あざとい後輩と新たな地へ   作:幅滝翔

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魔王は優しかった

あれから、俺たちは市役所方面に向けて歩いている。

2人とも、死のうとしてたから金も片道分しかなかったのでバスとかタクシー、知り合いを呼ぶ連絡手段もなかった。

 

だってしょうがないじゃん?誰がこんなこと予想できるんだよって話。俺も一色も最初の予定と全く違うからめっちゃ戸惑ってるし、頭回ってないし。

まぁ話を聞いていて、わかったのは、一色は俺と違って相談できる人、雪ノ下と由比ヶ浜のとこに行ったらしい。順調にいってたけど、解決する前に一色の我慢の限界が達しちゃったから、ここに来たらしい。

 

 

「でも、まさか一色が死ぬまで追い込まれてたのは知らなかったな。一色なら奉仕部に相談とか解決の依頼しに来そうなのに」

 

「行きましたよ?でも、その時は先輩はもういなかったんですもん」

 

あー、ここ最近って1週間前くらいのことなのね。そりゃいないわ。 5日前に雪ノ下から強制退部させられたからねぇ。その時は平塚先生はびっくりして反対しようとしたけど、雪ノ下に全然話聞いて貰えてなかったな。すみませんね、平塚先生。

 

「平塚先生には迷惑かけてしまったな………」

 

「先輩は先生に相談したんですか?」

 

「いや、してないけど強制退部させられた時に多分察したんだと思うぞ?」

 

「強制退部⋯⋯⋯先輩の依頼のやり方はあれですけど、雪ノ下先輩がそこまでするなんて⋯⋯どんなやり方したんですか?」

 

「え、まぁ⋯⋯そのうち教えるよ」

 

「そうですか⋯⋯」

 

本当は教える気はなかったけど、なんか吹っ切れたというか一色になら教えようかなって思う。まぁ一緒に死のうとしていた仲だしな。⋯⋯⋯ってどんな仲だよ!と考えていると一色の足の限界が来たようだ

 

「せんぱーい、今これどこ向かってるんです?もう疲れましたよ」

 

「じゃあ近くの公園に寄るか。⋯⋯⋯あれ、ここら辺にあったっけ?」

 

「はぁ⋯⋯調べといてくださいよ」

 

いや、どこに死ぬ前に公園を調べるアホがいるんです?普通いねぇだろ。

 

「はぁ⋯⋯わかったよ。ちょっとそこら辺の人に聞いてくるわ」

 

「ありがとうございます!ここで待っときますね!」

 

 

 

聞いてきた結果、行こうしていた勝浦市役所の近くにはないらしいので、湾沿いに歩いた浜勝浦児童公園という場所に行くことにした。

 

「あと10分弱で着くぞ」

 

「そう、ですか⋯⋯」

 

ん?なんか元気ないな。足限界迎えたのか?⋯⋯⋯しょうがないな

 

「ほれ、嫌かも知らんが俺の背中使え」

 

「へ?」

 

早く公園に行きたいから、少しキツめに言うぞ。ごめんな

 

「早くしろ」

 

「あ、はい⋯⋯⋯」

 

 

一色を背負ってみて気になったことがある。

「あれ、なんかめっちゃ軽いんですけど」と。

小町を前背負った時の半分くらい軽い。ご飯を食べていないくらい。死ぬからと食べなかったのか、それとも精神的にキツくて食欲がなかったのかはわからないが、軽すぎると心配になるな。

 

そして今から公園に行こうとしてると、車のクラクションが鳴った。

ん?歩道にいるのになんで鳴らすんだ?あ、そうか。俺たちと別に確定してるわけでもないんだし、俺らには関係ないか。よし行こう。と思っていると

 

「せんぱい⋯⋯⋯私たちがここにいること平塚先生にバレました」

 

は?平塚先生?なぜわかったんだ、ここが。

誰も携帯持ってないんだけど⋯⋯⋯ん?あ、俺のポケットに入ってたわ。てへぺろ(´>ω∂`)

いや、それでもわからないはず。GPS機能はあるが電源切ってるし、しかも親しか知らないはず⋯⋯気になることたくさんあるなぁ

 

「比企谷!⋯⋯と、一色⋯⋯まさかお前もか?」

 

「え、⋯⋯あ、すすみません!」

 

「先生。来てくれたのは嬉しいですが、なぜここがわかったんです?俺スマホの電源切ってたんですが」

 

「あー、それは比企谷、君の母親と材木座のおかげでな。まぁ早く乗りたまえ」

 

「え、ちょっと余計気になったんですけど、なぜ材木座が?」

 

マジで気になる。材木座はなにをしたんだ?

