ドラゴンクエスト ダイの大冒険 続伝 人魔天竜の章 作:ありけるみー
会議室に集まったのは解散後まだ遠く離れていなかったベンガーナのクルテマッカⅦ世とロモスのシナナであった。
「ワシも勇者がおる気がしてならんかった。いやぁ残って正解だわい」
「ちょっとタイミングが良すぎるくらいですね……国際会議を終えた直後だなんて……」
アバンはこの状況に疑問を抱いていた。
唐突なダイと思わしき竜の騎士出現。
しかもそれを他でもないカール王国の国民が目撃したという。
「ついさっきまでこの近辺にダイがいた……ということですよね。でもその……『竜の背骨』……ですか? それには何の反応もなかったって……」
マァムが国王たちが掲げる金色のそれについて聞いた。
「そうなのだよウンともスンとも言わん。テランのナバラ殿が仰った通り、やはり古過ぎて効果がないのではないか?」
「その可能性もあります。……ともかく今は情報を集めてみましょう。一応確認をしておきますが、お集まりの皆さんの中でダイくん、もしくは竜の騎士と思われる存在を見かけてはいませんか?」
全員が首を横に振る。
ポップも道中を振り返ってみたが、そんなものを目にした覚えはなかった。
「なぁメルル。きみの占いでなんとか見つけられたりしねーもんかな?」
ポップはふとメルルに尋ねてみた。
「それは名案ですね」
アバンもみんなも賛同した。
「は、はい。やってみます」
メルルは祈りを込めて水晶玉に念じてみた。
しかし水晶玉は光るどころか何も反応を示さなかった。
「ダメみたいです……どうしてもダイさんの姿が浮かんできません」
「そっか……。ありがとなメルル」
「占い師の彼女にも見通せないとなると……いよいよもって神仏の類のようじゃの」
一際前に乗り出して見ていたクルテマッカが残念そうにつぶやいた。
「それじゃあダイは……神様になったとでも……」
「ですが、われわれ以外の人間はその姿を確かに視認しています。火のないところに煙は立ちません、まずは目撃者の話を聞いていきましょう」
ポップやアバンら仲間たちが情報を集めているのと時を同じくして、ラーハルトもまたダイと思わしき
彼がたまたま滞在していたとある村にて、その噂が彼の耳に流れ込んできた。
「おいみんな! 竜の騎士様が現れになっただどーっ!」
「竜の!?」
「あの伝説の!?」
やけに外が騒がしいな……。
ラーハルトが外に出てみると、村人の口から信じられない発言が飛び交った。
「本当だがや! おらこの目で見たんだ。額に竜の顔みでな紋章さ輝かせて、年さまだ若い少年のようなヤツだった! ありゃ間違いなく伝説の勇者様に違いねぇ」
「なんだと!!」
ラーハルトは声を荒げ、韋駄天の如き速さでその村人に詰め寄った。
「その話まことなら、勇者は今何処に!!」
「ぐ……ぐええく、苦しいだよ……」
「だ、旦那落ち着いて下せえ、そいつが死んじまう」
締めていた男の襟首から手を放し、話を聞いた。
「はぁ……はぁ……あー助かっただ。勇者さまならまんだあの湖のほとりにいらっしゃるはずだ。多分まだ追いかけりゃすぐ――」
「情報感謝する!!」
場所を聞くや否やラーハルトはすぐさま飛び出していった。
音速の速さで駆け抜け一瞬のうちに彼の姿は見えなくなっていた。
村人のひとりは何が何だかわからない様子だった。
「な、なんだべありゃ……」
ダイ様……!
皆ずっとあなた様を探しておられました。
かくいうこの私も、人間たちを守り続けていればいずれまたお会いできるものだと信じていましたとも……!
湖のほとりはすぐそこだった。
「ダイ様ーっ!! ダイ様!! 聞こえますか! 私です、あなた様の忠実な僕ラーハルトにございます! もしそこにおわすのでしたら、なにとぞ! なにとぞご返事ください!!」
彼はたどり着くと声の限りに主君を呼んだ。ダイの名を叫んだ。
湖の水はただ風にあおられ、木々はラーハルトの言葉を反芻しすり抜けるばかりだった。
「どういうことだ……? ダイ様はここにいらしていたのではないのか……?」
ガサリ、と彼の背後で物音がした。
「誰だ!!」
彼は振り返った。しかしまだそこには誰もいなかった。
すると先ほどと同じ物音が響いたので、今度は音がした方向に向かって武器を構えて突き進んだ。
気配を殺し、息を潜めて木々の隙間を潜り抜けていった。
何奴……。もしやダイ様ではないというのか……?
やがて長きにわたる秘密のヴェールが幕を開いた。
周囲に凄まじいほどのオーラを放ち、そのものは立っていた。
ラーハルトはそのオーラの正体に覚えがあった。
こ……これは……
これは紛うことなきダイ様、そしてバラン様の
「まさか……そんなまさか……竜の騎士……すなわちダイ様が……?!」
やがてそのものが振り返ってラーハルトを見た。
そのものの額に浮かんでいたのはまぎれもない竜を模したクレスト――すなわち
彼が竜の騎士であることは疑いようのない事実であった。
そのものは全身にみなぎらせた竜闘気をバチバチと鳴らすと、やがて耳を疑う発言をした――
「……ラーハルト………? ――。――――、――――」
両者の間で何らかの会話が交わされた直後、ラーハルトは光の渦に飲み込まれていった。