シーフの孫   作:迷宮の迷子

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前回のをあえて短くしたので、その分早めに投稿します。


社長面談

「え〜、今回はオルステッドコーポレーションにご応募くださりありがとうございます。本日は社長面接になります。

社長はですね。少し怖いところがありますが、心は優しい方ですから心配なさらず・・」

「コーポレーション?社長?面接?」セシリアは知らない言葉だからね。でもルーデウス様はなぜ知ってるの? 

 

「いや、緊張されているかと思いまして、リラックスできればと。」

「あ、そういうのはいいです。」

「あら、意外と落ち着いていますね。」

ああ、落ち着いていますよ、だって一人じゃないから。

「行こう、セイジ」

「ああ、行こう、セシリア」

 

クリスティーナ様の邸宅だ。

七騎士の孫であるセシリアにしても雲の上の人。

僕の家も下級貴族と庶民の間くらいだろうから

普通なら一生入れない。王族の家だ。

 

「よく来たな。セイジ・セーブルキャットとセシリア・クルーエル」

「はじめまして、オルステッド様。」

下話は既にルーデウス様がしてくださったようだ。

 

オルステッド様は現龍神様、先代は三英雄の一人龍神ウルペンだそうだ。

そして、オルステッド様は今の時代をひたすらループしている。

所謂転生者だ。転生の話のところでセシリアが僕の手を握ってきた。やはりひとりじゃないのは落ち着く。

「転生ですか。」

「そうだ。初代龍神が俺をこの時代に送ってきた。そして、ヒトガミを殺すまでこの転生は続ける。」

「そんな大事な話を僕らにしてくれるのは、何故ですか。」

「今回はいつもと違う。予兆は前回からあったんだが。」

「違う、とは。」

「こうだ」

オルステッドはもう百回以上転生をしている。

いつも登場する人物は一緒だった。

確かにその時の状況で前勝ったものが負けたものに敗北することはある。

しかし、前回はほんの少し違った。

今世でルーデウスの妹のアイシャ、彼女が作った魔法陣で他の世界の英雄を呼ぶことができた。

「他の世界ですか?しかも英雄?」

「ああ、そうだ年は二十歳前くらいの若者だった。しかし、戦争で殺された。」

「そうなんですね・・・」

 

それが原因かはわからない。

しかし、今回はその変化が非常に大きいのだ。

まず、ここにいる。ルーデウス、彼は今までの歴史には出てこない。その結果として、今まででは違う人生を歩んでいた者たちの歴史も変わっている。

「正直変わりすぎて、俺も今までの経験から外れる事が多すぎるくらいだ。」

例えば、ルーデウスの妻、三人のうち、二人は今までは生涯独身だ。エリスも今まではルーデウス以外の男の妻だった。

そして、ルーデウスとその妻との間に救世主と呼ばれるものが産まれてきた。

「そしてお前だ。俺の知る歴史に、セイジ・セーブルキャットという人物はいない。これはルーデウスと同じだ。」

「あの、私はいましたか?」セシリアが聞く。セシリアがエリスさんみたいに別の男の人と結婚してたら嫌だな。

「セシリアか・・聞きたいか?」

 

セシリアは少し間を開けてそして答えた。

「聞きたいです。他の世界がどうだったとしても、私はこの世界でセイジと生きていきますから。」

 

「そうか、なら教えてやろう。貴様は兄、ギルデウス・クルーエルに十歳の誕生日の日に殺される。これはいつもそうなっていた。」僕はセシリアの手をしっかりと握り直した。

「そして、それを悔やみ現代のイゾルテ・クルーエルも死に、水神流は一旦滅びる。」

「そうなんですね・・・」

 

やはりショックだよね。だったら。

 

