最終話です
短い話数ですが、なんとか最後まで辿り着けました
ギターとベースの音が鳴り止む
今、わたし達はスターリーでのスタ連中
キャンプから無事に帰還したわたし達は、次の日の放課後、早速フラッシュバッカーの曲合わせをしてる
昨日の帰りは予定通り、リョウ先輩のお父様が迎えに来てくれて、みんなで荷物を詰め込み帰路についた
わたしは帰る前に、テントや焚き火を背景に自撮りを敢行
4人揃ってテント前や、高原の風景を入れ込んだ写真は結構良い画だと思う
みんなで撮った写真は全員に共有しつつ、伊知地先輩に許可を貰ったものは、結束バンド公式アカウントに上げ、お気に入りのものは自分のイソスタに載せた
もちろん、ネットリテラシーには配慮して、許可無く顔の写ってる物は使ってない
それにしても、リョウ先輩のお父様には本当にお世話になって、帰りのお昼までご馳走になってしまった
高速道路を使ったからパーキングエリアでのお昼だったのだけど、地元の限定ランチとかいうのを頂いたから、前の日のお昼よりも高級だった
本当に感謝だわ
これは本格的に菓子折り持って、改めてお礼にお伺いしなければ…
もちろん、そのランチもイソスタに上げたわ
家に帰ってから両親にキャンプの様子をいろいろ話した
良い経験になったね、と言ってくれて、いつもよりも話し過ぎてしまったと思う
だいぶ、はしゃいでたわね、わたし
そんなこんなで今日である
「…うん、良いね。郁代」
「喜多ちゃん、なんか凄い心がこもってるね。良いよ。良いよ、これ!」
先輩方にも褒めてもらって、わたしは上機嫌だ
ありがとうございます、と言ってからひとりちゃんと顔を合わせ、笑い合う
「わたしの予想以上のを出してきたね。少し調整しながら完成度を上げよう」
「はい!頑張ります!」
それから、わたし達は練習をしつつ、この曲をいつ披露するか、場はどうするかを相談し合った
いつもの日常が、いつものスタジオで流れてく
賑やかに
騒がしく
結局のところ、わたしが歌えなかった理由は、完璧に歌おうとしてしまったから、なんだと思う
ひとりちゃんの書いた歌詞
リョウ先輩の作った曲
だからこそ、わたしは完璧に歌わなければと思ってしまっていたのよね
でも、結局のところ歌というのは、その時の気持ちが表れるものなのだと思う
だから今回の出来事は、わたしの考え過ぎが原因
キャンプ初日に伊知地先輩に言われた「考え込み過ぎない」が正解だったのよね
さすが先輩、はじめに的確なアドバイスを頂いてました
その後、わたしは「フラッシュバッカー」の歌い方に関して、ひとりちゃんにもリョウ先輩にも意見を求める事はなかった
2人も、わたしの歌い方に対して大きな意見を言う事はなかった
細かい調整はしたけど、それだけ
わたしの歌い方が正解、というよりもこの歌い方で満足した、という感じ
それに、歌に正解なんて無いのかもしれない
もちろん、より良く聞こえる歌い方はある
でも、正確に歌うより、その場その時の気持ちを込めたり、その歌で思い出す気持ちを込めたりするほうが、よっぽど良く聞こえるものなのかも
そういえば、去年の学園祭で歌った時、わたしは正確に歌ってたのかしら?
違ったと思う
学園祭の浮ついた気持ちを
ステージに上がる緊張を
皆と楽器を握る嬉しさを
その時の楽しさを
わたしは、乗せて歌ってたと思う
だから、楽しかった
ひとりちゃんのアクシデントと、必死に取り繕ったわたしの演奏と、合わせてくれたベースとドラムの音
そして
巻き返してみせたギター
全部いい思い出
これからフラッシュバッカーを歌う時、きっとその時々の気持ちを乗せて、わたしは歌っていくと思う
だから、同じフラッシュバッカーは2度と無い
そして、この曲が披露されたら、もっといろんな人達が歌ってくれるかもしれない
そこには無数のいろんなフラッシュバッカーが生まれるかもしれない
そうだと良いな
それが良いな
これから先、わたしは何度もフラッシュバッカーを歌っていくんだろう
思い出を振り返る歌を
追憶者の歌を
追憶する歌を
…これからも、きっと
以上、喜多郁代でした!
Thank you! 〜 Fin 〜
最後まで読んで下さった皆さん、ありがとうございます
感想など頂ければ嬉しく思います
誤字脱字報告や、ご指摘等あれば遠慮なくお願いします
評価やここすきをくださった方々ありがとうございます
自分の書いたものが刺さった人がいる、というのは嬉しいです
この後、活動報告で制作経緯等書く予定です
ただの駄文になると思いますので、物好きな方はどうぞ読んでやって下さい
何はともあれ、走り切りました
小説を書いたのは随分久しぶりだったので、きちんと読める形になっているか自信は無いのですが、なんとなくやりたい事はやり切れたと思っています
それでは読んでくれた方々、改めてありがとうございました
最大限の感謝を