょくあったけど………一人で寝てる時に」

「……えへへ、……あむっ」

「っ!?」

 

 わたしが迅くんのあるところに口を付けると迅くんの顔色が変わった。わたしがどんだけわるい猫かわかった?……おしおき、しなきゃダメだなってなったかなぁ?

 

 

 

「………ね、迅くん」

「なんでしょうか…?」

「……ぁ、いまは迅くんじゃだめだよね。……あのね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ご主人さまぁ………、おしおき、……してくださいにゃぁ」

 

 

 

「………っ」

 

 

 

 

 

 ─────翌日、思い出してわたしが叫びながら転げ回るまで、あと12時間っ。







 

綺良々のおしおきのねだり方、貴方なら耐えられますか?

  • はい、無理です。
  • 何とか耐えました。
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