「・・・」
良い匂いがする。これは味噌汁の匂い
オレは目が覚め、辺りを見回す。囲炉裏(いろり)に火が点いて、四季がその火を使って味噌汁を作っていた。
四季の横には串に刺された生の岩魚(いわな)が置いて有った。
「あ、おはようございます」
「おはよう」
目が合って挨拶されたから返した。四季、この男はココの家の主である老人の弟子で住み込みで修行しているそうだ。
そうだ、と言っても昨夜の飯の時に聞いた事で偉そうな事は言えないが。
「岩魚は焼けてませんが、少し早いですけど食べますか?」
「え?あ、あぁ・・・貰う」
「はい」
四季は土間に下りて、釜の蓋を開け、炊いた米を器によそる。
米の匂いがココまで匂う。米の焦げた部分の匂いと白の煙が食欲をそそる。
「量はどれ位にします?」
「そうだな、器の半分で」
「はい」
四季は土間から上がり、オレに米がよそってある器を差し出す。
「どうぞ」
「いただきます」
オレは手を合わせた後、箸を持って米をかきこむ。
「うめぇ」
「そりゃよかった」
四季は味噌汁をよそり、オレの前に置くと岩魚を囲炉裏で焼き始める。
「ん?」
気にはしてなかったが、この米は何処から調達したのか?という疑問が浮かんだ。
「なぁ、この米は何処から調達したんだ?」
「え?あぁ、友人から送られた物ですよ。対価として傘を作りましたがね」
「なるほど」
オレは頷く、確か異国の言葉でギブ&テイクという言葉を思い出した
「あ、けして盗んだりした物じゃないんで」
「あぁ」
「おはよ~」
会話していた途中、隣部屋から来たのは、燐火という女だ
燐火はこの家では別室で寝ている。まぁ、常識的に侍の娘とか嫁入り前の娘という理由が有って部屋は男女別々だそうだ。
「燐火さん、おはようございます」
「ふぁ~、おう、客人。身体はもう大丈夫なのか?」
「あぁ」
「良かった良かった。あ、四季!ご飯は駆けつけ3杯!」
「酒を飲みに来た男ですか、まぁ・・・コチラが悪いんですがね」
四季はしゃもじで飯をよそり、燐火に渡した
昼頃、四季は斧を使って薪割りを行なっていて、オレは縁側に座っていた。
師匠と呼ばれた老人は燐火と滝に打たれに行き、今は家に二人だけだった。
「なぁ、四季」
「なんですか、カブキさん」
「あー、まずカブキって呼び捨てでいいし、敬語も無しにしてくれ」
「・・・、わかり、分った」
「で、質問だが。お前全部が生活の準備してんのか?」
「えぇ、そうですけど」
一人で全部やってるのか・・・
「まぁ、暮らしの中に修行有りって言うし。あ、カブキ、頭を一つ分下げてくれ」
斧を地面に置くと丸太の一つをオレに目掛けて勢いよく投げてきた
投げてきた?
「うおォ!?」
寸前に避け、四季を見る
「なにしやがる!」
「あ、いや後ろの人物に目掛けて投げたんだが」
「後ろ?」
オレは後ろを見ると干し菓子を食べようとした状態で茶棚に寄り掛かって伸びてる女の姿だった。
「・・・誰だ。そしていつの間に現れたんだ?」
「先程話した友人の八雲 紫。彼女、スキマ妖怪なんで何処でも出てくるんだ」
「妖怪?これが?」
「それです」
「・・・、人の血肉食う輩に見えないな」
「ま、自分も妖怪モドキなんだがな」
「は?」
何か小さく呟いた四季は薪を割る作業に再びかかる
「・・・。それは置いといて、それ起こしておいてくれ」
「は!?お前がやったんだろ」
「この仕事をやるなら良いのだが・・・ま、ひょろい身体じゃなぁ」
「あ?テメェだってひょろいじゃねえか」
「着痩せする身体なんだよ」
「・・・ちっ。分かった、薪割りしてやるから起こせよ」
「極めて了解」
オレは斧を受け取り、四季は紫という女妖怪を担ぎ外に出る。
「って外に何故行く?」
「コイツ寝たらなかなか起きないから川に投げ入れてくる」
「・・・、えぇ」
「ふふふ、日頃の恨みじゃ・・・日頃の行いの罰じゃ」
なにか私怨が有るのか四季は黒い微笑みを出しながら歩いて行った。
その後すぐ、女妖怪の悲鳴と高々と下品な笑いを上げる四季の声が此処まで聞こえた。
ちなみに付け足す事と言えば、四季は逆鱗に触れたのか何か変な鉛玉に追われて戻ってきたが石に躓(つまづ)いて女妖怪に馬乗りされて拳で顔面を数打殴られていた事しかない。
「アナタが!」
「ぐげ!」
「謝るまで!」
「ぐま!」
「殴るのを!」
「ゲー!」
「止めない!」
「・・・!!」
あと、この状況を何とかして欲しいと切実に願った
久々に投稿できたー!
ちなみに響鬼の中でカブキさんが好きですから書けるのが嬉しいですよ