【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル   作:朱鷺野理桜

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日刊ランキング4位ありがとうございます!
胃が痛いです!


A.命……

「やっぱりサイコゲッターはダメだったかな」

 

 原作漫画時空と思しき世界にまたもや転生。

 そして、前回と同じく喧嘩しつつアイドルやり、ゲッター線増幅装置の基礎理論を提唱。

 さらに今回はサルファ時空で学んで来た各種の材料工学分野についてもアレコレ手を出した。

 

 炉心の出力だけ上げてもダメなんだ。機体側の剛性をあげないとパイロットが死ぬ。

 なので、そんなに作るのが難しくなくて、フレームに使える強度と軽量さを持つ金属。

 そう言うのを求めた結果、宇宙世紀のサイコフレームに行き当たった。

 

 作るのは難しくないって言うのは宇宙世紀基準だから、20世紀の科学技術では結構厳しかったんだけど……。

 でも無理じゃなかったからね。採算度外視で色々作れる早乙女研究所だからこそ、だ。

 なんとかかんとかサイコフレームを大量に用意し、ゲッターロボのフレームをサイコフレームに置換。

 その結果、軽量化された上で強度は上がり、そのおかげで装甲を増やしたり、機器を追加出来るなどした。

 

 完璧とは言えないものの、なんだかんだと性能は上がった。

 機体性能が向上したお陰で、炉心側にもうちょっと無理させられるようになり、出力も10倍までアップ。

 総合的にはゲッターロボGに匹敵するポテンシャルを得られたのだ。

 

 これなら恐竜帝国全滅だ! と意気込んで、時間を稼ぐのはいいけど、倒しちゃってもいいよね? とか死亡フラグをおっ立てて出撃。

 

 初手シャインスパークを叩き込んでやろうと出力を上げ、精神を集中させたら……。

 なんかこう、装甲の隙間から変な結晶が飛び出してきちゃってね……。

 ゲッターロボが勝手に動いてシャインスパークでメカザウルスを消し飛ばして勝利、まではよかったんだけど。

 そのまま勝手に火星にテラフォーミングしにいっちゃって……。

 気付いたらこう、転生しちゃってたんだよね。

 

 やっぱり、ニュータイプじゃない私じゃ扱い切れないからって、ゲッター線で意志を媒介したのがダメだったかな。

 私の意思じゃなくて、ゲッター線のエゴが表現されちゃった気がするんだよね……。

 

「うーん、求めるものは得られてたし、サイコフレーム自体は間違ってなかったと思うんだけど……安定性が……考えてみたら、安定性のないゲッター線とサイコフレーム掛け合わせるとか手の込んだ自殺かな?」

 

 私としては、ニュータイプ的感性を少しでも得られるというオマケ要素は置いといて。

 単純に構造材として強靭だったから採用しただけなんだよね。ゲッター線で意志を媒介するとまんまニュータイプになれたけど。

 3人乗りで普通に使ってる分には問題なかったのに……1人乗りの時にサイコフレームをフル稼働させたらまずい感じかな?

 

「でも、ニュータイプ的感性を発現させて、融和と言う方向性自体は間違いじゃない、気がするんだよね」

 

 原作では、早乙女博士の傍にゲッター線と同化した恐竜帝国のゴールと、百鬼帝国のブライがいた。

 ゲッター線は恐竜を認めずに滅ぼしにかかったが、ゲッター線との同化を拒んだりはしなかった。

 そして、ゲッター線を滅ぼさんとする百鬼帝国ですらも、その存在を認めていた。

 

 ゲッター線とは生命以前のあるべき形であるから、生命とはそこに還るだけと言われればそれまでだけど。

 でも、ゲッター線の中では融和出来る、分かり合えるのならば、ゲッター線は融和の形を拒否しているわけじゃない。

 

 闘争を是とし、相克し合い、滅ぼし合うことでゲッター線は成長を、進化を促す。

 だからと言って、融和を否定するわけじゃない……だからこそニュータイプ的感性で融和というのは間違いではない気がするんだよね。

 今後もサイコフレームの研究については進めてみるべきかな?

