【完結】ゲッターロボに愛されて死ぬことも出来ないアイドル   作:朱鷺野理桜

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ゲッターライブ開演のお知らせ

 どこかを揺蕩っている。

 ふわふわして、きらきらして、なんだか、きもちいいな。

 

『アイ……それではまだ足りない』

 

 ……だれの声?

 深くて、落ち着いていて、染み入って来るような、不思議な声。

 

『時間は、まだ幾分かある』

 

 時間。時間ね……まだあるんだ。

 じゃあ、あと5分経ったら起こして。

 

『探し、集めるのだ……エンペラーに抗う力を、知恵を、技を……』

 

 皇帝……エンペラー。

 そうだった、エンペラーをぶっ飛ばすんだった。

 ゲッター線にヤキ入れてやんないとだった。

 

『エンペラーは進化に行き詰ろうとしている……それは、いまにも破裂しそうな風船にも似ている』

 

 風船? 行き詰ったら、破裂するってことかな。

 あれが破裂したら銀河の1個や2個は吹っ飛んでもおかしくなさそう。

 

『アイ……おまえだからこそ出来ることをするのだ……』

 

 言われなくても、やってあげるよ。

 だから、あとで1発殴らせてよね。

 私のそんな言葉に、ゲッター線の意思であろうものが、微かに微笑んだかのような仕草を見せた。

 

 

 

 目が覚める。

 またいつものだ。分娩室で、母親から生まれるところ。

 いつもいつも、生まれた直後だけは愛おしそうに私を見ている。

 そしていつもいつも、私は期待を裏切られるのだ。

 今回もまたそうかな。それでも、少しの間だけ、私は信じてみようとした。

 

 

 

 

 

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「香月副司令ー。佐渡ヶ島への被害は考慮しなくていいんだよね」

 

『ええ、存分にやってちょうだい』

 

「よーし、任せて! ハイヴごと吹っ飛ばしてやる! ゲッタービィィィ――――ムッ!」

 

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「強いなぁ。その闘気、練り上げられてるね。ゲッター線の好みだね」

 

「おまえも、柱か? 凄まじい闘気だ」

 

「見ればわかる。君のそれ、とにかく強くなりたい種類のヤツだ」

 

「俺は猗窩座。おまえの名を聞かせてくれ」

 

「私は星野アイ。鬼殺隊、星柱だよ。現状、人類で最強の女かな」

 

「なるほど。たしかに、その強さ、至高の領域に近い。どうだ、星野アイ。おまえも鬼にならないか?」

 

「ならない。だから、代わりに提案しよう。猗窩座、君もゲッター線の下、未来永劫の刻の狭間で永遠に戦い続けない?」

 

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「私はアイ。ゲッターロボのアイだよ。人呼んで星のアイ」

 

「オレはカズマ。シェルブリットのカズマだ」

 

「……そうだよね! やっぱりそうだと思ってたよ! ここで何を学べって!?」

 

「おわっ! な、なんだ! いきなり何に向かってキレてんだおまえ!」

 

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『ジオンに兵なし! 我々は必ず勝利する!』

 

「うおおおおおーっ!」

 

「なにをしているホシノ! モニターを壊すな!」

 

「おっとっと……ごめんごめん、変態仮面殿」

 

「だから私を変態仮面と呼ぶな! 私にはシャア・アズナブルと言う名がある!」

 

「シャア……アナ」

 

「それ以上言ったら宇宙空間に放り出すぞ」

 

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「いいかしら、星野アイ。私たち薔薇乙女は7体存在する。この私、第1ドール、水銀燈。第2ドール、金糸雀。第3ドール、翠星石。第4ドール、蒼星石。第5ドール、真紅。第6ドール、雛苺。第7ドール、ゲッターロボ」

 

「なにて? え? ちょっと待って? 第7ドールなんて言った?」

 

「ゲッターロボ」

 

「いや、1体だけおかしいでしょ! ゲッターロボて! 名前の方向性が全然違うじゃん! 突然製作者がローゼンから早乙女博士になってるじゃん!」

 

「そんなこと言われても、そう言うものだと聞いているけどぉ……」

 

