【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル   作:朱鷺野理桜

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Q.ゲッター線って一体なんなのよ! 核ミサイルとは融合する! 火星はテラフォーミングする! ゲッターエネルギーって一体なんなのか教えてちょうだい!

「最終決戦感出しても、永遠の戦い感出しても、最終決戦後の平穏END感出しても、結局は転生する辺り、私の仮説が真実味帯びて来たな……」

 

 またもや転生である。これ本格的にゲッターエンペラーのための駒説が真実味帯びてきちゃったね。

 しかーし、今回の私は今までの私とは違う! 前回で散々にアレコレ勉強したり研究したお陰で、いろんな将来の展望が描ける。

 スパロボ時空に転生した場合、とんでもない敵ととんでもない回数戦う羽目になるという難点があるが、それらを帳消しにできるすさまじい利点がある。

 

 生き残れるのだ。

 

 スパロボ補正、あるいはスパロボ展開として、本来なら死んでいたキャラが救済される展開が私にも適用される。

 まぁ、スパロボ補正があっても死ぬパターンがある辺り、スパロボなら絶対に生き残れるわけではないのだろうが……。

 

 さらに言えば、スパロボ時空においては本来ならば決して交わらない世界との交流もあり得る。

 バンプレオリジナルもあるしね。トップ世界の縮退炉はよく分かんなかったけど、ヒュッケバインのブラックホールエンジンはもしかしたらわかるかもしれないし。

 仮に作れた場合、バニシングゲッターにならないことを祈りたい……毎度虚無ってるからバニシングしてるのは変わんない気がするな。

 いま思うとZ時空は惜しかった。あの世界でも色々勉強しておけばよかったなぁ……。

 

 ともあれ、私はサルファ世界で色々勉強した。勉強した結果「なにもわかりません」と言うことが分かるというなんとも言えないこともあったが……。

 GSライドとか特に意味不明だったね。勇気で動くエンジンって、つまり精神論で動くエンジンってことでしょ?

 それでも色々と勉強し、いろんな技術を学び、ゲッターに応用できそうなものはあんまりないことも分かったが……。

 

 だが、重点的に勉強したゲッター線関連の技術はしっかりと私の頭の中にある。

 特にゲッター線増幅装置のことは暗記するレベルで学んだのだ。

 さすがにすぐにとはいかないものの、ゲッター線をエネルギーとして活用する基礎理論の構築さえ済めば、そこから自然と導出できるだろう。

 つまり、早乙女博士超がんばって。はやく基礎理論提唱して。

 

 

 早乙女博士がゲッター線に関する理論を提唱するまでは、私には何もやることがない。

 なので、暇潰しを兼ねて喧嘩に明け暮れた。決して無意味に喧嘩をしているわけではない。

 

 今まで何度も転生したので、長く戦いから離れると腕が鈍ることは体感的に分かっている。

 その一方で、かつてマクロスで戦った際の経験から、戦闘行為に参加すればその鈍りが抑えられることも分かっている。

 いやほら、ゲッターロボの整備パーツなんか用意してなかったから、ヴァルキリーに乗って戦うこともあったんだよね。戦ってさえいれば腕が鈍らないってのは実感として分かってるんだよね。

 たぶん、神経の昂りとかなんかそう言うのが影響しているんだと思うけど……。

 

 さすがにゲッターの操縦の腕は落ちてしまうが、戦闘にあたっての反射神経の冴えとか、そう言うのは喧嘩で維持出来る。

 まぁ、そこら辺の学生との喧嘩なんか、ちょっと撫でてやってるだけみたいなものなので、そこまでピリピリした戦闘にはならないんだけどね。

 

