真・恋姫無双 三人の御遣い   作:磁気雷電

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拠点√穏

ある日、一刀は冥琳に呼び出され玉座の間に足を運んでいた。

 

一「冥琳~?来たぞ~?」

 

冥「そんな大声を出さずとも聞こえている」

 

声のほうを振り向くと、そこには冥琳と宏近先輩と穏がいた。

 

穏「・・・・♪」

 

穏は人懐っこい笑顔で会釈してくれる。

 

冥「急に呼び出して、すまない」

 

一「いや、平気だよ。・・・・この間に来るのは、少し緊張するけど」

 

宏「緊張?何を緊張する必要があるのです一刀?」

 

一「普通、玉座の間って俺みたいな一般市民が入るのはなんか恐れ多いなぁって」

 

でも冥琳や穏はこれが普通なのだろう。そして宏近先輩、先輩は馴染み過ぎです。

 

一「それで用ってなに?」

 

宏「実はですね一刀に頼みごとが・・・」

 

一「頼みですか?」

 

冥「倉を知っているな?城を出て練兵場の方へ向かうと右手にある」

 

一「あぁ、あの倉か・・・入ったこと無いけど」

 

冥「そのために、穏を同行させるつもりでいたのだが」

 

穏「私も倉に入っていいのですか~!?冥琳様?」

 

冥「入っていいわけなかろう。お前は倉の前で待っていろ」

 

穏「そんなぁ~」

 

一「それで、その倉に何かあるの?」

 

宏「実はその倉から、ある書を持ってきて欲しいんですよ」

 

一「何の本ですか?」

 

冥「『呉孫子兵法八十二篇』という書だ」

 

一「孫子兵法かぁ・・・。聞いたことはあるけど、実際読んだ事は無いなぁ」

 

冥「それなら丁度よい。穏と一緒に行って持ってきてくれ。・・・ただし穏は倉の前までだ。決して中に入るなよ?」

 

穏「・・・はぁ~い」

 

こうして一刀と穏は倉へと向かった。倉へと向かう途中、孫子の話について少し盛り上がっていた。

 

―同刻 冥琳・宏近―

 

時同じころ、宏近は冥琳に質問していた。

 

宏「なぜ穏を一刀と一緒に向かわせておきながら、倉に入るのは駄目なんですか?冥琳?」

 

冥「実はな・・・・、穏には性質の悪い癖があってな。それが・・・」

 

宏「書物を読むと興奮して発情する?」

 

冥「あぁ。具体的には兵法や偉人たちの事が書かれたものが主だな。自分に新たな知識を沸かせるものついて発情するらしい」

 

宏「では、私が以前話した政治の仕組みや、学校、塩田の開発の仕方、屯田兵などは・・・」

 

冥「穏にとって恰好の餌食だろう」

 

宏「・・・・・・」

 

冥「まぁ気にするな。私も穏にそれらの事を話すつもりなど無い」

 

宏「頼みますよ。冥琳」

 

冥「分かっている。・・・おっ?丁度あの二人が戻ってきたようだ」

 

前を向いてみると書物を持った一刀と引きずられている穏がこっちにやって来た。そしてその書物を冥琳に見せる。

 

冥「ふむ。確かに『呉孫子兵法書』のようだが・・・」

 

一「一回じゃ全部運びきれないよ」

 

冥「場所がわかったならばいい。ご苦労だったな」

 

宏「一刀。穏に何があったんですか?」

 

一「実は・・・」

 

宏「・・・・本当に冥琳の言うとうりでしたか」

 

冥「北郷、これをお前に預けよう」

 

一「俺に?」

 

穏「ええええぇぇ~~~っ!?」

 

孫子兵法を一刀に預けると言った瞬間、穏は大声をあげ飛びあがる。

 

冥「残りのものも、後で持ち出しておくようにな」

 

宏「元々、一刀の教材として頼んだのです。しっかりと兵法を学んでおきなさい」

 

一「でも先輩、これ全部漢文なんで字がほとんど読めないんですけど、俺」

 

冥「字が?それは困ったな。字を教えるにしても私は暇でないし」

 

宏「私も冥琳と同じで時間を割くことができませんね。新しい政策を考えねばなりませんので」

 

一「先輩もですか・・・。どうするかな・・・」

 

穏「・・・・・・」

 

穏が、くいくい、と一刀の服を引っ張っている。

 

一「穏、服引っ張るなよ。脱げるだろ!」

 

穏「お勉強を見る人間が必要ということですので~、ではですね?その~」

 

冥・宏「「・・・・・・」」

 

二人は穏のつもりを察し、苦い表情を浮かべる。

 

一「・・・・マズいのか?」

 

一刀にとっては渡りに船だろうが、二人は穏の悪い癖を知っているので、顔を見あわせる。

 

冥・宏「「北郷(一刀)が構わなければと言いたいところだが(ですが)・・・・」」

 

穏「構いませんよねぇ~?わたしも是非、お役に立ちたいですし」

 

一刀より早く穏が答える。すると冥琳が顎に手をあてぶつぶつと

 

冥「厄介な性質を抑えるのに、犠牲はつきものか。まぁ大丈夫だろう・・・」

 

声が聞こえた。穏を見ると

 

穏「う~~~~~」

 

子犬のような目をしてくるのでこれには逆らえず

 

一「俺は全然、問題ないよ」

 

こう答えるしかなかった。

 

冥「ならばよし。穏よ、お前も将として・・・・諸々、節度を持って臨むように」

 

穏「はぁ~い」

 

そういって冥琳は去っていく。先輩は一刀の肩をポンッと叩き、

 

宏「まぁ。頑張ってください」

 

と言って去っていった。一刀がこの言葉を理解するのは当分後のことであった

 

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