【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル 作:朱鷺野理桜
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スーパードクターG
「ねぇ、せんせ。私、助からないのかな」
「突然深刻なことを言わないでくれ。温度差で風邪をひく」
推しの出演する番組をリアタイしていたところ、天童寺さりなはそんなことを言い出し、研修医の雨宮吾郎がそんな返事を返した。
「たしかに難しい病気だ。だが、医療は日進月歩。いつか必ずさりなちゃんの病気を治す手段も発見される。それまでの辛抱だよ」
「うん……」
気休めにも等しい言葉だ。だが、それしか言えない。そうとしか言いようがない。
吾郎が無力さに打ちひしがれそうになった時、突如として病室のドアが開かれた。
「たしかに、退形成性星細胞腫の生存期間中央値は2年程度……5年生存率も20%を切る、極めて重篤な脳腫瘍だね」
突然病室に入って来た小柄な少女がそんなことを言い出した。
白衣を身に纏っているところからすると、なんらかの医療関係従事者なのだろうが……。
わずか12歳の少女に対し、そんな残酷な現実を突きつけるような真似は、無情と言える。
思わず吾郎が食って掛かろうとし、その前に、少女が力強く宣言した。
「かつては……そうだった! だけど、今は違う! 退形成性星細胞腫の根治すらも可能な治療法が……1つ、ある! ギュッ」
「そ、それは!?」
思わず、吾郎が縋るように問い返す。さりなちゃんを治療することができるのならばと……。
画期的な新療法が、新たなる手術法が開発されたのならばと……。
最後に口でギュッとか言い出したのはなんなのか分からないが、それには触れなかった。
「ゲッターナイフ……! 早乙女研究所が発見した宇宙放射線、ゲッター線による放射線療法! この療法は、極めて低侵襲な上、術野の術後癒着率が極めて低い……!」
「ということは、仮に再発した場合でも!」
「そうだよ! ゲッターナイフにより病巣を減弱させた後であれば、増悪が見られたとしても摘出手術に踏み切ることも容易! さらには浸潤性のグリオーマにすらもたしかな効果が認められている……!」
「す、すごい……! そんな治療法が発見されていたなんて……!」
医者である自分ですらも知らない画期的な新療法。
それを齎してくれた彼女は、いったい何者なのか。
「その治療法があれば、さりなちゃんは!」
「うん、アイドルにだってなれるよ。私が保証してあげよう、元アイドルの私がね!」
「えっ! 元アイドル!?」
どうして顔を隠しているのかと思ったら、なにやらそう言う都合があったらしい。
そしてふと、吾郎はなにか符合するものを感じた。
早乙女研究所、元アイドル、ゲッター……。
さりなが激推ししているアイドル、アイ。一番星の再来と言われるアイドル。
そう、再来。かつて、一番星を宿していると言われた、伝説的なアイドルが居た。
かつて、吾郎が若かりし頃、日本の子供たちの全てが知っていたアイドル。
いや、日本人ならば、あるいは、世界中の誰もが知っていた。信じていた。崇めていた。
まさに、最強で無敵のアイドルであり、だれもが信じ、崇めた地球の救世主。
早乙女研究所で作られたゲッターロボを駆り、恐竜帝国を退け、百鬼帝国を撃滅した伝説のアイドル、星野アイ。
「ま、まさか、あなたは……! ゲッターチームの……」
「やっぱり、バレちゃった? フフ、そう。私が保証してあげるよ、この私、星野アイがね!」
サングラスを外した先にあったのは、輝かんばかりの美貌。一番星を宿した、伝説のアイドル。
かつて吾郎が熱狂し、愛し、信じたアイドルその人が、そこには立っていた。
「……い、いや! よく見ると、僕の知ってる星野アイよりも若い……! 星野アイは、もう40過ぎのはずだ……!」
そう、1991年に恐竜帝国を撃滅した星野アイは、その時点で既に17歳だった。
それから30年近い時が経過した今、星野アイは40歳をとうに超えているはずだ。
B小町のセンター、アイと星野アイの関係が親子であるとウワサされている程度には。