真・恋姫無双 三人の御遣い   作:磁気雷電

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第八話

作戦が決まり後方で指揮を取っていた孫権にこの事を伝えると、孫権は少し暗い表情をしながら・・・、雪蓮に前に出るのを反対する。

 

権「・・・絶対に成功するという保障が無い以上、お姉様が前に出るのは反対です!!・・・・それにこの状況が、母様が死んだ時と良く似ていて・・・」

 

雪「城攻めで私が死ぬかもって?無い無い。・・・・今回私がするのは狛傅と一緒に突入部隊の指揮をするだけ。城攻めの指揮は祭に任せるもの」

 

祭「うむ。承った」

 

雪「ね?だから安心して私の背中を見ておきなさい。・・・・孫呉の王の戦いぶりをね」

 

権「・・・・わかりました」

 

雪「聞き分けの良い子は好きよ。さてと・・・、私たち三人はしばらく待機するとして・・・冥琳たちはどうするの?」

 

冥「穏は北郷共に蓮華様の補佐を」

 

穏「了解であります♪」

 

一「わかった」

 

宏「私と冥琳であなたたち三人が突入したあとの総仕上げを行います。では各自、準備を始めてください」

 

宏近先輩の声と共に、各部隊が準備を始める。

 

 

俺たちは陣地を構築したあと、夜を待った。

 

それから――――。

夜になると、雲一つない空には自分の世界じゃ到底見られないほどの数多の星や大きな月が顔をだしていた。作戦開始まであと少し、心が落ち着かない俺は、天幕から出て空を見上げる。

 

一「空にこんなに星が輝いてるよ。東京じゃ見れないだろうな」

 

権「・・・・一人で何をしている」

 

一「んー・・・・あと少しで戦が始まるから、心を落ち着かせようと思って・・・」

 

権「・・・・・・」

 

一「・・・・・・」

 

権「・・・・怖いの?」

 

一「あぁ、正直言って怖い。自分の仲間がこの戦で死ぬかもしれない・・・・。そう思うとさ、落ちつけなくて・・・・だからお月さん見上げて、皆生きて帰ろうって願かけてたってわけ」

 

権「そうか・・・・」

 

一「・・・そういう孫権はどうしてここに?」

 

権「わ、私は、その・・・・これが私の初陣なんだ。緊張して何が悪い」

 

一「・・・俺もそうだった」

 

権「え?」

 

一「俺も初陣のときは同じように緊張した。人と人の殺し合いて見たくなかったし、そもそも俺のいた世界・・・というより住んでた国では戦いなんてとっくの六十年以上も前に終わってたんだ」

 

権「・・・・」

 

一「けどさ、戦いが始まる前に先輩たちに言われたんだ。『覚悟を決めろ。でないと死ぬ。ここは自分の世界じゃない。郷に入っては郷に従え。』ってね」

 

権「・・・・そうか」

 

一「・・・・この刀が覚悟の証なんだ」

 

俺は腰に差している刀を鞘から出し孫権にみせる。

 

権「なんだか明命の刀によく似ているが、刀身は薄く紅く染まっているのだな」

 

一「先輩たちの想いが入っているからさ」

 

権「え・・・・」

 

一「覚悟を決めたときにこの『紅』を託された。もう逃げ道なんてない。だから俺はこの刀に自分の覚悟を誓った」

 

権「それは・・・」

 

一「俺は兵の上に立つ。自分の勝手で兵を無駄死になんてさせはしない。同じ思いで戦場に立てば兵は仲間。だから多くの仲間と共に帰ってくると」

 

自分の覚悟を話すと、孫権の顔は微笑んだようにみえた。その表情は初めて見る表情だった。

 

権「・・・・お前は強いのだな」

 

一「・・・そう?」

 

権「少なくとも私より強い。・・・私は呉の王族のはしくれとして兵の上に立つ。そして兵たちを守ってみせる・・・・と言いたいが、正直言ってお前のような強い覚悟など持ち合わせていない」