 でもあれ、宇宙世紀ですら偶然できちゃったオーパーツらしいから、私が頑張っても何も分からない気がする。

 

「融和を試みつつも、戦うとなれば滅ぼす……まぁ、その辺りはゲッター線に担当させるとして、ゲッター線とサイコフレームが共振し合うのを防ぐには……」

 

 すんごい無理難題を言ってる気がする……やっぱサイコフレームそのものがダメなのかな?

 高強度軽量さを追求するんじゃなく、ゲッター線による装甲修復能力を高める方法とか……マシンセルとか勉強しておけばよかった。

 いずれF完結編とかにいけたら、アルティメットガンダム細胞を研究してみよ。デビルゲッター細胞とかにならないことを祈りたい……。

 

「……あれ、そう言えば」

 

 ふと気付いて、自分の体を見下ろす。

 相変わらずの私服姿の私だが、体がどうみても赤ん坊じゃない。

 はて……たしかに死んだわけじゃないけど、実質虚無ったようなものだったのでは。

 特殊死亡条件満たすと何か特典あるとか……なんかそう言う?

 

「んん……? もしかして、遥か未来で目覚めたとかそう言うパターンなのかな、これ」

 

 捨てられレベルがアップして、出生直後に野外に捨てられたとかそう言うやつかと思ってたんだけど。

 とすると、推定ではここは火星になる。ゲッター天とか出てきませんように……そんなことを祈りながら、私は周囲を探索することにした。

 

 

 

 

 

「ははーん……異世界転移だね。私は詳しいから分かるよ」

 

 山っぽいところを降りたら、普通に町があった。

 ハチュウ人類などはさっぱり見当たらず、純粋に人間のみ。

 そして、荒廃してるとか、発展途上という感じはなく、普通に都会と言う感じだ。

 

 完全に復興した遥か未来と言う可能性もあるけど、それにしてはテクノロジーが発展してない。

 21世紀あたりの異世界だと考えるのが順当だろう。

 なんだろう。なにか特殊条件を満たすと異世界転移で済むとかなのかな……?

 

 謎ぉ……と思いながら考え込んでいると、スライド移動している人間が目についた。

 どこからどうみても歩いてない。にも関わらず、移動している。そんな異常な光景だ。

 

「あれ……私じゃん」

 

 それはどこからどうみても私だった。この世界の私はスライド移動できるのか……自分でも人間か怪しいと思ってたけど、この世界の私は人間じゃなさそうである。

 思わず凝視していると、この世界の私がスイーッとスライド移動して近付いてきた。

 

「ねぇねぇ、もしかして、私のこと、見えてる?」

 

「見えてるよ?」

 

「うっそ、見えてるんだ!」

 

 ビックリしてるけど、そりゃ見えるでしょ。光学迷彩でも起動してたりするのだろうか。

 

「初めて私が見える人に会えたよ~」

 

 なんて泣きそうな顔で言う私。こんなハッキリ見えてるのに?

 その後、詳しく事情を聴いていくと、彼女が幽霊であることが分かった。

 うそでしょ……? こんな顔色よくてはっきり喋る幽霊とか居る? いや、幽霊とか詳しくは知らない……あ、ゲッター線と同化した人たちも分類的には幽霊……?

 

 ゲッター線に同化した人たちはやや発光してるけど、ハッキリ喋るし、姿も見える。

 それと同類と考えれば、別にそれほどおかしい外見ではないのかもしれない。

 

「なんで幽霊になっちゃったの?」

 

 私みたいに特攻でもしたのかと思って聞いたところ、ストーカーに刺されて死んだという。

 これはあれだ……推しの子時空かぁ、ここ。くっ、私が居ればアイを殺させたりなんかしなかったのに……!

