【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル   作:朱鷺野理桜

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怒りのアイ、歴史改変を始める

「さすがにつらい」

 

 思わず新生児期に家庭内暴力で母親を制圧してしまう程度につらい。

 

 前の世界で、私と私。ゲッターチームの私、2人のママの私が混ざりあって、私は私になった。

 ゲッターチームのみんなも、お腹を痛めて産んだ愛しい我が子も、どっちも何物にも変えられないほどに大事な存在だ。

 

 アクアとルビーといっしょに生きていける、信じられないほど幸福な日々。

 愛してるって、その気持ちが嘘じゃないって、理解できる幸せ。

 その日々が終わってしまって、もう動けないくらいにつらい。

 

 私もアクアもルビーも、大物芸能人にまで成り上がり、大御所とまで言われるようになった。

 そして、少しずつ衰えて行って、病院のベッドの上でたくさんの人に看取られて逝った。

 私は人並外れて体が頑丈だから、ずっと元気で、アクアも、ルビーも、私が看取った。

 そして、今度は自分の番。願わくば、もう2度と覚めない、幸福な終わりを。そう、思ってた。

 

 なのに、なんで、私だけ。

 

 前の世界に、なんの意味があったんだろう。

 私は、ゲッターエンペラーを生み出すための駒じゃないのだろうか。

 ゲッターがまったく関わらない、ただ平穏で幸福な日々でしかなかった。

 私の仮説が間違っていた? あの世界に行ったことに、なにか意味があった?

 

 あの世界で得たもの? ほとんどない。

 新しい技術も、新しいゲッター線への理解も、何もない。

 

 あるとするなら、私にとって、何よりも大切なもの。

 アクアとルビー、私の可愛い我が子たちとの、幸福な日々。

 ゲッター線にとっては、なんの意味もないような、そんな記憶。

 

「……いい加減むかついてきたな」

 

 むくりと起き上がり、私は早乙女研究所にもしもしすることにしたのだった。

 

 

 

 

「ゲッター線の基礎理論はこう! そんでもって実証にはこう! 実証炉の設計図がこう! んでもって、その実証炉を商業レベルで発電できるようにしたのがこれ! さらにその商業炉の出力を跳ね上げる増幅装置がこう!」

 

「むむ……!」

 

 そもそも座して待ってるのが間違いなんじゃなかろうか?

 よくよく考えなくとも、早乙女博士が基礎理論を提唱するのを待つとか眠たいこと言ってないで、私が教えればいいのだ。

 その考えの下、私は早乙女研究所設立から間もない早乙女博士の下に出向いて、私の持てる知識すべてをぶちまけた。

 こんだけの情報があったら、明日からゲッターロボが作れるレベルだ。

 

「さらに増幅装置の性能をあげたのがこれ! 戦闘力を求めまくった結果、安定性が終わってて勝手に火星に行くヤツの設計図がこう! 勝手に火星に行かないのがこう! なんか変な結晶生えて火星をテラフォーミングしちゃうのがこう! 意味もなく発光するゲーミング金属の作り方がこう!」

 

「むむむむ……!」

 

 早乙女博士が唸りまくっている。私はもう持てる全部をぶちまけたので、あとはもうなにもない。

 初代ゲッターロボ、ゲッターロボG、真ゲッター、ゲッターロボアーク、フルサイコフレームゲッター。この5種の設計図は私のとっておきだ。

 私に残っているものは、乳幼児にしては強過ぎる肉体と、天性の美貌と、アイドルとして培った歌唱力と演技力くらいだ。……けっこうあるね?

