ラウダの野望   作:山ウニ

100 / 100
予想以上に混沌とした状況になってしまた

 

 

ミオリネの事業を拡大するには、それを前提に輸送ルートの構築を進めなくてはな。

だが、それだと日本を贔屓にしているようで、角が立つのが問題か。

 

「暴れている相手のノーマルスーツを無理やり脱がすなんて出来るもんなの?」

 

「普通は無理」

 

そうなると他地域でも何か進めたいが……そうだ。アリヤに酪農を調べさせるか。

前世の感覚だと、チーズの種類なんて少ないし、バターの違いも分からなかったが、今生ではチーズでもバターでもヒツジから作ったものをよく食べている。

更に本来なら乳種に関わらず、世界には大量の種類のチーズやバターがある。それがどうなっているか?

 

『やだ! 助けて! お母さん! お母さん!』

 

『暴れるな! 脱がしにくい!』

 

「おい、グエル! 落ち着け! 落ち着くんだ!」

 

アリヤに事前調査をさせて、現地を確認する。

そうなると足が必要だな。フェルシーはミオリネ担当で外せないし、チュチュはオジェロとヌーノと組んで、ディランザを良い感じに進めているから、今から機種変更はなぁ。

そうなると、公共の交通網しかないか。

 

「グエル! いい加減にしないと、警察(フロント管理社)が来るぞ!」

 

警察(フロント管理社)より医者だろうが!』

 

「孕ませる気っすか?」

 

今度の長期休みで行動を開始したいんだが、でも、アリヤに公共の足を使わせると、何日も空ける事になるから、食事の問題で、全員の不満が高まり、僕の身に危険が及ぶ。

こうなると、足をするのは僕しかいないが、僕と一緒だと変な噂が……あれ? アリヤの場合は今更か。

 

「おい! ラウダは何を黙ってる! 止めろよ!」

 

「僕は現実逃避に忙しい! 邪魔をするな!」

 

くっ! 何が悲しくて、兄さんが水星女を襲う現実を直視しなくてはならないんだ。このヘタレチャラ男め。

僕は断固、現実を直視しないぞ!

そう言えば、ミオリネと話している時に、何か重大な件が中断されたような? 確かシャディクが関係していて……

 

「するな! 現実に戻れ! お前の兄貴が犯罪者になるぞ!」

 

五月蠅い! 思い出すのを邪魔するな!

 

『警告する! ただちに決闘を中止しなさい!』

 

警察(フロント管理社)来たぁ!」

 

「あ~あ、グエル先輩、捕まっちゃうかぁ」

 

『学籍番号LP041スレッタ・マーキュリー、その身柄とMSを拘束する」

 

「は?」

 

ああ、思い出した。確か原作でも来てたな。ガンダムの使用者(スレッタ)を捕まえるために。

だが妙だな? あの時って、ジャミングをかけて、学生に聞かれないようにしてから、ガンダムの使用嫌疑とか言ってなかったか?

それに、来るのが遅すぎる。

 

原作では瞬殺だったから、決闘が終わった後に来ても、ただちに決闘を中止しなさいが通じたが、今回は長時間戦闘をしていた。

それを今更やってきて何を言ってるんだ? どうやら、不自然な異変が起きている。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「フロント管理社だと?」

 

3機のデミギャリソンがゆっくりと舞い降りる。歩兵を乗せた輸送機も一緒だ。

デリングの使いだと考えて良い。グエルが警戒を高める。

だが、その警戒も空しく、いや正しくスレッタの拘束を告げられた。輸送機から銃を持った兵士が降りてくる。

 

彼女が拘束される理由など1つしかない。

デリングにガンダムの存在が知られてしまった。

ヴァナディース事変の二の舞ならスレッタは殺されてしまう。

どうする? 彼女を守りたくても、ディランザは戦闘続行は無理だ。

 

「下がってください」

 

銃を持った兵士が4人、こちらに近付いて来た。丁寧な口調だが威圧感がある。こちらを学生だと舐めているようだ。

だが、今は確認が先だ。どちらにせよ簡単に渡すつもりは無いが。

 

「スレッタにどんな容疑がかかっている?」

 

「総裁の指示です。内容は機密です」

 

やはりガンダムだ。

 

「理由が分からないのに渡す理由は無い。ここは学園だぞ」

 

「総裁の指示は絶対です。おい」

 

グエルを無視して、スレッタを強制的に連れて行く気だ。

スレッタと目が合う。怯えた表情。

 

「痛っ」

 

連行するためスレッタの腕を強引につかんだため、スレッタが小さな悲鳴を上げた。

その瞬間、身体が動いた。

 

「がぁっ!」

 

スレッタを連行しようとしていた男の腕を取り関節を決める。

残りの3人が銃を向けてくるが、関節を決めている男を盾にして動きを封じた。

 

「て、抵抗をしないように! 我々はデリング総裁の指示で動いています!

