ストリートに響くこの歌は   作:リメイル

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どうもリメイルです。
ライブの当日まで書いていましたが、あまりに長くなったので分割して投稿することにしました。
今回はイベントストーリー終了まで行くのですが、主人公の立ち回りに悩みました。
なんとか自分で納得できる感じにはなりましたが、上手く書けていないかもしれませんので、お手柔らかにお願いいたします!

それでは本編どうぞ。


妹を笑顔にするには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと.......初音ミクさん?」

 

 

「ミクでいいよ。響」

 

 

部屋で色々悩んでいたら、よく知らない場所に来ていた。

俺が今いるのは、オシャレな内装のカフェテリア。

そして目の前にいるバーチャルシンガーの初音ミクとMEIKO。

 

 

(これ.......どういう状況?)

 

 

「私もメイコでいいわよ。よろしくね、響」

 

 

「ああ、よろしく......って、なんで俺の名前を?」

 

 

なにかの映像かドッキリ、なんじゃないのか?

 

 

「この“セカイ”の持ち主、杏たちから話は聞いてたからね」

 

 

杏のことも知ってるのか。何が何だかよく分からん。

 

 

「........聞きたいことはたくさんあるが、とにかく!ここは一体なんなんだ?」

 

 

さっきのミクの発言から、ここの場所が杏たちと関係しているのはわかった。

そこにどうして俺が招かれたのか分からない。

 

 

「まずは、ここがどんなところか説明するね」

 

 

そう言って話し出すミク。

その内容によると、

 

 

・ここは“ストリートのセカイ”という。

 

・セカイは様々な人の“想い”によって出来る場所である。

 

・現実とセカイを行き来するには“Untitled”という、曲を再生、停止することで可能である。

 

 

 

ということらしい。

 

 

「なるほどな.......」

 

 

聞いただけではとても信じられなかったが、外にあるRAD WEEKENDのフライヤーを見つけたことで、少し納得した。

 

 

だが━━━━━

 

 

「ここがあの4人の想いで生まれた、ってことはわかった。でもそういう場所って、本人たちしか入れなかったりするんじゃないのか?」

 

 

俺は杏たちのように、“RAD WEEKENDを超える!”というような。なにかしらの夢を持っているわけじゃない。

そんな俺が、なぜここに来れたのか。

 

 

「おそらくだけど、想いの“共鳴”、かもしれないわね」

 

 

「共鳴.....?」

 

 

メイコの発言に、首を傾げる。

 

 

「貴方の読み通り、本来このセカイには、ここを形成した想いの持ち主しか、出入りすることはできない」

 

 

「やっぱりそうなのか」

 

 

「でも、その中に含まれない貴方が、ここに来ることができた。それは、持ち主の誰かの想いが、貴方の持つ想いと共鳴し合ったから......ということよ」

 

 

「え?」

 

 

「貴方がここに来る前になにかのきっかけで想いが生まれ、それに誰かの想いが激しく反応した.........そしてここに辿り着いた」

 

 

 

なにかのきっかけ...........

俺がここに来るまでのことを思い出してみる。

 

 

父さんに杏の様子を気にするように言われて。

ちょうど街で友人といる杏を見かけて追いかけて。

杏の様子を知るために、また父さんの店に行って。

家に帰って、杏にどうしてやったらいいのか悩んで...........って

 

 

「俺、杏のことしか考えてなくね!!!???」

 

 

「......声が大きい」

 

 

つい立ち上がって、大声を出してしまった。

耳を塞いでいるミクに謝罪をしながら、座り直す。

 

 

「なるほど、そういうことね」

 

 

するとメイコが何故か納得して、話し出した。

 

 

「響がこのセカイに来るまで、杏から貴方の話を聞いていた、って言ったわよね」

 

 

「ああ、そう言っていたな」

 

 

「......随分長い間、寂しい思いさせていたみたいね」

 

 

「うぅ.........それは........反省しているよ」

 

 

本当にあの時の俺は、自分のことだけじゃなくて、周りのことなど何も見ていなかった。

大河おじさんのおかげで思い出せたが、本当に酷い兄だ。

今すぐにでも謝りたい。許してくれるまで謝り倒すつもりでいる。

杏の言うことならなんでも聞く覚悟だ。

そう思っていると、2人がクスクスと笑いだした。

 

 

なんで笑ってるんだ?