 

「なんという、信じ難い話だ……しかし、これは……この、基礎理論は……儂が今まさに組み上げている理論そのもの……!」

 

「未来で早乙女博士に習ったからね」

 

「ううむ……18年後の未来から来た、儂の研究所における商業化チーム筆頭と言うのは嘘ではなさそうだ」

 

 まぁ、筆頭って言うのは嘘だけどね……そもそも、そんなチームないし……。

 でも、私率いるプロジェクトチームが商業化の多くを手掛けていたのは事実だ。

 

「この理論の存在は儂にとって、素晴らしい助けになることは間違いない。しかし、なぜ……戦闘用のロボットの設計図がこれほどに……?」

 

「私の名はアイ! 地球は狙われている!」

 

「いや、君の名前は先ほど聞いたが……地球が狙われている、というのは?」

 

「ゲッター線で地上を追われた古代文明の末裔が地上を狙ってるんだよ。人類より優れたテクノロジーを持つ彼らに対抗出来るのは、ゲッター線駆動のロボットしかないんだよ」

 

「……本当なのかね?」

 

「信じられないのは分かるけど、それ以上に信じられないことしたから信じて欲しいな」

 

「ううむ」

 

 早乙女博士が難しい顔をして考え込んでいる。

 

「まぁ、信じられなくてもいいよ。とりあえず、ゲッター線を実証レベルに持っていって、実証炉まで作ろうよ。それがないと始まらないしね!」

 

「たしかに、それもそうだな。ゲッター線を実用化すれば、家族にも楽をさせてやれるしな」

 

 うむうむ、と頷く早乙女博士。

 

「というわけで、まずは理論に不備がないかの実験からやっていかないとね。過去に戻ったことで、なにかしらの法則とか変わってても困るし」

 

「そうだな。1つ1つ、危険性を潰して行って、実証炉を作ることから始めよう。アイくん、これからよろしく頼む」

 

「うん、こちらこそよろしく、早乙女博士!」

 

 私と早乙女博士はがっちりと握手をし、ゲッター線を人類の未来のために研究することを始めた。

 

 

 

 

 

……………………

 

「ゲッター線照射装置できたよー。これで生体への有害性が調べられるね」

 

「うむ、レスポンスもよいし、これはいい実験器具ができた」

 

「ちなみに人体に当てると、ほら、手が緑色に光る!」

 

「いきなり人体実験はやめたまえ!」

 

「えー? さっき全身に浴びて、これがスーパーゲッター人2……! とか遊んじゃってたよ」

 

「正気か君は……?」

 

……………………

 

 

 

……………………

 

「ゲッターエネルギータンクの完成だ。これで実証炉を稼働させるためのゲッター線が収集できる」

 

「知ってる? 貯蔵したゲッターエネルギー飲むと、排せつ物が緑色に光るんだよ」

 

「なにをやっておるのだ君は……」

 

「やったの私じゃないけどね」

 

「ではいったい誰だね? なぜ鏡を…………もしや、儂か?」

 

「うん」

 

……………………

 

 

 

……………………

 

「ふぅ。なにやら、アイくんの研究室にいると、調子がいいような気がする」

 

「気のせいじゃないと思うよ? ほらこれ、私が作ったアロマディフューザー」

 

「ほう、あろま、ね。なにやらいい香りはするが……リラックス効果でもあるのかね?」

 

「うん。リラックス効果と覚醒作用のあるアロマを焚いてるんだ」

 

「なるほど、アロマか……意外と馬鹿にしたものではないな」

 

「あと、ゲッター線放射装置もついてる。通常空間の15倍のゲッター線濃度に保ってるよ」

 

「調子がいいのはそっちが原因のような気がするが……」

 

「実際そうだと思うよ」

 

……………………

 

 

 

……………………

 

「ふーむ。爬虫類には明白にゲッター線が害となるのだな……たしかに、有害な種と、無害な種がいるようだ。哺乳動物に近いほど無害なようだ」

 

「でしょ? つまり、爬虫類は時代の、ううん、歴史の敗北者ってことだね」

 

「うむ、たしかにその通りなのかもしれぬ……」

 

「これからは私たちの時代ってことだね。そのためにもゲッター炉を実用化にもっていかないと」

 

「うむ。実証炉の完成まで大詰めだ。詳細設計は済んでおるし、もはや組み立てるだけのようなものだな」

 

……………………

 

 

……………………

 

「やったー! 完成ー! この緑色に輝くゲッター炉心! 人類の未来って感じの輝きだね!」

 

「うむ! やはり儂の理論は間違っていなかった! アイくんのお蔭だ! 君が居なければ、あと10年はかかったろう!」

 

