このエピソードはNo1「DEATH APP①」の続きになります。
No1「DEATH APP①」を読んでからの視聴をおすすめします。
「本日の授業はここまで、みんな気をつけて帰るんだぞ」
l国の大統領の訃報から1週間後。
この日の学校の授業と帰りのHRが全て済むと、ユタカは帰宅するため教室を出た。
あの出来事以来ユタカはデスアプリの事ばかり考えており、学業に身が入らなくなっていた。l国の大統領の死によってユタカはデスアプリの噂を信じ始めていたが、まだ完全に信じてはいなかった。
しばらく廊下を歩いていると、すれ違いになった強面の生徒の日根野とぶつかった。日根野はそれに激怒してユタカに啖呵を切った。
「どこ見て歩いてんだよ!」
「あ、ごめんよ」
啖呵を切られたユタカはすぐに謝罪したが、内心では理不尽に怒鳴られた事に苛立ちを感じた。腹いせとしてデスアプリの噂を確かめるための
学校から帰宅したユタカは入浴や着替えを済ませると、自分の部屋に込もりノートパソコンを開いた。デスアプリの噂を確かめるための
パソコンを開いたユタカは各国の独裁者や汚職に手を染めた国家権力者、特定の組織のトップ・凶悪な事件を起こした人物など、とにかくこの世からいなくなるべきだと思った人物の情報を重点的に調べた
しかし
「やっぱり自分の身近な人物で試さなければ、デスアプリの効力で死亡したのかわからない」ーそう判断したからである。
(学業に支障をきたす様じゃまずいな‥‥)
(デスアプリの事は一旦忘れよう)
ここ最近デスアプリの事ばかり考えて学業に身が入らない事はユタカ自身も自覚していた。
パソコンを閉じたユタカは寝るまでの時間を自主勉強に費やした。
ーーーーーー
あれから2日後、バイト先から帰宅途中のユタカはコンビニに寄っていた。立ち寄ったコンビニの周辺が元々田舎で時間帯が夜中という事もあり、店内の人混みは少なかった。
この時店内にいたのは店員が2~3人、来客はユタカを含めて2人程であった。
ユタカが店内で雑誌の立ち読みをしていると、店の外で悪そうな3人組の男が1人の若いサラリーマンに絡んでいるのを目撃した。
3人組のうちのニット帽を被りサングラスをつけた男が金属バットを持ちながらサラリーマンに何かを言った。
「よう、兄ちゃん。俺はここを縄張りにしてる青百足隊のリーダー
若干ではあるが、店の窓越しから会話の内容を聞き取る事ができた。
ユタカは恐ろしい事を悟った。
(ーーーこれは恐喝の現場だ)
ユタカの心の中には「人の命に関わる現場を見過ごす事はできない」「だが下手をすれば、自分を狙われるかもしれない」という気持ちが沸き上がっていた。店内のいるユタカ以外の人々も恐らく同じ事を思っている事だろう。
(あのサラリーマンの生命が危ない‥‥とりあえず警察に通報だ!)
ユタカは窓越しから3人組に気づかれない様にスマホを取り出した。警察に電話をかけようとダイヤル画面を開いた瞬間、ある事がユタカの頭によぎった
ーーーデスアプリの噂である。
ユタカはデスアプリの実験台《モルモット》となる人物を探したが「身近な人物で試さなければ、デスアプリで死亡したのかわからない」という理由で断念していた。
しかし、今回はデスアプリの噂を確かめるための条件は揃っていた。
ユタカは思った。
(ーーーデスアプリの噂を確かめるなら、今しかない!)
ユタカはダイヤルを閉じてデスアプリを開いた。そして唯一自身の名前を名乗っていた「下垣内鉄平」の名前を入力した。
『しもがいとてっぺい 死因:焼死』
下垣内の名前を入力したユタカは外の様子を注意深く観察した。
(さあ、どうなる…!)
ーーーーー
自分の身の危険を察したサラリーマンはその場から走って逃げようとしていた。
「逃げるんじゃねぇよ!!」
下垣内は金属バットを片手にサラリーマンの後を追う。
取り巻きの二人も各自の凶器を持ちながら下垣内に続く。
下垣内がサラリーマンに金属バットを振るおうとしたその瞬間、下垣内のズボンのポケットから突然火種が発生した。その火は瞬く間に下垣内の全身へと広がった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
一瞬にして火だるまになった下垣内は断末魔を挙げ、それを見た取り巻きの2人はサラリーマンの追う足を止めパニックに陥った。
その異常に気がついた店員が電話をかけると、それを見た取り巻きの2人は下垣内を置いてその場から逃走した。
生きたまま人が焼かれる姿に一瞬唖然としたがこれによりデスアプリの噂は本当だと悟ったユタカは救急車や消防が来る前にコンビニを後にした。
ーーーーー
その翌日、下垣内鉄平が焼死した事がテレビニュースで流れた。ズボンのポケットに入れていたタバコの吸殻に残っていた火種が着火した事が原因とされた。
ユタカは自分の部屋で頭を抱えていた。
間接的にも人を殺めてしまった事への罪悪感を感じていた。生きたまま全身を焼かれる人の姿を身近で見てしまった事にショックも受けていた。
(何を考えているんだ俺は‥‥)
(直接他人を手にかけたわけではないだろう‥‥!)
ユタカはその感情をすぐに打ち消した。
(他国に身勝手な戦争を仕掛ける偽政者や他人を脅して金銭を巻き上げるチンピラ‥‥いずれもこの世からいなくなるべき連中じゃないか…!)
ユタカは自分に言い聞かせる様に自分の行動を正当化した。
ーーこうして自分の心の中にあった罪悪感を打ち消したユタカは、ある事を決意する。
ーーーーー
ユタカには政界に進出するという大きな夢があった。市議会議員の父親の影響もあるのだが、従来の政治家に失望しており当人らに代わって国を豊かにしたいと考えていた。
ユタカは従来の政治家への失望のみならず
ーー自国の人々を虐げて時には他国の安全を脅かす独裁者
ーー汚職に手を染める権力者
ーーその他治安を乱したり住民の安全を脅かす連中
など、その類いの人々に対しても憤りや憎しみを抱いていた。
ユタカは決心した。
(俺はこのアプリを世の中のために使う!)
(このアプリで独裁者や不正を行う権力者、そして治安を乱す連中を一掃させる!)
(ーーデスアプリでこの国を・・いや、世界を変えてやる!)