「い、いや、まぁ、いいよ……うん、それはいい。これは、あのー……要約すると、遺産相続で揉めてるってことでいい?」

 

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「何がオーラバトラーだ! こっちはゲッターロボだよ!」

 

「ゲッターロボ!?」

 

「ショウ・ザマくんだっけ? こっちにはショット・ウェポンのオーラバトラーはなくても、私の作ったゲッターロボがある!」

 

「え、ええと、そもそも、あなたはいったい」

 

「ああ、ごめん。私はアイ・ホシノ。君と同じく、地上からこのバイストンウェルに流れて来た科学者。オーラバトラーと戦うことのできる、ゲッターロボの開発者だよ。ゲッター線あるんだよね、ここ」

 

「あれが、ゲッター、ロボ……」

 

「量産型ゲッターだから、そこまで強くないんだけどね……」

 

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「星野アイだな。サクラダイトを使わない大型KMF、ゲッターロボの開発者」

 

「ルルーシュくんじゃん。おひさ~」

 

「!?」

 

「あ、おひさじゃなかった。あそこZ時空だったもんね。えーと、ゼロだったっけ。何か用かな?」

 

「……何を知っている?」

 

「……殴ったら記憶消えるかな?」

 

「ちょっ」

 

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「ぜぇ! ぜぇ! アーマードトルーパーはねぇ! が、がんばれば! 生身でも倒せるんだよ! げほっ、おえっ……がんばりすぎておなかいたい」

 

「無茶をする……なぜここまで俺に助力をする?」

 

「さぁ……わかんない。でも、フィオナもゲッター線照射とかすればワンチャンなんとかなるかな感あって、できれば助けたいなって思って……」

 

「得などないはずだ。何のために、何がしたくて、こうしているんだ」

 

「わかんないって言ってるじゃん。あんまりしつこいと殴るよ」

 

「アーマードトルーパーを殴って壊すやつに言われると肝が冷える」

 

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「ここまで頑張って戦って勝った末に、私に報酬なんもないってむかつくんだけど。どうなってるのこれ」

 

「仕方あるまい、マスター。この月の聖杯戦争はそう言ったものだ」

 

「うーん。私はNPCまがいの代物だから、願いを叶えようとしても分解されるんだよね……気合で一瞬くらいは耐えられないかな」

 

「…………君が言うと出来そうな気がしてならないのはなぜだろうな」

 

「よし。やってみよっか。今までありがとね、アーチャー」

 

「なに、それが私の仕事なのでな」

 

「それでもありがと。よーし……降り注げ! ゲッター線!」

 

「マスター!?」

 

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「星野、詳しく、説明してくれ」

 

「これは、なにがあった? 本当になにがあったんだ?」

 

「いやー、あのー……マジンガーとグレートの整備してて、ちょっと魔が差してさ……」

 

「魔が差して?」

 

「ゲッター線照射したら、ワンチャン進化しないかなって。いやほら、スパロボ的にいけるかなって」

 

「スパロボ?」

 

「ちゃんとマジンカイザーとマジンエンペラーGになったよ」

 

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 長い旅だった。

 途中、本当に必要だったのか怪しい世界もあったが。

 私は数多の世界で技術を、知恵を、力を学んだ。

 私が魂での旅をする中で、ゲッタークイーンは着々と地下で進化を続けていた。

 

 より強大な力を。そして、より強大な進化を。

 ゲッターエンペラーに立ち向かえる、女帝に至るべく。

 悠久の年月を経て進化し続けたエンペラーに立ち向かうには、未だ足りず。

 けれど、いまがその時だ。私が、クイーンが、目覚める。

 

 羽化の時だ。

 

 ゲッターロボの中。ゲットマシンの中で、私は目覚める。

 随分と待たせたね、ゲッタークイーン。

 まだおねむかもしれないけれど、目覚めの時だよ。

 私たちが、その真価を発揮すべき時が、来たんだ。

 

 上昇していく。ゲッタークイーンが。

 空へ空へ。まるで、宇宙を目指すかのように。

 飛び出した先では、半壊したゲッターロボアークが居て。

 それに対峙する、カムイ・ショウの駆るバグ。

 