「後はこれを小型化して、出力をざっと20倍に引き上げて、それからゲッター線増幅装置で24時間稼働出来るようにしないとね」

 

「実用化までは……まだ、遠いな……」

 

「まぁ、私いなくても3年くらいで出来ると思うよ。実際、増幅装置除けば出来てたわけだし。いる今なら1年足らずで行けると思うよ。特に増幅装置は私の専門だし」

 

「うむ……微力を尽くすとするか」

 

……………………

 

 

 

……………………

 

「おや、アイくん、なにをしておるのだね? 設計図なんかとにらめっこして」

 

「いや、うーん……ゲッターロボの乗り心地のひどさを改善しようと思ったんだけど、どこから手をつけたものかと思って……」

 

「ふむ? 何が問題なのかね?」

 

「すべてかな」

 

「すべて」

 

「こう、乗る人間のことを1ミリも考えてないというか……ひとまず、シートベルトをつけるところから始めようかと思う」

 

「車以下か……」

 

「自転車とどっこいどっこい、ってとこかな……」

 

……………………

 

 

……………………

 

「博士、増幅装置のリミッターが片っ端から解除されてるんだけど、なんで?」

 

「どこまで行けるか気になって……」

 

「絶対外すなって言った最終安全装置も解除されてるのはなんで?」

 

「それを外せばもっと出力が上がると思って……」

 

「たとえ死んでも開けるなって言った隔壁が解放されてるのはなんで?」

 

「もっと間近で見たくて……」

 

「今ここで生きて私の説教を受けてられるのはなんで?」

 

「儂のそれらの行動を見越したアイくんが、先ほどのことすべてをやると強制的に稼働が止まるようにリミッターを設定していたから……」

 

「次やったら穴と言う穴を縫い付けるからね」

 

「ひえ」

 

……………………

 

 

……………………

 

「完成だね……商用ゲッター炉心1号機……!」

 

「うむ! 毎時40万キロワットアワー、原発に比べれば幾分見劣りするが、安全性はこちらが格段に上! さらには宇宙から降り注ぐゲッター線のみで稼働可能だ!」

 

「しかも、原発と違ってこーんなに小型! スペースあたりの発電量はこっちが上だよ!」

 

「うむ、うむ……この緑色に輝く光が、人類の未来を照らしてくれることを祈って……!」

 

「かんぱーい! ……麦茶だこれ!」

 

「さすがに未成年に酒は飲ませんよ、はっはっは」

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 原作開始の10年前に、実用型ゲッター炉心が完成した。

 つまり、原作開始10年前の時点で、ゲッターロボを開発出来る余地を作った。

 

「ふっふっふ……これからさらに高出力化を目指していくから、ゲッターロボGを超える炉心なんてすぐすぐ……! 真ゲッター並の炉心を持った初代ゲッターロボとか作れちゃうかも?」

 

 竜馬と隼人の練度に関しては、私がゲッターシミュレーターでしごきまくることで解決しようと思う。

 それですべてが解決するわけではないと思うけど、少しは足しになってくれる、と思う。

 ダメならまぁ……男として情けないから、去勢してG小町としてデビューでもしてもらおうかな……。

 まぁ、仮に練度がダメダメでも真ゲッターかアークがあれば恐竜帝国とか単騎完封可能だし……。

 

「よーし、ゲッターロボの開発を進めていこうか……戦闘用じゃなく、宇宙開発用なら早乙女博士も納得してくれると思うしね」

 

 プロトタイプゲッター……宇宙開発用ゲッターの設計図はないけど、基本設計くらいなら覚えている。

 そこから詳細設計を詰めていくのは難しいことじゃない。ぶっちゃけ旧ゲッターの構造7割くらい流用できるし……。

 

「早乙女博士~。ゲッターロボ作ろうよー」

 

「宇宙開発用とかいうやつかね」

 

「そうそう。ちなみにこれが、私の師事してた早乙女博士が宇宙開発用として作ってたやつの基本設計」

 

「ふむ。他の設計図に比べると、随分簡素と言うか……」

 