 

一「・・・じゃあ俺が孫権を守るよ」

 

権「なに?」

 

一「一人で全てを背負いきれるはずがない。無理をすればそれこそ、背負える範囲が縮小するしかもしれない。だから、俺にも孫権の荷を背負わせてくれないか?」

 

権「・・・き、貴様にできるのか?」

 

一「出来る、と信じて、俺は自分の出来ることを精一杯やる。そうやって・・・守ってやるよ。孫権を」

 

権「・・・ふ、ふんっ。期待はせん。・・・・でも、好きすれば良い」

 

一「ああ、好きにする」

 

権「ふんっ」

 

つんけんした感じで背を向け去っていく孫権。初めて会ったときよりだいぶ警戒は解かれた感じだった。これなら仲良くできるかな?

 

一「何か・・・・案外分かりやすい性格かも。すぐに顔に出るし・・・」

 

ほんの少し、言葉を交わしただけで孫権がどこか無理をしていることは、分かった気がした。

・・・余談だがこの会話を雪蓮と狛傅先輩は聞いていたという・・・・

 

そして――。

時が進み、いよいよ作戦が開始される。

 

冥「作戦を開始する。興覇、幼平。行け!」

 

二人「はっ!」

 

冥「祭殿は雪蓮、大橋と共に正面へ。あとは作戦通りに頼みます」

 

祭「任せておけ。策殿、大橋、行くぞ!」

 

雪「了解。・・・・蓮華、行ってくるわね」

 

権「はい。お気を付けて・・・・」

 

狛「心配すんな。何かあったら俺が雪蓮抱えて戻って来るからよ」

 

権「・・・姉様を頼む・・・」

 

狛「応っ!任せとけ。大橋隊、出るぞ!準備はいいか、お前ら」

 

呉兵「応っ!」

 

雪「孫策隊も、出るぞ!」

 

呉兵「はっ!」

 

祭「黄蓋隊も続く!皆、儂についてこい!」

 

呉兵「応っ!」

 

宏「一刀と穏は孫権殿と一緒に後方へ下がりなさい」

 

穏「は-い!」

 

一「了解」

 

 

―――俺と穏と孫権が後方へ、下がってしばらくすると、城内から真っ赤な炎が上がる。どうやら作戦は成功したらしい。

 

穏「上手くいったみたいですねぇ~」

 

権「そうだな・・・・。良かった」

 

穏と孫権は安堵の表情を浮かべるが、ここで終わったわけではない。前曲が逃した残党がこちらへと突撃してきていたからだ。

 

一「北郷隊、前曲部隊が逃した残党を駆逐する!かかれ!」

 

呉兵「応っ!」

 

俺の合図に孫権も気づき、兵たちに号令をかけた。辺りを見渡すと各部隊それぞれの指揮官が、怒涛の勢いで黄巾党の残党の命を奪っていった。やがて、黄巾党は全て殺しつくされ―――長く感じられた黄巾の乱は、ようやく終結した。

 

戦いに勝利した俺たちは、本拠地に向かって凱旋の途につく。その途中、孫権が俺に近寄ってくる。

 

一「どうしたの?」

 

権「あなたに言いたいことがあったから・・・・」

 

一「俺に?」

 

権「あ、あなたの戦いぶりはしっかりと見させてもらったわ。気を抜くことをせずに兵を先導した。とても見事なものだった」

 

一「ありがとう」

 

権「あなたの覚悟を認めましょう。私の真名は蓮華。・・・この名を預けたいと思う」

 

一「あぁ。謹んで頂戴するよ。よろしくな、蓮華。俺は一刀でいい」

 

蓮「よろしく、一刀」

 

俺は蓮華に認められ、真名を頂戴した。

 

翌日――

先輩たちにも、真名を預けた蓮華は、初見で会ったときよりもどこか成長しているように感じた。

 

 

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