 

「それでね、私の子供に会いたいんだけど、会えてもこの状態だと話せないでしょ? だから、通訳とか、してもらえたらなぁ……って」

 

 なんて言いながら、人差し指をツンツン合わせるアイ。

 

「それはいいけど、その前にちょっと聞きたいんだけど」

 

「え? なに?」

 

「引っ越し直後にストーカーに殺されたんだよね」

 

「うん」

 

「住所教えたって言うか、知ってたのって、その所属プロダクションの関係者だけだよね」

 

「そうなるかな?」

 

「でもストーカーが来たってことは、所属プロダクションの人が漏らしたってこと?」

 

「そう……なる、のかなぁ?」

 

「個人的に誰かに話したとか漏らしたとかじゃないの?」

 

「えーと…………あ、もしかして……」

 

「あ、心当たりとかある感じ?」

 

「うん……私の子の父親の……」

 

「ああ、じゃあ、そいつの線が強いね」

 

 って言うかほぼ確定では。所属プロダクションの人間が漏らすメリットがどこにもないんだもん。

 加えて、ストーカーが来やすいって意味では、引っ越してそれなりに生活し始めた頃よりも、引っ越して間もない頃の方が都合がいいはず。

 となると、情報を漏らした直後に殺されたって考えた方が自然である。

 

「カミキヒカルにケジメしないとだね……」

 

「あ、知ってるんだ。やっぱり私だから?」

 

「オッケーゲッターで知ったんだよね~」

 

「へー。グーグルじゃないんだ」

 

「グーグルほど手軽じゃないけど、情報の正確さはピカ一だよ。使い方ミスると虚無るけどね」

 

「きょむる?」

 

「虚無るって言うのは……うーんと……うん、虚無るんだ」

 

「ぜんぜんわかんない……」

 

 どうやって説明したらいいか私も分かんないし……。

 ともあれ、アレコレ調べてカミキヒカルの居場所を突き止めた。

 劇団ララライとか言うところに所属してて、個人事務所もやってるって言うのは覚えてたからね。

 

 

 

 神木プロダクション代表取締役とか言う厳つい肩書の持ち主である彼。

 そんな彼が仕事を終え、おそらく帰宅するであろう場面。

 私はビル屋上から飛び降り、地面にズドンッと激しい音を立てて着地した。

 

 その轟音にカミキヒカルがこちらに目を向けるが、その時にはもう既に猛然と走り出していた私は間近に迫っていた。

 素顔で落とし前つけさせに行くほど私もバカじゃない。もちろん覆面はしている。

 至近まで迫った私は、思わず逃げ出そうとしたカミキヒカルに向かって、その両手を繰り出していた。

 

「目だ!」

 

 星が入っているとか言う無茶な眼球に指を突き込み、それを一挙に抉り取る。

 

「耳だ!」

 

 眼球を掴んだまま眼窩から指を引き抜き、耳を引き千切る。

 

「鼻!」

 

 最後に、鼻穴に指を引っかけ、それを毟り取った。

 

「ヒィーヒヒヒヒッ!」

 

 トドメに数発思いっ切り殴っておいた。

 

「よし!」

 

 私はダッシュで逃げた。

 

 

 

 芸能界にコネがあって、なにやら黒い手段にも知識がある。

 そう言った相手にからめ手を使う場合、それを上回る技量かコネが必要だ。

 もちろん私にはそんなものない。だが、私にはダイナミック世界出身の身体能力がある。

 

 相手に存在を知られる前に相手の所在を知り、有無を言わせぬ暴力で捻り潰す。

 これが私には一番確実なやり方だ。実際、うまいこと相手も始末できたしね。

 

 加えて言えば、調べるにあたってもネットカフェなどを利用したので探られることもない。

 これで、彼との間に何かしらの縁故や問題が起きたなどの記録があれば違うのだが……。

 私と彼の間には関係が1ミリもないので捜査線上に上るってことはないだろうしね。

 こうして無事にカミキヒカルを抹殺し終えた私は、この世界の私の要望で彼女の双子の子供を探していた。

 

「名前は星野アクアマリンに星野ルビー。すっげー名前つけたね」

 

 私の孫も同じ名前だったから、世界が違えどセンスは変わらないようだ。

 

「えー? かわいいでしょ?」

 

「かわいいけど、私ならつけないかな……」

 

 ルビーはまだしも、アクアマリンはなー……。

 

「あなたならなんてつけるの?」

 

「星野無敵……男の子だし、強そうでしょ?」

 

「それもよさげだね……アクアと無敵……甲乙つけがたし、って感じかな」

 

 なんて話しつつも、とりあえずは苺プロダクションの所在地へと向かう。

 

「所在地は変わってないみたいだねー。たのもーう!」

 

