ストリートに響くこの歌は   作:リメイル

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どうもリメイルです。
本日は「Legend still Vivid」のストーリーです。
RAD WEEKEND関係は必ずやらなければならないので、その関連イベントストーリーは確定です。
改めてストーリーを見たあとの「Flyer!」。 合いすぎて鳥肌です。
本文中で《♪》部分でイントロから流してお楽しみください。
タイミングは私のただの趣味、好みです。
皆様はお好きなタイミングでどうぞ。最後のエンドロールまでセットです。


それでは本編、どうぞ!



ED曲 Flyer!/Vivid BAD SQUAD


ビビバスイベントストーリー編
あの夜を知るには


 

 

 

 

 

「“RAD WEEKEND”のことをもっと知りたい........か」

 

 

ある日の夕方、練習から戻ってきた杏がそんな相談をしてきた。

 

 

「うん。こはねが、みんなのイメージを合わせるために、って考えてるんだよ」

 

 

「なるほどな」

 

 

4人はRAD WEEKENDを超えることを目標としている。

 

 

そのうち、実際にその目で見たことがあるのは杏と彰人。

 

 

こはねちゃんと冬弥は、聞いた話でしかイメージができない。

 

 

メンバー全員で同じ方向を向くには、同じ体験をするのは大事なことだ。

 

 

「知ってると思うけど、RAD WEEKENDは撮影禁止だった。映像も、写真もなにも残ってないからな」

 

 

「そうなんだよね.......私と彰人の感じたことも、父さんやおじさんから聞いたこともほとんど話しちゃってるし」

 

 

「そうか........俺が話せそうなことも、たぶん同じようなことだしな」

 

 

なんとかしてあげたいと思うが、できそうなことが思いつかない。

 

 

歌で感じてもらう......というのは、前にイベントで見せたしな。

 

 

あの会場の凄まじい熱量、それを言葉で伝えるのも難しい。

 

 

俺の経験を話しても、意味はないだろう。

 

 

「せめてその場の雰囲気を........“COL”の雰囲気を感じられたらいいんだがな」

 

 

RAD WEEKENDの行われたライブハウス“COL”は、その夜を最後に閉店している。

 

 

見せてもらうにしても、俺から頼んでも難しいだろう。

 

 

あそこで歌ったのも、あれが初めてだからな。オーナーとはそこまで親しくはなかった。

 

 

「悪いな,......いい提案がなくて」

 

 

「ううん。大丈夫だよ、ありがとう!」

 

 

「こっちでもなにかないか、探してみるよ」

 

 

もしかしたらこっそり撮影されてたりして、何らかの理由で隠してるなんてこともあるかもしれない。

 

 

この子たちのためだ、俺の全力を尽くそう。

 

 

「うん。ありがとう、兄さん!」

 

 

だって俺はお兄ちゃんなんだからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、なんも見つからんわ.......」

 

 

次の日、結局なにも収穫がなく、朝から机に突っ伏していた。

 

 

ここは神山高校2-Aの教室。

 

 

白石家に戻ってきて、俺は復学した。

 

 

書類上では一応在籍していて、休学としていた。

 

 

出席日数やら単位やら、先生方にはとても迷惑をかけてしまった。

 

 

もちろん全力で謝った。

 

 

初日は今までの課題提出でバタバタしており、ほぼ何をしたのか記憶がない。

 

 

まあ、自業自得だよな。正式に認められていたとはいえ。

 

 

これぐらいで許してくれた学校側には、感謝だ。

 

 

「おはよう!みんな!!今日も清々しい朝だな!!」

 

 

大きな声で勢いよく教室の扉を開いて入ってくる、金髪の男子生徒。

 

 

彼の名は、天馬司。

 

 

久しぶりに学校に登校した俺の、初めての友人だ。

 

 

1年の時は友人のことなど一切考えておらず、1人で居た。

 

 

周りは誰も知り合いがいなかった俺に、話しかけてくれた。

 

 

まるで太陽のように明るい男だ。

 

 

杏が言うには「大体なにかやらかす人物の1人」だそうだ。

 

 

俺も周りから聞いただけだが、別のクラスの問題児(?)と合わせて「変人ワンツーフィニッシュ」と言われているらしい。

 

 

司本人の話だと、ほぼ巻き込まれている側だそうだ。可哀想に.........

