シーフの孫   作:迷宮の迷子

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一部、性格と設定を変更しました。
20230618


誕生日

僕とセシリアは5歳になった。

この世界は5歳で誕生日をする。

一般的に5歳は身内や親しい人達だけで行う。

 

僕は緊張しながらセシリアに招待状を渡した。やっぱり来てほしかったからね。

「こ、今度僕の家で5歳の誕生日をやるんた。よかったらセシリアに来てほしくて・・」

「よかったら、なの?」セシリアは招待状を胸に抱きながら上目遣いで尋ねてきた。

「い、いえ、僕はセシリアに絶対来てほしいです!」

「うん!喜んでお伺いしますね!」

セシリアはにっこり微笑むと今度は僕に一枚の手紙を渡してきた。

「実は私もお祖母様達が誕生日のお祝いをしてるの。セイジも来てくれる?」

「は、はい!喜んで!」

既に僕は彼女の掌で、踊らされている気がする。

 

僕の家の誕生日はささやかに行われた。普段より少しだけ豪華な食事、普段より少しだけ、良い服を着て。

そんな中でセシリアはパッと華が咲いたように輝いていた。

決して華美な衣装に身を包まれているわけではない。

うちらの服に合わせたようで、かと言って普段着ではない。

「洗練」という表現が最も合うだろう。

「セシリア、あの、その、」

「どうしたの?セイジ」

「とても綺麗です。セシリア」

「お褒め頂き、あ、ありがとう存じます。」ポッ

僕もその前世でその手の本を読んでいないわけではない。

女の子は「かわいい」より「綺麗」と言ってほしいものだ。

「あらあら、セイジはおませさんだねぇ」

祖母等がからかう中、僕の誕生日は和やかに進んだ。

 

父からは靴を、母と祖母からは服が誕生日プレゼントとしておくられた。

父の靴は護衛騎士が履くような靴だ。無論5歳の護衛騎士なんかいるはずもないから、特別に設えたもののようだ。

母達からの服もお貴族様にお会いしても許されるレベルの服だ。

「ちょっと着てみて頂戴。」

母に促されたので、僕は服と靴を抱えて別室に引っ込んだ。

だってセシリアがいるんだもん。

5歳とは言え恥じらいというものがあります。

 

「わぁ!セイジ、素敵!」

セシリアお嬢様もたいがいタラシである。

「セ、セシリア、その、ありが・・とう」

セイジの顔は先程のセシリアとは比べ物にならないくらい赤い顔をしていた。

 

「いいかい、セイジこれからもお嬢様を守って差し上げるんだ。そのためにはお嬢様が入れる所にはお前も入れないといけない。そうしないと守れないからな。」

「セージ、これからもセシリア嬢ちゃんと一緒に歩み、守ってあげられるように大きくなるんだよ。」

父、母、祖母からの温かい、けど、少し重い激励の言葉を、送られた。

 

「はい!セイジ・セーブルキャットはセシリアを守ってみせます!」

セシリアは先程の僕よりもさらに赤い顔で人差し指をツンツンさせながら俯いていた。耳まで真っ赤である。

 

「まぁ、この5歳は二人共おませさんだねぇ。」おばあちゃんは豪快に笑った。

 

数日後、今度はセシリアの誕生日だ。

僕の家よりは幾分大きい為、セシリアの両親は僕以外にもゲストを呼んでいるらしい。

僕は早速例の服と靴でお邪魔した。

「セイジ、その衣装やっぱり似合ってる!」

「ありがとう、セシリア。」

「あの、私の誕生日、お祖母様が少しお客様を招待しているようだけど・・わ、私が招待状を差し上げたのはセイジだけ!」

うん、特別ゲスト、気分がいい。何しろセシリア枠ってのがいい。

「ただ、一人注意して欲しい人がいるの。」

セシリアは目を伏せた。

「誰なの?」「私の兄なんだけど・・気をつけてね。」

兄、兄さん?もしかしてシスコンとか?

