商業誌では打ち切りエンドですね。
「この赤子はラプラスだ。」
聞き慣れた、しかし予想外の言葉を聞かされた。
誰も声にならない。
あのララでさえ・・
「ペルギウス、それは本当か?」
静寂を破ったのはオルステッド様
「間違いない。だから私が直接出向いた。」
「・・・・」
そのオルステッド様すら考え込み、沈黙した。
「それでは、仕方ないですね。」
意外にも言葉を発したのはセシリアだった。
仕方ない?
どういう意味?
「セイジ」
彼女は抱いていた「男の子」をアイシャに渡し、静かに立ち上がった。
彼女の意図がわかった。うん、僕も同じ気持ちだよ、セシリア。
僕も抱いていたリリアをアイシャに渡し立ち上がる。
「「貴方達には渡しません。」」
僕とセシリアが決めた事だ。
無謀な決定かもしれない。
しかし、選択肢は一つだ。
二匹の龍を殺スシカナイ
誰も声を出さない。恐怖か、諦念か、
いやちがう。「ここにいる全員」が激怒しているのだ。
「ペルギウス様」シルフィさんが声をあげる。
「僕はセシリアの気持ちがわかるんだ。だから、セシリアと一緒に戦う。」
「私も」七星さんだ。
「こんなに怒ったこと、あっちでもなかったわよ。」
敬語すら使わない。
僕の前に二人が立ち並んだ。
「私でも」ロキシーさん
「盾くらいにはなれるでしょう」
ロキシーさんがその隣に立った。
「こんななら、救世主なんかにはならない。」
ララとレオがその前に立ち塞がった。
「はっ!貴様らに何が出来る!」
ペルギウスも既に臨戦態勢だ。
左右を使い魔が固める。
あたかも魚鱗の陣と鶴翼の陣、川中島なら魚鱗の陣が勝ったはず。
「5年だ」
二組の殺気を制したのはオルステッド様だった。
「5年待つ。それまでになんとかしろ。セイジ」
オルステッド様の気は僕らを向いていない。
明らかに甲龍王ペルギウスに向けられている。
「ッ!」ペルギウスもオルステッド様相手なら引き下がるしかない。
「まぁいい、こんな奴らは今でなくても殺れる。それに、あれを使われては面倒だ。」
ペルギウスは来た時と同じ方角に踵を返した。
あれとは?
僕は、ペルギウスが見ていた方向は僕達の更に後だ。
振り返ると僕達の子を抱っこして、
神級結界魔法陣の上にチョコンと座るアイシャがいた。
「シルフィ姉もロキシー姉も頭に血が登りすぎ!」
─ オルステッドの事務所 ─
「すいませんっした!」
僕はオルステッド様に頭を下げた。
「したっ」
セシリアも続く。
「まぁ、でもあの状況ならそう思うわ。」
と七星さん。
「でも、みんな、ありがとうございました!」
僕とセシリアが皆の方を向き、再度お辞儀。
「でも、5年だ、それまでになんとかしろ。」
そうだ、あくまで猶予ができただけ。
ララは子供達の相手をしている。
というか、さっきからリリアと見つめ合っている、にらめっこか?
僕は息子の緑の髪を撫ぜながら
「リリアとアクア、父さんが絶対に守るからな!」
「アクア?」セシリアが尋ねる。
そう、アクアだ。
水を意味するけど、アクアマリンは本来緑柱石を熱処理するから間違ってはいない。
決して、双子が揃って転生者の漫画が元ネタじゃない。
「ラプラスなんて呼びたくない。この子は俺の子、アクア・クロキだ。」
「ふぅん、リリアにアクアか。かわいいね」
セシリアも気に入ったようだ。
ずっとリリアとにらめっこしていたララが
こちらを見て言った。
「セイジ、セシリア、念話できる?」
「いや、出来てない」
「この子、もう、念話で話ができる。」
念話?