 だから超小学級の喧嘩娘をやり、高校生相手でも容赦なく蹴り倒し、周辺地帯の学生を纏め上げる総番長になった。

 そして、12歳になったころにアイドルとしてスカウトされたので、私はスカウトに頷いてアイドルになった。

 べつに好き好んでやりたくはないんだけども……スパロボ世界ではアイドルのポジションは凄く便利なのだ。

 ミンメイアタックならぬ、アイアタックの時は凄かったね。推定10億人超を相手にライブとか緊張感すごかった。

 

 そのアイドルとしての腕前も鍛えておきたいので、これからは積極的にアイドル活動もする。

 それにまぁ、ゲッターロボの歌とかを日本中に布教するのも結構気持ちいいしね……。

 

 ちなみに、この世界における私は1973年生まれ。

 どのゲッターロボを基礎にしているかで転生年代は異なる。

 1973年だと、おそらくだがネオゲッターロボ時空だ。1991年に18歳になるからね。

 東映アニメ版時空だとしたら、たぶん1950年代生まれになるんだよね、私……今まで行き付いたことないけど、ちょっと怖いな。アグネス・チャンとかと同期になるって言うのはあまり考えたくない……。

 

 今回の私は1980年半ばころ、おニャン子クラブ台頭前で、ちょうどソロアイドル全盛期だから、私はソロデビューだった。B小町じゃないんだ……ところでB小町のBってなに? G小町にしていい?

 

 アイドルになって間もないのに、私傘下の不良学生どもがチケットを買い漁るから、いつも大入り満員である。

 まぁ、私の歌唱力もダンスも、アイドル初心者の小娘とは比較にならないレベルにあるのもたしかだ。

 私はあっという間に人気が出て、16歳の頃には日本中の誰もが知っているようなアイドルに成長した……。

 

 ……ここまで人気になるつもりはなかったんだけどなぁ。

 

 そうこうしているうちに、早乙女博士がゲッター線の基礎理論を提唱し、ゲッター炉の実用化に成功させた。

 まだ初期型だが、宇宙空間ならば膨大なゲッター線が得られる。宇宙開発に最適に違いない! ということで、ゲッターロボの開発が決まった。

 当然だが、そんな大規模プロジェクトだから国家の承認も受けているし、なんなら予算も国家から降りている。

 

 基本的に宇宙開発って軍事と中々切り離せない領域にあるからね。他国なら宇宙開発は軍と密接な関係にある。

 日本はそこらへん複雑なんだけども……まぁ、宇宙開発やんなきゃって機運はあるからねー。

 

 私は早乙女博士の論文を精査し、以前の世界と相違ないものであることを確認。

 その上で、ゲッター線の基礎理論からゲッター線増幅装置の基礎概念を提唱した。

 

 突然アイドルが核技術関連の論文を提出したからちょっと騒ぎになったが、まぁ、そんなに気にするほどのことでもなかろう。

 ゲッター線はゲッター線なんだけど、分類的には宇宙放射線で、要するに核技術のそれに相当するんだよね……。

 

 早乙女博士が泡を喰って私にアポイントを取って来たのでもちろん受け入れ。

 そして、ゲッター線増幅装置の基礎概念から、それを実用化するにあたっての技術障壁。

 また、実用化した際のゲッター線の効率、それを用いた宇宙開発ロボットの性能についても詳しく説明した。

 

 ゲッター線は宇宙では無尽蔵に降り注いでいる。しかし、単位時間あたりの出力には制限がある。

 ゲッター線増幅装置はそうした単位時間当たりの出力制限を大幅に引き上げることができるのだ。

 宇宙空間では早々エネルギー生産と言うものは望めない。その頼みの綱がゲッター炉心。

 そのゲッター炉心の性能を何倍にも引き上げることができる技術はまさに革命的なものだ。

 