 

 

「よう。朝から元気だな、司」

 

 

顔を上げ、軽く手を振る。

 

 

そんな俺に気づいたのか、司が席まで近づいてきた。

 

 

同じ声のボリュームで。

 

 

「おお、響ではないか!!どうしたんだその顔は!!??元気がないぞ!!調子でも悪いのか!?」

 

 

「あ〜、大丈夫だ。ちょっと自分の不甲斐なさに落ち込んでただけだ」

 

 

朝からすごいテンションである。鼓膜が吹き飛びそうだ。

 

 

こんな感じだが、実は結構人のこと見てるんだよな。

 

 

声は大きいが、その表情から心配してくれているのがわかる。

 

 

「そうか。なにかあれば相談に乗るぞ!なぜならオレは、スターなのだからな!!」

 

 

ハッハッハー!、と彼いわくいつものカッコイイポージングをする。

 

 

そういえば彼は、“ワンダーランズ×ショウタイム”というユニットを組んで、ショーを行っていると聞く。

 

 

すべての人を笑顔にする舞台を上演する、という目標を持って活動している司。

 

 

彼ならば、なにかヒントをくれるかもしれない。

 

 

「まあこれは俺の、というより。杏.......妹の所属してるユニットのことなんだが.....」

 

 

「風紀委員をしている子か!確か冬弥も、そのメンバーだったな。それで、一体なんなのだ?」

 

 

そういえば司は、冬弥と仲が良かったんだったな。

 

 

「実はな......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、確かに同じ目標に向かうには必要なことだな」

 

 

思い切って司に相談してみた。

 

 

「悩んでいるみたいだから、俺にもなにかできることはないか......って考えてたんだ」

 

 

真剣に話を聞いて、

 

 

「離れて見守ってやることだな」

 

 

「.......見守る?」

 

 

司の回答に、首を傾げる。

 

 

俺の悩みの解決にはなっていないのではないか。

 

 

そう思ったが、なにか理由があるようだ。

 

 

「妹のためになんとかしたいという気持ちはひじょーーーーーにわかる。

だが、最終的にきめるのはあいつらだ。手を出してばかりだと、あいつらのためにならないからな!」

 

 

「なるほど、確かにその通りだ」

 

 

司には妹がいる。

 

 

生まれつき体が弱く、入退院を繰り返していた。

 

 

そんな妹のこともあり、悩むことが多かった。

 

 

幼い頃は見ていることしかできなかった。

 

 

現在は体調も良くなり“Leo/need”という、幼なじみと結成したバンドの活動をしているそうだ。

 

 

それまで一悶着あったようだが、自分たちで解決できるよう見守っていたそうだ。

 

 

「そして、辛そうなときは寄り添う。それが兄としてやるべきことだ!だがこれはオレの考えであり、決めるのもやはり響自身だ」

 

 

説得力が違うな、司が言うと。

 

 

「1歩下がってみるのも大事だよな........ありがとな司。その方向で試してみることにするよ」

 

 

「ああ!頑張れよ!同じ妹を持つ同士、これからも互いに協力し合おうではないか!!」

 

 

司は変わらぬ笑顔と大声でそう言った。

 

 

彼には助けられっぱなしだ。

 

 

今度なにか、お礼を用意しておかなければならないな。

 

 

 

 

その後、お互い声がでかくなったからか、先生に怒られた。

 

 

すみませんでした。

 

 

今日、ずっと謝ってるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

 

 

いつものように開店準備を行っていた。

 

 

「こっちの準備は完了。いつでも動けるぜ、父さん」

 

 

「表のプレート、オープンしておいたよ!」

 

