孫権に睨まれながらも、雪蓮の命により孫権の傍に居た二人の少女の自己紹介がされた。戸惑いながらも、明るく接してくれた黒い長髪の少女は周泰、真名を明命といい、未だに孫権と共に警戒する赤服の少女が甘寧、真名を思春と言うらしい。二人とも俺たちに真名を預けてくれたが、明命のほうは背中にある日本刀?のような物に先輩二人が興味を示し、すぐに打ち解けあった。しかし思春のほうは相変わらず、警戒している。どちらかというと自分よりも狛傅先輩のほうを睨んでいるようにみえた。そして、問題の孫権はというと
権「・・・何だ?」
もの凄い形相で睨んでくる。雪蓮たちが夫になると言ったときからその表情がより酷くなった。でも自分の気持ちを伝えたかった。
一「俺が気に入らないなら別に良いよ。君の立場からすれば、俺たちが胡散臭いのは充分わかるし。そんな男に真名っていう大切な物を預けるのは嫌だという気持ちも良く分かる。・・・でもね、俺たちは雪蓮たちを支えたいって気持ちだけ認めて欲しいかな」
権「・・・・」
一「だから今は、真名を預けてくれなくても良いよ。教える気になったら君自身が判断すれば良い」
権「・・・・会ったばかりの人の気持ちなど、見透かすことは出来ないわ。・・・だけど冥琳たちが私に嘘を付くはずがない。だから間接的に認めてやろう」
どうやら自分の気持ちが伝わったようだ。それを待っていたかのように皆が集まる。
雪「さて・・・・と。自己紹介はこれでおしまい。部隊の再編集をしたあと、すぐに出発しましょうか」
冥「そうしよう。・・・・思春、明命。お前たちは祭殿の下につけ」
思・明「「はっ(はいっ)」」
宏「前曲中央の配置に祭殿。左翼に思春の部隊を、右翼に明命の部隊を配置」
冥「後曲中央に雪蓮と大橋の部隊を。右の部隊は私が取る。左は宏近に任せる。穏は後曲部隊の補佐をしろ」
権「待て。では私の部隊はどうするんだ」
冥「蓮華様は後曲の後ろ、輜重隊を護衛すると共に、遊軍として待機をしておいてください」
権「・・・・分かった」
雪「一刀は蓮華と一緒に輜重隊の護衛よ」
一「了解」
冥「では一刻後に出発する」
――孫呉の北方には曹操が陣をとっていた。曹操軍の軍師、荀彧が曹操のもとに報告していた。
荀「華琳様。我らの南方四里のところに新たな部隊が発見されました」
曹「旗印は?」
荀「孫。恐らく袁術の客将になってるという、孫策の旗かと」
曹「・・・ふふ、・・・・江東の虎と謳われた孫堅の娘か。楽しみが増えたわ」
――孫権たちと合流し、部隊を拡大した俺たちは、初戦の勝ちきった勢いのまま、黄巾党本隊が籠もる城へ向かっていた。
宏「冥琳。城の図面はありますか?」
冥「あぁ、穏が持っていたはずだが・・・、それがどうした?」
宏「少し一刀を試そうと思いましてね――」
――城の近くに着くと、そこには城を囲むように配置された諸侯の軍勢があった。
雪「曹、袁、公孫、それに劉。・・・・良い感じに集まってるわねぇ」
狛「うへぇ、有名どころばっかいるぜ」
冥「計算通りだな。これだけ集まっていれば、敵と互角に戦えるだろう」
宏「いよいよですね。穏、ちょっと城の地図を持ってきてください。一刀!」
穏「・・・はい、これですー」
一「何かようですか?」
宏「あなたの成長振りをみるんですよ。この地図を見て思ったことを言いなさい」
俺は穏が持ってきた城の地図を見る。地図を見ていると、ある倉が死角になっているのに気づく。
一「・・・ここの倉の辺りが死角になってない?」
冥「ふむ、・・・・言われてみればそうだな」
一「多分、敵も兵糧を備えてると思うし、そこにおいてあるかも知れない。だから夜の闇に紛れて城内に侵入し火を放って、混乱してるときに城門を、内からを開けるってのはどうかな?」
宏「・・・可能ですね。祭殿、諸侯の軍が引き上げたのち、部隊を正門に集結させてください」
祭「ふむ、・・・・夜襲を掛けるのか?」
宏「フリだけで構いません。囮になってもらうだけですから」
祭「囮か・・・・。なるほどのぅ」
冥「思春、明命。祭殿が囮になっている隙を狙い、放火活動を行え!そして混乱に乗じて門を開門し味方を引き入れる準備をなさい」
思・明「「御意!」」
自分の策が選ばれ、各々が覚悟を決め、準備を始める。孫呉の名を轟かすために、黄巾党本隊との最終戦が今始まろうとしていた。