【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル   作:朱鷺野理桜

12 / 14
本編3話にあったものを番外編に移動させました
追記はありません


番外編
スーパードクターG


「ねぇ、せんせ。私、助からないのかな」

 

「突然深刻なことを言わないでくれ。温度差で風邪をひく」

 

 推しの出演する番組をリアタイしていたところ、天童寺さりなはそんなことを言い出し、研修医の雨宮吾郎がそんな返事を返した。

 

「たしかに難しい病気だ。だが、医療は日進月歩。いつか必ずさりなちゃんの病気を治す手段も発見される。それまでの辛抱だよ」

 

「うん……」

 

 気休めにも等しい言葉だ。だが、それしか言えない。そうとしか言いようがない。

 吾郎が無力さに打ちひしがれそうになった時、突如として病室のドアが開かれた。

 

「たしかに、退形成性星細胞腫の生存期間中央値は2年程度……5年生存率も20%を切る、極めて重篤な脳腫瘍だね」

 

 突然病室に入って来た小柄な少女がそんなことを言い出した。

 白衣を身に纏っているところからすると、なんらかの医療関係従事者なのだろうが……。

 わずか12歳の少女に対し、そんな残酷な現実を突きつけるような真似は、無情と言える。

 思わず吾郎が食って掛かろうとし、その前に、少女が力強く宣言した。

 

「かつては……そうだった! だけど、今は違う! 退形成性星細胞腫の根治すらも可能な治療法が……1つ、ある! ギュッ」

 

「そ、それは!?」

 

 思わず、吾郎が縋るように問い返す。さりなちゃんを治療することができるのならばと……。

 画期的な新療法が、新たなる手術法が開発されたのならばと……。

 最後に口でギュッとか言い出したのはなんなのか分からないが、それには触れなかった。

 

「ゲッターナイフ……! 早乙女研究所が発見した宇宙放射線、ゲッター線による放射線療法! この療法は、極めて低侵襲な上、術野の術後癒着率が極めて低い……!」

 

「ということは、仮に再発した場合でも!」

 

「そうだよ! ゲッターナイフにより病巣を減弱させた後であれば、増悪が見られたとしても摘出手術に踏み切ることも容易! さらには浸潤性のグリオーマにすらもたしかな効果が認められている……!」

 

「す、すごい……! そんな治療法が発見されていたなんて……!」

 

 医者である自分ですらも知らない画期的な新療法。

 それを齎してくれた彼女は、いったい何者なのか。

 

「その治療法があれば、さりなちゃんは!」

 

「うん、アイドルにだってなれるよ。私が保証してあげよう、元アイドルの私がね!」

 

「えっ! 元アイドル!?」

 

 どうして顔を隠しているのかと思ったら、なにやらそう言う都合があったらしい。

 そしてふと、吾郎はなにか符合するものを感じた。

 早乙女研究所、元アイドル、ゲッター……。

 

 さりなが激推ししているアイドル、アイ。一番星の再来と言われるアイドル。

 そう、再来。かつて、一番星を宿していると言われた、伝説的なアイドルが居た。

 

 かつて、吾郎が若かりし頃、日本の子供たちの全てが知っていたアイドル。

 いや、日本人ならば、あるいは、世界中の誰もが知っていた。信じていた。崇めていた。

 まさに、最強で無敵のアイドルであり、だれもが信じ、崇めた地球の救世主。

 早乙女研究所で作られたゲッターロボを駆り、恐竜帝国を退け、百鬼帝国を撃滅した伝説のアイドル、星野アイ。

 

「ま、まさか、あなたは……! ゲッターチームの……」

 

「やっぱり、バレちゃった? フフ、そう。私が保証してあげるよ、この私、星野アイがね!」

 

 サングラスを外した先にあったのは、輝かんばかりの美貌。一番星を宿した、伝説のアイドル。

 かつて吾郎が熱狂し、愛し、信じたアイドルその人が、そこには立っていた。

 

「……い、いや! よく見ると、僕の知ってる星野アイよりも若い……! 星野アイは、もう40過ぎのはずだ……!」

 

 そう、1991年に恐竜帝国を撃滅した星野アイは、その時点で既に17歳だった。

 それから30年近い時が経過した今、星野アイは40歳をとうに超えているはずだ。

 B小町のセンター、アイと星野アイの関係が親子であるとウワサされている程度には。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。