 

「おう。ありがとな、杏、響。いつも助かる」

 

 

準備を完了させ、一息つく。

 

 

店の手伝いを始めてからそんなに経ってないが、もう慣れたと感じる。

 

 

「あ、そうだ父さん!」

 

 

杏が思い出したように父さんに言った。

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「来週の土曜なんだけど、昼は手伝えないから。先に言っとくね!」

 

 

「昼から練習でもするのか?」

 

 

俺の質問に、杏は首を振る。

 

 

「“COL”━━━RAD WEEKENDの会場をみんなで見に行くんだよ」

 

 

「“COL”に?」

 

 

あそこはもう閉まっていたはず。

 

 

父さんも同じことを思ったのか、首を傾げる。

 

 

杏が言うには、大河おじさんがオーナーにかけあってくれたそうだ。

 

 

会場を見た事のないこはねちゃんと冬弥のこともあり、嬉しそうに笑顔を浮かべてそう話す。

 

 

(.......父さんの話だと、おじさんはあまりRAD WEEKENDに関わることには前向きじゃなかったはず)

 

 

なにか思うところがあったのだろうか。

 

 

俺が考え込んでいる中、杏が顔を向けて言った。

 

 

「せっかくだから、兄さんも行かない?」

 

 

「うぇ!?なんで俺も?」

 

 

突然の誘いに、変な声が出た。

 

 

その反応が面白かったのか、杏が笑う。

 

 

少し恥ずかしいな。杏がかわいいからいいけど。

 

 

「だって兄さん。おばあちゃんにはあの時しか会ってないじゃん。今の現状報告も兼ねて、さ!」

 

 

「.......でも店の方もあるしな」

 

 

父さんだけでも問題ないと思うが、少しは手伝いないしな。

 

 

頭を悩ませる俺の心中を察し、父さんが声をかける。

 

 

「俺の方は問題ねえよ。久々に顔見せてやってこい」

 

 

笑ってそういうもんだから、折れるしかなかった。

 

 

あのオーナーには苦労かけたから、申し訳ない気持ちばっかりなんだよな。

 

 

少し不安はあるが、杏の意見ももっともだ。

 

 

「わかった、行くよ。土曜日だな?」

 

 

「うんっ!やったー!ありがとう兄さん!」

 

 

あ〜。なんかその笑顔見たら、悩みとかどうでも良くなってきた。

 

 

反射的に頭を撫でる。

 

 

「........? 〜♪」

 

 

嬉しそうに目を細めるもんだから、ずっとしてあげたくなる。

 

 

「おーい。そろそろお客さん来るから、持ち場つけよー」

 

 

父さんの声で、撫でていた手を離す。

 

 

来週が楽しみになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日。

 

 

前から予定していた、COLを見に行く日だ。

 

 

前日まで少々緊張していたが、朝から忙しくてそれどころではなかった。

 

 

「ほら、兄さん!早くっ!」

 

 

急かすようにそういう杏に、落ち着くように言葉を返す。

 

 

「まだ約束の時間まであるだろ......1回落ち着け」

 

 

「だって!楽しみなんだもん!」

 

 

嬉しそうに笑顔を見せる杏に、笑みを浮かべた。

 

 

集合時間は11時の予定だ。

 

 

まだ時刻は30分前、さすがにまだ誰もいないだろう。

 

 

と、思っていた俺だったんだが。

 

 

「あ、みんな。おはよう!響さん、おはようございます!」

 

 

「おはよ、こはね!」

 

 

「おはよう。早かったな。響先輩も、本日はよろしくお願いします」

 

 

もう既に3人が揃っていた。

 

 

俺もしっかりと挨拶を返す。

 

 

「ああ、おはよう。みんな早いな。まだ集合時間では無いはずだが........」

 

 

そんなに楽しみだったのか?

