スーパーロボット大戦とどげせんをクロスさせてみた   作:samasa

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これで終わり。
続きとかないよ。
あと俺はミストさんのこと、結構好きだよ。


スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART3

地球の為に―――そして、全宇宙の平和の為に日夜闘う正義の軍団<カブコー>。

そこに属する者達は、程度の差はあれ一癖も二癖もあるツワモノばかりだ。

ごく普通の地球人もいれば、親父によってサイボーグにされた奴も何人かいる。

超能力者もいれば、遺伝子操作された新人類というべき者もいる。

そして、ここにも一人、異彩を放つ男がいた。

 

食堂の片隅で、物憂げに頬杖をつく青年。

オレンジ色の髪をした、一見ごく普通のナイスガイな彼の名はミスト・レックス。

実は彼は、地球人ではない。

かつて、強大な敵によって滅ぼされた惑星アトリームの生き残り―――つまりは、異星人である。

紆余曲折を経て流れ着いたこの地で<カブコー>の面々と出会い、新たな故郷である地球を守るべく、戦いに身を投じたミストではあるが、地球での暮らしは彼にとって理解し難いものがあった。

星を越えたカルチャー・ギャップ。

彼の精神は、追い詰められていた。

 

 

例えば、こんな事があった。

廊下で、ダイナミックなモミアゲの持ち主である兜甲児に声をかけられた。

「よお、ミストさん。ちょっとこれ、見てくれよ」

「え、何ですか?」

「ほれ」

ミミクソであった。しかも、やたらデカい。

「…………」

「でっけえミミクソだろ?誰かに自慢したくってさあ。今度、マサキの奴も呼んで、見せてやろうと思ってんだけど…」

この時、ミストはこう思った。

(こんな汚物を他人を呼び付けてまでわざわざ見せつけるだなんて、許される事じゃない…!)

 

他には、トイレで順番を待っていた時。

「ああ、ミストさんか。待たせてすまなかったな」

「いいえ。じゃあ失礼します」

虚無りそうな雰囲気を持つヤバげな男、流竜馬と入れ替わりに個室へと入る。

そこで彼は、恐ろしいものを見た。

「そ、そんな…こんな事が、本当にあるのか…!?」

トイレットペーパーが、使い切られたまま―――交換されていなかったのだ!

これにはミストも呆れ果てるばかりだった。

(後の人のために交換すべきじゃないか…!それなのに地球人ときたら…!)

 

そう―――こんな事もあった。

「ミスト。ちょっと話があるんだが…俺の部屋に来てくれないか?」

「はあ。別に構いませんけど…」

請われるがままに、その男―――偉大な勇者にして戦闘のプロ・剣鉄也の部屋に入った。

「ふふふ…今夜は俺とお前で、ダブルブースターだからな…」

「え。何で後ろ手にドアを閉めて鍵をかけるんですか何でズボンのチャックを下げるんですか何で大きくなってやがるんですか何で半笑いで俺ににじり寄ってくるんですか何で俺を四つん這いにさせるんですか何で俺のズボンを脱がすんですか何で舌なめずりをするんですか」

「こちらは剣鉄也だ、グレートブースターを発射する!」

「アッーーー!」

―――数時間後。ミストは尻を押さえながら鉄也の部屋から出てきた。

その顔には、これ以上ない程の苦渋が満ちている。

(ノ…ノンケを無理やり食っちまうような地球人に…守る価値なんて…あるのか…?)

 

 

―――そんなこんなで、彼の地球人に対する不信感は、もはや拭い切れなくなっていた。

今までは地球を新たな故郷と思い、必死に頑張ってきた。

だが…それももう、限界だった。

(何とか今まで持ちこたえてきたけど、これじゃ俺…地球を守りたくなくなっちまうよ…俺が神様なら、地球人に守る価値なんてないって判断するよ…)

そんな考えも浮かんできた頃。

「隣、いいかな?」

「え?」

返事も待たずにその男は、ミストの隣に座った。

そう。

彼の往く所、土下座旋風―――<どげせん>が巻き起こる。

土下座で全てを解決する漢・瀬戸発であった。

彼の持っていたトレーに何気なく目をやったミストは、眉を顰める。

「カレーラーメン…?メニューには、そんなのなかったと思いますけど」

「ああ。どうしても食べたかったので、土下座して作ってもらったんだ」

しれっとした顔でのたまう瀬戸。

そんな彼にも、ミストは不信感を覚えずにはいられない。

(メニューにあるものを頼めばいいじゃないか…土下座してまでカレーラーメンを作らせるだなんて、理解できないし…納得できないよ…)

顔に出ていたのかもしれない。瀬戸は襟元をカレー汁で汚しつつ、口を開いた。

「ミスト。最近の君は、どうも様子がおかしいぞ」

「え…」

「皆、心配している。このままでは、パンクしてしまうぞ」

「それは…」

心中を見透かされたようで、バツが悪い。ミストは顔を背ける。

「気持ちは分からんじゃない。地球とアトリームの文化の違い…考え方の相違…居心地は悪かろう」

「…確かに俺にとって、地球人のやる事は、正直に言わせてもらえば、理解に苦しむ部分もあります」

ミストは、ポツポツと語り始めた。

「俺はまだ、地球で暮らし始めてから数か月にしかなりません…でもカブコーの皆と出会って…それなりに楽しく過ごして…地球っていい星だなって、思ってました…でも、そこに住む連中ときたら…!まともな人なんて、数えるくらいしかいないじゃないですか!」

