シーフの孫   作:迷宮の迷子

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連投していきます。
勢いが勝負です。



ヒトガミ

真っ白い部屋にいる。窓も見当たらない。

少し歩いていくと人がいた。

部屋と一緒で真っ白だ

俺でなくちゃ見逃しちゃうね。

 

「やあ、君がセイジ君かい?」

なんか変な感じの人

「思ったより子供なんだね」

「いや、子供ですよ。まだ十歳だし」

「いやいや、流石にもう少し大人だよ、こちらの世界では成人してるくらい。」

僕は自分の姿を見下ろした。

鏡があれば顔を見るところだけどあいにくとここに鏡はない。

見下ろすと、黒い制服ズボン、スニーカー

手のひらを見る。

多少手は大きいが、5年間棍を握って出来たタコはなくなっていた。

「ところで、あなたは?」

「ようやく、僕に興味を持ってくれたね。僕はヒトガミさ」

 

「ヒトガミ、神様ですか?」

「神様?そうだね、人によっては神様とも呼ぶね。」

「じゃあ人によっては悪魔と言う人もいるんですね。」

「ひどいなあ、流石にそう言われたことはないと、思うよ、でも、そうか、僕が守ろうとするこの世界を壊したい人は、僕の事を悪魔と言うかもね。」

 

「この世界、壊れてもいいじゃないですか、真っ白で何もなくて住んでいるのは貴方だけみたいだから。」

多分そういう事を言っていないとはおもうんだけど少し意地悪してみよう。

「おや、意地悪かい、無理無理。だって僕は神様だよ、君が何を考えているかくらいはわかるさ」

「なるほど、本当に神様のようですね。それは失礼を致しました。ところで神様がなんで僕のところに?」

とりあえずお話があるみたいだ。聞いてみよう。

 

「君、ラノア魔法大学に行きなよ。そこで君の呪いを解いてもらうんだ。」

「呪い?僕って呪われているんですか?」

「そう、君は魔力が大きくてもそれを使う術が限られているよね。今のままだと、君、魔力暴走を起こすよ。」

「うあ!それは怖いなあ」

「それに君がラノア魔法大学に行けば、あの、ギルって人ともなかよくなれるさ。」

うん、あの人は融通が効かない人ではあるけど、セシリアのお兄さんだ。無理に仲が悪い必要はないよね。

「仲良く慣れるのはいいことですね。でも、なんでそこまで親切にしてくれるんですか?布教活動?」

「布教って・・いや、僕は君のおじいさんに世話になってね。また、僕も君のおじいさんを助けてあげてね。」

「おじいさん?どちらのおじいさんでしょう?片方は会ったことがないんですが。」 

おじいさんか・・お世話になったんなら本当なのかな。

「ギース・ヌーカディアだよ。この大陸、いや、この世界でも最高のシーフだったかな。僕は彼を何度か助けて、おかげで彼は死ぬことを避けられた。そのかわり僕も彼に何回か協力してもらったんだよ。」 

「そうだったんですね!僕、ラノア魔法大学、考えてみます!」

「そうかい、それはよかった。それにそこで君は魔法使いの女のコと知り合いになれるよ。その子が君の魔力暴走を防いでくれる。君達は結ばれて幸せになれるよ。」

 

「は?なら、いいです。お断りします。」

「え!!なんでだい!命が助かって、新しい彼女もできるんだよ?狙っていたうるさいやつとも仲良くなれるし。今の彼女と別れるわけでもない。二人共結婚しちゃえばいいじゃないか!」

「いいえ、貴方は神様じゃありません。」

「な、なんでだい?」

「セシリアとの仲を引き裂くようなことを言うやつは神様なんかじゃないんだよ!」

 

目が覚めた。

左手にじっとり汗をかいていた。やはり悪夢だったのかな。

でも右手に柔らかい感触がある。

セシリアだ。

そうか、僕はあの後眠ってしまったんだ。

そしてセシリアは僕の手を握っていてくれたんだ。

誰かがセシリアの肩に毛布をかけてくれている。

 

「ありがとう、セシリア、悪い神様から僕を守ってくれたんだね。」

 

さて、いくら毛布をかけてもらってもこのままじゃ風邪ひいちゃう。この時間に彼女を抱っこして部屋まで運ぶのも迷惑になるな。

とりあえず、僕のベッドに寝かせよう。

僕はそっと彼女の手を外して抱き上げた。

お姫様抱っこだ。

 

「う〜ん、セイジ」

やばい、起こしちゃった?