 

 

「きっと、貴方の杏に対する強すぎる想いと、杏の貴方に“会いたい”って想いが、共鳴したのよ。“セカイを越える想いの強さ”、貴方にはそれがあるみたい」

 

 

「........なんだかよくわからんが........わかった」

 

 

まあ.......つまり、杏が今も、俺のことを想ってくれている。

それだけで十分だな。

その結論に至った俺は、席を立った。

 

 

「話してくれてありがとう。世話になったな」

 

 

「もう行くの?」

 

 

「ああ。もう現実じゃ遅い時間だしな。ここにきたおかげで、悩みが解消したよ」

 

 

ここを出るには、“Untitled”を停止させるんだっけ。

スマホを取り出し、画面を開く。そこにあったのは知らない曲のタイトルだった。

 

 

「これは....」

 

 

とにかくまずは、戻らなければ。

曲を停止させる前に、ミクとメイコに振り返る。

 

 

「俺がここに来たことは、杏たちには内緒にしていてくれ」

 

 

「うん。わかってるよ」

 

 

「また遊びに来てね。今度は━━━━“5人”で、ね」

 

 

「━━━ああ!」

 

 

そして、俺はセカイから出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「......彼、不思議な人ね。たった1人の想いで、セカイを越えるなんて」

 

 

「それくらい強く想っているんだよ......本当に、不思議だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストリートのセカイに迷い込んだ翌日。

結局俺にできそうなことは見つからなかった。

 

 

“今の”俺にはな.......

 

 

そう思った俺は、父さんの店に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちらっ、と覗くと、カウンターで杏と父さんが話していた。

タイミングを見計らって、中に入る。

 

 

「あ、すみません。まだ開店時間じゃ.....って.......え!?」

 

 

「お.....来たな」

 

 

すると、予想外の来店で驚く杏と、何故かわかっていた父さん。

 

 

「朝早くにすまない。謙さん、少し娘さんと話したいことがある」

 

 

「ああ。わかった」

 

 

「ちょっ.......父さん!?なんでここにHibikiさんが!?」

 

 

突然の俺の来店で、パニックを起こす杏。

しかし自分のスマホからの着信音で、少し冷静になった。

相棒のこはねちゃんからのようだ。

どうやらこれから、大河おじさんに修行をつけてもらうようだ。

あの子、1歩踏み出したんだな。

 

 

きっと彼女は、大きく変わることが出来るだろう。

こはねちゃんがおじさんに教えてもらう、ということは.......俺の妹弟子になるってことか。いや、少し違うか?

1人そんな関係ない思考をしていると、話が終わったのか、杏が席を立った。

 

 

「いってくるね、父さん!」

 

 

「ああ。杏を頼んだぜ」

 

 

「........わかっている。行くぞ」

 

 

「は......はい!」

 

 

そうして、2人で店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

俺が正体を隠しているのもあって、杏は緊張しているようだった。

 

 

「.......悩みは解決したか?」

 

 

「......え?一体どういう?」

 

 

杏は首を傾げて、俺に問う。

 

 

「謙さんから大体の話は聞いている.........俺も少しだけその悩みがわかるからな」

 

 

Re.SOUNDを結成して少し、涼との実力差に悩む時期があった。

でもそれに気づいた涼はこう言った。

 

 

『僕は響が歌ってる姿を見て、頑張ろう、って思ったんだ。君と肩を並べて歩けるようにってね』

 

 

だからここまでの実力を手にしたんだ。

俺はいい相棒を持ったと、その時思った。

 

 

「......Hibikiさんにも、そんな時があったんですね」

 

 

「ああ.......仲間と過ごしていると必ず直面する悩みだと、俺は思う」

 

 

「........そっか」

 

 

俯く杏に、振り返って目を合わせる。

 

 

「君はなぜ......その子を相棒に選んだんだ?」

 

 

優しく問いかけた。

杏は顔を上げ、語り出した。

 

 

「......WEEKEND GARAGEで初めて合わせた時、すごくドキドキして.......こはねも私と同じ気持ちだった。それが嬉しくて、その時思ったんです。私の相棒はこの子しかいいない.........私たちなら、RAD WEEKENDを超えられる!、って」