 地上へと飛び出したゲッタークイーンは輝くゲッター線を纏い。

 進化したことで巨大化し、限りなどないかの如くゲッターエネルギーを放射し。

 その身に宿す、ゲッターエンペラーと相克するべく目指した力が唸る。

 

『でたな、ゲッタークイーン!』

 

 懐かしい声だ。研究所では、よく世話をしてあげた。この世界では、面識はないけれど。

 私のライブ映像を何回も見せまくったのは、ある種の拷問だとか言われたっけ。

 

 そんな、内心では可愛い息子のように思っていた子だけど。

 悪いけど、このオイタは、見過ごしてはおけないな。

 巨大に進化したゲッタークイーンの腕が奔る。

 反応すらも許さない速度でバグの胴体を鷲掴みにする。

 

 ようやっと反応したバグが、その腕をゲッタークイーンの腕に突き刺そうとして。

 その前に、ゲッタークイーンの腕がバグを握り潰していた。

 

 バラバラと弾け飛んでいく部品たち。

 バグのコクピットは外したから、大丈夫。

 

 目覚めは始まった。

 羽化も終わった。

 けれど、まだ、足りない。

 なにもかもが足りていない。

 

 この程度の大きさでは、この程度の力では、まったく足りない。

 エンペラーには、届かない。エンプレスには、至らない。

 地球の地表で済む程度の大きさでは、話にもならない。

 認識される暇も無しに、踏み潰されて終わるだろう。

 

 もっと、進化しなくてはいけない。

 

 だが、地球で単に進化を目指せば。地球はゲッター地獄と化すだろう。

 そも、この世界線で、ゲッターエンペラーは生まれるのだろうか?

 

 いや、閉じた宇宙を形成するエンペラーであれば、世界線は収束していく。

 1つの閉じた未来へと向かおうとするエンペラー。

 宇宙から人類以外の全てを滅ぼして行けば、未来は完全に閉ざされる。

 そして、宇宙の特異点と化したゲッターエンペラーから未来が切り開かれていく。

 空間支配能力。完全なそれを得るために、エンペラーは進んでいくのだろう。

 

 そこに至るまでに、私の世界線が収束して、エンペラーと合流するまでに。

 私とゲッタークイーンは進化しなくてはいけない。

 だからと言って、地球をゲッター地獄にするつもりなど、毛頭ない。

 

「ゲッタークイーン。エンペラーとは方向性を違えた私たちの、真価を見せる時だよ」

 

 ゲッタークイーンの真価が発揮されていく。

 

 搭載された数多のサウンドブースターが。

 その骨格を構築するサイコフレームが。

 そして、その身に宿す、ゲッター線の輝きが。

 

 地球へと広がっていく。

 私の想いが、全世界へと。

 

 無意味な戦いも、しなくていい争いも、その全てを終わらせよう。

 私たちはみんな、同じ生命なんだから。

 この宇宙に生きる、ちいさなちいさな輝きなのだから。

 抗うのならば、戦うのならば、その命を守るために。

 

「戦争なんて! 差別なんて! 私のゲッター線より染み渡る歌声で、ぜんぶ吹き飛ばしてやる!」

 

 サイコフレームからサイコシャードが広がっていく。

 爆発的に広がっていくサイコシャードが、惑星を囲うリングを創り出す。

 

「だから、この星に生きる、すべての命よ! ヒトも、ハチュウ人類の別なく! 私の……私の!」

 

 さぁ、とびっきりの嘘をついてみせよう。

 信じられないくらいにバカバカしくって。

 誰も信じてくれないくらいに荒唐無稽で。

 でも、涙が出るくらいに綺麗な嘘をついてみせる。

 

 この星に生きる、すべての命が、愛おしいから。

 何度生まれ変わっても、何度死んでも。命は輝くから。

 どこにだって、いつの時代にでも、その命を燃やして輝く人がいるから。

 この命を燃やして、一生懸命に生きてる人を守りたい、助けたい。

 

 私は私なりのやり方で。進化を目指す。女帝へと至ろう。

 殺し尽くし、食い尽くすことで、進化の糧にするのではなく。

 共にあり、融和し、共に歩んでいくことで、私は前へと進もう。

 

 だって、私はアイドルだから。

 