 逆に、地上でゲッター線増幅装置を使えば地球上の希薄なゲッター線密度でも莫大なエネルギーが望める。

 現状、ゲッター炉心の性能はどんなに好条件を揃えても精々のこと30万馬力程度である。

 これは原子炉と比較して破格のエネルギー効率なのだけど、宇宙から降り注ぐゲッター線を収集するという難点がある。

 単純な話、一地域に複数の大型ゲッター炉心を設置しても、ゲッター線の取り合いになってしまうのだ。

 それにそもそもの話、地球上ではゲッター線を収集してゲッターロボを動かしている。現状ではゲッター炉心を常時稼働させられないのだ。

 

 そこで私の提唱したゲッター線増幅装置を使えば、この出力を一気に何倍にも引き上げることができる。

 そして逆に、何倍の出力を得るのではなくて、等倍の出力を何倍の時間得られるようにすることもできる。

 

 そんなことできるのかとも思うかもしれないが、ゲッター線は集めて収集することができるものなのだ。

 ゲッターエネルギータンクってものも存在するしね。それに真ゲッターなんかはゲッター線を充填させたことで稼働している。

 いずれにせよ、電池みたいにエネルギーを貯蓄しておけるのだ。それも、原子炉以上の出力を持った炉心で。

 いずれゲッター線増幅装置の性能が高まれば、無限エネルギー資源にまでなるけど、さすがにそこまではすぐに行けない。真ゲッター頃まで待ってほしい。

 

 これはもう革命的なんてものじゃない、世界大戦も引き起こしかねない破滅級の新エネルギー技術だ。

 人類のエネルギー問題を解決し得る鍵となると目されたゲッター線を、一気に実用のレベルにまで引き上げられる。

 エネルギーメジャーがマジギレする展開だね。まぁ、私には関係ないが。

 

 この場合の関係ないというのは、マジギレしようがなんだろうがゲッター線は絶対に頭角を現すから意味がないということだ。

 自分を表現してくれる存在が現れた以上、ゲッター線が座して見守ることはないだろう。

 エネルギーメジャー関係者皆殺しか、ゲッターわからせされるだけだ。いずれにせよすばらしいことだよ展開になって分かってくれることだろう。

 

 神だの仏だのが出て来ても容赦なくぶっ飛ばすのがゲッターだ。

 エネルギーメジャーだって容赦なくぶっ飛ばすことだろう。

 私だってぶっ飛ばすし。ゲッター線はどうあっても必要なんだから諦めろ。

 まぁ、そのゲッター線も、間違ったことしたらぶっ飛ばすが。

 そのために私に使われろ、ゲッター線。

 

 

 

 ゲッター線関連の技術が発展していく中、私のアイドルとしての人気も絶頂を極めていく。

 ドーム公演の話が本決まりになり、私配下の喧嘩三昧の不良学生どもも沸き立つ。こいつらいつまでついてくるんだ……?

 

 ゲッターロボの開発も本格化していき……そして、恐竜帝国の影が忍び寄って来た。

 早乙女博士がゲッターロボを戦闘用に改造することを決意。

 そして、私にもその話が来たので、私はゲッター線増幅装置を提供した。

 

 元はと言えば早乙女博士の造ったゲッター線増幅装置だが、提供したのは私流ゲッター線増幅装置。

 ゲッター線関連の技術を全て自分で作り上げた早乙女博士の造ったゲッター線増幅装置の完成度は素晴らしい。

 だが、真ゲッターロボの原作での有様を見なさい……最終的に火星に勝手に行っちゃったよ。アークとかネオゲを見習え。いや、ネオゲはゲッター線駆動じゃないけどさ……。

 

 今回、私が提供したのはおそらくゲッターロボアークにおけるゲッターロボアークに搭載されるものの原型。

 真ゲッターロボに搭載されたものにはかなり劣るが、安定性が抜群というものだ。系統としてはゲッターロボGに搭載されていたものの発展形と言うことになる。機体側と炉心の性能の低さから、5倍くらいの出力が精々だけど。

 これで本当に大丈夫なのかはアヤシイところだが、真ゲッターのアレよりはマシだ。いざって時にどうなるかは知らない。

 

 いや、ゲッター線って頑張って制御しようとしても、暴走する時はするし……。

 逆に、ゲッター線にとって必要ならちゃんと制御できるから……いや、ほんとに制御できてるのかなあれ……?

