仮面ライダー龍騎 ベルデIFストーリー   作:残月

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まさかのエンカウント

 

 

 

楓は住み場所とバイト先が決まってから順風満帆と言えた。

学校生活は充実してある、バイト先はライダーの事情を知る結衣が仕切っている事から抜け出す事も容易く野良モンスターが現れた際には心置きなく戦いに行ける。更に龍騎、ナイト、シザースと他のライダーとの連携も良くなってきている。

楓には知らされていない話ではあるが真司、蓮、須藤も楓との連携に非常に満足しており、彼女と組んで戦うのは凄まじく戦いやすいと認識しているが、その話は後日に語られる。

 

 

「でも……そろそろ時期的に次の動きがある頃なんだよね……」

 

 

楓は最近の日常に慣れつつある思考から仮面ライダー龍騎のストーリーを思い出していた。仮面ライダーシザースとの戦いの後に出会うライダーは仮面ライダーゾルダ。黒を白に変えるとさえ言われている凄腕弁護士、北岡秀一。彼との出会いの後に仮面ライダーライア・仮面ライダーガイ・仮面ライダー王蛇と物語前半に出会うライダーが次々に登場する事となる。

 

そうなれば楓のストレス待ったなしである。

北岡はまだ良い。初期の頃は真司を騙したりする等、嫌味な部分があったが真司達との関係は概ね良好だった。

仮面ライダーライアである手塚海之も真司や蓮の仲間とハッキリ言える関係だった事から彼に関しても問題は無いだろう。

 

だが問題は仮面ライダーガイ、芝浦淳や仮面ライダー王蛇、浅倉威だ。

どちらも方向性は違うが話が通じないバーサーカーであるのは共通している。戦いを止めようとしていた真司の呼び掛けに一切応じず芝浦はライダーバトルを面白おかしくしようと場を引っ掻き回した。浅倉は……もう言葉にはならない。凶悪犯であり、イライラを解消する手段が食事・暴力しかない生粋のサイコパス。仮面ライダーシリーズでも屈指の悪役とされる仮面ライダーでその突き抜けた悪役ぶりから人気は高いが相対する立場となってしまった楓からしてみれば絶対にエンカウントしたくない人物である。

更に先日のニュースで『連続暴力殺人犯、浅倉威逮捕!』と記事が出ていた事から浅倉のライダー化は秒読み段階と言える。

 

 

「今の内に対策かなんか……でも、もう逮捕されてる以上は須藤さんに話しても何も出来ないしまだ接点がないから北岡さんに弁護を辞める様にも言えないし……」

 

 

そもそも北岡が真司と会った段階で北岡は浅倉の弁護を終えて死刑判決から懲役10年に引き落としていた。つまりは既に手遅れと言うか出来る事がそもそも存在しないのだ。

そして浅倉の最も厄介な所は単なる粗暴な乱暴者ではなく、衝動的な破壊行為をする一方で非常に頭の切れる人物であるという事にある。乱暴な言動や行動に隠れがちだが実は結構計算高く、頭の回転も早い。だからこそ原作で北岡も手を焼いていた。

 

そして、もう一方の悩みの種である芝浦への対策があるとしたら芝浦主催の殺人ゲームを止める事だろう。これに関しては警察の捜査と真司の取材で明らかになるので、早めに対応をして被害を抑えようと考えていたりする。

 

 

「でも……根本的な解決にはなってないんだよね……」

 

 

戦いを一時的に止める事は出来るが問題はその後である。浅倉や芝浦は説得した所で聞き入れたりはしないだろう。逆に弱みに漬け込んで狙ってくる可能性すらある。となればどうするか。

 

 

「須藤さんは真面目な刑事なんだし……いっそどっちも捕まえてもらうとか?」

 

 

そう言えばTVスペシャルだと浅倉を逮捕したのって須藤さんだったっけ、と思考が先程考えていた事から逸れ始めていた。要は今考えてもどうしようもないのだ。

 

 

「くそっ!離せ!悪いのは、あの女だ!」

「大人しくしろ!婦女暴行の現行犯だ!」

 

「あ、須藤さん……って何かの事件!?」

 

 