 ドアをガチョリと開け、勝手知ったる我が家の如く中へと入っていく。

 この世界の私に案内してもらい、中へ中へ。

 

「ちわぁー」

 

 控え室と言うか、待機室と言うか、仕事部屋というか。

 まぁ、なんだろう。小規模事務所にありがちな、生活スペース兼仕事場兼応接室兼……みたいな兼が増えすぎたみたいな部屋。

 そこに大人の女性と、高校生くらいの男女がいた。

 

 こう、複数人いると、自然と意識が切り替わるよね。

 最大観客動員数10億人、レコード累計売上1億枚超の伝説のアイドルとしての自覚が。

 そうしていると、私はオーラのようなものを纏い、眼からは輝きが溢れ出しているように見える……らしい。

 

「ママッ!?」

 

「アイ!」

 

 そして、推定ルビーちゃんと、アクアマリンくんが私を眼にして叫んだ。ああ、やっぱり瓜二つなんだ。

 

「あー、ごめんねー。私は君たちのママじゃないんだ。まぁ、限りなく近い存在ではあるんだけどね。私はまぁ、メッセンジャーと言うか、通訳みたいな? いや、もうめんどいから体貸そうかな」

 

「え? そんなこと出来るの?」

 

「できるよー」

 

 言いつつ、私は隣にいるこの世界の私へと手を差し伸べる。

 私と私の手が重なり、そして、私は彼女と私の意識を繋げ、そして、同化する。

 あれっ、あっ、これ、やばっ――――。

 

 

 

 

 

「ああー……」

 

 私は思わず天を仰ぎつつ、顔を覆う。やってしまった。

 まぁ、私としては万々歳と言えばそうなのかもしれない。

 

 何が起きたかと言うと、私は私と同調しようとした。

 私の意識を落とすことで、彼女の意識を私で表現する。

 ゲッター線と同化したことのある私だからこそ出来る荒業なのだが……。

 

 私と彼女は根源的には同一の存在なのである。

 つまり何が起きたかと言うと……同調し過ぎて同化しちゃったぁ……。

 

「まぁ、しょうがないっか! 過ぎたことだね! アクア! ルビー! ママだよ!」

 

 私は気を取り直し、可愛い我が子へと腕を広げた。

 アクアもルビーも、涙を零しながら勢いよく抱き着いてきた。

 ふふん、生前の私なら耐え切れなかっただろう突撃……でも、ゲッターチームの私なら耐えられる!

 いやぁ、我が事ながら身体能力すごいなぁ。握力何キロあるのこれ。100キロとかありそう。

 

「アイッ、アイ……!」

 

「ママ! ママァ……」

 

「よしよし。今日の2人は甘えん坊だね~」

 

 私は我が子を抱き締め、10年分の愛情を伝えようと2人の耳元でささやいた。

 

「ルビー、アクア。愛してる……これから、何度だって言えるね」

 

 そう言ったら、2人がもうしっちゃかめっちゃかなくらいに泣き出しちゃったのは困ったねー。

 

 

 

 

「わー。このブラウス、もうだめかなー」

 

 アクアとルビーの涙と鼻水でえらいことになってしまったブラウス。

 べつに服に大してこだわりはないんだけど、アイドルとして可愛く見える服は欠かせない。

 清楚で、なおかつ活動的で、さらには魅力的に見える服でなければいけないのだ。

 そう言う服をコーデするのもアイドルとしての技術だけど、あんまり得意分野ではなかったり。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「ごめん……」

 

「いいよいいよ。2人ともママのことが大好きな証拠だからね!」

 

 でも、このブラウスはほんとにどうしようね……?

 

「そう言えば、佐藤社長は?」

 

「その前に……あなたは本当に、アイさんなの?」

 

 社長の奥さん……ミヤコさんがそんなことを問いかけて来た。

 

「んー。どう答えたら信じてもらえるかな? えっと、私のことながらすごーく信じ難いことが起きてこうなっちゃったんだけど」

 

「1から説明してください」

 

 1から……1からって、どこからだろう……?

