白黒姉妹に灰被り姉さん   作:にわとり肉

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近所の気のいい姉貴ポジ、ビワブラ姉妹と戯れる。

 生まれてこの方、怠けた顔してんじゃねえと言われ続けた日々だった。うるせえと言い返すことはしなかった。何故なら、別に間違いではないからだ。

 

 努力という二文字を嫌って、ひたすら抜け穴を探す毎日。特に勉強なんてこりごりだった。母はそういうのに敏感で、勉強は勿論、宿題出さなきゃぶっ飛ばされるし、家で寝転がってゲームしてると掃除機で吸ってくるし、でもお小遣いくれるし間違いなくいい人なんだけれど、まあともかく、私は勉強だけはしたくなかったのだ。

 

 なんだかんだ地元の至って平凡な高校に入学し、それでも勉強をしたくなかった私は、母から逃げるために、頻繁に近くの児童公園のベンチを占領していた。今考えると浮浪者のおっさんみたいで笑えないが、そんな感じでココアシガレット齧って、雲の流れゆく様をぼうっと眺めたりして、ぴちぴちな学生生活という貴重な時間を無駄に消費していた。

 

 それに待ったをかけ、今日までの私を作ったのは、間違いなくあの日。高校2年生になってひと月、いつも通り、学校の帰りがけに公園に逃げてきた時のことだった。

 

 その日はたまたま、少し居眠りしてしまって、いつもより長居してしまったのだったが、目が覚めると、

 

 『……』

 『……』

 

 当時三歳だったか、黒髪をポニーテールにした、私と同じ髪型のチビウマ娘が、ベンチに座っている私を凝視してきていたのだ。親らしき人物は見当たらなく、当時の私はクソガキだったから、起き抜けに思い切りメンチを切り返してやったのをよく覚えている。

 

 お子様の行動原理なんて考えるだけ無駄かもしれないが、私はそいつの姉に髪質がよく似ているので、勘違いして近寄ってきたが、別人だと気づいて、どうすれば良いかわからなくなったんじゃないかと思っている。本人はそのことについて何も言わないので、結局何で私に近寄ってきたのか、真実は謎のままだ。

 

 ともかく、そうして1分ぐらいメンチを切りあっていたと思うが、三歳児と張り合っているという状況が急に惨めに感じて、仕方がないから私が折れたのだった。

 

 しかし、折れたといっても、私は子供の扱いなんてわからなかったし、チビもチビで、私の隣によじ登って座ったと思ったら、まーた私を見上げてくるだけ。公園には私一人だったし、不安がったのだろうか。どうしたものかと項垂れた時、ふと、私は、右手で握っていたココアシガレットの箱に気がついた。

 

 『……あげるよ』

 『ん……!』

 

 ココアシガレット一本差し出したら目を輝かせるんだから、子供って扱いやすいよね。そんな最低な考えが巡った瞬間だった。

 私が一本を咥えてカッコつけてるよそで、バリバリ食ってころころ笑っていたチビは、すると、私とそいつの間に少しだけあった空間を詰めて、ぴったりくっついてくるじゃないか。これ通報されないよね、と気が気でならなかった。

 ひとまず、私は適当に話題を振ることにした。

 

 『……お父さんとかお母さんとかいないけど、はぐれちゃったの?』

 『おいてきた』

 『おいてきた……?』

 

 ぶすっとした感じで、初手からよくわからないことを言い出したと思ったが、そのモヤモヤはすぐに解消されることになった。

 

 『……!! ブライアーン!!』

 

 ベンチから見える階段の出入り口から、真っ白いうねった髪の毛を黒いの、いや、ブライアンと同じくしたチビが駆け上がってきて、こっちに寄ってきたのだ。

 その時、すかさず私に訝しげな視線を送ってきたのだから、彼女の子供の頃からの出来が窺えるだろう。

 さらに、さらに白いチビの後ろから、長身痩躯の美人なウマ娘もきて、一目で隣のチビが置いてきた家族なんだろうと推察できた。

 

 ____白いのは、私の正面に立って開口一番、

 

 『ふしんしゃ!! 妹をはなせ!』

 

 と、大声で叫びやがった。ひっつかれてんだよって言い返しそうになったのは仕方ないだろう。

 ともあれ、姉貴も来たことだから、黒いチビの背中を叩いて行くように促したのだが、ココアシガレットに催眠効果でもあったのか、あいつ、制服に皺がつくぐらい強くしがみついて離れなかった。

 

 『本当にありがとうございます、この子を見ていてくれたんですよね?』

 『……ま、これからは逐次目を離さない方がいーですよ』

 