「パパとママに話したいことがあると言っている、だから念話、覚えて。」
念話 ミグルド族が使える通話手段だ。
話によるとルーデウスさんのお母さんも使えたらしい。
よって魔族限定ではないだろう。
「んーーーーーーーーーっ」
セシリアがリリアを抱っこしながら力んでいる。ようにしか見えない。
「わかった?」
「んと・・・セイジ好き?」
「ちが!・・ちがくはないけど、そうじゃなく「セイジとアクア、目許が似てるね。」って言ったの!」
うん、無理だ。頭で思っただけで伝えるのは無理だ。
「ララさん・・・もう一回、お手本を見せてくれますか。」
ララとリリアが会話するのを見せてもらう。
「・・・・」
『・・・・だぁ』
「わかった?」
いえ、何も。でも
「解らないですが、ララさん、質問していいですか?」
「うん、任せて。」ララが胸を張って、トンと叩く。
「まず、考えると自動で伝わるわけではないんですよね。」
「ちがう。そんな事したら、いたずらしようとしてもバレる。」
この辺はブレないらしい。
「魔力は使いますか?」
「うーん、意識はしてないけど、無意識には使っているかも。子供の頃はすぐ眠くなった。」
確かにリリアはセシリアの胸ですやすや眠っている。
「ちょっと、やってみますね。」
僕は目を閉じて「円」を発動した。円の範囲にララさんとセシリアを入れる。
『あーーー聞こえますかぁ』
『リリアの寝顔はかわいいね。』
「どうですか?」
「いや、どうですかも何も、何したか解らない。」ララさんに駄目出しされる。
こういうものではないらしい。
「念話って指向性はあるんですか?例えば三人の中で二人だけで話すとか。」
「流石に並んだ二人のうちで一人だけ、というのは無理。
でも、一人に絞る事はこの村の中程度なら可能。」
ある程度指向性がある。距離も限界があるにせよ長距離が可能だ。
うん、暗記している「教科書」に何かあるかな。
「あ・・・」あるかも
完全に同一でもないけど似たのがあった。
「バクノダ」の能力だ。
触れるだけで、相手の記憶を読む能力。
「円」は相手を囲うだけ、触れてはいない。
「ララさん、ちょっと「念」で覆ってみてもいいですか?」
え、セシリアが睨んでる。勿論セシリアも覆うけど。
「え、覆われるのはちょっと・・・でも、セイジの実験なら、仕方ない。でも、ちょっとだけでお願い。」
「はぁ〜・・・ララさんごめんなさい。」
セシリアが盛大に溜息をつく。
よくわからないけど、やってみよう、
僕はゆっくり「念」を広げる。赤ん坊がびっくりしないように。
僕とアクアが包まれる。
更にゆっくり広げる。
ララさんとセシリア、リリアが包まれる。
「ん!そこはちょっと、優しくして欲しい・・・」
え!?何このエッチな反応。
「もう!知らない!」
セシリアが赤くなって目を逸らす。
「えっと、ララさん、まずは僕達二人に念話で話しかけてください。」
「ん、わかった。」
『パパと私には青ママに内緒の秘密がある。』
「え?!」セシリアがびっくりしている。
と、言う事は空耳ではない。
「聞こえました。」
次は「話す」だ。
「まずは、僕がセシリア達に話しかけてみるから、いい?」
セシリアは黙って頷く。
『リリア、アクア、産まれてきてくれてありがとう。』
「セイジ・・」セシリアは少し感動しているみたい。
『リリア、アクア、ママは二人が大好きだよ!』
聞こえた、間違いなく聞こえた。
僕の表情を見てセシリアも理解したようだ。
僕達は『念話』で話せる。その時だ。
『食ってやる・・・殺してやる』
アクアから突然、念話(声)がした・・・
「ふぅ・・・」ララさんが息をつく。
セシリアが僕の頬を抓った。
痛い痛い痛い
「セイジの浮気者!」え?
「私は傷物にされた。責任は取ってもらわないと」ええ!?
「念で覆われるということは触られるのと同義」えええ!
「全身触られたララはもうお嫁には行けない。」
覆われたことないけどそういうことなの?
「へも、ほくははわっははんひょく、ひなはっはへふよ」
(でも、僕は触った感触はしなかったですよ。)
「それは僥倖、感触まで堪能されていたら本当に責任とってもらうところだった。」
でも、アクアからの声は間違いじゃない。
その時、セシリアの腕の中にいたリリアが目覚めた。
グズりはしない。黙ってこちらを見ている。
『話がある。』
彼女の目はそう告げているようだった。
ララの秘密は蛇足編で語られていた内容です。
念で覆う=まぁそういう事です。
セシリアはセイジだから許していただけで
他の人だったら覆われるのは拒絶します。
シーフの孫はいかがでしたか。
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面白かった
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つまらなかった
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読みにくかった
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ラブストーリーか?
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もっと続きが読みたかった。続編あるよね?