龍の世界からの帰り道。
あちらでは、ペルギウスとオルステッドと七星さん、ララとリリまでもが石板を囲んで話をしている。
ペルギウスにとっては魅力的な研究材料
七星さんにとっては秋人と帰る手段
オルステッドとしては勝利の確率をあげる為。ララとリリは・・・好きだからかな?
反対側では、シルフィさん達が景色を眺めながら話をしている。
みんな笑顔だ。こっちは子供たちが里帰りしてきて家族旅行をしている感じなのかな。
隣ではセシリアがリリアにお乳をあげている。
アクアは僕の膝で眠っている。どちらもいい子だ。
僕はケイオスブレイカーからの景色を見ながら、ある事を考えていた。
(恐らく、ラプラスは全てを話してはいない)
── セイジの思考 ──
ここに「世の中の理(ことわり)」を超越した存在が二人いる。
オルステッドとリリアだ。
彼達は一定の時期を何度も周回している。
何故だろう?
オルステッドは明白だ。
初代龍神が数万年後に転生させ、そのような仕組みを作ったからだ。
では、リリアは?
彼女は「過去を改変できる能力」を持つ。
1回限り、且つ自分の命と引き換えの能力しても
誰がそんなチートスキルを渡せるんだ。
そんな能力を念でやろうとしたらどれだけの「制約と誓約」が必要なんだ。
ただ、この世界では確かに、それを作れるものがある。
神玉だ。
神玉は全部で六つ、
一つはヒトガミが持ち、
一つは龍神のものだが、ヒトガミに砕かれ、
一つはペルギウスの転移に使用され、
一つは龍神が人の世界に渡るために使い、
推測だが、ヒトガミを封じる結界に用いた。
一つはオルステッドの転生に使用され、
一つはラプラスが持っていた。
他の世界に移動する以外の用途では神玉は消費されてしまう。
これは本来なら4つ残っていたはずの神玉がペルギウスの転移後に行ったところ、
3個しか残っていなかった事から推定できる。
ラプラスが見た「3つの神玉」は恐らく、
初代龍神がヒトガミを追い、そのうえで封印したと思われるもの。
オルステッドの転生に使われたもの。
そしてラプラスが人の世界に移動する為に用いたもの。だ
この一つを使用して、恐らくはラプラスが魔龍王の時代にリリアを未来に送ったとしたら・・
オルステッドと同じ手段、もしくはそれを改良した手段によって・・
その当時神子だったリリアを転生の術で未来に送ったのか。
何の関係もない、恐らくは赤ん坊のリリアを・・・
僕はラプラスに対して憎悪の念がわいた。
無論、確信があるわけではない。
ラプラス自身が話さない以上は憶測だ。
では、なぜ話さない?
単純に忘れていたわけではないだろう。
何しろ、ラプラスはリリアの弟に転生していたのだから、忘れていたとしても思い出すだろう。
では、僕達に知られたくないのか、
非人道的だからか?
ラプラスがそのような細やかな神経を持っているとは思えない。
そういう心があるなら、このような術は施さないだろう。
何しろ、長年一緒に住んでいたロステリーナに対してさえ、将来の戦闘の駒にできる男だ。
考えられるのは二つ。
リリアの未来を僕達に知らせたくない。例えば、例え成功したとしても、その場でリリアは死ぬ。とか・・
もう一つは、既に彼女にはラプラスが期待する能力を持っていない事。
リリアが秋人を救うために時を遡った際、自らの能力を「ほとんど全て」使い果たし「抜け殻」となった。彼女自身の弁である。
ラプラスにしてみれば、能力を使い果たして復旧の目途が立っていないものに構ってはいられないのだろう・・
僕の娘なんだけど・・・
「ぺちぺち!」
何かが僕の頬に触れた、おっぱいをもらってお腹いっぱいになったリリアの手が僕の頬に触れたのだ。
セシリアはリリアを僕に渡し、アクアを抱き上げると笑ってこう言った。
「まったくパパは難しい顔して、こんなに可愛いリリアちゃんをほっとくなんて、悪いパパだよね~」
「お腹いっぱいになったか。よし僕の所においで、げっぷさせてあげるから・・・」
(そうだ、僕達がリリアを守る。能力がなくなっていたとしても、不幸な未来があるのだとしても、僕達が守る)
僕はリリアを抱っこし、げっぷをさせようと背中をトントンした。
実際、他にもわからない事がある。
まず、ララさん、シルフィさん達には占いの結果、悪い未来が見えてきた。
このままでは負けると・・・その為「男を見つけてくる」と・・そういって度に出たとの事だった。
探すべき男はまず秋人なんだろう。魔力濃度によって実験結果が変わるとも言っていたそうだし、
転移魔法の実験もしていた。
ここまではいい。
ではなんで秋人?
背は僕よりも高いし、運動神経も高い。でもその程度の男はこちらの世界では履いて捨てるほどいる。
ジノさんだって、シャンドルさんだって秋人のはるか上を行く。
転生ではなく、転移で来るのであれば、能力の上乗せはない。
「あっちの知識を使って、こっちの世界で無双します。」はこの六面世界では通用しないのだ。
何しろ、転移者やら転生者は既にいるので、あちらの知識を新たに・・ってわけにはいかない。
考えられるのは相乗効果だ。この場合、想定できるのは七星さんか、リリアになる。
ただ、七星さんは戦闘用のスキルはない。そもそも戦闘に参加しない。
リリアの時間を遡る能力は確かに有効だ。
手詰まりになった時に、その分岐点まで遡れば挽回できる。
ただ、リリアは今、その能力が使えるのかは不明だ。
この辺は占った本人に聞いてみるしかないか。
僕は眠ってしまったリリアを抱っこしたまま、石板を囲むララさんの方に向かった。
「結論から言うと・・わからない。」
ララさんの一言で盛大にずっこけた。
「そ、そうですか。」
「いや全部がわからないわけではない。最後の戦いの為に必要な戦力として、秋人、リリアは必要。
これはもう何十年も前にわかっていた。」
どうやら秋人とリリアは戦闘のキーパーソンである事は間違いない。
「そして、5年前の占いで、そこにセイジと、セシリアも必要なのが分かった。これも間違いない。」
ララはどやっとサムズアップして見せた。
「そして、先日の占いでは、アクアも加わっている。セイジの家族全員救世主、言わば救世主一家」
「いや、救世主はララさんでは・・」
「多分、私も少しは戦闘するだろうけど、多分、私の役目は必要な人を集める事。その役目故に渡しは救世主と予言されたのかもしれない。」
シーフの孫はいかがでしたか。
-
面白かった
-
つまらなかった
-
読みにくかった
-
ラブストーリーか?
-
もっと続きが読みたかった。続編あるよね?