 なんならゲッター線って暴走も安定もしてなくて、必要に応じて暴走っぽく動いたり、安定っぽく動いてるだけな気もする……。

 ともあれ、私流ゲッター線増幅装置は安定感抜群で、早々暴走することはない代物だ。

 

 これのおかげでゲッターロボの性能は大幅に向上するだろう。

 同時に、これのせいでゲッターロボの乗り心地はさらに悪化するだろう。

 まぁ、大した問題ではない。がんばって乗りこなせばいいだけだ。

 がんばれ♥がんばれ♥……そろそろ乗り心地のことも考えるか♠

 

 

 

 そうして、ゲッターロボの戦闘型改造が完了しようかという頃、恐竜帝国の侵略は始まった。

 私は初っ端からゲッター3のパイロットとして活動している。元から早乙女博士と知己はあったし。

 ゲッターロボと言う非常識の権化みたいな代物を操縦出来るパイロットは希少だ。

 

 博士もその辺りには苦慮していたので、私に乗らせろと言って乗った。

 そして見事に乗りこなして見せたので、私はゲッターロボのパイロットになったわけだ。

 問題と言えばイーグル号に乗せられそうになったことだが、ベアー号の方がいいとゴリ押ししていつものポジションについた。

 うっかりイーグル号に乗って、隼人か竜馬が恐竜帝国に単騎特攻する羽目になったらどうするんだ。

 

 

 

 それから紆余曲折はあったが、結局のところ、そう展開に変わりはなかった。

 ゲッターも可能な限り強化したのに、結局竜馬は記憶喪失になってしまった。

 まぁ、前までの世界よりは格段にいい形でここまで進んではいるんだけど……。

 恐竜帝国だけではなく、百鬼帝国も先にボコにしておかないといけないのだろうか……難易度高いぃ……。

 

 結局、私が最終決戦にたった1人で赴かなくてはならないことに違いはないらしい。

 

 なんだかなぁと思いつつも出撃。でも、今までの私とは違うぞぉ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェェンジ! ゲッター1!」

 

 竜馬たちをゲッタームチウチにしながらも繰り返した音速超過の強硬合体。

 この強硬合体ならば、普通の合体よりも格段に早く戦闘状態に移行できる。

 3人でチェンジするのと同レベルの隙しか見せずに済むのだ。

 

「ゲッタービームッ!」

 

 ゲッター線増幅装置の力によって得られる出力は破格だ。

 放たれるゲッタービームは一瞬でメカザウルスを貫通し、その背後のメカザウルスまでも消し飛ばす。

 ゲッター線防御装置、電磁シールドですらも易々と貫通し得る出力が得られるのだ。

 

 これのせいかもしれないなぁ。

 

 ゲッタービームが通用しない相手が多々居て、それを打ち破るために私たちは工夫して戦った。

 でも、私がゲッター線増幅装置を実用化して搭載したから、ゲッタービームだけで片付く場面が多かった。

 そのせいで竜馬たちがヘボになった? うーん……ゲッターシミュレーターで死ぬほどしごきまくるべきだったかな。

 

「まっ、終わったことはしょうがないっか! チェンジ! ゲッター2!」

 

 地上からの対空砲火が厳しくなってきたので、ゲッター2にチェンジ。

 ドリルアームを唸らせながら地上に向けてパワーダイブを敢行する。

 行きがけの駄賃に適当なメカザウルスをぶち抜いてから地中に潜航し、手ごろな場所で地上に出る。

 

「いっくよぉー! 0.01秒の世界を見せてあげるからね! マッハスペシャル!」

 