 書き出して来た設計図を手にし、早乙女博士が顔を顰める。まぁ、そうだよね。

 正直、基礎概略は辛うじて分かるレベルの簡素な設計図だから、参考程度にしかならない。

 

「そのプロトゲッターは資料があんまり残ってなくて……戦闘用のゲッターロボに改修しちゃったからね」

 

「なるほど……他に宇宙開発用に使っていたものの設計図はないのかね?」

 

「あるよ。すべての戦いが終わって、ゲッターロボを平和利用出来る! って言う段になって、早乙女博士が本気を出して宇宙開発用ゲッターを作った時のがね!」

 

「ほう、それは楽しみだ」

 

「これを博士が作ってた時は、ちょうど私はゲッター線を医療分野に応用した放射線治療機器を作っててね~。ガンにも脳腫瘍にも効く凄いやつ出来たんだよ」

 

「それは素晴らしいな。やはりゲッター線には人類の未来がかかっているのか……」

 

「はい、これが設計図」

 

 私は早乙女博士に、別世界の早乙女博士が宇宙開発用と銘打って開発したゲッターロボの設計図を渡した。

 

「ふむ、なるほど……これは、随分と装甲が分厚いのだな」

 

「この時点で、既に木星圏までは開発してたから、より外に向かっていくにあたってデブリとか心配したんじゃない?」

 

「ああ、なるほど。長期間の宇宙空間での行動となると、生存性を高めるのは自然か……出力が高いのもそれか。プロトゲッターの……およそ1万倍か」

 

「たぶん」

 

「これは……この、トマホークは、なんだね?」

 

「さぁ……船外作業用、とか?」

 

「ふむ…………この、この……真ポセイドンなるものの、巨大ミサイルは一体……」

 

「さぁ……スベースデブリの破砕用とか……?」

 

「……正直に言いたまえ、アイくん。これは宇宙開発用ではないな?」

 

「うーん……私は絶対に戦闘用だと思うんだけど、早乙女博士は宇宙開発用だって言い張ってたから……」

 

 やっぱり早乙女博士が見ても、真ゲッタードラゴンは戦闘用だよね?

 でも、サルファ世界の早乙女博士は宇宙開発用ゲッターだ! って言って作ってた。

 もしや、異星人を皆殺しにして植民地をゲットすることを宇宙開発だと言っていた……?

 

 って言うかよく考えると、これを素で作ったって、サルファ世界の早乙女博士凄まじいことしてない?

 サルファ以外で真ゲッタードラゴンがお目見えになった世界もあったけど、あれは普通の作り方じゃない。

 ゲッターロボGの炉心をメルトダウンさせて地に没し、数年の時を懸けて進化したことで真ゲッタードラゴンは誕生した。

 これを普通に純粋な科学技術で建造したって、相当やべーことやってる気がするんだけど……まぁ、サルファ世界にはガンバスターとかもあるし、そう変なことでもないか……。

 

「あ、でも、これはすごいよ。テラフォーミングも出来るすごいやつ」

 

「ほう、テラフォーミング機能まで追加したゲッターロボもあるのか」

 

「真ゲッターロボと、サイコゲッターって言うんだけど」

 

 その後、博士は存在しない機能でテラフォーミングとかなにそれこわい、と言って寝込んでしまった。

 ……早乙女博士って普通の時期もあったんだ。

 

 

 

 宇宙開発用ゲッターロボの開発は順調だ。

 普通に乗るだけで「顔が崩れる、心臓が飛び出る」とか言う有様になるようなものじゃない。

 ゲッターチームなら昼寝しながらでも操縦できるほどお優しいやつだ。

 

 私は私で、商業用のゲッター炉の改良で忙しい。

 ゲッター線増幅装置の設計は頭にあっても、それを実現するための技術の不足がある。

 そこらへんも可能な限り頭には入れてあるんだけど、前倒し前倒しでやってるからねー……。

 

「ふぅ……ああ、頭が重い……髪切ったら、その分だけ軽くならないかな?」

 

