病みLove Triangle 作:ななが
私、宮下愛には好きな人がいる。
見掛けるとつい目で追ってしまう。
何か考え込んでいる様ならば力になってあげたいと思うし、何を考えているのだろうかと気になる。
そのくらい私は彼、凪君のことが好きだった。
彼は同じ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に入っていて、サポーターとして活躍してくれている。
彼の事は何でも知りたい。好きなタイプの女の子やどんな服装、髪型の子が好きか。私は彼の対象に入るかどうか。
そして一番重要なのは好きな人はいるかどうか。
ここはかなりの不安要素があった。
彼は果林といる時が多く、二人で歩いている姿をよく見掛ける。
彼と果林、二人で歩いているのを見ると"男と女、秘密の逢瀬"という題名の絵を眺めている様な気持ちになった。そのくらい二人は似合っていた。
モデルの果林にも引けを取らなかった。
だからこそ彼女とは友達として気が合うから一緒にいるのか、それとも付き合っているのか。それが知りたい事だった。
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「今週末、二人で遊びに行かない? 少し買い物に付き合って欲しい所があるんだ!」
誘うのは放課後、同好会での練習が終わり皆が着替えている時。
私は素早く着替えて彼が一人になった時を狙った。
彼はじっと窓から外の風景を見ていた。
「うん、大丈夫だよ」
彼は携帯を開き(恐らく予定を確認しているのだろう)、暫く悩んでいる様子を見せた後、大きく頷いた。
「本当に!? ありがとう!」
即座に彼と集合場所、時間を決めて私は携帯のカレンダーに書き込んだ。
「凪、おまたせ」
その後二人で談笑していると割り込むように果林が来た。彼女からは制汗剤と何やら甘い匂いがした。
「別に大して待ってないよ、愛と話してたから」
「そう、何を話してたのかしら?」
「二人で遊びに行こー! って事だよ」
果林に自慢をするように私は言った。果林は僅かに顔を歪め、すぐ元に戻った。注意していないと分からないくらいに。
「そう、なら私がお邪魔する訳には行かないわね」
「別に来てもいいと僕は思うんだけれど」
「日頃から女心を理解しなさいと言っているでしょう?」
「君たちの心は難しすぎて理解出来る気がしないよ」
「あら、理解さえしてしまえば酷く単純な物だと思うけれど?」
そう、果林の言う通り今私と果林の心は同じで理由は単純だ。
だから私は果林も彼も楽しそうに二人で話しているのが気に食わなかった。
先に話をしていたのは私なのに……
普段は感じないドロドロとした井戸の底にある闇を全て煮込んだ様な物を私は感じていた。
それを私はすっかりぬるくなったスポーツドリンクで飲み下した。
「それじゃ、一緒に帰ろうか」
私は手を伸ばしまた果林に取られる前にと思い誘った。
「ごめん、この後果林と寄る所があるんだ、明日なら一緒に帰れるけど今日はごめんね」
「そ、そうなんだ。明日ね! 言ったからね!」
気持ちを頑張って押し殺して私は答えた。
「─────」
「───────」
私は二人が仲良く喋りながら帰っていくのを見ていた。
果林は彼にくっつく様に隣にいるし、いつもより楽しそうに話をして笑っている。彼は分からないけれど果林が好意があるのは確実だ。
だから私は今度のデートは気合を入れなければならない。
彼が私に好意を抱く行為を沢山しないと。好意だけに!!!
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その日の夜、服選びはとても困難を極めた。
家の全てをひっくり返す勢いで家にある服を出し、一つ一つ吟味し組み合わせを考える。
彼はどんな格好が好きか、露出を多めにするか、そんな張り切りすぎてもいけない。いつも通りの格好か。少しばかりオシャレにしてメイクもいつも以上に丁寧にして。
考える事は多かった。
私は彼とショッピングモールへ行った。
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「このシャツ君に似合いそう!」
ショッピングモールはかなりの人で賑わっていた。まず私達は目に付いた服屋さんに入る事にした。
彼が服が欲しいと言っていたし、折角だから私がコーディネートをしようと思った。
私が差し出したものは、今の彼が着ている服とは趣味が違うかもしれないけれど、彼にはとっても似合ってると思った。
「確かに、これはとても僕もいいと思うよ」
買ってくる。と彼はレジに向かった。同じく私が進めたジーンズと一緒に。
彼が私の勧めた物を買ってくれるのは、彼が私色に染まっていくようで、嬉しいと言うよりは身体がゾクゾクっとするような快感があった。
「愛にはこれが似合いそうだね」
「ホント!?」
「うん、とてもよく似合ってるよ」
そう言って差し出してくれる服は全て私好みの物で、やはり私と彼はスプーンを二枚重ねた様に相性がピッタリだと思えた。
「結構ファッション詳しいね」
「果林が教えてくれるんだ」
また果林……
どうしても彼には果林が付きまとっている。
まるで未練を残した亡霊みたいに。
それを払わなければならない。
その後私は彼が似合ってると言ってくれた服を買い、髪ゴムを買い、シュシュを買った。
「ブレスレットだって! 折角だし一緒に買おう?」
エントランスの様な所に出店で出ていたのを見つけ、私は彼の腕を掴んで寄ることにした。
天然石のブレスレットを私はローズクォーターを買い、彼はブルーレースアゲートを買った。
お昼は近くのファミレスで撮る事にした。
向かい合わせて対面に座り、身体を冷やすように水を一口飲んだ。
「ねぇ、凪君って好きな人いるの?」
私は自然な感じを装う事に務め、近くの席のカップルを眺めながら尋ねた。まるで明日の天気でも聞くかのように。
「──居ないよ」
彼は言葉を両手に乗せて重さを測るみたいにゆっくりと咀嚼し、頷いた。
でもそれは喉に小骨が引っかかっている様な言い方だった。
しかし、彼女が居ないってことは私にも勝機はあるという事だ。これだけ分かっただけでも大きい。
果林とは付き合ってなかったんだ!!