 

 

遠足当日の子供のよう、と彰人が例えて言う。

 

 

「もう一生入れねえって思ってた場所に行けんだから、しょうがねえだろ」

 

 

みんなかなりソワソワしている。楽しみな気持ちが伝わってくる。

 

 

(それもそうか........ここから始まったんだもんな)

 

 

彼女たちの原点。全ての始まりの場所。

 

 

今でも語り継がれる伝説。

 

 

そこに参加していたことを考えると、少し嬉しい気持ちになった。

 

 

「よう。お前らずいぶん早いな」

 

 

そんな話をしていると、大河おじさんがやってきた。

 

 

「あっ、大河さん!」

 

 

「そりゃ早くも来るよ!またCOLに入れる日がくるなんて、思わなかったんだから!」

 

 

嬉しそうに返す、こはねちゃんと杏。

 

 

あまり表情に出さないが、彰人と冬弥も同じ様だ。

 

 

「今日は機会を下さって、ありがとうございます。俺達だけではここに辿り着くことはできなかったので、とても助かります」

 

 

代表して感謝を述べる冬弥。

 

 

本当にその通りだ。大河おじさんには感謝だな。

 

 

「......フ。そりゃよかった。俺達が見せてやれるのはこれくらいだがな。なあ、響」

 

 

「ああ、そうだな。俺からもありがとう、おじさん」

 

 

俺にも話を振ってきたおじさんに、感謝を伝えた。

 

 

大河おじさんはサングラスであまり見えないが、笑みを浮かべていた。

 

 

「さて、オーナーは現地で待ってる。待たせたらどやされるから、そろそろ行くぞ」

 

 

「はいっ!」

 

 

大河おじさんを先頭に、COLに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぞ。COLはここビルの地下1階だ」

 

 

COLに到着した俺たちは、各々当時のことを思い出していた。

 

 

開場前にも、お客さんが溢れかえっていたのを思い出す。

 

 

どこにでもあるありふれたハコ、そうおじさんが言ったとき、中から老人が現れる。

 

 

「おう、ばあさん。思ったとおり元気そうだな」

 

 

「ばあさんじゃなくてオーナーだよ。30年以上言い続けてるってのにまだ覚えていないとはな......」

 

 

おじさんと話しているのは、このCOLのオーナーだ。

 

 

聞いていたとおり元気そうで、安心をした。

 

 

とはいえ最後に会ったのはあの夜だったな。覚えているだろうか。

 

 

「お久しぶりです、オーナー。お元気そうでよかったです」

 

 

そう言って話かける俺に気づき、オーナーは驚いた表情で振り向いた。

 

 

「おや、あんたHibikiかい。ずいぶんと顔つきが変わったね。あの時とは大違いだ」

 

 

「.......その節はすみませんでした。でもようやく、俺も踏み出すことができました」

 

 

あの時の俺は全く余裕がなかった。

 

 

涼いなくなってから、暗闇から抜け出せなくなっていた俺。

 

 

そんな俺を叱って、背中を押してくれた。

 

 

この人には迷惑をかけてばっかりだ。

 

 

オーナーはニカッ、と笑って。

 

 

「別にいいさ。あんたたちには世話になったしね。それに“オーナー”ってちゃんと呼ぶのはあんただけだからね」

 

 

オーナーの少し呆れた返事に、苦笑いをした。

 

 

いつまでもかっこいいな、この人は。

 

 

その後、こはねちゃんや杏がオーナーと話しをして。いよいよCOLに入ることになった。

 

 

 

中は真っ暗で、オーナーが予備灯をつけた。

 

 

「わぁ.........!」

 

 

「ここが........RAD WEEKENDが開かれた」

 

 

こはねちゃんと冬弥の感嘆の声を漏らす。

 

 

「でも、なんだか昔見た時より小さく感じる気がする」

 

 

「まだガキだったからだろ。身長も低かっただろうしな」

 

 

当時中学生だったことや観客を多さをあり、昔の感覚との違いを感じている。

 

 

感傷に浸っている中、こはねちゃんが会場を隅々見て回っていた。

 

 

「どうだ?ハコを見た感想は」

 