 これを地上の市街地でやると、音速を超えた衝撃波で町が壊滅する。

 事実、ニューヨークの窓ガラスが次々と木っ端微塵になっていくが、どうせ既に壊滅してるので些細な問題だ。

 超音速の世界で次々とドリルアームでメカザウルスを貫き、敵を駆逐していく。

 

 ……やっぱり、そうだ。

 

 ゲッター炉心のパワーが異常に高い。私1人しか乗っていないのにも関わらず。

 ゲッター線増幅装置のお蔭でもない。搭載してからずっと、実戦運用しながらデータを取っていたのだ。

 これは明らかにゲッター線増幅装置のキャパシティを超えたほどのエネルギーを発揮している。

 ゲッターの意思が、この場面におけるゲッターロボのエネルギー上限を明らかに引き上げている。

 

「ゲッターが私になにかを求めている……なにを?」

 

 ここでゲッター炉心のパワーを引き上げることで、なにがあるというのか。

 いつも通りなら、私はこの後にゲッター炉心のリミッターを全解除してエネルギーを引き上げ、自爆する。

 ゲッター線増幅装置のお蔭もあり、いつもよりも盛大な爆発が発生することだろう。

 

 ……もしやそれだろうか?

 

 メカザウルスを、恐竜帝国を徹底的に滅ぼすために、ゲッター線が張り切っている?

 でも、ここにいるメカザウルスを皆殺しにしても、地底の方にある恐竜帝国は別に滅ばないんだけどな……。

 

「分かんないけど、まぁいいか」

 

 どうにせよ、ここにいる連中は皆殺しにしなければならない。

 ゲッター線どうこうではなく、人類の未来のために。

 

 

 

 

 

 …………

 

 長い戦いだった。体が悲鳴を上げているのが分かる。

 ゲッターロボの操縦に耐えられる私でも、強硬合体の繰り返しは堪える。

 私もゲッターも満身創痍と言って差し支えない状態だ。

 

 だというのに、空も地も埋め尽くさんばかりにメカザウルスは未だ残っている。

 あきれ返るほどの物量だ。どこからこんなに湧いて出て来たのやら。

 

 ゲッターロボも、もう限界だろう。胴体を貫かれ、左腕も喪った。

 動いているのが奇跡とすら思えるほどの状態だった。

 

 もう、自爆しか手がない。

 

 以前に自爆した時の倍以上の時間は稼いだのに、未だ救援はない。

 やはり、ゲッター線はここで私の死を望んでいるのだろうか。気に入らないな。

 あるいは、ここで撤退すれば、なんとかかんとかゲッターロボGが間に合ってくれるのかもしれない。

 

 でも、それも気に入らないな。

 

 最後の手だ。試してみるだけの価値はあるだろう。

 私はフッと笑うと、ゲッター炉心のリミッターをすべて解除した。

 

「行くよ、ゲッターロボ。最後だから、気張ってよね!」

 

 悲鳴のような金属の軋みを上げながら、ゲッターロボは屹立する。

 

「ゲッターウイング!」

 

 ゲッターロボは空へと舞い上がる。最後のとっておきは空中じゃなきゃ使えない。

 さぁ、はじめよう。暴走するゲッター炉心によって、機体の温度が異常に上昇していく。

 焼けつくような心地の中、私はゲッター炉心のエネルギーをさらに高めていった。

 

「ゲッター線増幅装置だけじゃ、本来の10倍は出せない……せいぜい5倍。でも、後先考えない暴走状態なら、10倍まで持っていける」

 

 いま、ゲッターロボは本来のゲッターロボの10倍以上のエネルギーを発揮している。

 残念ながら、機体剛性が足らないので、そのエネルギーを完全に使えるわけでもないのだが。

 だが、本来の10倍以上のエネルギーを発揮させることができれば、理論上はアレが使える。

 

 そう、10倍以上の出力を持つゲッターロボGの必殺技が。

 

