三人がこの世界やってきてからまもなく一ヶ月が過ぎようとしていた。そんな中一人の使者が駆け込んできた。いよいよ戦乱の幕開けとなる。
かの有名な黄巾の乱。その動乱が大陸全土に荒れ狂い、世は阿鼻叫喚の時代となったと使者が告げる。
それと共に、一通の書簡が雪蓮の手に渡った。
荊州本城に居を構える袁術からの、召喚命令だった。
使者の話によると、漢王朝より各地方の有力諸侯に対し、黄巾党討伐命令が下っているらしい。
・・・・逆に考えれば、漢王朝にはもう乱を治める力がないということになる。
雪蓮が袁術のもとへ行っている時、三人は冥琳よって中庭に集められていた。そこには祭と穏も既に集まっていた。宏近は何かに気づいたようで、近くにいた侍女に茶を人数分持ってくるようにと指示をした。
一「・・・・軍議って呼ばれて、来たんだけど。軍議に俺たちが出る必要ってあるの?」
一刀の率直な質問に冥琳が答える。
冥「お前たちを客扱いする道理も無ければ、そんな余裕も無い。それに我ら孫呉に知恵を貸すということが、初めに説明した契約の中に入っていたはずだが?」
宏「それで軍議ですか。まぁここでするのも警戒のうちなんでしょう?」
冥「ほぉ?なぜそう思う?」
狛「さっきからこっちを気にしてる気配が何人か感じるぜ」
穏「それは~、袁術さんの者でしょうね~」
宏「まぁ侍女に茶の準備をさせましたから、のんびりやる感じでいきましょう」
狛「茶を飲んでると思えば、あまり警戒されないだろうぜ」
二人の言葉によって軍議は、間者を欺くように始められた。軍資金の議題に入ると一刀から袁術に出させるように仕向ける事を提案しそれが快諾された。
一刀の言葉に冥琳は手を顎にあて考える。すると一刀が
一「どうかしたの、冥琳?」
冥「いや雪蓮は本当に良い物を拾ってくれたなと思ってな」
狛「人を物扱いするのは一刀だけにしてくれ」
一「ちょっ、狛傅先輩!?」
宏「まったくです」
一「宏近先輩まで!?」
狛・宏「「・・・・冗談だ(ですよ)」」
二人が一刀を弄っていると、
冥「そうだ。三人とも次の戦に参加しろ」
冥琳が提案してきた。一刀は驚いているが、二人は
狛「いよいよか・・・。楽しみだぜ」
宏「そういえば、新たな陣形を試してみるのも良い機会ですね」
戦参戦に前向きだった。
一刀は二人に対し
一「先輩!!何で乗り気なんですか?戦争なんですよ?人が死ぬんですよ?」
猛抗議する。しかし二人は真剣な顔をして一刀に言う。
狛「一刀、お前も覚悟を決めろ。でないとお前死ぬぞ?」
宏「ここは私たちの世界ではないんですよ?郷に入っては郷に従いなさい」
この言葉に一刀は黙ってしまう。更に冥琳が追いうちおかけるように
冥「北郷、今回の戦はお前の提案も入っている。その責任を取らなくてはならない。勝つにしろ負けるにしろ、その案によって多くの犠牲者を出すのだからな。二人はそれを理解して参加しているんだ」
一刀は黙ってしまう。確かに提案したのは自分であり、責任も取らなくてはいけない。先輩たちはそれを分かっていて参加する。
まだ割りきれていない一刀に狛傅は、
狛「一刀。お前は世界をちゃんと見たことがあるか?」
一「狛傅先輩?」
狛「日本では争いはないが、世界で見ると俺たちのいた世界でも紛争や戦争が消えたことなどない。何かしらニュースで取り上げられているだろう」
一「それは、そうですけど・・・」
宏「狛傅は、中東やアフリカでボランティア活動中に紛争の鎮圧を経験していますからね。そうゆう事は理解しているんですよ」
狛「あれは、酷かったな。中には一刀よりも年下の子供たちが一人の兵として武器を持ってたんだからな」
一「俺よりも年下・・・」
宏「一刀、貴方も割りきりなさい。冥琳の言った通り貴方の提案で責任を取らないといけない。現実から逃げてはいけません」
宏近の言葉に一刀の目つきが変わった。
一「先輩、俺も覚悟を決めました」
その言葉に、狛傅と宏近は後輩の成長を喜んだ。そして一刀にあるものを渡された。それは、日本刀だった
一「先輩これは?」
狛「お前が覚悟を決めたときに渡そうと思ってな」
宏「私と狛傅が貴方のために最高の刀を打ちました」
一刀は鞘から刀身を出すとその刀には薄っすらと紅く染まり輝いていた。
一「す、すごい」
雪「きれいな色ね」
祭「儂らの剣とは違う美しさがあるの」
冥「まるで芸術品だな」
その美しさに一刀、雪蓮、祭、冥琳は見惚れていた。
狛・宏「「その刀の名は『紅』それを持つからには、自分の責任と意志を貫け(きなさい)!」」
一「はっ、はいっ!!」
先輩から託された刀に覚悟を誓う一刀であった。