今日は久々に何もない日。
僕とセシリアは久々に打ち合いをしていた。
魔力強化等をしない、木刀と木棍での打ち合い。
黙々と打ち合うには理由があった。
僕の進退について考えないといけないのである。
無論、このまま道場の一角に住まわしてもらうことは可能だ。
道場を運営しているのはイゾルテさんのお兄さん、タントリスさんだ。
タントリスさん自身は歓迎してくれている。
ここで「自身は」と言ったのには意味がある。
優しいと思っていたお弟子さんのごく一部、いやごく一部と思いたいのだが、僕に対しての当たりがきつくなってきているのだ。
理由は簡単、僕が水神流を習っていないのにここにいる事。
そして、セシリアと交際している事だ。
今まではイゾルテさんという絶対者が認めているから誰も口を挟まなかった。
普通に考えて、水神流家元のお嬢様というブランドは
同派の高位者が水神の名を継ぐにはいいアドバンテージだ。
「水神流の伴侶は家を捨てる。」
これが水神流のルールらしい。
伴侶は女とは限らない。
水神が女性なら男が家を捨てる。婿入りだ。
逆に水神がセシリアを娶ればクルーエルでなくなる。
クルーエルの名はタントリスさんの家で続くのだが、
事実上水神流の本家を乗っ取れるのだ。
水神は2代続けてクルーエル家が継いだ。
これは水神流の究極奥義「剥奪剣界」を撃てるのが彼女達だけだったからだ。
本来のルールである「奥義を3つ持つもの」は意外と難しくない。
その為僕等と同年代の門下生はおろか水王クラスの所謂おじさんまで彼女を狙っているらしい。
「らしい」というのは色々な方向から僕に圧がかかってくるのだ。
「水神流は続かなければならない。」
「セシリアは水神流を継ぐものと結ばれるべき」
「水神流を学ばぬ者が何故水神流後継者と共にいるのだ。」
そして困ったことにその言葉はセシリアにも降りかかっている。
人とヒトガミの、どこが違うの?
「ああ!もう!」汗を拭きながらセシリアが叫んだ!
彼女のストレスも相当なようだ。
「セシリア。ちょっと大人に愚痴りに行こうよ。」
(シャンドル)
そうですか。そのような理由で私の所に。
本当なら私が二人を武者修行につれて行きたいところなんですが。
女王の七騎士も今や私だけ。共に出かけることはできません。
お役に立てず申し訳ない。
(アイシャ)
なるほど、そういう理由でここに。ふむふむ。
二人共頑張り屋さんだけど、やはりキチンと大人に習うときだと思うな。
別にきちんとした学校でなくてもいい。
私はお母さんの真似して育ったな、
学ぶは「まねぶ」とも言うの。真似することも勉強。
そうだなあ、うちに入りたかったら会長の許可取ってきてね。あとは、そう、ペルギウス様とか!もう大ベテランだから、とりあえずナナホシさんに繋いでもらったらどう?
(ナナホシ)
ペルギウス様にそんな相談?無理よ!無理!
じゃあ、私でもいい?でもいいって何よ!
ちょっと!大人って!誠司と私は同い年なのよ。
誠司はセシリアと同い年だから、私とセシリアも同い年!
わかる?
そりゃ異世界経験はちょっとというかいっぱい長いけど。
それに私、オルステッドと学校と、ここに庇護されっぱなしのニートなんだから役に・・あ、そう言えばラノア魔法大学に誘われてなかった?
卒業すれば魔法ギルドに登録もできるからいいかもよ。
(ルーデウス・シルフィ・ロキシー)
そうですか。ていうか、ここシャリーアですよ。
越境しちゃってます。保護者の方は・・・失礼しました。
え?有り金や必要なものは全部持ってきているって?
