シーフの孫   作:迷宮の迷子

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青年編開始します。
少年編は少し気になる所がありましたので内容を改訂しています。
大きくは変えていませんし歴史線が変わることはないのですが読みにくかったり、わかりにくいところは削りましたし、一部キャラの性格と口調を変えています。
実は一話まるまる削っています。

気に入っていただけると幸いです。
それではどうぞ。


15歳

─ ケイオスブレイカー 中庭 ─

 

「用意ができたなら合図をせよ。」

ペルギウス様の問いかけに僕は頷いた。

 

僕とセシリアは背中合わせに立つ。

静かに魔力で二人を覆う。

これは十歳でできていた事だ。

 

更に僕は魔力を放った。

ここからはこの5年で覚えた事だ。

 

二人の周りに目に見えない「何か」が広がった。

 

「ほぅ」

ペルギウスは感心したかのように声を漏らした。

「何か」は僕等の周囲半径2メートル程度の球形になって止まった。

 

「ペルギウス様、どうぞ」

僕の合図とともに三人の使い魔が動き出す。

 

光輝のアルマンフィと波動のトロフィモス、そして破壊のドットパース

アルマンフィは高速で僕達に向かい

トロフィモスは衝撃波を打ち出した。

それを追うようにドットパースは大鎚を振り下ろす。

 

普通なら全てを回避はできない。

光速で迫るアルマンフィが「何か」に触れた時セシリアの剣はアルマンフィを切り裂いた。

音速で来る衝撃波を僕の棍が弾き飛ばした。

その動作が終るか否かのタイミングでドットパースの大槌が迫る。

しかし大槌はセシリアの「流」で躱され

僕はドットパースの手から大槌を叩き落とした。

 

「そこまで!」

ペルギウス様が終了を告げた。

僕達の完全勝利だ。

 

「ペルギウス様、今ご覧頂いたのが僕達ができる剥奪剣界となります。」

「うむ、面白い。ところで貴様らの周りにあったもの、あれは結界か?」

「いえ、僕は『円』と呼んでいます。」

これも前世の知識だ。

「結界とは違うようだな。障壁にはなっていない。」

僕は、その空間に入ったものを瞬時に察知できるものだと伝えた。レーダーとかセンサーとか言っても理解不能だろうから。

「うむ、使い魔3人を相手にできるのだ。十分に使えるだろう。」

 

─ 七星の部屋 ─

「いつも悪いわね。」

セシリアの作ったサンドウィッチを差し入れに持ってお邪魔した。

今日の差し入れは七星さんとルーデウスさんが共同で開発した「マヨネーズ」を使った「ツナサンド」と「卵サンド」、もう一つは僕が焼いた「ローストビーフ」のサンドウィッチだ。

僕も火と土の魔法だけは使えるようになったのだ。中級だけど。

 

「セシリアちゃん、料理上手になったわね。」

「ウフフ、自信作です!」

サンドウィッチが得意料理というと、某不敗の魔術師の奥さんのようだが、実際シルフィさんの指導でセシリアの料理の腕はグングン上昇している。

 

「でも、二人共大きくなったわよね。誠司なんか前の世界じゃ私と同じくらいだったのに。」

七星さんは僕の話をしているが視線はセシリアのある所に釘付けだ。

「まあ、出るとこが出て、締まるとこが締まって羨ましいわ。私なんか・・」

ま、まぁドンマイ。秋人が気にしてないなら大丈夫。

 

─ オルステッドのオフィス ─

「あら、セイジさん、いらっしゃい。あら、セシリアさんも一緒なのね。仲良いですね、ウフフ」

いつもは僕一人でここに来るけど、今日はセシリアと一緒だ。

「こんにちは!ファリアステアさん!今日はついてきちゃいました。」

「はぁ〜、私にもいい人がいないかしら。あ、社長はお部屋にいますよ。」

 

社長に与えられた仕事の報告書を渡した。

「ルード傭兵団に確認させました。やはりビヘイリル王国のクーデターは本当のようです。」

「そうか。」

「それからルイジェルドさんから。正確にはノルンさんからですが、ルーデウスさんへお手紙が。オルステッド様に見て頂きたいとお預かりしております。」

「うむ、ルイジェルドは増援はいらないというのか。」

「そのようです。しかし警戒と用意はしたほうが良いかと思います。」

「わかった。念の為ルーデウスを行かせよう・・セイジ、ご苦労だった。」

と、社長は僕に「お給料」を渡してくれた。

 

─ シャリーアの町 ─

 

僕達は夕方までブラブラと町を散歩していた。

「散歩なんか久しぶりだね。」

「そうね。何か新鮮。」

セシリアは僕の問いかけに屈託のない笑顔で答えた。

笑顔が眩しい。

 