 

大河おじさんが聞いた。

 

 

さっき杏と彰人が言っていたように、予想以上にステージと距離が近いという、印象だったそうだ。

 

 

冬弥がここで開催した理由を聞いていると、杏たちはバックステージを見に行った。

 

 

「.......うわ!思ったより狭い!」

 

 

「ここにあれだけのメンツがいたのかよ......」

 

 

杏と彰人の驚きの声が聞こえる。

 

 

俺は残された、こはねちゃんと冬弥の待っている。

 

 

2人は後で交代して見るそうだ。

 

 

「.......このステージで、謙さんや大河さん......響先輩が歌っていたんですね」

 

 

「ああ。ただひたすらに前を向いて、全力でな」

 

 

2人の表情には、感動や憧れ、決意が込められている。そんな気がする。

 

 

なにかを決めたこはねちゃんは、オーナーと向き合う。

 

 

「......あの、オーナーさん。ステージに立たせてもらえませんか?」

 

 

「小豆沢?」

 

 

こはねちゃんの突然の願いに、目を丸くする3人。

 

 

「私......このステージからの景色を見てみたいなって思うんです。杏ちゃんのお父さんや大河さん、響さんが見ていたのは、ステージの上からの景色だから」

 

 

こはねちゃんは真剣な眼差しで、オーナーを見る。

 

 

大河おじさんの意見もあって、それをオーナーは承諾した。

 

 

ステージに上がった4人は、それぞれその空気をイメージしていた。

 

 

そして━━━━━━━━━━━━

 

 

「「「「♪━━━━━━━━━━!!」」」」

 

 

こはねちゃんを筆頭に、歌を奏でた。

 

 

「.....どうだ、ばあさん。あいつらの歌は」

 

 

大河おじさんは、オーナーに問いかけた。

 

 

それを聴いたオーナーは。

 

 

「下手な歌だったら叩き出してやろうかと思ったが...........もうちょっと、聴いてやろうかね」

 

 

口元を緩めて、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー!」

 

 

COLから帰ってきた俺たちは、父さんの店に集まった。

 

 

「ただいま、父さん」

 

 

「こんにちは、謙さん」

 

 

「........おう。帰ったか」

 

 

お店の中は、いつもに比べてお客さんがいないように思った。

 

 

どうやらさっきまで、イベント終わりに団体が居たそうだ。

 

 

父さん曰く、バータイムまで誰もこないだろう、とのこと。

 

 

父さんと談笑して、大河おじさんはこはねちゃんは今日のことは話していた。

 

 

その表情を見ていた父さんは、なにか考えている様子だった。

 

 

「.......父さん?」

 

 

気になって声をかえる。その表情は変わらず、真剣なまま。

 

 

「杏、看板をクローズにしてくれ」

 

 

「え? いいけどなんで?」

 

 

「.......ちょっとばかり、お前達に見せたいものがあってな」

 

 

突然の父さんの行動に、驚く。

 

 

この話の流れ、そして考えるようなあの表情。

 

 

(いや......まさかな.......)

 

 

俺が想像するのは、杏から相談を受けた時のこと。

 

 

RAD WEEKENDの映像が、もしかしたらあるかもしれない。

 

 

ないと思っていた可能性が、一瞬で高くなった。

 

 

「見せたいもの?」

 

 

「ああ。これだ」

 

 

そう言って取り出したのは、1枚のDVD。

 

 

「父さん.....これはまさか.....」

 

 

俺の考えてることがわかったのか、父さんは頷く。

 

 

DVDを受け取った杏。その表を確認して、衝撃を受ける。

 

 

「『RAD WEEKEND』.......? えっ!?もしかしてこれ......!」

 

 

「ああ。RAD WEEKENDの“ライブ映像”だ」

 

 

やっぱり.....そうだった。

 

 

杏たちはもちろん、大河おじさんも驚いている。

 

 

父さんは、預かっていたのを忘れていたそうだ。

 

 

忘れていたって.....父さんに限って有り得るのか?