「では、その歴史も今回は結果が異なりますね。彼と戦うのは僕です。そして僕は必ず勝ちます。」

「セイジ・・・」

「そうだ。セイジ、お前が勝つんだ。」

「救世主ララの時もそうだが、ヒトガミは産まれてくると困る奴がいると、その子供が産まれてこないように人を操る。今回約三十年ぶりにあいつは動いた。」

「恐らくは貴様ら二人の子が奴にとって厄介な存在になるんだ。」

 

「この話は、一旦ここまででいいか?」

オルステッドが話を一旦止めた。

「貴様の魔力強化、見せてくれるか。」

「わかりました。」

僕はオルステッドの前で実演してみせた。

「ふむ、これは何時間続けられる?」

「今でしたら二時間、剣舞をしながら可能です。」

「剣舞?」

「こうするのです。」

僕は魔力強化の30%を棍に移した。

 

「むぅ!」オルステッドが唸った。

予想外みたいだ。

 

「ルーデウス」

「はい、社長」 

「この発想は恐らくウルペンにもなかったぞ」

「つまりセイジのセンスは龍神ウルペン以上だと?」

「・・そうだ。」

 

いや、僕オリジナルじゃ無いですから

元ネタありますから!

 

「あ、オルステッド様、新しいの思いつきました。試してみてもいいですか?」

「ああ、やってみろ。」

 

「セシリア」

僕はセシリアに向かって手を伸ばした。

セシリアは意味を理解したらしく頷き手を握った。

所謂「恋人つなぎ」だ。

「痛かったり、なんか変だったら言って、すぐやめるから」

セシリアは無言で頷いた。

 

僕の魔力が指先からセシリアに伝わっていく。

「大丈夫、温かい。」

「じゃあ、続けるね。」

僕の魔力で僕とセシリア全体を覆うことに成功した。

 

「・・・・・」

オルステッドが言葉を失っている。

「セイジ」

「はい、オルステッド様」

「先程の状態で敵の攻撃を受けたことは?」

 

「えっと・・敵ではないですが魔眼40防御40棍20でエリスさんの光の太刀を食らって、失神しました。」

「怪我は」

「してないよね?」「うん、気を失ってただけ」

「だそうです。」

「なるほど、そうか。」

 

さっきからオルステッド様だけ納得していてずるいな。僕にも教えて欲しい。

「まず、セイジが纏っている魔力、いや、気と言ってもいいな。これは龍聖闘気だ。推定だが、ウルペンなみだな、」

「多分剣聖クラスなら傷をつけることも能わん」

「次に魔力移動による棍の強化だが、今の技量だと、上級くらいか。技を磨くか、防御を無視すれば剣聖クラスにはなる。精進するように。」

「そうか龍聖闘気にこのような使い方があったとは、セイジ、感謝する。」

 

再び四人が席についた。メイドさんが頃合いを見てか、お茶を持ってきてくれた。

 

「さて、セイジ、セシリア、二人に頼みたい。力を貸してくれ。」

いつもは俺につけ、とか、俺に従え、だったのだが。

「こちらこそ、ヒトガミから僕はセシリア達を守りたいんです。宜しくお願いします。」

「わかった。まずは二人をヒトガミから遠ざけるようにしよう。」

指輪を二つ、セイジ達に渡す。

 

「これをいつも身につけておけ。ヒトガミから視えなくなる、奴が夢に出てきたり、貴様らの動きが監視できなくなる。」

これはありがたい。けど指輪か。

「あの、これ、どの指につけるとかの指定は?」

「ない、どの指でも構わない、が、この指輪を天にかざせば俺を呼ぶことができる。呼びやすい指にしておけ。」

よかった、薬指限定だと困るしね。

「では、中指にはめさせて頂きます。」 

 

「俺からの話は以上だが、何か他に聞きたいことはあるか?」

 

僕はセシリアと顔を見合わせお互いに頷いた。

「お二人は、篠原秋人と七星静香をご存知ですか?」

 




社長面談は一回ではすまなかった。

シーフの孫はいかがでしたか。

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