 頭を下げてきた母親に適当に返しつつ、腹をくすぐったり、耳を軽くつねったりしてやっても本当に意地でも離れない様子で、白いやつは尻尾逆立て私に噛み付かんとしているし、母親はおやおやとかいってるし、小さくため息ついてしまったことぐらいは許してほしいもんだ。

 

 『ほれ、お母さん来たんじゃないの? 離れなさいったら』

 『ん』

 『あら。この子人見知りなのに…… 優しくしてもらったのね』

 『いや、ココアシガレットあげただけ……』

 『ぶ、ブライアン……! お姉ちゃんとおいかけっこするやくそくでしょ!』

 

 姉としての劣等感が刺激されたって回顧していたが、そんな感じで白いチビは地団駄を踏み始めたし、めんどくさくなってきたから、私は特に何も考えずに言ったのだ。

 これが、私の知るところ二度経験した人生の転機の一つだったんじゃないかと思っている。

 

 『……よし。私も混ざる!』

 

 いや、即物的な考えはあった。今日適当にあしらえば二度と会うこともないんだから。そういう浅慮からの言葉だった。確かに、ブライアンは手を離してくれたし、二歳児三歳児を死ぬほど追いかけ回したり追い回されたりして一時間過ごせば、わだかまりは解けるし、いかにウマ娘とあろうと子供。疲れて家に帰りたくなる。

 

 『おねーちゃんまたあそぼ!!』

 『うん、またね』

 『今日は本当に……!』

 『お気になさらず〜』

 

 白いチビ――ビワとブライアンに手を振って、重たい足を引き摺りながら家路につき、まあ、それでなんもかんも元に戻ると思っていた。

 しかし、辺りがすっかり暗くなって、夜の七時になったごろぐらい、母と飯を食ってた時のこと。飲んだくれの母が、急にこんなことを言い出した。

 

 『そういやあ、さっき平和酒店にいったんだがさ、そこに可愛い二人のウマ娘の子供がいてさぁ、あっこのお子さんらしいんだけど。ありゃここらのアイドルになるよ』

 『へー…… 私も今日、ちっちゃいウマ娘二人と遊んだよ。お陰で明日は筋肉痛確定よ』

 『へえ、そりゃ、あっちで聞いたような話だなあ、学生さんがさっき遊んでくれたって』

 『……』

 

 私の母は口が軽い。そして、母は、近所に建っている、地元ではそれなりに繁盛してる酒屋――“平和酒店”の()店主とは仲が良かった。伝わるのは時間の問題だった。

 

 『『おねーちゃーん!!』』

 

 何なら次の日から、公園に行くと二人が待ち構えていた。母がいつも私が公園に逃げる時間を伝えやがったせいだ。おまけに有る事無い事言ったのか、チビ二人は私が遊んでくれると信じて疑っていないときた。

 こうなると投げ出せないじゃないか。しかも、相手が相手、子供に目を背けて逃げるのは、流石にちっぽけなプライドが許さないし、なにより、初めて私に“あんな目”を向けてくる奴に会ったのだから、見栄を張りたくなるのも仕方ないはずだ。

 

 『……今日は何して遊ぶんだい?』

 

 それからというもの、毎日のように、ビワとブライアンに会うようになった。最初は勉強から逃げる口実にもなるし、暇つぶしにもなる。そういうことにしていた。

 しかしだ、ビワもブライアンも、毎日飽きずに私と遊んでくれるし、何も知らないからこそ、知っていることを教えると、心の底から尊敬してくれる。学校じゃあそんなことはありえなかった。

 私が二人に付き合っていた理由は、初めからそれだったのだ。

 初めて受けた尊敬が、16年と少しの人生の中で、一番気持ちよかったから。あえて名付けるなら“尊敬中毒”を患ったからだろう。

 ずっと尊敬を受け続けたい。とにかく、良い姉貴分としてみられたい。それは今でも変わっていないのだ。

 そうして今日まで虚勢はってやってきて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称“トレセン学園”で、トレーナーとなった。あの姉妹を担当するために。

 

 ……?




主人公ステータス

 名前:三河屋(みかわや) あぶみ
 性別:女(ヒト)
 年齢:26歳
 身長:176cm
 体重:増減なし
 スリーサイズ:B→81 W→64 H→80
 容姿:ハヤヒデみたいな髪質の髪の毛をブライアンみたいにヘアゴムで強引にまとめてる。疲れ切ったような三白眼。メガネ族。常にココアシガレットを咥えていて、たまに他のトレーナーにぎょっとした視線を送られる。ワイシャツにスラックスを着てる。私服は部屋着ぐらいしか無い。
 性格:昼行灯。ただ、年下には年長者らしく振る舞いたいというプライドが高い一面もあり、特にビワブラ姉妹には見栄を張りたがる。

 好評なら続く?

一話が複数に分かれてる奴、まとめて欲しい?

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