 

「それは後で話す。まずは乗ってくれ。今から千葉市に戻る」

 

「え、いや、俺らあそこが嫌でここで死のうとしてたんですけど」

 

「あのー、先生?私もあそこはいやと言いますか⋯⋯行きたくないと言いますか」

 

「大丈夫だ!学校には寄らないし、まず学校から結構離れたところだから安心してくれ。私の仲いいヤツのところに送るだけだ」

 

やばい。嫌な予感がしてきた。平塚先生の知り合いって俺、雪ノ下の姉しか知らないんだが⋯⋯⋯あの人のとこに行くのか?俺死んで来ようかな。

 

「先生、雪ノ下の姉のところなら俺は行きませんよ。岬に戻ります」

 

「比企谷、勘のいいやつは嫌いだよ。⋯⋯まぁ大丈夫だ比企谷。あいつは君を裏切らないよ。私が保証してやる」

 

えー。めっちゃ嫌なんですけど。

でも、先生は俺の味方と言ってくれた先生だ。そんな俺をわかってるはず。その先生が大丈夫と言うなら、大丈夫⋯⋯なのか?

俺はどうすればいい。

 

「比企谷行くぞ?あと、一色は車の中でなぜここに来たかを教えてくれるか?」

 

「⋯⋯わかりました。先輩!行きますよ」

 

「え、あ、おう」

 

もういいや。先生を信じよう

 

「先生、嘘はつかないでくださいね」

 

「当たり前だ」

 

 

こうして俺たちは雪ノ下陽乃さんの家に向かうことになった。多分⋯⋯。

 

 

 

~陽乃宅~

 

「さぁ、入ってくれ。あとで今後のことを話すからな。それまで陽乃に内容を話しておけ」

 

「「はーい」」

 

なんで話さないといけないんだよ。

あの人のことだからもう知ってるとかがいいな。楽だし。

でもあの人めんどくさいんだよな⋯⋯⋯

 

「比企谷くんやっはろー!!ん?その隣の子は誰かな?」

 

「は、初めまして。総武高校生徒会長の一色いろはです⋯」

 

「なるほど⋯⋯一色ちゃんね。私は雪ノ下陽乃だよー!よろしくね」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

「雪ノ下さん「陽乃」⋯⋯へ?」

 

「だーかーら、陽乃って呼んで?」

 

「ななななんで呼ばないといけないんですか?」

 

「だって雪ノ下って言うの辛いでしょ?」

 

「っ!」

 

なんだ⋯⋯やっぱり知ってたのか。てことは、今日のこととか修学旅行のこととか知ってそうだな。

うー、名前呼び恥ずかしいって思った俺がバカだった。雪ノ下さんなりに気を使ってくれてたのか。

 

「⋯⋯わかりました。お気遣いありがとうございます陽乃さん」

 

「ふふっ」

 

「ぶー、せんぱ「ぐルルルルル」⋯⋯⋯いキキキ聞こえましたか!きき聞こえませんでしたよね?」///

 

すんごい鳴ってたな、お腹の音が。あと壊れた機械みたいにキキキって首を動かすな、笑っちまうだろ 。一色めっちゃ顔真っ赤だ。

 

まぁお腹の件は直接は言わないけどよ⋯⋯

 

「聞こえてねぇぞ」

 

「そ、そうですか⋯⋯⋯///」

 

「⋯⋯( ¯ᵕ¯ )ニヤ」

 

陽乃さん、なんか言ってくださいよ。なぜそんなおもちゃ見つけたみたいな顔してるんですか???早く一色に助け舟をしてください!

 

 

「お腹は正直だねぇ。向こうの奥の部屋にご飯用意してるから食べなさい」

 

「は、はい///」

 

「比企谷くんも食べなさい。早く一色ちゃんと奥に行っといてね。あとで静ちゃんと合流するから」

 

「はい、わかりました陽乃さん」

 

ふぅ、今日は⋯⋯色々あったけどなんか楽しいな。やっぱり死ななくて良かった。もし、一色がいなかったら俺はもうとっくに死んでたな。なんていうか、あそこに一色がいてくれてありがたかった。まぁ感謝することじゃないけどな。

でも、もし俺が行ってなかったら一色は死んでたんだもんな。そんな怖い未来が来なくて良かったぜ。あ、やばい。安心したのか急に身体に力が入らなくなっちゃった。

 

「せ、せんぱい!どうしたんですか?ちょっと!!ゆ、は、陽乃さん!先輩が!」

 

「ど、どうしたの?⋯⋯って比企谷くん?!なにがあったの?」

 

「なんか⋯⋯⋯れちゃって⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 

なんか聞こえるな。陽乃さんと一色の声が。反応したいけど、目もぼやけてるし力も入らないし、なんか頭も痛くなってきた。ま、まさか俺飛び降りじゃなくて廊下で頭打っただけで死んじゃうのか?それは絶対嫌だ!

 

「比企谷!どうしたんだ!!」

「八幡!!!返事して!」

 

あぁ死んだのか?平塚先生と戸塚の声が聞こえる。

クソ!戸塚がいるんだったら目を開けたかったぜ。

 

 

その後2時間、俺は眠り続けた。

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