 

「うーんと……幽霊になった私は、町中をふよふよーって彷徨ってたんだよね。誰か私のことが見える人とかいないかな~って」

 

「幽霊と言う時点で信じ難いのだけど、そこはまぁいいとしましょう」

 

「そしたら、すっごい美少女がいてさ。もう輝いてる! ってくらいなの。周りの人全員が見ちゃうくらいの超絶美少女で、思わず私も見ちゃったんだけど、そしたらその子が私のことに気付いたんだよねー」

 

ママよりもすごい美少女がいるわけがないんだけど

 

ちょっとそれはアイでも言っていいことと悪いことがある

 

「わー。我が子が強火オタクになってる」

 

 力強く断言するアクアとルビーに思わず笑う。

 私のことが大好きな我が子……ほんと、うちのこきゃわ~!

 

「それでさ、その子、なんと私だったの!」

 

「なるほどね? 納得」

 

「やはり、戦いとは同じレベルの者同士でしか成立しないのか……」

 

 これで納得しちゃうのかー。うちの子の思考回路がちょっと心配。

 

「私のことが見えるなら、通訳してもらおうって思ったら、快く了承してくれて、こうしてここに来たんだよね。それで、少しだけ体を貸してくれるって言ったんだけど」

 

「え……? 少しだけ……?」

 

「ちょっとなにいってるかわからない」

 

「そしたら、私と私が混ざっちゃってさ! 体は生きてる私で、記憶は私と私の混合って状態になっちゃったんだよね。肉体的にも天才になっちゃったよ、ますます完璧さに磨きがかかっちゃったかな」

 

「つまり……これからもずっといるの?」

 

「そうだよ~。元々の体の私も、こうなったらしょうがないっかって納得してるから!」

 

 私ではあるからね。互いに合意はあるようなもの。

 どうせ、この世界に来た時点でこの世界で死ぬまではどうにも変化は起きないのだろうし……。

 

「やったぁ! ママ、これからもずっと一緒だよ! ママァ!」

 

「も~、あまえんぼさんだねルビーはー。こんなんで今まで大丈夫だったの?」

 

「うん!」

 

 すりすりと抱き着いてくるルビー。ほんとにあまえんぼだね~。

 

「ええと……説明してもらってもよく分からなかったのだけど……そもそも、その体の持ち主のアイさんはどこから来たの?」

 

「もっと理解不能な話になっちゃうけど……いい?」

 

「とにかく説明してちょうだい」

 

「封印戦争中に結成された独立遊撃隊αナンバーズは銀河中心殴り込み艦隊に編入されて、宇宙怪獣殲滅のためにいて座Aスターに侵攻。周辺宙域1万光年に設置したスレイヴジェネレーターを木星を素材にしたバスターマシン3号を起爆させることで誘爆させて……」

 

「待って……待って!」

 

「なに?」

 

「意味が、意味が分からない……!」

 

 頭を抱えるミヤコさん。

 

「でも、まだ説明終わってないから、続けるね? バスターマシン3号は無事に起爆したんだけど、私たちαナンバーズはウラシマ効果で1万2000年後の地球に帰還したんだ。そこで現れたのがケイサル・エフェス」

 

「何の前触れもなく個人名みたいなものを出されても!」

 

「ゼ・バルマリィ帝国の支配者、創生神ズフィルードの神子ルアフ・ガンエデンを陰から操っていた負の無限力の具現である霊帝ケイサル・エフェスが現れて……」

 

「もっと分からなくなった!」

 

「私たちは最終決戦のために全軍出撃。私も真ゲッターロボのパイロットとして出撃して、壮絶な激戦を乗り越えてついにはケイサル・エフェスを撃破したんだ」

 

 あの時の戦いは本当に凄かった……大変だったし……もう2度とやりたくない……。

 ただ、全軍で、全人類で、心を合わせて歌ったあの瞬間だけは……最高の気持ちだったね。

 

「ケイサル・エフェスは最期の力を振り絞って、サイコドライバーとしての力を最大限に発揮させることでαナンバーズを宇宙の彼方に放逐しようとしてね。私たちαナンバーズのアイドルチームが、最後に全力で歌ったんだ」

 

「なんで歌!?」

 

「私たちアイドルチーム、ランカ・リー、シェリル・ノーム、熱気バサラの全身全霊を込めた歌は、1000万チバソングを超えるサウンドエナジーを発揮して」

 