 御三家の後継者と言えっ……」

 

「俺をどうするって?」

 

流石はフロント管理社だと言って良い。

そこそこは鍛えているようだ。

だからこそ気付く。銃を持った4人でも、今の状況ではグエルに敵わないと。距離が近すぎる。

 

地球の、それもベネリットグループの坊ちゃんなんて、遊び甲斐のある良いオモチャくらいにしか思わない、品があるとは言い難い傭兵に鍛えられた。そして認められた。

そんなグエルにとっては、フロント管理社の兵士は上品すぎる。

 

『警告します! それ以上の抵抗は止めるように!』

 

MSからの警告。流石にMSが相手ではどうしようもない。

 

「警告か。だったら俺からも警告しておく。

 デリングに伝えろ。もし、彼女を害して見ろ。俺がお前を殺すとな」

 

そう伝えると、盾にしていた兵士を放し、一歩下がる。

むき出しの殺気に戸惑ってはいるが、警戒しながらもスレッタを連行する。

先程と違い丁寧な扱いだ。

連れ去られるスレッタと目が合う。怯えた表情だ。

 

絶対にデリングから解放して見せる。

心の底から、そう思った。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「それでは、お願いします」

 

父さんとの通話を切る。父さんとサリウスが同時に動けば、デリングも無視は出来ないだろう。

それにしても、困ったことになった。本音ではスレッタはデリングに処分して欲しい所だが、そうもいかなくなった。

兄さんの行動は好意的に見ても奇行。普通に見てアレである。

フロント管理社に連行されても不思議では無いけど、実質連行されたのは対戦相手のスレッタの方である。

おまけに、最後はデリングへの殺害予告だ。

 

これは誤魔化せない。どうやっても誤魔化しようがない。

こうなったら真実を知らせるしかない。

先ずはガンダムの件、ヴァナディース事変の詳細や、その後の地球での魔女の残滓に関しても、ジェターク寮生だけでなく、改革派の代表に教える。

 

GUND関係は、ミオリネは当然として、ニカを筆頭にダメージを受ける者もいるが、見えない敵に怯える状況でも無くなった。

姿が見えた以上は腹を括るしかないし、今の状況で目的を与えれば括れるはずだ。

グラスレー寮にはダメージを受ける者が多いだろうから、そこはシャディクに一任して、残りの改革派は僕が受け持つとしよう。

 

「シャディク、どうだった?」

 

「なんとか。後で説教は免れない雰囲気だったが、要望は聞いてくれた。

 むしろ、すんなりと行ったくらいだな」

 

「そうか。お前はジェターク寮生(自分の所)への説明が大変だろうから、他はこちらで引き受ける」

 

すんなり行ったことにシャディクが違和感を抱いている。何か気になるな。

サリウスの反ガンダム思想に火が付いたのか? そんなことを考えながら、改革派の代表にジェターク寮へ来るよう一斉メールを送る。

 

「おそらく、ミオリネもこちらに来ると思うが……」

 

「お手柔らかに頼むよ。もし、イリーシャ達と一緒で、こっちに来たら腹を括る」

 

「分かった。それで……聞きたいか?」

 

こちらを見ているセセリアとロウジに問いかける。

エランはすでに退席している。興味が無いわけでは無いだろうが、ペイル社への連絡を優先したのか?

 

「聞かせてくれるんスか?」

 

「是非。彼女が使用していたMS、該当するデータはありませんでしたが、似たMSがありました」

 

「オックスアース製か?」

 

「はい。すべて破棄されたと聞いていましたが……」

 

「アレが何かは現状では分からない。ただ、可能性はある。いや、高い。

 僕たちはそれに備えてきた。そうするだけの情報を持っていたからな」

 

「それを知りたいです」

 

「分かった。着いて来い。知らせるべきと判断した者はジェターク寮に集まるようにしている。

 そこで説明を一緒に聞くと良い」

 

移動を開始する。

父さんとサリウスには、決闘への横槍の説明を盾に、デリングに会合を申し込んでいるから、その返答が来るまでには説明を終わらせたい。

 

「あああああああああぁぁぁ!」

 

ジェターク寮の講堂に入ると、兄さんの悲痛な叫びが出迎えた。

 

「に、兄さん?」

 

そちらを見ると、頭を抱えた兄さんの正面には、タブレットを見せつけるようにしているペトラの姿。

 

「ほら、見てくださいよ♪ スレッタってスタイル良いですね。羨ましいです。

 そして、こんな姿を全学園生に披露してくれたグエル先輩には、感謝してもしきれない男子生徒が大勢いるでしょうね♪

 ちなみに、大抵の女の子は、いくらスタイルに自信があっても、他人には見せたくない格好ですね♪」

 

「ち、違う! 違うんだ! お、俺はぁ! 俺は何てことを!」

 

「グエル先輩の大胆さには感服です。

 いきなりプロポーズしたかと思えば、決闘後は無理やり……それで拒否権って知ってます?」

 

「プロ……何のことだ?」

 

「へえ? では一連の流れを最初から」

 

に、兄さんを助けたいが……怖い! 僕が恐怖に竦んでいる!

