狛「親父、ごちそうさん」
店「あいよー」
狛「なかなかの味だったな」
俺は店の戸を閉めながら口に楊枝を銜える。
久々に休憩時間が長く取れた俺は、街へと足を運んだ。
昼飯に選んだ店は焼飯が評判の大衆食堂。
昼間にガッツリと食べたい人たちには大人気の食堂だ。
それだけでなく、メニューが豊富にあるのでかなり繁盛している。
狛「次は雪蓮といってみるか・・・・お?」
噂をすれば影とはよくいうものだ。
城に戻ろうとしていた途中の曲がり角で雪蓮を発見した。
俺の知らない老夫婦と親しげに話していて、俺に気づかない。
俺は雪蓮に気づかれないように、背後に立った。そして、
狛「何してんだ、雪連?」
雪「きゃっ!!」
何とも可愛らしい声で驚いてくれた。
雪「なんだ、狛傅かぁ。おどかさないでよ」
雪蓮が口を膨らまして言う。
狛「スマン、スマン。っで、何話してたんだ?」
俺は雪蓮に尋ねた。
雪「う~ん。実はね、このお爺ちゃんとお婆ちゃんが記念に絵姿を描いて欲しいんですって。それで街で絵師さんを探してるみたいなんだけど、何か知らない?」
そう雪蓮が答える。
狛「なら俺が描こうか?」
俺の言葉に雪蓮が驚いた表情をする。
雪「えっ?狛傅、絵姿描けるの?」
狛「ああ。まぁ道具が有ればな」
俺がそう言うと、雪蓮は物凄い速さでどこかへ消えて行き、道具を持って戻ってきた。
雪「はぁ、はぁ・・・。はい、これで描けるでしょ?」
狛「ああ。じゃあ雪蓮、お前あの老夫婦の中に混じれ」
俺の言葉に雪蓮は老夫婦の方を見ると、老夫婦は笑顔で頷きそれを確認して俺に道具を渡す。
-半刻後-
狛「これでどうだ?」
俺は出来た絵を三人に見せる。
雪「すっごーい!私たちが絵の中にいるみたい」
爺「ほんにすごいのぅ・・・。なぁ婆さん」
婆「そうですねぇ、これは私たちの宝物にしましょう」
三人はとても喜んでくれたみたいだ。そして受け取ったお爺さんが、
爺「ほんに、ありがとのう。そういえば、あんた雪蓮ちゃんの真名を呼んでるみたいじゃが、もしかしてコレか?」
お爺さんが小指を立てる。
狛「ああ。俺の嫁だ」
そういうと雪蓮は顔を真っ赤にし、お婆さんはあらあらという。
爺「なかなかの男じゃのう。うむ、安心して雪蓮ちゃんを任せられそうじゃ。のう?」
婆「そうですねぇ。雪蓮ちゃんにも春が来たんですねぇ」
二人がそう言うと雪蓮は真っ赤になりながらも抗議するが、二人はそれを受け流しながら、街へと消えていった。
二人きりになると、雪蓮は顔を赤くしながら、聞いてくる。
雪「何であの二人に言ったのよ?」
俺は悪いことか?と聞くと、さぁねと言いながら笑いながら城へ戻って行く。だがその時に小さな声で有り難うと雪蓮が言ったのを聞き逃さなかった。少しずつ雪蓮に近づけたと思いながら、後を俺は追っていた。