スーパーロボット大戦とどげせんをクロスさせてみた   作:samasa

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二話です。
特に何も言う事はない、見てくださったら幸いです。


スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART2

宇宙に浮かぶは、何よりも碧く美しき宝石―――地球。

今日も今日とて邪なる欲望を抱き、侵略者が攻めてくる。

それ往け、地球を守る戦士達―――その名も<兜甲児と愉快な仲間達>略してカブコー!

科学・オカルト・努力・根性・熱血・愛・勇気・覚醒・再動・銅鐸・グレンキャノン―――そして土下座。

あらゆる手を尽くして、侵略者共を全滅だ!

 

 

「おのれ、カブコーめ…!まあいい、今日の所は挨拶代わりだ。次こそは貴様らの最後だ、はっはっは!」

テンプレ通りのセリフを吐きつつ、実はボロボロにされて涙目で逃げ帰っていく敵。

カブコー、今回も大勝利であった。

 

 

そして、戦闘後のミーティングというか雑談。

「今日もノリノリでしたね、万丈さん。あの口上、いつ聴いてもシビれますよ」

「いや、そんな風に言われると気恥ずかしいね…しかし、ノリノリといえば宙に敵う奴はいないだろう。完全に相手を殺す気満々だったじゃないか」

「ははは。俺も戦闘中は無我夢中だからな…ついつい死ねぇ!とか全滅だ!とか言っちゃって…それよりすごかったよな、リョウ。お前アレ完全にエンペラー的なの見えちゃってたぞ」

「ああ、何か見えちまったみたいで…(笑)しかし…すごいといえば、やはり瀬戸さんだな」

 

―――瀬戸発。

土下座で全てを解決する、土下座専門家―――<どげせん>。

 

「あんな土下座見せられちゃ、そりゃどうしようもないぜ」

「何せ意思の疎通なんか出来ない筈の宇宙怪獣まで逃げ帰るもんなあ」

「ドゲザリオンに乗ってからというもの、ますます土下座に磨きがかかったようだな」

「カツも、彼の土下座で小隊長になってからというもの、目覚ましい活躍を見せているしな」

「ああ。ハンパねえぜ、瀬戸さんは」

「YSS(やっぱり 瀬戸さんは すごいぜ)」

 

―――そんな会話を耳にしながら。

仏頂面でミーティングルームを出ていく、一人の男がいた。

彼の名はゼンガー・ゾンボルト。

厳しく引き締められた口元と鍛え抜かれた肉体は、ドイツ人ながら、まるで戦国の世のサムライである。

その精神においても豪胆にして実直、信念に生きる武人。あまりの漢らしさに一部では<親分>などと親しまれている無骨漢だ。

なお、彼の乗機は<武神装攻ダイゼンガー>。

何がどう武神装攻なのかまるで分からないが、勢いで誤魔化されたくなる漢の機体である。

フリーダムガンダム等は運動性や広範囲MAP兵器がある分扱いやすいし、スパロボ初心者から玄人まで幅広く使われている基本的な機体。

対してダイゼンガーは見た目なんかは普通のスーパーロボットとほとんど変わらねぇが内蔵武器の使用を否定し、刀一本で闘うおかげで接近戦には滅法強いが射程の長い敵にはタコ殴りにされる玄人好みの扱いにくすぎる機体。

使いこなせねぇとボスボロットより弱いただの鉄クズみてぇなもんだってのに、ゼンガーはそれを手足のように易々と操る。

その剣は悪を断ち、神を断ち、そして全てを断つ―――断てぬものなどあんまりどころか、何もない。

カブコーにおいても皆から頼られ、一目置かれる存在である。

そんなゼンガーだが、目下、悩みがないわけではない。

(瀬戸発…!)

どこぞの盗撮犯によく似た顔の、妙に愛嬌がある男。

彼に対してゼンガーは、忸怩たる思いを抱えている。

(何かあれば、奴はすぐさま頭を下げてばかり…それでも男か!)

無論、ゼンガーとて瀬戸の力は認めている。

同じ部隊の仲間として、彼の土下座に助けられていると理解してもいる。

しかし。

古きよき日本男児の気質を体現したゼンガーには、土下座で全てを解決しようとする瀬戸の姿勢は、余りにも軽佻浮薄に映る。

 

―――だがゼンガーは、そんな内心を誰にも語るまいと戒めていた。

 

確かに、瀬戸のやり方は気に食わない。それでも瀬戸は、実際に結果を出している。

カブコーの面々とも、良好な関係を築いてもいる。

ならば、余計な事を口にして波風を立てるべきではない―――ゼンガーはそう思い、自重していた。

と―――通路の向こうから、一人の男が歩いてくるのが見えた。

勿論、瀬戸である。まるで見計らったようなタイミングだ。

「…………」

軽く会釈だけして、ゼンガーはその横を通り過ぎようとする。

「ゼンガー」

そんな彼を、瀬戸は呼び止めた。

「ちょっと、外の空気でも吸いにいかないか?君と、話がしたいんだ」

 

 