「待って! サウンドエナジーって何!? チバソングって言う単位は何なの!?」

 

「最期に、ケイサル・エフェスは私たちの歌にぬくもりを感じながら消滅していって、私たちαナンバーズはついに勝利を掴んだんだ。まぁ、宇宙怪獣の脅威とかはまだ残ってるから、αナンバーズに安らぎの日が来るかはまだ分からないんだけどね……」

 

「情報量が……情報量が多過ぎる……!」

 

 やっぱり混乱してしまった。言ってる私でも意味わかんないんだもん。そうもなるよね。

 

「それで、私はそのあとにゲッター線技術者として仕事をしてて、サイコフレームを使ったゲッターロボを建造して稼働試験をしてたんだけど、ゲッター線のエゴが表現されちゃったせいか、ゲッター線と同化しちゃって、火星をテラフォーミングしちゃったんだよね」

 

 そう言うことにしておく。間に1度転生挟んでるけど、転生の説明までしてたら大変だし……。

 

「やっぱり、サイコフレームを全面的に使ったのがまずかったかな? フルサイコフレームゲッターって聞くだけで悪寒がするし」

 

「私たちに理解させるつもりある……?」

 

「あんまないかな」

 

 理解してもらってもしょうがないし。

 

「もう、とにかく謎の固有名詞だらけで……ゲッター線とか……そもそもゲッター線ってなに……?」

 

「ゲッター線って言うのは宇宙放射線の一種なんだけど、微量で莫大なエネルギーを生む放射線なんだよね。私、理論面ではともかく実践面では世界一詳しかったと思うよ」

 

 この場合の実践って言うのは、ゲッターロボで殴る蹴るの暴行するって意味ではなく。

 ゲッター線を商業レベルで利用するにあたっての実用化関連に強かったという意味だ。

 早乙女博士もそれは十分凄かったんだけど、基本あの人は戦闘用ばっかだったからね。そう言う情勢だったからでもあるけど。

 私は商業用ゲッター炉心の開発とか、ゲッター線医療機器とかの開発もしてたので、商業ベースに乗せる発明では私の方が上だった。まぁ、繰り返してるからこそできるチートみたいなものだけどね。

 

「あ、考えてみれば、ゲッター炉心をこの世界で作れば収入面では安心だね」

 

 ゲッター線なんか積極利用して大丈夫なのかとも思うが……。

 私の頭にあるゲッター炉心のそれは、ゲッターアーク用のそれに相当する。

 つまり安定感抜群! 少なくとも、アークは勝手にテラフォーミングしない。

 

「え、と……つまり……アイさんは、原子力科学者……なの?」

 

「放射線物理学者の方が正しいかな? 医療機器の開発もしてたから、医療研究者でもあったけど。ゲッター線を使った定位放射線治療機器なんて、浸潤性グリオーマにも効果があるって言う優れものだったんだから」

 

 問題は治る原理がいまいち分からないことくらいだ。

 

「ということは、アイドルではなかったのね」

 

「ううん。アイドルやりながら放射線物理学者やってたよ」

 

「兼任がちょっと類を見ないのよね。普通は女優とか歌手なのよね」

 

「だよねー」

 

 けらけら笑いながら同意する。たしかにちょっと他には見ない。

 

「まぁ、そう言う感じだね。我ながら意味不明な人生送ってるなぁ……」

 

 改めて振り返ると、疲れを自覚するというか。

 私は何なのだろうって言う悩みに囚われそう。

 

「まぁ、これからは1人の女の子に戻って、2人のママをやるだけだから! ……戸籍とかどうしよう?」

 

 この世界の私、死んでるんだよね……?

