「連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』・・・・・・ね」
「ええ。『連邦生徒会長』が失踪する前に設立していた連邦生徒会の機関。『先生』と呼ばれる大人が顧問でキヴォトスに住んでいる生徒の相談や問題を解決するための中立的組織。すでにミレニアムの生徒も所属しているわ」
『セミナー』の会長室で俺とリオはトキが淹れてくれた紅茶を飲みながら最近キヴォトスで話題になっている『S.C.H.A.L.E』について話している。なんでも着任早々にシャーレの建物付近で暴れていた不良グループと纏め役だった七囚人『狐坂ワカモ』を撃退したそうだ。
「でも、変な噂も聞いたな。なんでも生徒の素足を舐め回したとか賭けで負けた生徒に首輪をつけて散歩していたって」
「所詮は噂よ。真に受けるのは合理的ではないわ。それに・・・・・・首輪が必要なのは貴方の方かも知れないわ」
「なんでだよっ!?」
「私も同意見です」
「トキまで!?」
『先生』の変態的行動の噂話をしていたのになんで俺に矛先が向くんだ?
「ナオヤ、また連邦生徒会の行政官と会っていたそうね。どんな用で会いに行ったのかしら?」
「・・・・・・私用だよ。リオに説明するほどのことじゃない」
実際のところはリンから俺もシャーレに所属してほしいと言うものだった。リンには申し訳ないがシャーレ所属の件は断らせてもらった。『エリドゥ』の建設、リオが暴走しないかの監視、ミレニアムプライスの準備などでやること多い。シャーレの活動をしている時間があまり無い。
「ですが、その後は七神リン行政官と昼食を食べながら談笑されていました」
「なんで知ってんの!?」
「・・・・・・やっぱり貴方には首輪が必要みたいね。いえ、いっそのこと体内にGPS発信機でも埋め込んだ方が早いかしら?」
「物騒なこと言うなっ!」
リオが据わった目で俺を見てくる。昔はここまで合理的じゃなくて初等部三年ぐらいまで『ナオ君』って呼んで側を離れなかったのに。
「それより!リオとトキはシャーレに入部するのか?」
「私はシャーレに入部するつもりは無いわ。それにミレニアムの生徒がすでにシャーレに入部しているわ。『セミナー』からはユウカが入部している筈よ」
「私もリオ様の護衛がありますので不可能かと」
そうなると『セミナー』だと残りは生塩と黒崎か。生塩は早瀬にくっついて入部しそうだし、黒崎は・・・・・・あいつはわからん。予想の斜め上を爆走する奴の考えなんて理解できない。
「・・・・・・シャーレの『先生』が計画を邪魔するとしたら?」
「––––––その時は『先生』の身柄を押さえて説明するつもりよ。説明すれば『先生』も大人なのだから私がしようとする事を理解してくれる筈よ」
「––––––そうか」
『先生』の身柄を押さえたら身内の『ミレニアム』の生徒まで敵に回しかねない。他にも『シャーレ』所属の他校の生徒まで介入される恐れがある。
「近々、『先生』と会談の予定を組むつもりよ。その時はナオヤ、貴方にも同席してもらうわ」
「了解。決まったら教えてくれ」
・・・・・・俺の方も少し急いだ方がいいかもな。
⭐︎
「––––––トキ」
「はい、リオ様」
「ナオヤの監視を一段階引き上げるわ。どんな些細なことでも見落とさないで」
「承知しました」
ナオヤが私の障害になることはあり得ない。でも、可能性は0では無い。彼が『セミナー』の執務室で使っているPCに残されていた『プロジェクト・ドロイド』と記されたファイルがどうしても気になってしまう。ファイルを開こうとした瞬間、ファイルごとデータが削除されて、修復も困難だった。
「ナオヤ・・・・・・」
私の幼馴染み、私の理解者、私の・・・・・・大切な人。どうか、私に背を向けないで。
⭐︎
「ユニットB1–0000」
『––––––お呼びでしょうか、閣下』
灯りを消した室内。机に置いている機械からホログラム投影されたのは『キヴォトス』に多く存在するロボット店員やオートマタとは違う姿形のロボット––––––ドロイドと俺は名付けた。正式名称は『B–1バトルドロイド』、安価で大量生産に向いたこのドロイドは数の力で相手を圧倒することを目的としたドロイドだ。
「進捗はどうだ?」
『ご命令通り『B1型』、『B2型』は目標生産数に達しました。『コマンド・ドロイド』は資材貨物と偽り『エリドゥ』各所に待機しています。『ドロイデカ』、『マグナガード』は材料確保の関係で生産が遅れています』
「輸送車は?」
『荷台部分をドロイド搭載可能に改修、さらに砲撃戦もできるように改修しています』
「そうか・・・・・・『B1型』と『B2型』は増産予定のつもりだ。『ドロイデカ』と『マグナガード』は最低数だけでも生産を急いでくれ」
『ラジャラジャ』
ホログラム投影が消える。『正義実現委員会』や『ゲヘナ風紀委員会』といった治安維持組織が存在しないミレニアムで、初めての治安維持部隊が『ドロイド軍』。それをリオ相手に使うことは無いと思いたい。
・旭ナオヤ
・クラス アタッカー
・役割 ストライカー
・配置 フロント
・武器種 SR
・専用武器 『殴った方が早い』
旭ナオヤの専用武器。弾が切れたら銃身を握りバットのように振り回して相手を殴打する。整備をできるのはエンジニア部の白石ウタハのみ。整備を頼むたびに苦言を言われている。イメージはダネルNTW。
ミレニアムサイエンススクール3年。
もともとは別に学園に入学予定だったのをリオが無断でミレニアムに変更、制服が届いた日に初めて知った。もちろん怒ったナオヤはリオを問い詰めたが、リオに『一緒にいたかったから』と言われて仕方なく納得した。