 機体が保つかどうか……たとえ保ってくれたところで、私が無事で済むかどうか。

 分からないけど、やってみるだけの価値はある。ワンチャンあるならそこに全部注ぎ込むくらいはしないとね。

 私は笑い、気合を込めて叫ぶ。

 

「ゲッタァァァァ! シャアァァァァイン!」

 

 ゲッターロボ最強の必殺技、シャインスパーク。

 本来、ゲッターロボGの必殺技であるそれがゲッターロボに使える余地はない。

 だからこれは、本来ならできないようなことを、エネルギー任せに無理やり使う無茶だ。

 

 ゲッターロボGは完成間近。シャインスパークは後々追加された必殺技だが……。

 一説には、シャインスパークは完成時点でその機能があったが、3人の連携が完璧ではなかったために封印していたのだという。

 それもまた頷ける話なのだ。ゲッターロボGでは車弁慶が合流したばかり。ゲッターチームの連携は完璧ではなく、3つの心は1つになり得なかった。

 

 つまり、現時点でシャインスパークの基礎概念が完成していてもおかしいことはない。

 そもそも、後々に追加されたのだとしても、現時点で技の基本的な理論が完成していてもおかしくはないのだ。

 理論も出来てない技、つまり使い方も何も分からないものを機能として捻じ込むことは出来ないのだから当たり前だ。

 私はゲッター線研究者と言う一面もあるので、早乙女博士の研究成果などの閲覧資格もあった。

 そして、その中には、強力に増幅したゲッターエネルギーを纏い、それを射出することで敵を爆砕する技があった。

 

 ゲッターロボでもそれはできる。できるが、エネルギーが足りない。

 ゲッター線増幅装置で得た5倍のエネルギーでも足りない。加えて、機体剛性も不足している。

 そのために新型ゲッターロボでは機体構造も強化し、新型ゲッター線増幅装置を搭載することで不足するエネルギーを補う。

 この技は現状のゲッターでは無理であり、新型ゲッターに搭載する。早乙女博士のレポートはそう結論付けられていた。

 

「ぐっ……うぅぅあぁぁぁあぁあああああああ――――!」

 

 やっぱり無茶だったかもしんないなぁ。

 強力に増幅されたゲッター線、高熱が私の体を焼き尽くさんばかりに襲って来る。

 焼けついた手はもう操縦桿から離れそうもないが、好都合だ。

 

「纏めて消えろ! シャイン! スパアァァァァァク――――ッ!」

 

 音速をも超えた速度でゲッターは飛翔する。

 ゲッターの太陽の如く輝くゲッターロボに、メカザウルスたちは眼も眩むばかり。

 その輝きに、かつての滅びでも垣間見たか。帝王ゴールの悲鳴のような声が聞こえる。

 シャインスパーク。一説にはストナーサンシャインを遥かに超える威力を持つというゲッターロボ最強の必殺技。

 百鬼帝国の科学要塞島を一撃で爆砕してのけたほどの威力を持つ。これに耐えられる相手などそうはいない。

 まして、平地に展開したメカザウルスの軍勢ごとき、なにをかいわんやである。

 

 ざまぁみろ、おまえたちを滅ぼした光線だ。もう1度滅べ!

 

 ゲッターロボから分離したエネルギーが敵中央へと着弾。

 瞬間、眩いばかりの輝きが溢れ出す。破壊の力が解放される。

 メカザウルスたちを瞬く間に飲みこみ、それは悲鳴までも掻き消していく。

 

「あはっ……ざまぁ、みろ、恐竜帝国……」

 

 ゲッターの輝きが私とゲッターロボまでも飲み込んでいく。

 ふふ……一矢は報いたってところかな? とりあえず、まだ死んでないもんね……。

 

 

 

 

 

 

「アイ! アイッ!」

 

 悲鳴のような声に私の意識が戻る。

 どこも痛くない。頭がぼんやりする。

 