 

「まぁ、その件は、追々で……」

 

「うん……そうだね……」

 

 お役所の手続きはすごくめんどくさい。

 ミヤコさんもその辺りは分かってるからか、何も考えたくないって顔をしてる。

 私も、何も考えたくない……今はただ、アクアとルビーのぬくもりに癒されてたい……。

 

 

 

 

 身元不明の星野アイとして就籍届を出し、ミヤコさんに身元引受人になってもらい……。

 そう言ったすごく面倒臭い諸々の処理を終え、私は1人の人間としてこの世界で生きることとなった。

 

「ルビー! いっしょにお風呂入ろっか!」

 

「待ってましたァァ~~~~!!!」

 

「あはは、ルビーは相変わらずお風呂大好きだねー」

 

「15にもなって、母親と一緒に風呂って……」

 

 アクアは呆れたような顔をしている。

 

「は!? 11年ぶりにママとお風呂入るんだよ!? この時のために生きて来たと言っても過言じゃないんだけど!?」

 

「いくら何でも過言だろ」

 

「逆に聞くけど、ママと再会することが人生の目標以外のなんなの? それも過言って言うつもり?」

 

は? 過言じゃないが? アイと同じ世界に生きるために生きて来たが? アイは俺の人生を照らす太陽だが?

 

 うちの子たち、なんでかたまーにヲタたちと被るんだよね……なんでだろ?

 まぁ、それだけ私のことが大好きってことだから、ヨシ!

 

「それに、ママがアイドルデビューすれば、親子共演も出来るんだよ!?」

 

「それー! いつかなんか上手く行ったら、親子共演とか出来ればなーって思ってたんだよねー! いつかマルチタレントになったらさ、役者になったアクアとも共演しちゃったりしてさー」

 

「もしもし監督? 裏方志望やめて役者になるからよろしく」

 

 アクア、だれに電話してるんだろ……?

 

「って、そう言えば、体の持ち主の方のママもアイドルやってたんだっけ?」

 

「そうそう、超時空アイドル星野アイって言ったら、世界一有名なアイドルで、この世界の私よりも凄いアイドルだったんだよ?」

 

は? 私たちを産んだママも世界一有名で世界一美しかったけど? ママより優れたアイドルとか存在しないんだけど?

 

たとえ本人であろうとも言っちゃいけないことがあるんだぞ

 

「でも、観客動員数も、CDの売上も、次元が違うからねー……」

 

「へー? ほー? ふーん? 具体的には? 反論するけど?」

 

「観客動員数10億人で、CD売上は1億800万枚って推定されてるね」

 

「ふ、ふーん? ま、まぁまぁやるじゃん? まぁ、さすがはママって感じ? うん、でも、この世界のママが劣るとかそんなことありえないし?」

 

「実質的に俺とルビーの熱量が10億人分相当だから、観客動員数は常に20億人+αのアイの方が勝ってるが???」

 

 段々アクア壊れて来てないこれ? 大丈夫かな?

 思わず額に手を当てると、アクアが硬直して熱くなってきた。

 

「わ、大変。熱あるんじゃ」

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃんなんか氷でも食わせておけば熱くらい下がるでしょ」

 

「そう言うものかなー……?」

 

「それより、お風呂いこ、お風呂!」

 

「あ、うん。アクア、具合悪かったらちゃんと休むんだよ?」

 

「アッハイ」

 

 ほんとに大丈夫かな……? あとで見に行かないとかな……。

 その後、お風呂から上がり、ルビーと髪の乾かしっこをし、ルビーを寝かしつけた。

 私もそろそろ寝ようかなー、って言う頃合いなんだけど、アクアの様子がおかしかったので、見に行くことに。

 

「アクアー? ママだよー?」

 

 そう声をかけると、ドスンドタンと部屋の中でアクアが暴れてるような音がした。

 しばし待っていると、アクアがキメ顔でドアを開けた。

 

「なにか用か?」

 

「アクアの様子が変だったから……具合とか大丈夫? ママにこっそり教えて?」

 

「いや、大丈夫だ……夜更かしは美容の大敵だぞ、アイ」

 

「だからって可愛い我が子のことを放っておくママはいないよ?」

 

 部屋に入り込み、ベッドに腰掛ける。

 話してくれるまでは、テコでも動かない。

 しかもベッドに座ってるから、無視して寝ることも出来ないという寸法だ。

 

「…………フゥ……俺は、星野アクアマリンだ……! 星野アイの……息子だぞ……!」

 

 私を見た後、壁に向かってなぜか自己紹介を始めたアクア。ど、どうしたんだろう……。

 

「アクア、本当に大丈夫……?」

 

「大丈夫だ……俺は、冷静だ……冷静に、冷静に行くぞ……!」

 