叫ぶようなその言葉を、瀬戸は厳粛に受け止めていた。

「同族で戦争を始めたり、政治家は自分の事しか考えてなかったリ…自分達で自分の住む場所を汚したり…そんなの、ダメじゃないですか…!」

「うむ…耳が痛いな。だが、確かに事実だ」

瀬戸も、ミストの意見に同意する。

「だから…やっぱり地球人って、俺とは違うのかなって…」

「そんな事はないさ。確かに、地求人には問題も多い。しかし…同じだよ、ミスト」

瀬戸は、おもむろに椅子から立ち上がり。

「アトリーム人だろうと、地球人だろうと…違いなど、ない。同じ人間だ」

ゆっくりと、地に伏せた―――

「な、何を…」

「さあ。君も」

「え?」

「土下座だよ。迷わずやれよ。やれば分かるさ」

「いや…土下座なんかしても、根本的な解決にはなりませんよね?」

「なるさ。だから、早く。早く、早く、早く(ハリーハリーハリー)!」

「…………」

有無を言わさぬ迫力に、渋々ながらもミストは瀬戸に倣い、土下座する。

(何の説明もなく、いきなり土下座させるだなんて…やっぱり地球人はダメじゃないか…!)

「ミスト。私は何の意味もなく、土下座させているわけじゃないよ」

そんな不満が顔に出たのを見て取ったのか、瀬戸は静かにミストを諭し始める。

「気を楽にして。そして…思い出せ。母の胎内にいた、あの三百余日を…!」

「母の…」

「そうだ…ミスト。今、お前が取っている姿勢(ポーズ)は…生命の根源そのものの姿だ」

「生命…」

「目を閉じろ。今なら感じるはずだ。あの羊水の温もりを」

「…………」

気付けばミストは、胎児にまで戻っている自分を自覚していた。

浮かんでいる。

母なる子宮に抱かれ、羊水に包まれて、自分は其処に浮かんでいる。

「我々も同じだよ、ミスト。地球人もまた、同じように産まれたんだ」

「同じ…」

 

「さあ。遡(さかのぼ)れ。始まりは…海に漂う単細胞生物だった。波に揺らされるだけの弱き存在」

 

「そこから、細胞が分裂し、微生物へ」

 

「そして、脊椎動物へと進化し」

 

「魚類として海へ残る者もいれば、やがて海を離れて、大地へ立つ者も現れた」

 

「ある者は翼を得た。またある者は強き牙を、爪を得た。またある者は小さく、しかし逞しく生きた」

 

「そして―――道具を用い、火を支配し、文明を築いた―――」

 

「それが人類の歴史。それが我々の道程。それが―――人間(ホモ・サピエンス)」

 

「胎児の姿は、その歴史を如実に物語っている」

 

「そんな胎児の姿勢…それこそが―――」

 

土下座。

それは―――生命の育んできた歴史そのものだ。

そこには地球人も、異星人も、隔たりなどない…。

ミストは、理解した。

(俺は、なんてささいな事にこだわっていたんだ…)

滂沱する。

頬を伝う、熱い涙。それもまた、生命の証。

(何も変わらないんだ…俺も、地球の皆も…)

そんなミストの肩を、瀬戸はそっと叩いた。

「地球人も、アトリーム人も、同じようにして進化してきた…何も、違いはしないさ」

「瀬戸さん…」

―――ミスト・レックスの中で、何かが動き出した瞬間だった。

 

 

それから数日。

「ねえねえ、ゴオちん。今度の休暇はカブコーの皆で海にでも行かない?」

「お、そりゃいいな」

可愛い女の子とそんな話をしているゴリラ顔の男は、カブコーのエースパイロットの一人、猿渡ゴオ。

ゴリラ顔の三十路のくせして女子高生の奥さんをゲットした、まっこと許し難い犯罪者である。

ちなみにこの女の子こそ、彼の奥さんである。女子高生というだけで許せないのに美少女だ。

もはや死刑モノである。

そんな二人に、カブコーの面々も同意する。

「海かー。楽しみだなあ」

「戦いも今は一段落してるし、息抜きも大事だよなー」

「そうそう…あ、ミストさん!ミストさんも、海に行かねえか?」

通りがかったミストにも、誘いがかかる。

以前の彼ならば(まだ戦争が終わったわけじゃないのに海だなんて…こんなに俺と地球人で意識の差があるとは思わなかった…!)

と心中で愚痴っていた事だろう。

だが。

「海ですか?ははは、そうですね。俺もご一緒させてもらいますよ」

彼は朗らかに、そう答えるのだった。

「ほお…ミスト。お前、少し変わったか?」

「え、そうですか?」

「ああ。前は何だか思い詰めていたように見えたが、すっきりした顔になったぞ」

「うーん、自分じゃあんまり自覚はないけど…まあ、あれですね」

ミストはにこやかに白い歯を見せて、親指を立て、爽やかに言ってのけた。

「俺だって一緒に土下座してくれる人がいれば成長しますよ、猿渡さん!」

 

 

―――土下座が結びし、星を越えた友情。

この出会いこそは、必然―――

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