 

「ちゅ〜して」

え?いいの?

 

「スースー」

あ、寝言か。でもキスしてって言ってたし。

 

いや、いけない、こういうのはふたり共起きている時にしたい。

どうにか彼女を起こさずにベッドに寝かせた。

一緒に入ろうかとも思ったが、これも我慢。

 

目が冴えちゃったから外で素振りでもしようかな。

もうすぐ夜明けみたいだし。

 

棍を持ち、庭に出ると、岩の上に人影があった。

(ヒ、ヒトガミ?)

いや、違う見慣れた背中だ。

「シャンドルさん・・」

シャンドルさんは岩の上で座禅を組んでいた。

瞑想中なら悪いことをしたな。

「ああ、セイジ君かい。おはようございます。」

「おはようございます。目が覚めてしまいまして。」

 

僕は夢の中の話をシャンドルさんにした。

「そうか、でも、君は自力でその罠から逃れたんだね。強い子だ。」

「危ないとこもありましたけどね。でもセシリアに助けられました。」

「ハハッ、流石二人だね。でもよかった。僕の叔父もね、ヒトガミにひどい目にあったんだ。」

「そうだったんですね。いや、危ないところでした。」

「うん、そうだね。でも、この話はルーデウス君にもしたほうがいいな。彼もヒトガミの被害者だ。」

 

 

「そうだったんですね。」 

夜が明けて、セシリアが起きたのを待ち、僕ら三人はルーデウスが泊まるクリス邸にいた。

「しかし、よく誘惑から逃げられましたね。ヒトガミは魅力的な条件をよく出したでしょう。」

「ええ、でもセシリアが助けてくれました。」

「え?私が?」

「ちなみにラノア魔法大学に行くとどうなると言われました?」

えっと・・

魔力暴走を防げる

ギルと戦わないで済む

魔法使いの女の子と仲よくなれる。

「む!」セシリアがむくれた。

「でもそこでヒトガミは悪い神様だって気づきました。」

「ほう、どうしてだい?」

「だってセシリア以外の女の子と仲良くさせようとするのは悪い神様の証拠でしょう?」

「ブッ!」エリスが吹いた。

「ルーデウス、この子はルーデウスより立派よ!」

さっきまでむくれていセシリアは耳まで真っ赤だ。

 

「あと、僕の祖父はギース・ヌーカディアと言うらしいです。ルーデウスさん、ご存知ですか?」

「ギースですか・・・」

ルーデウスは彼との思い出を反芻した。

獣族での事

ゼニス救出の事

ミリスでの裏切り

そしてビヘイリルでの決戦。

 

「彼とは最後戦わないと行けませんでしたが。」

「明るく、優しく、そして義理堅い男でしたよ。」

 

そうなんだ。ルーデウス様も言いにくそうだから悪い点も多かったんだろうけど。

でも良いところもいっぱいある人だったのですね。

 

「確定ではないのですがヒトガミと結ばなくて良かったです。」

やはりそうだったんだ。

「恐らく、ヒトガミの第一の目的は君とセシリアの仲を引き裂く事」

なんだって!

「例えば君とセシリアの間の子が将来ヒトガミの、邪魔になるとか。」

僕とセシリアの子供か、なんか照れちゃうな。隣でセシリアも真っ赤だ。

「後は君自身が邪魔だとか」

殺そうともしていたのか。 

 

セイジ君、セシリアさん、今度僕のボスに会いませんか?

力になってくれるはずです。

 




今朝、評価をつけてくれた人が5人になったんで、評価点が付きました。
皆さん、高い点ありがとうございます、
厳しい評価をしてくださった方もいらっしゃるので精進していく所存です。
さて、ようやくタイトルの伏線回収です。
匂わせは既に1話のおばあちゃんの名前で匂わせていたので比較的簡単だったかなと。

シーフの孫はいかがでしたか。

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  • 読みにくかった
  • ラブストーリーか?
  • もっと続きが読みたかった。続編あるよね?
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