 冷静になり切れてない感じがひしひしと伝わってくるんだけど……。

 

「よし……そうだ。この話なら……アイ、聞かせてくれ。俺たちの父親は誰なんだ?」

 

 意識を切り替えたような雰囲気でアクアが決意を宿したような顔で聞いてきた。

 なるほど、重い話題に切り替えることで空気ごと変えようって言う考えかな。

 

「カミキヒカルって言う人だよ。役者さん」

 

「カミキ、ヒカル……カミキヒカル?」

 

 アクアがスマホを取り出し、スッスッとなにかを調べ出す。

 

「……こないだの芸能事務所所長の惨殺事件の被害者がカミキヒカルって言う名前なんだけど」

 

「へぇ、そうなんだ。私、なにも悪いことしてないよ」

 

「……なにもしてない奴は、悪くないとか言わず、なにかしたか? って言うと思うんだが……」

 

「あー、そっか……カミキヒカルってだれ? 私なにもしらなーい」

 

「さっきアイが教えてくれた名前なんだが……」

 

「私は……一瞬前の自分よりも、進化し続けるから。私は、止まんないからさ……アクアが止まんない限り、その先に私はいるよ。だからさ……止まっちゃ、ダメだよ」

 

「あ、アイ……俺も、必ず、その先に……! 役者として、輝いてみせるから……!」

 

 アイドルとしての魅力を振り撒き、なんかそれっぽい名言みたいなことを言って煙に巻いておいた。

 ……自分でやっておいてなんだけど、これが通じるアクアがダメなのか、通じさせてしまう私がすごいのか……どっちだろ。

 

 

 

 

 私と、アクアと、ルビー。

 それからミヤコさんと、のこのこ帰って来た佐藤社長。

 

 ルビーは絶賛売り出し中のアイドルになり、アクアは駆け出しの役者に。

 そして私は、かつて一世を風靡した大人気アイドルのそっくりさんとして。

 そっくりさんは本当にそっくりさんで、完璧で究極、最強で無敵のアイドルなとこまでいっしょ。

 

 ただの物まねタレントが、いつしか本物のアイドルになっていく。

 B小町じゃない、星野アイと言うソロアイドルが生まれて行く。

 

 ゲッターチームの私、アイドルの私。

 アクアとルビーのママの私、ゲッター線を睨む私。

 

 私と私と私と私。

 

 幸せだけど、焦燥に駆られる。

 私は、なにをしているんだろう?

 そう思うことも1度や2度じゃないけれど。

 

 でも、今ここにある幸せを目いっぱい抱き締めて、私は言う。

 ああ、これは絶対に嘘じゃない。愛してるって。




最終話みたいだけど最終話じゃないです


日刊4位うせやろ……? って思ってたら2位になってて、さらにうせやろ……?


引っ込みがつかなくなったので、真剣にプロットを作り直しました
最終話2万字弱消えたからお蔵入りする予定だったところなので
最終話の内容を、もっと壮大に、もっと強大にして根本からゴリっと変更

初期案では、

ネオゲ時空で自爆(1話冒頭)して死亡
竜馬と隼人が情緒を破壊され、アイとの絆であるゲッターロボに拘る
ネオゲッターの影で秘密裏に、2人乗り用に改修した真ゲッターロボを建造

その頃アイは、推しの子時空でアイの娘の星野アイオライトとして3つ子の長女として転生
4歳の時にストーカーをダイナミック身体能力で鎮圧しようとするも、4歳児では無理があってか失敗し、死亡
憔悴しきった原作アイを支えながら生きるアクアとルビー

そして、ゲッター線の使者となったアイオライト=憑依アイが3人を導き、ネオゲ世界に
ゲッター線の使者となったアイオライトに導かれて早乙女研究所に
最終話で窮地に陥った真ゲッターの救援にアクアとルビーが2人乗りゲッターで向かう
ゲッター線の使者となったアイオライトと3つの心を1つにして3つ子ストナーサンシャイン
なんやかやでアイオライトもゲッター線の使者の人造人間として蘇り大団円

って言う感じでした
1話のISとかスパロボは何なんだって言うと……
これは完結後に1話からのifルートとして、番外編扱いで出すか、とか目論んでたやつですね……
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