 うっすらと目を開ければ、そこには包帯塗れの竜馬の姿があった。

 その後ろには息を呑む隼人の姿があった。2人ともゲッターロボのパイロットスーツ姿。

 顔が近い。竜馬に抱きかかえられているのか、私は。

 

「フフ、竜馬……私の名前をはっきり呼べるところをみると、記憶が戻ったんだね……」

 

「アイ! しっかりしろ! 隼人ォ! どうにかなんねぇのか!」

 

「……無理だ。こ、これほどまでになってしまっては……もう、打つ手が……」

 

 なに泣いてんのかな。そう思ってみると、あちこちが融解したゲッターロボのコクピットにいることが分かった。

 ああ、そうか。ようやく救援が来たわけか。でも、そうか、なるほど。

 

 私の体はもう手遅れなんだな。

 

 どこも痛くないのは、もう手遅れだという証拠なのだろう。

 神経が麻痺してるのか、それすらも感じられないほどに体が壊れてるのか。

 いずれにせよ、痛くないままに死ねるなら都合はいいんじゃないかな。

 

「フフフ……敵は倒したけど……私のほうがこわれちゃった……」

 

 ああ、なんだこれって思ってたけど。

 これ、私の手だ。炭クズかと思った。

 手がこの有様じゃ、他もひどい有様だろう。

 

「ふ、ふざけるな……こ、こんなっ、こんな!」

 

「アイ……最期に言い残すことはあるか?」

 

「隼人! アイはまだ!」

 

「もう手遅れだ! 現代の医療技術ではアイは助けられん! 俺たちにできることは、看取ることだけだ……」

 

「くっ……クソッ! クソォォオオオオ――――! 俺が! 俺が寝ぼけてなけりゃあ! 俺のせいで!」

 

 男泣きする竜馬の横っ面を引っ叩く。

 生憎、いつもと違って何の痛痒も与えられないほどに弱々しい一撃だった。

 

「甘ったれないで……泣くのも、喚くのも……やるべきことを、やってから……2人には、もっと残酷な、未来が……」

 

「あ、アイ……」

 

「まだ、敵が……いる……私たちのまだ見ぬ、強大な敵が……宇宙に、アンドロメダ……」

 

「アイ! しっかりしろ! し、死ぬな! 死ぬんじゃねえ!」

 

「……竜馬、隼人……また会える……」

 

「また!? またっていつだよ! なぁ、アイ! アイ!」

 

「ゲッターが……導いて……くれる……そして人類は……ゲッターを、導かなきゃ……ゲッターがまちがったら……殴ってでも、とめて……」

 

「ゲッターが!? よ、よく分からねぇがぶん殴ってでも止めてやる! だから、アイ!」

 

 ああ、もう限界だ。意識が保てない。

 この冷たい、地の底から昇ってくる感覚。

 これが、死か。いつも一瞬で死んでいたから、知らなかった。

 思っていた以上に、冷たくて、嫌な感じ。

 

「じゃあね……ダチ公……あとは、頼んだ……よ……」

 

 ふふ……次はもっと、うまくやれるかな……?

 そんなことを想い、私の意識は静かに失せて行き、ゲッターへと還っていった。

 

「アイ……? な、なぁ、嘘だろ? そんな、アイが。だ、だって、アイは、俺たちより強くて……げ、ゲッターのことだって、なんでも……」

 

「竜馬……もう、アイは……」

 

「嘘だと言ってくれよ、アイ……なぁ、アイ! アイィィィィィ――――!」

 

「アイ……俺たちを、恨んでくれ……おまえを見殺しにした俺たちを、存分に恨んでくれ……!」

 

 最期に、竜馬と隼人の慟哭を聞いたような、そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの死に方はちょっと悪いことしたかな?」

 

 もしもあの世界線の竜馬と隼人にまた会えたらごめんなさいしないといけないかもしれない……。




アイちゃんは竜馬と隼人に壮絶なトラウマ作ってひどいことしたよね
ごめんなさいしないといけないよね
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