シーフの孫   作:迷宮の迷子

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旧作「剣神流」は前後の修正により削除しました。
宜しくお願いします。


特訓

 

翌日から訓練内容が少し変わった。

僕はシャンドルさんから棒術を習うこととなった。

訓練は決してスパルタではない。

早朝にまずは基本の型の練習

シャンドルさんがまずお手本を見せてくれる。中国の演舞のようだ。

北神流のトリッキーな動きはなく、まずは基本をキチンとこなすことが早道だよ。と教えてくれた。

それが終わると体力増強のトレーニングに入る。

立ち方一つでも、長時間立っていられる立ち方があると教えてもらった。

正中線を意識して、とにかく1時間、よろけずに立てる事が基本トレーニングになる。

北神流はトリッキーと言っても、基本はさほど変わらないんだね。

 

2時間くらいの訓練を終えるとセシリアとお勉強の時間だ。

読み書きや算術、歴史、所謂座学だ。

退屈かもしれないが、僕がセシリアと一緒に勉強できるのはこの時間くらいなので、幸せな時間だった。

 

昼食をセシリアと取り、休憩時間(お昼寝の時間)もある。

休息も立派なトレーニングなのだ。

 

午後は完全に別行動だ。

セシリアはまず水神流をマスターすべく、この時間はレイダさんと訓練をしている。

僕は少し離れたところで瞑想の時間だ。

北神流は瞑想の時間を結構大事にしている。

そして僕はこの時間に魔力移動の訓練を加えた。

 

やり方はこうだ。

まず、瞑想だから目を閉じる、ただ閉じただけでは魔力はまだ魔眼に向けられている。

それをまず、ゆっくりと右の耳に動かすように意識してみなさいと言われた。

結構難しい。なんか指示がふわっとしていてよくわからなかった。

 

今日も魔力移動の訓練だ。体を動かすわけではないので一種のイメージトレーニングなのだが、どうも行き詰っている。

「ふぅ、難しいものですね。」

あまり根を詰めてもよくないな。僕は一休みをすることにした。

 

「ん?」気づけばセシリアが木に咲いているお花が気になるらしく、取ろうと手を伸ばしている。

最初はぴょんぴょんと跳ねていたが、目的の花になかなか届かない。

やっぱりかわいい。

手伝おうかと立ち上がろうとした矢先、彼女は思い切り爪先立って、手を伸ばした。

もう少し、がんばれ、がんばれ。やった!手が届いた。

「あ!」セシリアも僕が見ているのに気づいたみたいだ、にっこり笑って花を髪に飾る仕草をしてみせた。

やっぱりセシリアはかわいいなぁ・・・ん?待てよ。

 

僕は再度目を閉じ再度イメージした。

目の周りにあるもやっとした塊を瞼から目の筋肉へと伸ばすイメージ。

中心はまだ目のあたりだ。しかし、意識の端が耳に到達したのが分かった。

更に手(意識)を伸ばす。うん、耳に届いた。

今度はゆっくり目の力を抜いていった。魔力の塊が耳に動いた気がした。

瞬間、僕の耳は確実にレイダさんの声が、セシリアの息遣いが聞こえるようになった。

恐らく時間にすれば10分くらいかかっただろう。まだまだ実際に使えるものではない。

しかし、魔力の移動は確実にできたのだ。

 

「ル、ルーデウス様!」僕は慌ててルーデウスの傍に駆け寄り成果を報告した。

「できたのかい?すごいね!次はお臍の下に動かす感じ、できるかな?」

一度コツをつかんでしまえば動かすことはさほど難しくない、でも時間はすごくかかるけどね。

1か月ほど練習し、僕の魔力移動もなんかコツがつかめたようだ。

 

魔力を複数個所に分ける事もできるようになってきた。

「セシリア、ちょっとここに立って。」

「よろしくてよ、でも何をなさるのですか?」

(正中線に50、右腕に25、左腕に25)

「よいしょ!へへ、お姫様抱っこだよ」

「キャッ セイジ、恥ずかしいよ!」

 

(一度持ち上げると腕に25はいらないな。両腕各10、両足各40)

「ジャ~ンプッ」

「え、えぇぇえぇ」

 

セシリアを抱えてジャンプするくらいは朝飯前だ。

 

「コホン」

やば、レイダさんに遊んでいるのが見つかった。

「セイジさん、魔力移動は上手になったようですね。」

「は、はい、ごめんなさい。」

「いえ、責めているわけではないのですよ。そろそろ貴方の今の実力を知りたいと思いまして。」

 

確かに毎日シャンドルさんの指導で棒術の型を繰り返してはいる。しかも結構みっちりと

でも、組手とかは一切していないので、実力の程は不明だ。

僕は助けを求めるようにシャンドルさんの顔を伺った。

 

「うむ、そうですな。一回実力の程を見てみましょう」

(えぇぇぇぇぇぇ)

 

「セシリアも既に水神流中級の腕はあります。一回、お手合わせしてください。」

「はい!わかりました、おばあ様」

「セシリア、修行の最中はレイダをお呼びなさい。」

「はい、レイダ師匠」

 

セシリアはやる気十分だ。しかも水神流中級。普通、努力した大人がようやくたどり着けるレベル。

やはりセシリアは天才だ、しかもサラブレッドだし。

 

「ああ、それからセシリア、あなたはあの剣で仕合なさい」

あの剣?えっと、ユリアン・ハリスコの剣?

「え?よろしいのですか?下手するとケガしちゃいますが。」

「大丈夫です。ここには王級の治癒師もいますから、腕が切り落とされたくらいならすぐに治せます。」

 

あ、僕死ぬんだ。

なんでだろう、レイダさん怒らせたことなかったと思ったんだけど・・・

父さん、母さん、おばあちゃん、先立つ不孝をお許しください

 

「まぁ、セイジ君、いつも通りやればいいんだよ。はい、棒。」

シャンドルさんは意外と余裕たっぷりだ。僕がそこまで実力があると勘違いしているのかな。

しかも、棒。うん、いつもの素振りの棒だ。木製の奴。

 

取り合えず、やれることを整理しよう。

セシリアをケガさせるのは絶対いやだけど、同時に僕も死なないで済む方法で、

できるだけ痛くない方法を・・・・

 

魔眼 これはアドバンテージだ。

恐らく100%回さなくても対処できるだろう。

30くらい割けばなんとかなるかな。

後はなんとか棒を切られずに、かつ飛ばされないように力を配分しよう。

ん?棒を斬られずに・・・

ん?なんかこういう話あったな。

しかも前世だ。

僕の大好きな漫画の話だ。

 

やっぱり、僕の能力って・・・・『念能力』じゃないのか?

 

 

シーフの孫はいかがでしたか。

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