思考の海に沈みかけていた楓を呼び戻したのは大騒ぎとなっている目の前の光景だろう。警察官が男を取り押さえ、須藤は女性と何かを話している様だ。

 

何事だろう?後で話を聞いてみようかな、と呑気に考えていた楓だったが事態が急変する。警察官に取り押さえられていた男が警察官の拘束から逃れ、須藤と話をしていた女性に突撃していったのだ。

須藤は咄嗟に女性を庇う動きをするが女性は驚きのあまり動けなくなってしまっているのか……ともあれあのままでは須藤と女性が危なくなる。そう考えた時、楓の体は自然の動いていた。

 

 

「死ねぇぇぇぇぇ、がぐっ!?」

「せっ!とりゃ!」

「楓さん!?」

 

 

楓は走って男に追いつくと延髄斬りで男の後頭部を蹴り上げる。そして動きが止まったと同時に腹部に鋭い前蹴りを放ち、男を仕留めた。その一連の流れる様な動きと突如現れた楓に驚く須藤。

 

 

「ご協力感謝します……ですが、無茶はしないでくださいね楓さん」

「ご、ごめんなさい須藤さん。思わず体が動いちゃって……」

 

 

再び警察官に拘束されていく男を眺めながら須藤はジト目で睨みながら楓を叱り、怒られた楓は萎縮した。流石に短慮な行動をしてしまったと反省した楓だったが「私ってこんな熱血キャラじゃないのに……なんで体が動いたんだろ?」と小首を傾げた。

実の所、楓自身に自覚はないが楓は真司の影響を受け始めていた。戦うスタイルもそうだが元々の性格的に楓と真司は馬が合う性質だった。知らず知らずのうちに楓も真司同様の「トラブルに自分から首を突っ込むタイプ」になりつつあったのだ。

 

 

「それはそうと……大丈夫でしたか?」

「あ、ごめんなさい。腰が抜けてしまって……」

「大丈夫ですか?お姉さ……っ!?」

 

 

須藤が被害者女性が座り込んでいた事に漸く気付き、楓も立ち上がらせようと手を伸ばして硬直した。何故ならば男に襲われそうになっていたのは仮面ライダーファムに変身する霧島美穂その人だったのだから。

 

 

 

◇◆

 

 

警察署へと移動した楓、須藤、美穂は事情聴取を受けていた。

話を聞く所によると美穂は襲われそうになった男性から結婚を迫られ拒んだ所、相手が逆上して怒ったらしい。対する男は男で美穂に騙されたと供述している。その時点で楓は霧島美穂は既に結婚詐欺師として動き始めていると考えていた。

そして話を聞きながら楓は目の前の人物の事を思い出していた。

 

 

『霧島美穂』

仮面ライダーファムに変身する女性で劇場版にのみ登場しており、姉を浅倉威に殺され復讐と姉を生き返らせる為に奔走していた人物。浅倉の弁護をした北岡も恨んでおり、厳しい殺意と拒絶を示していた。だが後に城戸真司と良い仲になっていき、ライダーバトルが無ければ真司とそういった仲になっていたと言われており、楓自身も映画での真司と美穂のデートシーンが好きだったりするのだが……

 

 

(いや、出てくるには早すぎるでしょ!?劇場版って戦いがほぼラスト辺りで脱落したライダーが沢山居て、最後の戦い辺りじゃん!なんで序盤で出てきちゃってるの!?)

 

 

混乱の極みだった。そう、本来であれば霧島美穂は仮面ライダー龍騎の戦いの中で終盤に登場する筈の人物。楓目線で言えばまだ仮面ライダーゾルダである北岡とすら会っていないのに何故終盤に会うであろう人物と遭遇してしまったのか。

 

 

(でも、須藤さんも本来とは少し違うし……ストーリーに誤差が生じてるのかなぁ……って言うかライダーになったかすらも怪しいし……)

 

 

須藤と会話をする美穂を尻目に楓の思考は止まらない。自身の存在もそうだが、この世界は仮面ライダー龍騎のストーリーから微妙にズレているのだ。元々持ってる知識に頼っていた楓だが正確性に欠けているのでは?と考え始めていた。

 

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