 

 

「..............」

 

 

「ずっと1人で歌ってて、初めてできた大切な相棒。そんなあの子に、これからもドキドキして欲しい.........“尊敬する相棒”で居たい、って。この前、友達に言われて気がついたんです」

 

 

夢を叶えたら、いつかどこか遠くにいってしまうかもしれない。

置いていかれるかもしれない。

杏は、心の内を話してくれた。

 

 

きっと友達というのは、彰人くんや冬弥くん、もしくはほかの誰かのことかもしれない。

気づかせてくれたんだな。

それなら俺がするのは、背中を押してあげることだ。

 

 

「........ならその想いを、その時感じた時のように伝えてやればいい」

 

 

「え?」

 

 

「俺たちはそうやって来たんだ.......ずっと前から。君なら絶対できる」

 

 

「.......うん。そうだね」

 

 

杏は、満面の笑みでこう言った。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう.........兄さん(・・・)!」

 

 

「.........ッ!」

 

 

 

 

 

 

息が一瞬止まった。

久しぶりに聞いたその呼び方に、不意をつかれた。

杏も自分の発言に気がついたのか、ハッとして目をそらす。

 

 

「あ.......ごめんなさい。私の......いなくなった兄さんに、雰囲気が似ていたから.........つい」

 

 

心臓が飛び出るかと思った。反則すぎる。

 

 

「.........いや、気にするな」

 

 

昔、最後に見た幼いあの笑顔が、今の杏と重なった。

外見は大きく変わって大人っぽくなった........でも中身はなにも変わってなかったんだな。

今なら、聞けるかもしれない。

そう思った俺は、少し踏み込んだ質問をした。

 

 

「.......君は.......お兄さんを恨んでいるか?」

 

 

「え?」

 

 

「君を1人にして........寂しい思いをさせて.......苦しい時にいてくれない。恨みはしなかったのか?」

 

 

杏はキョトン、として

 

 

「........どうしてHibikiさんがそんなこと聞くのか、分かりませんけど.......私は全く、兄さんを恨んでません」

 

 

「............どうして?」

 

 

「まあ、確かに最初は、一緒にいてくれるって言ったのに!、って思いました。でも、兄さんにだって色々事情はあるだって........割り切って」

 

 

「..........どうして.......割り切れるんだ?」

 

 

俺の問いは止まらない。

困らせているかもしれない.......それでも━━━━━━━

直接妹.....杏の口から聞きたかったんだ。

 

 

「今は離れているけど、結局私は兄さんの妹です。それに━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━私は兄さんのこと、大好きですから! それが1番の理由です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙が溢れそうになった。

包帯の中が、ぐちゃぐちゃになりそうだ。

今はこの仮面があってよかったと、そう思えた。

 

 

「それに、私信じてます........兄さんなら絶対に帰ってくる、って」

 

 

俺は抱きしめたい衝動を必死に抑えた。

 

 

「.......そうか。届くといいな、その想い」

 

 

「はい!」

 

 

届いてるよ、杏。

俺も、精一杯伝えるから。

どうか、待っていてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

その後、杏を連れてやってきたのはビビッドストリート。

昔、杏の練習を見ていたことを思い出す。

 

 

「それじゃあ、近くで見ているから、思いっきり歌え」

 

 

「はいっ!」

 

 

杏はいつものように声出しをして、歌い出した。

ところどころ荒かった部分を自分で分析し、瞬時に調整。

 

 

やっぱり上手いな........杏。

 

 

「お、なんだあれ」

 

 

「杏ちゃんがソロで歌ってるみたいだぞ」

 

 

杏の歌声につられて、人が集まって来た。

俺はそっと、建物の隙間に隠れる。

杏の周りには、多くの人が集まっていた。

 

 

こんなにも........杏を想っている人がいるんだな。

杏の輝きに惹かれる人が.......たくさんいるんだな。

 

 

杏の歌とともに、一層の盛り上がりをみせる。

もう、大丈夫だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になり周りの観客が去った後、杏の相棒のこはねちゃんがやってきた。

 

 

彼女も、杏の歌声につられて、ここに来たようだった。

お互いに想いを伝え合い、2人は歌い出した。

その時の彼女たちは、最高の笑顔だった。

 

 

歌い終わったのを確認して、俺は声をかける。

 

 

「2人とも、素晴らしい歌声だった」

 

 

拍手をしながら近づいていく俺に、2人は肩を震わせ、こちらを向いた。

かなり驚いたようで、杏に至っては、俺の存在を忘れていたのか?