 アイドルはとびっきり綺麗な嘘を本当にして魅せる者。

 嘘と言う魔法で輝き、嘘と言う魔法を魅せる生き物。

 夢幻でしかないようなものだって、嘘にしか思えない未来だって。

 私の言葉が、嘘でしかないものを、真実にしてみせる。

 

 この世界に、とびっきりの魔法をかけてみせよう。

 

 殺し合わなくたって、分かり合えるって言う嘘を、本当にして見せる。

 戦争だって、差別だって、貧困だって、全部なにもかも、無くして魅せる。

 残酷な真実に溢れ返った世界に、とびっきり優しくて美しい嘘をついて。

 そして、その嘘を、本当にする魔法使いになってみせるから。

 

 だから……だから、輝け! もっと、もっと! 輝け!

 そして、響け! どこまでも響き渡れ! この星に! この宇宙に!

 私の歌を、どこまでもどこまでも、響かせて見せる! だから!

 

私の歌を! 聞けぇぇぇ――――!

 

 歌が響く。この地球が私のライブ会場。観客はあらゆるすべて。

 私の創り出したゲッターライブ会場に、総勢数十億、数千数兆の命がいる。

 すべての物質には意志がある。生物にも、大地にも、風にも、水や火にだって。

 ううん、それこそ、時間や空間にも、意志があって、記憶がある。なら、生きてるに決まってるし、私の観客に決まってる。

 

 動物たちだって、昆虫だって、魚だって、微生物だって。

 みんな生きている。みんな共にある。みんなここにいる。

 この美しくも儚い宇宙船地球号に生きる、すべての暖かくも脆い命こそが、観客だ。

 

 この美しい星が、いつか私たちの遥かなる故郷となっても。

 あの冷たく寒い宇宙が、私たちにとっての新天地となっても。

 いつか必ず、この星を飛び立つ日が来るのだとしても。

 

 私たちはこの星で共に生きた、宇宙船地球号の同胞だということを、忘れないように、私は願う。

 

 

 

 

 

『この歌は……アイちゃんの……そう、そんなにも、簡単なことだったのね』

 

『アイの歌を聞くのは、何十年振りだ? いい、歌だな……不思議と、なぜ俺だけが残されたのか、分かる気がする……』

 

『フフ……ライブに来いと言っておったが、まさか、研究所の前でライブを開催するとはな……』

 

『わぁははは! アドレナリンよりも染みて来る! いい歌じゃあ~……』

 

 

 

 

 

『心地よい……これが、人間の歌……サルどもと私が見下した、人間の、歌……』

 

『ゴ、ゴールお父様……』

 

『星野アイの歌を聞くと……不思議と、心が、和む……』

 

『あなたは、百鬼帝国のブライ……』

 

『なぜここにいるのか、分からないが……だが、星野アイの歌を聞くために、ここに来た気がする……』

 

『……私も、なぜ生き延びたのか、分かりませんでした。けれど、いま、アイちゃんの歌を聞いて……だんだん、わかって、きました……』

 

 

 

『ゲッターが……人と、ハチュウ人類を、繋ごうとしている……』

 

『あれが、エンペラーに進化するようには、見えないな……』

 

『ビンビン感じる……エンペラーと、別の道に行こうって……すべての命と、融和しようって……』

 

『本当に……人とハチュウ人類は……融和することが、出来ると思うか……?』

 

『さぁな……分かんねぇけどよ。未来は変えられるって、俺は信じてる。それは、星野さんもだろ』

 

『未来を、変えるか……星野さんのやりたかったことが、分かって、来た気がする……』

 

『ああ……ビンビン感じる……こんなにも、簡単なことだったなんて……』

 

 

 

 

 

『ついに、全人類がママの素晴らしさに平伏したね、お兄ちゃん』

 

『人類は愚かだな……アイこそが世界の救世主だとようやく気付いたらしい』

 

『はぁ~~~……! 素晴らし過ぎて生きる糧! 無限に恒久に永遠に推してく~!』

 

『天寿を全うした後も、こうして推しを推せる素晴らしさ、喜び……! その全てを、このオタ芸に……!』

 

 

 

 

