「・・・」
雨が降っていた。
雨が二人の男を濡らしていた。
一人は着流しを着た男が地べたに座り込み、もう一人は奇抜的な服を着た男だった。
奇抜的な男は、着流しの男の肩を掴んで揺さぶる。揺さぶられた方は、なすがまま揺さぶられて目の前を見ていた。
目の前には袈裟切りされた痩せ細った男の死体が残っていた。
着流しの男はまだ新品同然の刀である柄が血に染まり、着流しも血に染まっていた。
「おい!四季!」
「・・・」
四季と呼ばれた着流しの男は目を虚ろにしながら四季と呼んだ男を見た。
「カブキ・・・俺は、俺は」
「あぁ、分かってる。分かってるから逃げよう!この場から早く離れるぞ!」
「・・・でも」
「っ!」
カブキと呼ばれた奇抜的な服装の男は刀を納め、四季を担ぎ上げて去っていった。
梅雨の時期、1299年の出来事である。
カブキに担ぎられた四季は山に有ったボロ小屋の囲炉裏で暖(だん)を取っていて、その横にはカブキが囲炉裏を使ってお湯を作っていた。
「・・・」
「・・・助けてくれてありがとな。」
カブキは礼を言った。その理由は三十分前に戻るが、四季とカブキが山道を歩いていた時、数人の山賊モドキが襲い掛かってきたのだ。彼らはどうしてそのような行為を行なったのかというと理由は村の飢饉だ。
彼等の村は最近土地が痩せ細り、実も成らないくらい大地は枯れ、村は死にかけの状態らしい。
そこで通りかかったのはカブキと四季だ。彼等は近くの町で買い物を済ませて金と食料をそれなりに持っていた。そこを突かれたのだ。結果的にはカブキが三名気絶させ、四季が一人気絶させたのとカブキを背後から襲ってきた者を絶命させたのだ。
「なぁ、カブキ。あの時に、斬る前に食料を渡したらどうだったんだろう?」
「もしもの話か?止めておけ、限りが無くなる」
「・・・カブキ」
四季は弱弱しい声を放ちながらカブキを見る。
「だぁ!うっぜェ!情けない声で聞くな!女々しい奴だ!
で、食料を渡したらどうなのか?か。どうにもならねぇだろうよ。
ただたん繰り返して自分等を楽して、人を脅かす輩になってたろうよ」
「だが、彼等は飢えてた。渡せばなんとかなったんじゃないか。そうすれば」
「甘いな、この世では珍しくもないことだぞ」
「だが、・・・」
何処かで納得していて、納得できていないのか。四季は声を先に言う言葉を押し殺す。
カブキは、それで何かを悟り、四季に湯を入れた木の茶碗を渡した。
「四季、テメェは甘いんだな・・・子供のように、純粋で、何も知らずな」
「子供?」
「あぁ、子供さ」
「子供、か・・・」
「・・・だがよ、その子供みたいな純粋さは嫌いじゃない。」
「え?」
「こんな時代だ。人の物を盗り、殺して行き延びる。それが常さ、でもな。
お前は子供のように悩んで、考えて、平和な方を見ている。そういう奴ほど良い世の中を作れる先人になれるのさ」
「・・・」
「んん?どうした?」
「・・・いや、カブキがカッコいい奴に見えた」
「どういう意味だ。それ」
「いつも奇抜的な服装で変な奴だな、って思ってた」
「てめッ!そんな目で俺を見てたのか!」
「あぁ」
「即答かよ!くそ!」
カブキは顔を右に向くと頬を膨らせて黙ってしまった。
「・・・俺ってさぁ、」
すると四季は独り口を呟き始めた。
「どこかで戦国という事を忘れてたよ。人を殺すのが常(つね)な時代なのに戦国という概念を忘れていた・・・
そして、先程の斬り殺し・・・骨は切れなかったけど魚の身を裂く感覚があってさ・・・でも人間だ。
おかしいよな、同じ赤色なのに覚悟が必要なんだぜ・・・」
「あぁ、おかしいねぇ」
カブキが口を開いた。
「お前はおかしい。それを知らずに剣を握り、切り殺す覚悟もなく殺す。そんな覚悟が無いなら剣を捨てろ。迷惑だ」
「・・・迷惑か」
「あぁ」
「・・・カブキ」
「なんだよ」
「ありがとな、おかげでスッキリした」
「・・・今ので解消するのか?」
「あぁ、腹を割った。切り殺したのは事実だし、それに切り殺した人の生(せい)を謳歌してやるって決めた」
「そうか、ならそうしよう」
「あぁ」
そして二人は黙り、死んだように眠った。
意味不明な文になってすみません
次回はギャグ回となります