ドラゴンクエスト ダイの大冒険 続伝 人魔天竜の章 作:ありけるみー
「まともにあれを喰らってはいけません!! 魔を弾く聖なる光よ――今集まりて我らを守護し給え! マホバリア!!」
アバンが危険性を察知し、破邪の呪法で魔法結界を展開した。
巨大な雷を纏った雷撃の手刀と激突し、結界から先に進ませないようにその場で食い止めていた。
「先生!!」
「今ですポップ! これで食い止められている時間はわずかばかりもありません! 今のうちにメドローアを!!」
「そうくると思ってましたよ……! ほんとはひとりだけでもあれにぶつけようと準備してたんですが……こりゃありがてえや!」
いつの間にか用意していたメラとヒャドの合成した弓を取り出し、ジゴスラッシュ目掛けて解き放った。
「さっきは見せてやれなくて悪かったな。これが正真正銘のメドローアだ!!」
アバンの結界が消滅したタイミングで雷撃が襲い掛かってきたが、すでにポップの手より放たれていたメドローアがそれを飲み込んで跡形もなく消し去った。
「へえ、やるね人間も」
ジゴデインの魔法剣を消滅させただけに飽き足らず、メドローアの矢がザウロに向かって突き進んだ。
両手に竜闘気を全開にさせ、それを受け止めようとした。
「ぶち抜けえええっ!!」
ポップの掛け声に合わせるように、炎と氷の魔法矢がザウロの竜闘気を貫いた。
「何……!?」
両者のエネルギー衝突は凄まじい熱蒸気を発生させ、やがて巨大な大爆発を巻き起こした。
「ど、どうじゃ……」
「やったか……?」
ポップたちはザウロのいた空を見た。
やがて白い煙が晴れ、雲が消え去ったそこにはザウロの姿はなかった。
「へ……や、やった。やったぜー!!」
ポップは歓喜の雄たけびを上げた。
メドローアはあらゆる物質を消滅させちまう魔法だ、あのオリハルコンだって当たれば容赦なく消えるんだ。
いくらあいつが竜の騎士を超える力を持ってるからってあれをまともに受けたんじゃお陀仏だぜ。
戦いの終わりを迎え意気揚々と仲間の元に向かったポップが、恐怖でその顔を歪めることになったのはそのすぐ後だった。
「素晴らしいよポップ――いや、大魔道士よ。人の身でありながらよくぞこれほどの技を生み出した。相手がボクじゃなければ一瞬で終わっていたであろう」
「う……嘘だ……ろ……?! メドローアを、あのメドローアをまともに喰らって……何で!!」
絶望に震えるポップに構わず、ザウロは惜しみない拍手喝采を送った。
「ふふふ、ボクが生きていることが不思議かいポップ? なに、言葉通りの意味だよ」
彼は片手に白く淡く光り輝く闘気を放出し、もう片方の手から禍々しい暗黒の闘気を放った。
さらに紋章を光らせ肉体からは竜闘気を開放していた。
「このように光の闘気・暗黒闘気・竜闘気の3つの闘気を最大まで発現させ、それらを組み合わせることで絶大な破壊の力が生まれるんだ。ボクはそれを使ってメドローアの構成する分子を破壊したのさ」
「そ……そんな、バカな……!!」
「もっともさすがに無傷でってわけにはいかなかったけどね……肩はこのとおり無くなっちゃったよ」
ザウロの右肩は首筋にかけて大きく湾曲に削り取った形となっていた。
痛々しい状況の悲惨さとは相反して彼はとても上機嫌だった。
「やはりポップ、キミこそがこの地上――始まりの大地を生きるに相応しい存在……始祖の人類が遺した子孫に相違ない」
ザウロが右肩の傷を癒しながら彼らと同じ目線の地表に立った。
「ポップ!」
彼の身の危機を感じたマァムが叫んだ。
「へっ。神様にまでお褒めにあずかり光栄だぜ……んじゃあ光栄ついでにこの場は見逃しちゃくれやしねーかな」
「ふふふ。さて、それはどうだろうか」
すぐさまレオナが彼に駆け寄って魔力回復のシルバーフェザーをはだけた右腕に突き刺した。
「ポップくん、メドローアを続けて何発撃てる?」
「え、そりゃ残ってる俺の全魔力を使えば二発くらい……頑張りゃ三発はいけるが……ま、まさか姫さん」
彼女の手には数十本の
「そうよ。あの怪物に魔法力の続く限りありったけのメドローアをぶつけるのよ。その間私がこれでポップくんの消耗した分は回復するから」
「無茶だ! さっきあいつにはまともに当てたってのにぴんぴんしてやがったんだ。もう何発撃っても当たりっこねえし当てても大した傷にさえなりゃしねえよ」
「そうかしら? 現に彼は破壊の
レオナの表情は本気そのものだった。
手段を選んでいる場合ではない。
現状最も有効性の高い攻撃手段を持っているのがポップだけなのだ。
やるしかない、と腹を括る他なかった。
「頼んだわよポップくん。あなたの双肩に人類の……ううん世界の未来がかかっているんだから」
「そんなにプレッシャーかかること言わないでくださいよ」
彼女の策に乗ったのか、アバンやマァムらも彼を囲うようにザウロに立ちはだかった。
「な……み、みんな! 危ねえから下がってろ! このままじゃあいつに殺されちまうぞ!!」
「だって……レオナと二人であいつにメドローアを当てるんでしょ? そしたら誰があいつの足止めをするのよ」
「俺たちがあいつを食い止める……」
「その間に魔法の準備を!! 大丈夫、私とマァムとヒュンケルが必ず当てるための隙をつくってみせますから!」
アバンが親指を立てて二人に笑ってみせた。
「け、けどよ……」
「ポップ。私あなたがいない世界なんて絶対嫌。死ぬときは二人一緒よ」
「マ、マァム……」
彼女はポップの手を取って言った。
エイミの一件があってからか、彼女は自分の気持ちに遠慮がなくなっていた。
アバンが咳払いをするとマァムは慌てて彼の隣に並んだ。
かくして三名の戦士が竜の災厄に立ち向かっていった。