 この美しくも儚い宇宙船は、最初から手遅れだった。

 宇宙船と言う閉じた環境は、1つ破綻すれば、なにもかもが壊れて行く。

 このあまりにも巨大で美しい、人知の及ばぬほどに広大な地球ですらも、例外ではない。

 

 なにか1つ間違えて、なにか1つボタンを掛け違えて、なにか1つ壊れてしまった。

 そしてそれはたぶん、ゲッター線が地球に降り注いだ時から、そうだったのだろう。

 あるいは、そのゲッター線そのものが、間違いだったのかもしれないけれども。

 ゲッター線が目覚めた時から、この星はゲッター地獄と化して終わることが定められていたのかもしれないけれど。

 

 それでも、私たちは、たしかにここに生まれ、必死で生きていた。

 

 たとえばそれが、夜明けと共に生まれ、1度の夕焼けを見ることすらも叶わないほどに短い命でも。

 ほんの1分、ほんの1秒でしかない、断末魔寸前の無様な足掻きであったとしても。

 たとえ、何者かによって生み出され、何者かによって生かされていたのだとしても。

 

 私は必死で生きて、戦った。

 1度として諦めてなんかいない。

 どうせ次があるなんて思ったこともない。

 いまある一瞬を必死で生きて、命ある限り必死で足掻いた。

 そして、その命を燃やし尽くして、私は散っていった。

 

 なんのためにかなんて、よく分からないけど。

 この世界が好きだから。滅んで欲しくなかった。

 もしかしたら、それが全部かもしれないけれど。

 答えを出すことに意味があるのかもわからない。

 ただ、ひとつだけ言えることがある。

 

 みんな愛してる。

 

 この星に生きるすべての命。この星そのものを。

 果てしなく遠い空の彼方に輝く、百億の星を。

 百億の人々が見る百億の夢のきらめきを。

 

 だから、いっしょに行こう?

 

 私のそんなわがままな問いに、人々は頷いて。

 とびっきり欲張りなアイドルは、すべてを手に入れた。

 白亜の女帝は、内包したすべての命を慈しみ。

 

 やがて飛び立った。

 

 後には何も、残されてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

「ゲッターの進化は成功だ! 殺し合うことで進化し、食い合うことで進化する!」

 

「だが、ゲッターの導く人類は思い上がりから進化に行き詰るという問題もあるぞ」

 

「ならば、よりよい進化に導くために、ゲッターロボそのものと相克するゲッターロボを創り出すのだ!」

 

「人類と言う同胞同士で食い合うのみならず、ゲッターロボと言う同胞でも食い合い、殺し合えばよい!」

 

「流竜馬は男だ。それと相克し、食い合うならば女がよい」

 

「荒々しい男といえども、母には勝てぬ。男を制圧する母としての姿も必要だ」

 

「次々と遺伝子を組み合わせる種であるからこそ、子と言う存在もまた楔になりうる」

 

「母と子と言う姿こそが、アンチゲッターロボには相応しい!」

 

「流竜馬の心に楔を打ち込む女を! 母を用意するのだ!」

 

「だが、女として楔を打ち込むならば、処女性と言う価値は捨ててはおけぬぞ」

 

「問題ない。子を為すのに処女性を棄てる必要などないことは人類自身が宗教の中で証明している」

 

「流竜馬だけでは足らぬ! 人類と言うすべてに! ゲッターに総体を委ねる人類そのものに打ち込む楔が必要だ!」

 

「最強で無敵の偶像を! 完璧で究極の聖母を! それに相応しい姿を用意した!」

 

「だが、子はどうする。ゲッターエンペラーに抗し得るゲッターロボへと至るならば、その進化の合間に子を産むなど出来ぬぞ」

 

「子は他所から持って来ればよい。そのために他所から姿かたちを持ってきた」

 

「作り上げろ……」

 

「母であり、乙女であり、友であり、偶像である、完璧な女を……!」

 

…………………………………………………………

 

 

 




アスラ様より支援絵をいただきましたので、こちらにて掲載させていただきます



【挿絵表示】


【挿絵表示】



ゲッタースマイル!
相手は死ぬ(べつにスマイルがなくても死ぬ)









次回、最終話
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