シーフの孫   作:迷宮の迷子

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眼を覚ませ僕らの世界が何者かに侵略されて・る・ぞ


imperfect(未完成)

雨の季節は過ぎ、雪がちらついてきた。

雪は徐々に降り積もり周囲を白く染めていく。

 

都合の悪いもの、見たくないものは雪に隠れていった。

人々は家に閉じ籠もり、その分街から音が消えていく。

彼の左右不揃いな足跡もやがて雪が消してくれるだろう。

 

剣神流はこの地方でも広く知られている。

行く先々の街に道場がある。

彼はこの町の剣神流道場を目指す。

 

道場主は彼の訪問を迎え入れた。

あくまで表向きは、

しかし決して面沙汰にならぬように、

男は寝食に困る事はなかった。

 

剣神だから匿う。

しかし鬼神帝国とは関わりたくない。

道場主の殆どはそう考えた。

無論手負いの剣神と侮り

返り討ちあう者もいるにはいたが少数だ。

 

誰も彼に旅の目的を聞かない。

皆が知っているからだ。

誰も共に闘うとは言わない。

剣神流の為の闘いではないから。

 

これは私闘だ。惚れた女が斬られた復讐だ。

あくまで剣神を名乗る男の個人的な闘いだ。

 

彼はそんな者達には何も期待していない。

端からそんな奴等があいつに通用する筈がない。

 

しかし、今夜の宿主はその予想の斜め上を行った。

家族と資産、持てるだけの物を持って道場から抜け出しやがった。

鬼神帝国に密告しなかっただけまだましか。

いや、それも一応剣神に保険をかけているだけか。

 

「雪を凌げるだけましだ。」

ジノ・ブリッツは暖炉に薪をくべ暖を取りながらそう呟いた、

ラノア王国のやや東の町、

鬼神帝国の軍勢は明日にはシャリーアに到達するだろう。

その背後の位置に彼はいた。

 

─ アスラ王国 王都アルス ─

 

セイジはいそいそと準備をしていた。

冬用の服、冬用のブーツ。

アスラ王国にはまだ冬の声は聞こえない。

 

隣で同じくセシリアが同じく用意している。

同じく冬仕様だ。

あたかも二人でスキーでも行こうか。的な雰囲気である。

 

この間、二人に会話はない。

よって「夫唱婦随」ですらない。

 

準備は出来た。

二人は顔を見合わせ黙って頷き、立ち上がった。

 

オルステッドの許に赴き、シャリーアの転移魔法陣を破壊してくると告げた。

確かに理に適っている。

占拠されてしまえばこちらが窮地だ。

 

オルステッドはまじまじと二人の顔を眺めた後に机の上に一本のナイフを置いた。

「シルフィから貴様たちにだ、持っていけ。」

セイジは黙って頷き、セシリアにそれを渡す。

セシリアも黙ってそれを荷物に入れた。

 

 

─ シャリーア ルード傭兵団元本社地下室 ─

 

「ねえセイジ、魔法陣ってスクロールなのね。」

 

「うん。どうやって破壊しようか。」

「う〜ん、それなりに作るの大変らしいし。」

 

ベリベリベリ。

アルス行き以外のスクロールは引っ剥がした。

そしてその束はアルス行きの魔法陣の上に乗せる。

一旦二人もアルスに戻ってオルステッドに返却。

ついでにシャリーア行きの魔法陣も僕達が移動した後に破棄してもらうように依頼。

 

取って返してアルス行きもぺりぺりぺり・・・

「ファイアーボール!」

地下室だけどいいか。

 

よし、これで「背水の陣」だ。

「何の事?」

セシリアに意味を教えながら、

僕等は誰もいない「ルーデウスさんの家」に潜んだ。

 

5年間、ルーデウスさん達と住んだ家だ。

今はビートもジローもいない。

 

「静かだね」

「うん」

二人で一緒に寝た部屋

二人でずっと話をした部屋。

 

二人で一枚の毛布に包まった。

不思議と「緊張」も「恐怖」も「悲壮感」もない。

静かな今夜のような「静かな」気持ち

 

「嵐の前の静けさ」か

「凪の後には嵐が来る」か

明日にはきっと嵐(鬼神帝国)が来る

 

 

 

僕はそっとセシリアにキスをした。

何回目かは数えてないキス。

 

そして、初めての

 

 

 

「シチャイマシタ。」

「セイジのエッチ」

 

 

 

 

翌朝、ジノさんに返し忘れていた剣を見た。

「痕跡眼!」

僕達は光の指す方向に向かって走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




imperfect 未熟な、不完全なの意味。
全体的に短いけど今日はこの辺で切りが良いのでまた後日。

ちなみに私は壊滅的に戦闘シーンが苦手。
きちんと続きが書けるだろうか。

シーフの孫はいかがでしたか。

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