―――外に出ると、瀬戸は何故か無数のカラスにたかられた。

特にそれを気にするでもなく、瀬戸はゼンガーに語りかける。

「ゼンガー。ここには私と君だけだ」

「…………それが、どうした」

「誰にも聞かれず、腹を割って話したい」

瀬戸は、ゼンガーの目をまっすぐに見つめた。

「君が、私を快く思っていない事は分かっている」

「…!そうか。なら、話す事などなかろう」

ゼンガーは、瀬戸に背を向ける。

「お前の存在が気に入らんからといって、俺はとやかく言うつもりはない。部隊から排斥しようなどとも思っていない。瀬戸…貴様は、カブコーに必要な男だ。だが、仲良くする気もない」

「つまり…お互いに不干渉でいようと、そういう事か?」

「そうなるな。俺と貴様は、違いすぎる。とても気が合うとは思えん」

「私はそうは思わない」

ゼンガーの背中に、瀬戸はそう呼びかける。

「確かに君と私は違う。だが同時に、とてもよく似ているんだよ、ゼンガー…君と、私は」

「何…!」

「君は剣一本で己の道を切り開く。私は土下座で己の道を切り開く―――」

瀬戸の眼鏡が、陽光を受けてキラリと輝いた。

「君の剣と、私の土下座。それは非なるものだが…似たものだ。ならば、きっと分かり合える」

「詭弁を弄すな、瀬戸発っっっ!」

ゼンガーの怒号が、空気を震わせた。瀬戸にたかっていたカラスが、一斉に飛び立つ。

「もはや問答無用…!やはり俺と貴様は、相容れんようだな」

「そうかな」

瀬戸は。

「私は、そうは思わない」

先のセリフを繰り返し。

「君とも分かり合える。そう思う」

静かに。澱みなく。

「ゼンガー…どうか分かって頂きたい。私が頭を下げる、その意味を」

流水のように滑らかな動きで―――

「この通りだ、ゼンガー」

地に手を着き、頭を擦り付けた。

 

ナマで拝んでオドロキやがれッ!

瀬戸発・伝家の宝刀―――土下座!

 

「瀬戸、貴様…!この期に及んで、なお軽々しく頭を下げるか!」

激昂し、ゼンガーは瀬戸の肩に掴みかかる。

「俺と分かり合いたいなどと言うなら、まずは頭を上げろ!そのような軽い頭、どれだけ下げたとて、俺の心が動くものか!」

「私の頭が軽い…?そうかな。ゼンガー・ゾンボルト」

本当にそう思うなら、試してみたまえ。

挑発的に、瀬戸は言う。

「よかろう…!ならば貴様を引きずり起こしてくれる!」

掴んだ肩を、力ずくで持ち上げようとして―――ゼンガーは、気付いた。

(…!?う…動かん…!)

瀬戸はそれなりに筋肉質ではあるが、決して大柄ではない。ゼンガーとの膂力の差は、歴然の筈だ。

だというのに―――大地に根ざした巨木の如く、一ミリたりとも動かない。

「ゼンガー…よく見なさい。私が、この背に負うモノを…」

「な…何だと…」

次の瞬間。

ゼンガーは、己の目を疑った。

 

―――筋骨隆々のヤクザ。

―――頑固な定食屋のオヤジ。

―――今時の高校生男子。

―――粗暴な空手部員。

―――母親思いの不良。

―――口やかましい評論家。

―――同僚の教員。

―――校長。

 

それだけではない。

瀬戸がこれまでに土下座してきた、ありとあらゆる者達が、瀬戸の背中に圧し掛かっていた。

その数、実に数百―――いや。数千、数万にも達している。

「私の土下座には…これまで関わり、土下座してきた全員の重量が掛かっている」

「バ…バカな!」

だが現実に、瀬戸の身体を動かす事は出来ない。

ゼンガーは今、思い知った。

(こ…こやつ…否。この漢は…軽々しく頭を下げてなどいない…!)

そう。瀬戸は―――重々しく、頭を下げていた。

常人では到底抱えることなど出来ぬ重みを背に、土下座していた。

「…不覚。真に軽々しいのは、何も知らずに貴様を否定していた、俺の方だったな…」

そう言いながらも、ゼンガーは晴れやかな顔をしていた。

まるで柔術の達人に、ふわりと投げられたような―――清々しさすら覚える敗北感。

「瀬戸…すまなかった」

ゼンガーは、地に膝を着けた。次に、掌を。

そして、その頭を―――

「勿体ない事をするな、ゼンガー」

瀬戸は、それを押し止めた。

土下座の伝道師である彼が。

土下座を、制した。

「君のような漢が…それこそ、軽々しく頭を下げてはいけない」

「瀬戸…」

瀬戸は立ち上がり、悠然と去っていく。

その背中を、ゼンガーはただ静かに見送った。

 

―――後にゼンガー・ゾンボルト(29)は、親しい友人にこう語った。

男が<漢>に惚れるというのは、まさにあの瞬間であった―――と。

 

 

その頃、瀬戸の自室にて。

「いつつ…」

―――身体に巻き付けておいたパワーアンクルを外した瀬戸は、肩の痛みに呻く。

持病の四十肩である。

「5…50キロはやりすぎだった…!30キロにしとけばよかった…!」

 

―――瀬戸発。

土下座のためには、どんな労力も厭わぬ男であった。

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