 そんなことを呟いて、天井を見上げる。

 通常の空間よりも、遥かに高濃度のゲッター線に満たされた私の研究室。

 稼働初期からの古参研究員とは言え小学生の子供には過ぎた部屋な気もする。

 

 目を細め、意識を集中させると、空間に満ちたゲッター線がきらきらと緑の燐光を放っている。

 当たり前ではあるんだけど、超高濃度か、あるいは励起状態でもない限り、こんなものは見えない。

 

 でも、私には見える。

 

 それが私が普通の人間ではないって言う証拠だったりもする。

 そもそもの話、オッケーゲッターとかも普通の人間にはできないから。

 

 かるーい感じの名前つけたから印象が誤魔化されてるけど、あれは洒落にならないほど危険な技術だ。

 具体的に何やってるかって、あれ要するにゲッターロボ號で凱が真ゲッターロボと同化した時と同じことをしてる。

 つまり、ゲッターわからせを自分にやった上で、完全に同化しないで戻って来てるだけ。

 それをやるには相当な濃度のゲッター線が必要だから、普通にそこらで出来ることじゃないんだよ。

 

 つまりなんだけど、そもそも私はゲッター線に繋がってるっぽいんだよね。

 アニメのアークに出て来た號みたいな人造人間なんじゃないかなぁ、って言う疑惑がある。

 その割に親からは生まれてるので、親になる人間に私と言う生命の種子でも捻じ込んでいるのだろうか。

 

「私は、なんなんだろう? 本当に、ゲッターエンペラーの駒として、使われてるのかな?」

 

 あるいは、そもそも……そもそもの、話……ゲッター線と、ゲッターエンペラーは……同一視、して、いいものなのかな?

 ゲッターロボとゲッター線は不可分のもの。ゲッター線なくしてゲッターロボはありえない。

 でも、ゲッターロボなくしてゲッター線はありえる。遥か古代、ハチュウ人類を滅ぼした時のように、宇宙から降り注いでいる。

 

「ゲッターエンペラーではなく、ゲッター線の……でも、ゲッターエンペラーは現状では、最大の進化……」

 

 いずれ、エンペラーは惑星サイズから太陽系サイズにまで進化し、際限なく宇宙を喰らっていく。

 ゲッター線の望む未来の形とはそう言うもの……制限、弁えることを知らない、進化の権化。

 

「だから、ゲッター線の望む場所にあると思うけど……ゲッターエンペラーを、ゲッター線が行き詰った進化として、見放したら……どうなる?」

 

 行き詰った進化から脱するために、ゲッター線は、どう行動を起こすか。

 未来からゲッター線の使者として現れた、號のように、人を使うこともある。

 私も、その類? ゲッターエンペラーを誕生させるための駒ではなく、ゲッターエンペラーをさらに進化させるための駒?

 

「うーん……分かんないな」

 

 考えても分からないけど、激しくむかつくので、いずれゲッター線にはヤキ入れる。

 東方不敗はゲッター線に詫び入れられたことあったし、私がヤキ入れることも出来るだろう、たぶん。

 

「ゲッター線にヤキ、か。うーん、ゲッターロボをぶん殴るのって考えると、ゲッターロボしかないような……」

 

 スパロボ世界なら割とよりどりみどりなんだけど……イデとか。その場合、殴るだけでは済まない気もするけど。

 でも、スパロボじゃない、ゲッターロボの世界だとすると、ゲッター線をぶん殴れるとなるとゲッターロボしかないような。

 そりゃもちろん、テキサスマックとかでも殴れはすると思う。でも、テキサスマックが殴れるのって、精々ゲッターロボGくらいまでじゃない?

 バグなら真ゲッターロボも殴れるだろうけど、ゲッター天をぶん殴れるだろうか? 無理な気がする。

 やはり同様に進化することのできるゲッターロボか、あるいは同様に際限なく進化できるロボットでないと……。

 でもこの場合、自分で自分を殴らせるというよく分かんないことをすることになるけど、ゲッター線はやらせてくれるだろうか?