お兄ちゃん、ちょっと悲しい。

 

 

「......びっくりした!Hibikiさん、急に出て来ないでよ〜」

 

 

「.........この人が.....Hibikiさん?ちょっと怖いよ.....杏ちゃん」

 

 

まあ、包帯に仮面だもんな。当然の反応だ。

こはねちゃんに、申し訳なく思った。

 

 

「それはすまなかった.......どうやらお互い、しっかり気持ちを伝えられたみたいだな」

 

 

「はい.......ありがとうございました」

 

 

そう言って頭を下げる2人。

俺はその頭を優しく撫でた。

 

 

「.........そろそろ帰ろう。謙さんが心配するからな」

 

 

もうすぐ暗くなるので、2人を連れて帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、こはね!また明日ね!」

 

 

「うん。バイバイ、杏ちゃん!」

 

 

笑顔で手を振る杏とこはねちゃん。

微笑ましい気持ちになる。

 

 

「.....あの、送って頂いて、ありがとうございます!」

 

 

隣を歩くこはねちゃんが、礼を言ってくる。

慣れているかもしれないが、暗い所を1人で歩かせる訳にはいかないから、こはねちゃんを家まで送ることにした。

その道中、俺はこはねちゃんにだけ、伝えることがあった。

 

 

「どう致しまして........まあ、これはお礼みたいなもんなんだ」

 

 

「お礼.......ですか?でも私、Hibikiさんにはなにも.......」

 

 

「.........杏の相棒になってくれて、ありがとう」

 

 

俺は姿勢を正し、そう言った。

俺が居ない時、杏のそばにいてくれた。

相棒になってくれた。

 

 

出会ってくれて.......ありがとう。

言いたいことはたくさんあったが、今はそれだけ伝えた。

こはねちゃんは慌てて俺の顔を上げさせる。

 

 

「か、顔を上げてください!どうして、Hibikiさんが?」

 

 

「.......この格好じゃ、当然の反応だな」

 

 

俺は、彼女に正体を明かすことにした。

仮面と包帯を取り、少し髪を整える。

 

 

「こういうことだよ」

 

 

そうすると、こはねちゃんは目を見開いて驚いた。

 

 

「え......杏ちゃんに.....似てる?......もしかして、おにいさん!?」

 

 

「ああ、そうだ。訳あって、正体を隠していたんだ」

 

 

一瞬で俺は杏の兄だと気がついた。

やっぱりこの子は周りをよく見ているんだな。

質問攻めされる前に、簡単に事情を説明する。

少し納得してくれたようで、落ち着きを取り戻した。

 

 

「そっか.......杏ちゃんのために.......」

 

 

「まあ、結果的に俺は.....杏を悲しませた。兄失格だよな」

 

 

「そっ......そんなことないです!杏ちゃん、お兄さんのことを話す時、嬉しそうな顔をするんです!お兄さんのこと、今でも大好きなんですよ!」

 

 

俺の発言に、必死に反論するこはねちゃん。

口許が緩んだ。

 

 

「そうだな、ありがとう」

 

 

「......えへへ。少し恥ずかしいです......」

 

 

つい、また頭を撫でてしまったが、嫌がった様子はなかった。

いい相棒を持ったな......杏。

 

 

「そんな君にお願いがあるんだ。ここだけの話にして欲しいんだが、次のイベントのトリを、俺がすることになった」

 

 

「ええ!?そうなんですか!?」

 

 

撫でるのをやめて、本題に入る。

 

 

「俺の披露するラストの3曲目なんだが━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

君たちVivid BAD SQUADと、共演させてくれないだろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




響のセカイ到達理由のモチーフとしては、司やまふゆのような「自分1人の想いのみでセカイを生成した」という部分です。
想いが強すぎると、セカイすら越えてしまうのでは?、と思い、この設定に至ったわけです。
響のプロフィールや設定につきましては、再会編終了後に公開予定としておりますので、お待ちいただければと思います。


さて、それでまた次回お会いしましょう。さようなら!
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