俺の妹になんちゃらみたいなのかな。

「大丈夫だよ、セシリア、君の5歳の誕生日が悲しい思い出にならないように僕も協力するからね。」

 

勉強会の為に通い慣れていた筈のセシリアの家の客間は様変わりしていた。テーブルは端に寄せられ、そこには豪盛な料理、デザートが。

セシリアも僕と同じ一人っ子だが祖父、祖母、あ、あそこにいるのは魔術の先生とシャンドルもいる。そんな中に一人、明らかに僕を睨みつけている人がいた。あの人がお兄さん?まぁ、近づかなければいいかな。

 

5歳の誕生日だからハードルは高くはない。

貴族の挨拶ができてさえいれば及第点だ。

10歳になると宴の規模も大きくなりダンスも披露しなければいけないようであるが。

 

「さて、セシリアとセイジ、こちらに来なさい。」

お祖母様、この宴では最上位、水神レイダ・リイアである。

左右にシャンドル、ドーガ、魔道士の先生も控えている。

「私達の教え子が無事に5歳の誕生日を迎えられ嬉しく思います。」とレイダお祖母様

「そこで、私達からささやかですが貴方達に贈り物をしたいと思います。」とシャンドルさん

え?貴方達?ということは僕も?

 

なんかついでで貰えてしまうようで悪いなあ。

「ついでではありませんよ。セイジ。貴方達の努力の成果をここで皆に知ってもらおうと思いまして。」

ギクッ!先生心の中が読めるの?

「セイジ、きちんと先生の前に跪きなさい。」

え、いつの間にか父さんまでいる。

 

「まずは私とシャンドルからこれを貴方達にこれを差し上げます。」

セシリアは剣だ。大人の使う剣よりは小振りだ。

しかし、僕でもわかる。あれはいいモノだ。

一方僕にはシャンドルさんが棍をくれた。セシリア同様、でも僕には丁度いい長さだ。

「君は人を傷つけるのに抵抗があるみたいだか、これが一番だと思ってね。」

確かにうまく使えれば相手の戦闘能力のみ削いで殺さずに済むような得物だ。

「セシリアさんの剣もセイジさんの棍も、ユリアン・ハリスコの作ですよ。

どちらもお二人の成長に合わせて成長します。」

とんでもないアイテムのようだった。

 

「ありがとうございます。レイダ様、シャンドル様」

二人はそれぞれの得物を押し懐くと、礼を述べた。

 

「続いて僕からですが」

魔道士先生からである。

「まずは、セシリア様へ。おめでとうございます。水初級と治癒初級の称号を与えます。」

一部の例外はあるようだがこの年で初級でも魔術の取得ができるのは規格外らしい。

「魔導師の世界では師匠が杖を送る習わしになっています。よってこれを。」

長さは20センチくらいだろうか。先端に青い魔石がついている。青は水魔法の象徴なのだろうか。セシリアの瞳の色だ。いずれにせよ、これもいいモノだ。

 

逆に僕は今まで魔法というものが成功した試しがない。

失格かなあ、もう教えないって言われたらどうしようかな。

「セイジ君、聞いているかい?」

考え事をしていたら呼ばれたのに気づかなかったようだ。

「は!はいぃぃぃ、せ、セイジ・セーブルキャット、こ、ここに!」

先生は深刻そうな顔で僕に話を始めた。やっぱりクビ?

「実はね、君もわかっている通り、君は魔術の習得ができなかった。」

う、うんそうですね。先生。不甲斐ない生徒で御免なさい。

「ただね、君には間違いなく魔力を持っていると思うんだ。私には正確には測れないのだが少なくとも私より大きい。」

へ?だって魔術使えないですよ。魔力がある、しかも先生よりもあると言われても・・

 

「普通なら、魔力を多く持つ者は一定の魔力放出をしないと魔力暴走を起こしてしまうんだ。魔力暴走を起こすと最悪周囲を巻き込んで死ぬ。」

え、じゃあ、僕は魔力暴走起こして周りに迷惑かけてしまうの?そんなの嫌だ!特にセシリアに迷惑や怪我なんかさせたくはない。

「なので、シャリーアから詳しい先生をお呼び致しました。」

 

魔道士先生は扉の方を見た。

そこには、壮年でグレイのロープを着た男が立っていた。

「はじめまして、ルーデウス・グレイラットです。セイジ君だね?」

 




レイダさんの性格を変更、
セシリアの家族構成を変更

シーフの孫はいかがでしたか。

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