 

「実現するかはともかく、対ゲッターロボ用ゲッターロボか……結構面白いコンセプトではあるかも。やっぱり、闘争が一番進化を促すみたいだし……」

 

 考えてみると、ゲッターロボでの訓練って、敵になるものがいないんだよね。大体合体訓練だ。

 そう考えると、対ゲッターロボ用ゲッターロボの存在って、訓練のためにも使えるな。

 その訓練でも使うことを考えると、財布に優しいゲッター線駆動は必須事項な気もする……。

 

「ちょっと考えてみようかな。対ゲッターロボ用メカザウルスに逆に刺さるとかで、実戦投入も出来たりしそうだし」

 

 問題は誰が乗るかだけど、達人さんとか、ミチルちゃんとか、早乙女博士とか……。

 さすがにゲッターチームに腕は劣るけど、腕を問わなければそれなりに数はいる。

 

「って、そう言えば……スパロボ時空に備えた、私専用ゲッターロボの設計まだ終わってないんだった」

 

 サウンドブースター搭載型ゲッターロボと言う、見る人が見れば爆笑する代物だ。

 まぁ、シンプルな話、ヴァルキリーの操縦忙しくて歌うのがしんどいからなんだけど。

 2つも3つも作ってられないから、対ゲッター用ゲッターと、アイドル用ゲッター両方の概念実証機として一纏めにしちゃえ。反発するような要素はないはずだし。

 

 いずれ、プロトタイプゲッターの中にしれっと紛れ込ませて作っちゃお……。

 

 

 

 

 

 時は流れ、プロトタイプゲッターロボが完成した。

 私はまだ12歳。おそらく5年ほど前倒しと言うことになる。

 モノとしては完全に宇宙開発用の機体で、戦闘力は非常に低い。

 まぁ、戦うために作ったものじゃないからしょうがないけど。

 

「完成したけど、完成してないんだよね……」

 

「うむ……」

 

 機体は出来たけど、操縦系はさっぱり完成していない。

 機体側は私がどうにでも出来たんだけど、操縦系はぜんぜん知らなくて……。

 さすがに、物理入力のためのレバーとかペダルは分かるよ?

 でも、その操作をコンピューターに捻じ込んで、動作に移すのは……知らない。

 つまり、ガワは出来たけど、中身のプログラムが空っぽなのだ。ガンダムSEEDかな?

 まぁ、そっち担当の人に言わせれば、ハードができるのが早過ぎるんだよ! とのことらしいけど。

 

「まぁ、ゲッターロボ自体が問題なく作れるのは分かったことだし、次のプロトゲッターに行こうよ」

 

「うむ。1体では話にならんからな。いずれ、宇宙開拓時代が訪れれば、月や火星の上を無数のゲッターロボが開発して回る時代が来るはずだ」

 

 なにそれ……怖……ゲッター地獄かなにか……?

 

「とは言え、まずは予算の申請からだな……」

 

「あー……そっか……」

 

 まだ恐竜帝国の脅威とかないから、その辺りの予算無尽蔵ってわけにはいかないんだね。

 と言うよりは、予算はあっても予算の裁量権がないのかな。たぶんそうだろう。

 

「じゃあ、私、ボーカルレッスンいってくるね」

 

「うむ、アイドルにスカウトされたんだったな。がんばれよ、アイくん」

 

「うん、がんばるー。あ、もしアグネス・チャンに会えたらサイン貰ってきてあげるね」

 

「……早乙女博士に、と書いてもらうんだぞ」

 

「はいはい」

 

 早乙女博士、アグネス・チャンのファンなんだよねぇ……。

 

 

 

 アイドル活動、略してアイカツ。

 そのアイカツに明け暮れ、ゲッター線研究者としての仕事は片手間にこなす。

 ちなみに私は学校にはほとんど通っていない。いや、学ぶこともないし……転生何回目だと思ってるの?