 

「カ、カミル、何であのドSを解き放った」

 

「状況の説明を引き受けてくれたから甘えた。

 グエルは反省する必要があるし、どちらにせよ、今の有様は見せた方が良いだろ?」

 

そう言うカミルの視線を追うと、改革派の代表がやってくる。

その中にはマルタンに引き連れられたニカとフェルシーの姿も。

 

「帰っていたのか?」

 

「うん。ただいま。

 でも、びっくりしたよ。戻ったらグエル先輩が決闘してるって言うし、しかも、その相手がシン・セー開発公社のプロスペラCEOの娘だって言うし。

 それで見てたら無茶苦茶強くて、挙句に最後のアレ」

 

困惑した表情でニカが帰還の挨拶もそこそこに、説明をして欲しそうな様子だ。

説明はするが、今は何を言おうかと考えてると、デバイスに着信が入った。エナオだ。

 

「どうした?」

 

『ゴメン。レネ達を取り押さえるのに失敗した。

 多分、グエルの所に向かっている』

 

「なるほど。達ってことは、レネだけじゃないか?」

 

『メイジーとイリーシャも』

 

「3人ともか、困ったな……」

 

 

 

「も、もしかしてスレッタが怯えた目をしていたのは俺に対して?」

 

「少なくとも、私の知り合いには、人前で服を脱がす人に怯えない子はいませんが?

 スレッタにとっては、フロント管理社は救世主に見えたかもしれませんね」

 

 

ああ、また兄さんの叫び声が聞こえる。

思考が定まらない状況に硬直していると、マルタンが通話の相手を聞いてくる。

 

「相手はサビーナ?」

 

「エナオだ。レネ達3人が脱走したそうだ。多分、こちらへ来る」

 

「少し代わってもらえる」

 

「ああ」

 

「マルタンだけど……うん。レネ達にはこちらで説明するよ。

 そっちの方が大変だろうから、ティルとアリヤにはグラスレー寮に行ってもらってる。

 ……大丈夫。あの子たちはグエルの側の方が安心だろうし。じゃあ、ラウダに代わるね」

 

「代わった。何となく話は察したが、そちらは大丈夫そうか?」

 

『うん。レネ達の事はお願い』

 

「ああ。それじゃあ」

 

この後の状況が想像できるので、正直に言えば、お願いはされたくないんだが……

 

「なあ、あれって何だよ! アタシには何もしてくれないのに!」

 

……こうなるからな。

兄さんに詰め寄るどころか、抱き着いてやがる。

引き離したいが、これからの話を聞けば、兄さんが精神安定剤として必要になるしな。

 

「ラウダ、ガンダムの説明は僕がするよ」

 

マルタンがそう言いながら、そっとニカの背を押す。

 

「レネ達にグエルが一緒にいる方が良いように、ニカにはラウダが一緒にいた方が良い。

 だから説明は僕がする」

 

「すまん。助かる」

 

随分とマルタン達には借りを作ることになるが、今は甘えるしかない。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!!(作者:社畜だったきなこ餅)(原作:ガンダム)

時は宇宙世紀0087。▼どこにでもいるガノタが憑依転生したのは、ホワイトベースに保護される寸前のカツであった。


総合評価:9660/評価:8.56/連載:12話/更新日時:2026年01月15日(木) 17:15 小説情報

愛と勇気と正義にかけて、市民をお守りいたします!(作者:イングラマン)(原作:機動警察パトレイバー)

某巡査の娘が特車二課第二小隊に配属される、原作再構成二次小説です。▼自分が読みたいがために投稿しました。▼・TVアニメ版を軸にOVA、漫画版や小説版をミックスしています。▼・転生オリ主最強です。▼・一部キャラクターの生年と経歴を変更しています。▼・作者は警察組織やコンピュータについてはネットで調べた程度の知識しかありません。▼以上の点を踏まえて、本文をお読み…


総合評価:2032/評価:9.08/連載:10話/更新日時:2026年05月29日(金) 21:00 小説情報

偽書・ガンダム機動戦記(作者:雑草弁士)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079、サイド7ノアの1バンチコロニーグリーンノア在住のアルバイター、エグザベ・オリベは難民である。故郷であるサイド5ルウムを地球連邦とジオンの戦争で破壊しつくされた彼は、どうにかサイド7に流れ着き、ジャンク屋で働きつつ生活を立て直そうとしていた。しかし0079の9月18日、ジオン軍の英雄シャア・アズナブル少佐率いる特殊部隊がサイド7を急襲。エグザ…


総合評価:1741/評価:8.67/連載:54話/更新日時:2026年03月11日(水) 05:39 小説情報

やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!(作者:よみや)(原作:ガンダム)

気がついたらキラ・ヤマトになっていた主人公が、地獄のようなコズミック・イラ世界で頑張る話。▼


総合評価:20501/評価:8.6/連載:21話/更新日時:2026年02月24日(火) 15:30 小説情報

【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね???(作者:むにゃ枕)(原作:ガンダム)

お前はひっこんでろ、私は安全に出世したいんだよ。▼出世すりゃあ私の持てる権力も多くなるからな。▼ジオン残党は跳梁跋扈しているが、とりあえず私はそこそこの残党を討伐してジャブローのモグラになるぜ!▼


総合評価:7858/評価:8.38/完結:24話/更新日時:2026年04月17日(金) 17:54 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>