貴方達、既に確信犯ですね。
まぁでも意外といい選択肢かもしれません。
ラノア魔法大学からお誘いが来ているんでしたよね。
それにロキシーも教師ですし。
剣術はアレクに相談すればいい。エリスもいたらいい先生だったんですが・・いや失礼、ぐすっ
就職先としてはルード傭兵団もあるし、あ、既にオルステッドコーポレーションの社員じゃないですか。
まぁ、今夜は泊まっていきなさい。
幸い子供達も巣立ってしまって3人で暮らしていますから部屋も空いています。今夜はとりあえず休んでゆっくり決めればいい。
「セイジ?愚痴りに来たと言うより駆け落ち?」
「否定はしません。」
同じベッドで休ませてもらいながら、セシリアと僕は話し合った。
「僕はさ」
「ん?」
「シャンドルさんに剣を倣ったけど別に北神流に興味はないんだ。」
「うん。」
「だから北聖とか北王とかになるつもりはない。」
「私もね、最初はお祖母様が水神で私も水神になるのかなぁって思っていたけど、最近考えちゃってるの」
「そっか」
「うん、流派を守ったお祖母様は偉いと思うけど、私は違うものを守りたいな。」
「そうだね、僕はセシリアが守れればいいかな。」
「何よ、もう!私がいい事言おうと思ったのに先に言わないの!」
翌日リビングの机を借りて「今できる事、できるようになりたい事リスト」を作った。
できる事。
算術 まあまあ、生きていくには問題ない。
文字 生きていくには問題ない
作法 王様かいやなお貴族様でなければ問題ない
水神流 上級くらいらしい
北神流 魔力強化込みでで上級くらいらしい
魔眼 予見眼(上級)痕跡眼
魔力強化 レア、セイジとウルペンくらいしか使えない。
できるようになりたい事
魔法 治癒魔法と解毒魔法を中級くらいまで覚えたい。
(二人共)
お金儲け 生活するレベルのお金を稼ぎたい、家を建てられるくらい
(セイジ)
料理 全然駄目!セイジの胃袋掴むくらいまで覚えたい
(セシリア)
お互いを護る剣 目指せ神級(二人共)
「ふむふむ」
「あらまあ、なんか可愛いね。」
ルーデウス様とシルフィさんに覗かれた
「ちょ!」
「みないでぇ」
結構恥ずい。
「でも、こう書いてみると意外と」
「うん、わかるよね。」
「「あの、ルーデウス様、ご相談したいのですが。」」
夕方、ロキシーさんが帰ってきて話し合いをした。
・冒険者ギルドに登録する。
・セシリアがシルフィさんの家事手伝いを学ぶ。
・夜、ロキシー先生に治癒魔法と解毒魔法を学ぶ。
・セイジはオルステッド様の仕事を手伝ってお給料を貰う。
・アレクさんから剣を学ぶ。
・ルーデウス様をルーデウスさんと呼ぶ。
・セイジとセシリアを呼び捨てにする。
・学ぶ、とついているものにはお金を支払う。
「これくらいかな。どうだい?」
「そうね、アイシャちゃんといた時みたいで楽しそう」
「私はお金はいりませんけど。」
「いや、ロキシー、これも彼らの勉強だよ。労働には対価を。そうしないと今度彼等がお金を貰えなくなる。」
「そうですね。がんばります。」
「「宜しくお願いします!」」
「あ、そうだ一つ加えよう。」
ルーデウスさんが何かを書き加えた。
「よし、セイジ。これも頑張ろうな!」
「え?ルーデウスさん、やったことないですよ。」
「実は冒険者パーティにはこのスキルが必須なんだ。君は計算もできるしキチンと話もできる。これが使えるようになれば役に立つ。俺やオルステッド様のね。」
・大陸一のシーフになる。
投稿初めて一週間、結構乗って書ききりました。この話で(少年編)完結です。ちょっと準備と閑話挟んで(青年編)始めます。
シーフの孫はいかがでしたか。
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面白かった
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つまらなかった
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読みにくかった
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ラブストーリーか?
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もっと続きが読みたかった。続編あるよね?