 

 抜群の顔面、銀河を魅了した歌唱力、人々を沸き立たせるダンス。超時空アイドルを舐めないでほしいね。

 そして、アイドルとしての腕前を上げるほどに、顔面以外はそこまで重要ではないな……と言う残酷な事実に行き当る。

 アイドルは総合力だから、逆に上手すぎると鼻についちゃうこともあるみたいなんだよね……。

 

 と言っても、ソロアイドルならそこまで問題にはならない。

 グループアイドルだと、突出して上手すぎると和を乱してダメみたいだけど。

 

 個の中で和が取れればいいんだから、顔面に見合うだけの圧倒的歌唱力とダンス力を身に着ければいい。

 なら、そこに至るまでは努力でゴリ押しするしかない。最後は気合と馬鹿力が強い。ケン・イシカワ世界の法則だ。

 そのおかげで歌番組の出演も勝ち取り、他のアイドル歌手を纏めて殴り倒して来た……比喩だよ?

 

「博士~、アグネス・チャンのサインもらってきたよ~。ちゃんと早乙女博士にって……どしたの?」

 

 早乙女研究所に戻り、博士の研究室に踏み込んだら、泥棒でも入ったのかって言うような有様だった。

 書類の散乱する研究室の中では、早乙女博士がブツブツ言いながら、動物園のゴリラのように歩き回っていた。

 

「おお、アイくんか……言い難いことなのだが……」

 

「なのだが?」

 

「……プロトタイプゲッターの設計図が盗まれた」

 

「は? えっと……盗んでどうするんだろ?」

 

「分からぬ……だが、良からぬことに使われやしないか、不安でな……」

 

 プロトタイプゲッターの設計図なんか盗んでも、使い道はないと思うんだけど……。

 ゲッター炉心はまだ早乙女研究所の占有技術。そして、プロトタイプゲッターはゲッター炉心ありき。

 たとえ機体が作れたとしても、ゲッター炉心がなければ動かない。他で代用するなら原子炉でも捻じ込まなきゃろくに動かない。

 捻じ込んだら捻じ込んだで、歩く放射能か飛ぶ放射能みたいなことになる。手足の生えた汚い爆弾だ。

 

 ついでに言えば、私の提出したやつはともかく、早乙女博士のプロトゲッターは以前からあるもの。

 ゲッター炉心が完成したらこれくらいの出力が得られるから、これくらいのロボットは動かせるだろう……みたいな妥協の産物だ。

 キッチリ詰めたものと比べれば性能は格段に劣ってしまうだろう。私が技術革新しまくってるし。

 

「まぁ、私の提出したプロトゲッターの設計図は原本あるし、べつにそれ自体はどうでもいいんだけど」

 

 私の提出したプロトゲッターの設計図はかなり無茶な作りをしている。

 ただの概念実証機、つまりとりあえず動きゃいいやな代物なので、実戦運用は想定していない。

 なにしろ実証しようとしてる概念と言うのが、私がこの世界で再現したサウンドブースターなので……。

 

「博士の方はどうなの?」

 

「うむ、1人乗り用のゲッターロボの設計図が盗まれたようだ。廉価版として考えていたものなので、さほどの痛手ではないが……」

 

「被害は軽いってことだね。うーん、なんでだろ……って言うか、家族に被害はなかったの?」

 

「うむ。ミユキがまだ帰っていないようだが、他はみんな無事だ」

 

「へー、ミユキちゃんが……ミユキちゃんが、ね……」

 

 早乙女ミユキ。早乙女博士の娘で長女。

 ちなみに、上から順に、早乙女達人、早乙女ミユキ、早乙女ミチル、早乙女元気。以上の4人となる。

 そしてなのだが……早乙女ミユキは、実は養女なのである。幼少期に拾って養っていたのだとか。

 

 そして、その正体は、恐竜帝国の帝王ゴールの娘、ゴーラ王女なのである。

 恐竜帝国のため、ゲッターロボの設計図を盗み出した犯人でもある。

 ミユキちゃんってハチュウ人類だったなぁ……どうでもよすぎて忘れてた。

 いや、居たり居なかったりするんだよね……ネオゲ時空であっても、居たり居なかったりなのだ。

 これ、伝えた方がいいのかな……どうしよ……。

 

 




指摘されて気付いたんですけど、最初の1話2話はともかく
これもう原作ゲッターロボに変更した方がいいですかね……?
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