ドラゴンクエスト ダイの大冒険 続伝 人魔天竜の章   作:ありけるみー

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放て!10連メドローアの巻

「話は決まったかい」

「いいですか皆さん、私が合図したら一気にあの技を!」

 それを聞いて両脇のヒュンケルとマァムが頷いた。

 三人はザウロの四方八方を塞ぐように取り囲み、攻撃に転じる瞬間を窺っていた。

 

「――今です!」

 

 アバンの合図で三人はザウロに攻撃を開始した。

 彼らを先導するようまずアバンが剣撃を炸裂させた。

「アバンストラッシュ!」

 アバン流刀殺法最高の剣技が飛び出し、ザウロの頬を掠めた。

 かわしこそしなかったが、彼はストラッシュの斬撃を硬質化させた竜の皮膚で握りしめ弾いた。

 続けざまにアバンが投げたカールの剣をヒュンケルが受け取りそのまま彼の得意技「ブラッディースクライド」に繋げてみせた。

 螺旋状の剣圧が空を切り、ザウロの背後から突き刺さった。

 しかし彼は竜闘気を開放しそれを受け止め弾くと、音速の速さで振り返り、闘気の手刀で剣をへし折って粉々に砕いた。

 続くマァムの連撃はかわすことができなかったのか、これを両足で受けてしまった。

 

「なかなかの連携技だね。人の持つ可能性……絆の力が結集した素晴らしい技の数々だった。特に大勇者アバン。キミもポップと同じく選ばれた側の人間だ」

 攻撃を凌いだザウロはポップたちの方を見た。

 彼はメドローアをとっくに充填していたが、当てるタイミングが計りかねていた。

「悲しいな。それほどの力を持ちながらも滅びの運命からは逃れられないということが」

 ザウロはメドローアを相殺しようと再び三種の闘気を合わせようとした。

 アバンはその好機を見逃さなかった。

 既に地面に仕掛けていた五つのフェザーがザウロを囲み破邪の魔法陣が展開していった。

「今更どんな呪文でボクを攻撃するつもりだいアバン」

「ご期待に沿えず申し訳ないのですが、私はポップのような魔法使いではないので、攻撃のための呪文があまり得意ではないのですよ。ですからこうして皆さんの補助を行うのが私の役目というわけです。……アストロン!!」

 彼が硬質化呪文を唱えるとザウロの体が徐々に鉄の塊となっていった。

「くっ……古の防御魔法を自分や仲間ではなく相手に……!」

 ザウロはすぐさま闘気から凍てついた波動に切り替えて、呪文のかかった個所を元に戻した。

「せっかくの補助呪文を悪かったね」

 

「いえ。私の役目はとっくに終わりましたから」

「な……!」

 ザウロはアストロンを解いたのに動けなくなっていたことに戸惑っていた。

「なんだ……これは……光の闘気……?」

 目線だけ動かした先にはヒュンケルが指先から光の闘気の糸を放っていた。

「これこそ今の俺の新たなる力……闘魔傀儡掌が暗黒闘気で相手を縛り付ける技ならば……これは光そのもので相手の闘気を絡めとる技……! 光魔掴握掌!!」

 ヒュンケルから放たれた光の闘気は、ザウロの持つ光の闘気を封じ込め、暗黒闘気を抑え込んでいた。

「くそ……こんなもの……」

 彼が強引に振りほどこうとしたその時、突然足元が崩れ去っていくのを感じた。

 ザウロの両足はボロボロに砕けており、肉体をまともに支えることが困難な状態となっていた。

 

「まさか……」

 

「そうよ。さっき私があなたの足に仕掛けた技……閃華裂光拳よ。竜の騎士でもあなたが生物であることに変わりはないわ。だからこの技は確実に成功すると思っていたの……」

 それを語る彼女の表情はとても悲しげなものだった。

 相手を倒せて嬉しいわけでも、メドローアで消滅させてしまうのも本当はどちらも彼女が好んでやりたいものではなかった。

 しかしそれでも守りたいたくさんの人たちの生命が奪われそうになるのを見過ごすことはできなかった。

 やるしかない。そう言い聞かせて放った裂光拳だった。

「今ですポップ!」

「おうっ! みんなナイス連携だぜ!! さぁ姫さん、補充の方は任せたぜ!!」

「ええ! この羽根が持つ限り何回でも刺してあげるわ! 痛くても泣いちゃわないでよ!!」

「誰が! ……喰らえメドローア二連射!!」

 充填していたメドローアの矢が二本立て続けに発射された。

 すぐさまレオナによって魔力が回復され、再びメドローアを合成していった。

 メドローアを放つ度にポップの手は焼け焦げたり凍結したりと相当な負荷がかかった。

「ポップくん……!」

「気にすんな姫さん……! じゃんじゃんフェザーを注ぎ足してくれ!!」

 ポップに頼まれるがまま、レオナはメドローアの撃ち終わりに合わせて羽根を突き刺した。

 羽根は次々と足されていき、メドローアが放たれる度に焼け尽きて地面に落ちた。

 矢が次から次へと撃たれると、それらは次第に集まっていきやがて一つの巨大な剣の様に変貌していった。

 

「これが……これが俺の今出せる限界いっぱいギリギリの……10連メドローアだ!!」

 

 9つのメドローアに最後の1矢が刺し込まれ、かつてないほど巨大なメドローアの大剣が完成した。

 光の闘気の檻と足の回復でまともに身動きも取れず、更に相殺のための闘気も練れず、ザウロはメドローアブレードの放つ光に飲み込まれていった。

 衝撃を与えたのはザウロに対してだけではなく、その周囲の大地も、木々も、全てのものを吹き飛ばしながら閃光のような輝きを放っていた。

「みんなー伏せろぉおお!!」

 ポップが残りわずかな気力を振り絞って全力で叫んだ。

「ヒュンケル!」

 マァムはギリギリまでザウロを縛っていたヒュンケルの手を掴み、彼と共にメドローアの衝撃から離脱した。

 彼の呼び寄せていた雷雲も吹き飛ばされ、周囲は草木の一本も残らぬ焦土と化してしまった。

 メドローアを放つタイミングでそれ以外の者たちにアバンがマホバリアを放ったため、周囲の惨状とは裏腹に皆かすり傷ひとつついていなかった。

 

 しかしアバンも相当の無茶を重ねたからか、すっかり魔法力が尽きかけてしまっていた。

 レオナに託したフェザーも残り全てを使い切り、ポップも事実上魔法力無しの状態になっていた。

 またメドローア錬成の際に側にいたレオナは髪の毛を焦がし、両肩から肘まで火傷の様な傷を負っていた。

「ひ、姫さん……! 待ってろ今ベホマを……っ」

「こ、こんなの全然大した事ないわよ。それよりポップくんの方こそ両手がボロボロじゃない。ロクに回復する魔力も残ってないんだから、大人しくしてましょう」

 レオナの言う通り、ポップの両手はほとんど原型を留めていないほど真っ黒に焦げていた。

 あれほどの数のメドローアをいくら魔法力を注ぎ足しながらとはいえ、決してその負荷が軽くなるものではなかった。

 ポップにとっても連発は未知の領域だったが、それでもどうにか成功させることができたのは紛れもない彼の努力に裏打ちされたものだった。

 

 師匠……ありがとよ。あんたとの修行の日々がなければこんなに無茶できなかったぜ。

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