真・恋姫無双 三人の御遣い   作:磁気雷電

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拠点√祭 其の二

ある昼下がりの午後、俺は中庭で先輩に稽古をつけてもらっていた。

 

―キィンッ―

 

―カーンッ―

 

狛「ほら、どうした一刀!! まだ腰が引けてるぞ!!」

 

一「・・・くううっ!・・・・」

 

刀剣は刃引きしてあるのを使ってはいるが、まともにくらえば骨や肉を断つことさえ可能なので、俺には死に物狂いで受けるか避けるしかない。

 

―ギィンッ―

 

俺は間合いを取り、技をだす構えをつくる。狛傅も構えをつくる。

 

一「・・・・はっ!!」

 

俺の真横に伸びる技に反応し、先輩は剣速をあわせながら下から上へと持ち上げる

 

狛「・・・・ふっ!」

 

―キィンッ―

 

俺の刀剣ははじかれ、

 

―ドスッ―

 

地面へと突き刺さる。先輩は刀剣を俺の首にあて

 

狛「チェックメイト」

 

一「参りました」

 

と稽古の終わりを告げる。

 

二人で木陰で休んでいると、祭さんが通りかかる。

 

祭「おう。北郷に大橋ではないか」

 

一「あっ、祭さん」

 

狛「よぅ、祭。これから調錬か?」

 

祭「うむ。我が弓兵の遠的の指導をな・・・」

 

一「遠的だけ?」

 

祭「他にも、陣形の速さ、射撃体勢の用意なども見るつもりじゃが・・・」

 

一「結構、基礎的な部分が多いんだね」

 

狛「兵の錬度は戦を分けるからな。基礎を怠ったらその分戦場で足手まといになるんだ」

 

祭「そのとおりじゃ」

 

一「なるほど・・・」

 

?「♪~~~」

 

一「・・・・ん?」

 

祭さんと先輩の話に感心していた時、不意に、ご機嫌な鼻歌が近づいているのに気づいた。ショウタイは穏であった。

 

祭「おう。穏ではないか」

 

穏「はい~?」

 

穏「あ、祭さま~、狛傅さんに一刀さんも~」

 

祭さんの声で、こちらに気づいた穏がやってくる。

 

穏「ご一緒で何をしてたんです~?」

 

狛「俺は、一刀に稽古をつけてやってた」

 

一「それで休憩中に祭さんに会ってね」

 

祭「儂と大橋で兵の調練、錬度の高さの重要さについて教示してやっていたというわけじゃ。・・・・そうじゃ穏! お主に話しがあるのを思い出した」

 

穏「話・・・・ですか?」

 

祭「ああ。 お主の部隊だが、最近、調練をしているのを見かけんが大丈夫なのか? 以前に賊との小競り合いで連携が遅れていた事を忘れてはおるまい?」

 

穏「忘れたりしませんよ~。 あの後で兵のみなさんには、ちゃ~んと言い含めておきましたから、次はきっと大丈夫です」

 

一「それ・・・、ぜんぜん大丈夫に思えないんだが・・・」

 

祭「そもそも、言い含めただけでどうにかなるなら苦労せんわい」

 

穏「苦労せずにすむなら、ちょうどいいじゃないですか」

 

一「いやいや、祭さんが言ってるのはそういう意味じゃないんだって」

 

祭「まったく・・・、お主の知謀は頼りになるが、お主の部隊はあてにならんのぉ・・・・」

 

穏「そうですか? 火矢を撃つのは得意なんですけど?」

 

狛「毎回、火矢を使うわけじゃねぇだろ」

 

穏「う~ん・・・・、じゃあ、祭さまの部隊と一緒に調練しちゃってくださいよ」

 

祭「・・・・なんじゃと?」

 

穏「良い案だと思いませんか?私は楽を出来ますし、隊も強くなりますし、一石二鳥です~♪」

 

祭「待たんか。一石二鳥はお主だけで、儂の得が何もないではないか」

 

穏「得ならあるじゃないですか。祭さまの欲求がかなって軍が強くなりますよ?」

 

狛「祭が言いたいのは、個人に対する得がないっていってんだよ」

 

祭「大橋の言うとおりじゃ」

 

穏「え~? 祭さまってば欲張りですねぇ」

 

一・狛「「・・・・どっちが?」」

 

穏に対してつっこみを入れてしまった俺と先輩はわるくない・・・・はず。

 

穏「じゃあ、付け届けを差し上げますから・・・・それなら構いませんよね?」

 

祭「付け届けじゃと?・・・ふむ・・・・。して、その内容は?」

 

穏「そうですねぇ・・・・、美味しいお肉ではどうですか?」

 

祭「肉だけか?」

 

穏「ふぇっ?」

 

祭「それでは足らんな」

 

穏「っ・・・・じゃ・・・・じゃあ、お野菜もつけちゃいます」

 

祭「足らん」

 

穏「そ・・・・そんな、片方じゃなくて両方なんですよ?」

 

祭「それでも足らんと言っておるんじゃ」

 

穏「ご、強欲ですぅ・・・・」

 

祭「何を言う。付け届けをして自分のすべき仕事を儂に押しつけようとしておるのじゃから、それ相応の見返りを寄越すのは当然じゃ」

 

穏「うぅ~・・・・ひとの弱みにつけこんでぇ~・・・・」

 

祭「物事というのは、等価交換で成り立っておるものなんじゃよ」

 

穏「等価交換言いたいだけちゃうんかぁ~・・・・」

 

一・狛「「(なぜ、関西弁!?)」」

 

祭「何か言ったか?」

 

穏「いいえ~、別に~。・・・・じゃあお酒もつけましょう」

 

祭「・・・・・・」

 

穏「お肉とお野菜とお酒。これだけつけて、まだ足りないなんて言いませんよね?」

 

祭「ふむ・・・」

 

穏「祭さま~」

 

祭「何年分じゃ?」

 

穏「年っ!?」

 

祭「ああ。まさか一食分で済ますわけではあるまい」

 

穏「だからって、何年分て・・・・そんなに付け届けたら、陸家の家計がぼーぼーになっちゃいますよぉ~」

 

祭「なら、お主に出来る、可能な限りの心意気をみせてみよ」

 

穏「・・三日分・・」

 

祭「話にならんな」

 

穏「あ~~っ・・・じゃあ、十日分なら・・・・」

 

祭「しみったれた事を言いおって。・・・・仕方ない。あと一声で許してやる」

 

穏「じゃあ・・・半月分で・・・・」

 

祭「うむ。一月分じゃな。それで手を打とう」

 

穏「ちょっ!? 穏は半月分て・・・・」

 

祭「文句があるのか?」

 

穏「・・・・分かりましたよぉ・・・・一月分ですね・・・・。その代わり、調練の事はお願いしましたよ」

 

祭「おう。まかけておけ」

 

自信満々な笑みの祭さんとは対照的に、穏はがっくりとうなだれている。

 

穏「はぁ~、・・・手痛い出費ですぅ・・・・」

 

穏は深く溜め息をつきトボトボとその場を立ち去った。俺は先輩と別れ、祭さんと調練の場へと向かった。その途中で、冥琳に見つかり調練の視察を兼ねて見学することを聞き、さっきまで笑顔だった祭さんの表情が一変して暗くなる。さらに冥琳に腕を掴まれるとそのまま、人ごみの中へと消えていった。なぜか俺はあとをついて行くことが出来ずそこで立ち止まっていた。そのとき思ったことは祭さん・・・ご愁傷様だった。

 

先輩にこの事を話すと、先輩は穏の恨みを冥琳が晴らしてくれたと笑っていた。

 

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