時刻的には学生の帰りの時刻だ。

男子学生の集団がこちらを伺っている。

皆セシリアの事が気になっているのだ。

無理もない。

先刻七星さんからも羨望の目を向けられるほど彼女は美しく成長している。

肩までだった髪は腰まで伸び、体のラインは中性的なそれから美しいラインを描くようになった。

クラスでも有数の美少女といった過去の僕の評価は撤回しよう。

彼女は学校一の美少女になっていた。

無論、僕達は学生ではないのだが。

 

途中にある花屋に僕達は寄った。

「あら、今朝方の・・」花屋の女主人はそう言いかけた。

僕はそれを眼で制し、セシリアと花を選んだ。

赤い花、エリスさんの髪と同じ色だ。

 

丘に二人で上った。皆の眠る場所だ。

僕とセシリアは2つの墓碑に花を手向けた。

エリスとギースの墓碑に。

 

二人で並んで座り空を眺めていた。

「ビックリしたね。昨日フラッとアイシャさんが帰ってきて。」

「そうそう、それで今日はシルフィさんとアイシャさんが日が暮れるまで帰ってくるなって。」

「でも、おかげで一日セイジと一緒。」

セシリアは僕に寄り添って来た。

僕は優しく肩を抱き寄せて空を眺めていた。

シルフィさんたちが何をしようとしているか僕達はわかっている。

5年前はできなかった事。

家族がいない僕達だけなら本当なら今年もできなかった事。

でも気遣ってくれてすごくうれしいこと。

 

「そろそろ暮れるね。帰ろうか。」

「うん。」 

僕等は手を繋ぎながら丘を降りていった。

(おやすみなさい。エリスさん。僕等は元気です。)

 

 

─ ルーデウス邸 ─

「誕生日おめでとう!」

 

予想していたはずなのに二人共少し涙が出た。

「ありがとうございます。すごく嬉しいです。」

予想していなかったのはそのメンバーだ。

ルーデウスさんたち三人とアイシャさん。アルスさん。

ここまでは予想していた。

オルステッド様にファリアステアさん。アレクさん。まあ、同じシャリーアだ。無くはない。

「15歳か、若いわね。羨ましい。」

なんと七星さんが下界に降りてきていた。

これは予想していなかった。

 

「まずは、新しく大人の仲間入りになった二人にかんぱ〜い!」

宴は始まった。大人だからいいだろうとお酒を勧められるのかと思ったが意外にもシルフィさんとアイシャさんがそれとなく庇ってくれた。

セシリアも七星さんとお喋りしてうまく躱している。

ん?もしかして?

 

「さて、僕達からは二人に贈り物だよ。」

シルフィさんが僕たちに成人のお祝いだと言う。

冒険者用の服、ブーツ。セシリアには剣帯、シーフを目指す僕にはベルトだ。

「これから二人で冒険する機会もあるだろう。僕達からの贈り物だよ」

「移動時を想定していますので軽量化と速度アップの追加効果付きです。」

ルーデウスさんとロキシーさんから説明を受けた。

ああ、セシリアの涙腺が危ない。

「皆さん、ありがとうございます。せっかくなので着換えてお見せしたいのですが、セシリアいいかな?」

僕は彼女の涙を指でそっと拭った。

 

(セイジ視点)

やられた。気づかれてた。

僕は自分の部屋で思わず頭を抱えた。

どうも僕等が出かけている間にアイシャさんたちが掃除してくれてたみたい。

用意していた薔薇の花束には萎れないように「時止めの魔法」を

その横には「ファイト!」とアイシャさんの字で書かれた手紙が置いてあった。

僕はその手紙を読みながら苦笑しつつ身支度をし、花束を抱えて部屋を出た。

 

(セシリア視点)

いつかしてくれると思ってはいたの。

セイジの事だからキチンとしてくれるって。

でも、まさか今日とは思わなかった。

私もセイジも血の繋がった家族はもういない。

今はルーデウスさんたちが私達の家族。

二人っきりのときかなとも考えてはいたけど

これはすごい嬉しいサプライズ。

 

部屋から戻ってきたセイジは前が見えないくらいの

「黄色い薔薇の花束」を抱えて来たの。

ナナホシさんもビックリして小さく嬌声を上げていたわ。

何故かシルフィさんとアイシャさんは小さくガッツポーズしてた。なんで?

 

「昔から好きでした。そしてこれからも好きです。僕と結婚して下さい。」

 

 

─ シャリーア冒険ギルド ─

 

「いらっしゃい、初めての人だね。ここに名前を登録して。

冒険者 セイジ・クロキ

冒険者 セシリア・クロキ

 




プロポーズの黄色い薔薇はご存知
銀河英雄伝説のミッターマイヤーがエヴァンジェリンに告白した時の花です。
花言葉は「嫉妬」ですがここは世界が違うので平気でしょう。

シーフの孫はいかがでしたか。

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  • ラブストーリーか?
  • もっと続きが読みたかった。続編あるよね?
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