 

 

当時は撮影禁止。オーナーもそれを徹底していた。

 

 

だがこれを撮ったのは、オーナーだったという。

 

 

「ともかく、こいつの中には、RAD WEEKENDの一部始終が入ってる━━━━━━━見るか?」

 

 

父さんの問いに、大きく頷くこはねちゃん。

 

 

杏、彰人、冬弥もそうだった。

 

 

プロジェクターのあるライブスペースに移動する4人。

 

 

その様子は、嬉しそうだった。

 

 

1度しか見れないライブだったからな。そうなるのも当たり前か。

 

 

カウンターの椅子の腰掛ける俺。

 

 

父さんと大河おじさんの話に耳を傾ける。

 

 

あの映像は、凪さんに頼まれたようだ。

 

 

「すみません、DVDプレイヤーってどこに.....あ」

 

 

DVDプレイヤーを取りにきたこはねちゃん。タイミング悪い時に来てしまったな。

 

 

父さんたちは気づかず、話を続けていた。

 

 

「ごめんな.....これを使ってくれ」

 

 

そう言って俺が渡す。

 

 

ありがとうございます、とお礼を言ったあと、こはねちゃんは2人にこえをかけた。

 

 

「あ、あの.....!」

 

 

ようやく気づいた2人。

 

 

「あ、ありがとうございます! 私、RAD WEEKENDをもっと知りたいって思ってたので、えっと.......」

 

 

こはねちゃんは言葉をつまらせながら。感謝を伝える。

 

 

「凪さんにも、ありがとうございますって、伝えてもらえたら嬉しいです!」

 

 

彼女は笑顔でそう言った。

 

 

それは純粋なる気持ち。

 

 

偶然ではあったが、自分の願いがひとつ叶った喜び。

 

 

ただ......それだけなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの夜。ステージに立った凪さんは、どんな想いだったのだろうか。

 

 

どんな想いで.........あのイベントを成し遂げたのだろうか。

 

 

きっと......俺には計り知れないほどのものだったんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

映像見た彼女たちは、それぞれ感じた想いを口にしていた。

 

 

その様子を見ていた父さんが、こはねちゃんに問いかける。

 

 

「━━━━━━━これを、超えられると思うか?」

 

 

その問いかけに、どれほどの想いがあっただろか。

 

 

父さんたちは、どんな気持ちで凪さんと居たのだろうか。

 

 

こはねちゃんの答えは......

 

 

「........超えられるかは、わからないです。思ってたより、ずっとすごくて.......本当にあったことなのかも信じられないくらいで.......すごく......怖いくらいで.....」

 

 

多くの人が口々に言う、“伝説の夜”。

 

 

それを超える、などと言っても、はっきりとは分からない。

 

 

憧れたあのイベントを、ようやく知って、向き合って。

 

 

普通ならば、怖気付いてしまうだろう。

 

 

でも、この子は。

 

 

「前よりもっと、RAD WEEKENDを超えたいっていう気持ちが大きくなってるんです。だから.........

 

 

 

絶対.......超えます!」

 

 

《♪》

 

 

はっきりと、そう口にした。

 

 

あれほどのイベントを見て、それでもなお、目標に向かって手を伸ばすのを止めない。

 

 

(これが.............この子たちの想いなのか)

 

 

彼女たちはお互いの想いを伝え、より一層、一体になった。

 

 

(杏たちなら、できるかもな)

 

 

俺はそう信じて、これからもその姿を見守り続けよう。

 

 

改めて、そう誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もしも響がビビバスと歌う場合、歌唱するのはだいたいバーチャルシンガー部分ですよね。
それを考えている中、ふと最近追加した曲のことを考えていました。
あの曲は絶対に彼は一緒に歌えないな、と。
おそらくですが次は前回のように、エリア会話風短編を挟むかもしれません。まだ未定ですが。
さて、本日は以上になります。また次回お会いしましょう。さようなら!
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